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人間福祉学部 准教授 宮 嶋 淳 (みやじま じゅん) 博 士 (ソーシャルワーク)

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1 人間福祉学部 准教授 宮 嶋 淳 (みやじま じゅん) 博 士 (ソーシャルワーク)
2015年度 医 療 福 祉 論(2)  人間福祉学部 准教授 宮 嶋  淳 (みやじま じゅん) 博 士 (ソーシャルワーク)

2 統合化された医療福祉 医療福祉の体系 MSWに必要な医療と福祉に関する法制度、専門用語がある。
 患者とその家族の安心できる、療養生活の支援を進めるための専門的な知識がある。 医療福祉の行財政  1956年、社会保障制度審議会「医療保障制度に関する勧告」において医療保障体系。  1961年、国民皆保険。診療・予防、医療機関の施設・設備の充実。「必要にして効率的なもの」 統合化された医療福祉  医療福祉においては、積極的に医療と福祉を一体的に「わずらい」へ対応するものとして捉え、統合的なサービスを提供することを目指す。

3 医療政策の変遷と医療福祉 高齢化 ・老人福祉から老人保健へ 保健・医療・福祉の連携 ・社会的入院の増加 介護保険 ・終末期医療
高齢化           ・老人福祉から老人保健へ 保健・医療・福祉の連携    ・社会的入院の増加 介護保険   ・終末期医療 後期高齢者医療     ・介護予防 医療政策の変遷と医療福祉  高齢化の進行と医療  老人福祉法による老人医療費支給制度から老人保健法へ  保健・医療・福祉が連携した総合的なサービス提供の基盤づくり  社会的入院と医療費増大への対応  介護保険制度の導入  終末期医療のあり方  療病病床の再編制  後期高齢者医療制度の創設

4 医療福祉の課題 医療福祉の課題 医療技術の高度な発達とともに、医療福祉の今日的課題が多様化した。
 医療技術の高度な発達とともに、医療福祉の今日的課題が多様化した。 地域格差、無医村地区など。  検査漬け・薬漬け医療  差額ベッド  無医村地区

5 医療福祉が捉える「利用者の利益」 医療福祉が捉える「利用者の利益」 最も基本となるのは、「いのちは誰のものか」ということ。
 最も基本となるのは、「いのちは誰のものか」ということ。  誰にとっても、「自分のいのちは自分のもの」であり、自分の生き方を自分で決めたい。  そのために、「自分の医療を自分で決めたい」   ↓  「自分で決定する、自分の医療」(レット・ミー・ディサイド)

6 医療と福祉の関係性を問う視点 連続性 社会性 地域性 医療と福祉の関係性を考えるための視点 連続性 社会性 地域性
1905年、アメリカのマサチューセッツ総合病院の医師キャボット(Cabot, R.C.) 「外来診療部に来る患者の50%以上は、これを完全に治療するためには、彼らの経済上居や心理的能力、品性及び職歴を知らなければならない。それらはすべて病気の現員に関係があるからである。」

7 脱パターナリズム 脱パターナリズム  専門職には、人に関わる基本的な態度として「聴く力」などのコミュニケーション力、人間関係形成力、に関するトレーニングが必要  利用者の中には「理不尽な要求」「無理難題」もある。  病気や医療、保健・医療・福祉制度などについて必要なことを伝え、利用者を教育することも必要。

8 医療情報の提供と患者の権利 日本医師会の生命倫理懇談会、1990年、「説明と同意についての報告」を公表 医療法第6条の2 同法第6条の9
同法第6条の9  同法第6条の11 医療情報  ・サービス提供者側とサービス受給者型の間には、「情報の非対称性」が生じる。  ・インフォームド・コンセント インフォームド・チョイス(選択可能な方針が複数ある場合、複数の方針から1つを選択するように  促す過程)  ・インフォームド・デシション=インフォームド・チョイス 日本医師会の生命倫理懇談会、1990年、「説明と同意についての報告」を公表 医療法第6条の9  「国並びに都道府県、保健所を設置する市及び特別区は、医療の安全に関する情報の提供、研修の実施、意識の啓発その他の医療の安全の確保に関し必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」  同法第6条の11 「都道府県、保健所を設置する市及び特別区は、「医療安全支援センター」を設置 医療情報の公表  2006年の医療法改正、第6条の2 「国及び地方公共団体は、医療を受ける者が病院、診療所又は助産所の選択に関して必要な情報を容易に得られるように、必要な措置を講ずるよう努めなければならない。」   「医療提供施設の解説者及び管理者は、医療を受ける者が保健医療サービスの選択を適切に行うことができるように、当該医療提供施設の提供する医療について、正確かつ適切な情報を提供するとともに、患者又はその家族からの相談に適切に応ずるよう努めなければならない。」

9 幡山久美子編『臨床に必要な保健医療福祉 医療福祉論』2007年、弘文堂
幡山久美子編『臨床に必要な保健医療福祉 医療福祉論』2007年、弘文堂

10 医療ソーシャルワークの目的と価値 医療を最大限、円滑に受けることへの援助
事故により生活に影響するような障害を持ちながら、社会生活上の機能を回復できるように様々な側面から支援を行う 個人の尊厳、自己実現への支援、社会的不正義の克服 医療ソーシャルワークの目的 医療を最大限、円滑に受けることへの援助 事故により生活に影響するような障害を持ちながら、社会生活上の機能を回復できるように様々な側面から支援を行う 医療ソーシャルワークとしての価値の実現 個人の尊厳    岡村重夫の援助論:主体性、社会性、全体性、現実性 自己実現への支援 価値を阻害する社会的条件や困難を克服する

11 患者と家族の理解 患者と家族の理解 望まれる家族への対応:医療ソーシャルワーカーとしての関わり
患者と家族の理解   望まれる家族への対応:医療ソーシャルワーカーとしての関わり 当事者・家族  特別なケース:生殖補助医療(不妊治療)、臓器移植、終末期医療、尊厳死等 当事者・家族の危機    夫婦間あるいは家族として十分に機能せず病気に対処できない家族  病気による受療や入院が「とどめの一撃」になるほど、すでに多くの問題を抱えている家族  病気が圧倒的な喪失や心の傷になっている家族  病気によって、経済、物理的に離れ離れになっている家族等特別なサポートが必要とされる家族の状況 家族へのエンパワメントとしての関わり    家族に働きかけねばならないとき(関わることに消極的な家族)    家族自体の回復力(家族レジリエンス) 効果的な家族への関わり   システム論に基づく家族療法の影響を受けたファミリーソーシャルワークの方法論

12 医療ソーシャルワークの課題 21世紀の医療福祉施策は、地域完結型医療システムの構築や地域包括ケアシステムへの移行が主流に。
早期退院の役割を求められMSWの採用が増加している。 早期退院は、患者や家族の苦しさ、辛さを生み出し、療養生活の不安定を引き起こす退院問題として現れることもある。 医療ソーシャルワークの課題  21世紀の医療福祉施策は、地域完結型医療システムの構築や地域包括ケアシステムへの移行が主流に。  高齢社会から超高齢社会へ突入するなか、高齢者の介護や認知症への地域支援体制づくりなど、政策的課題が重視されている。  患者や家族の療養生活は直接的な影響を受けるところに、医療福祉援助の課題が直面している。  今日の医療制度改革の影響で、早期退院の役割を求められMSWの採用が増加している。  早期退院は、患者や家族の苦しさ、辛さを生み出し、療養生活の不安定を引き起こす退院問題として現れることもある。

13 Q.医療福祉とは、医療ソーシャルワーカーの活動を指していると考えていたのですが、それで良いのでしょうか?
A.多くの人が医療福祉と聞くと、医療ソーシャルワーカーを思い浮かべるはずです。それぐらいに、医療福祉の中核を担う役割を医療ソーシャルワーカーが有していることになります。ただし、医療福祉は、医療ソーシャルワーカーの活動だけを指しているのではありません。   今日の医療福祉とは、医療と福祉が一体的に「生きづらさ、生活のしづらさ」へ対応することであり、統合的なサービスを提供するものです。   したがって、社会福祉士・精神保健福祉士・介護支援専門員・介護福祉士・保育士などの福祉専門職、並びに医師・看護師・理学療法士などの医療関係職種が、その役割を担うことになります。   多くの職種が医療福祉の視点から利用者を支援することで、利用者の人生の質を高めるサービスの提供とつながります。

14 A.多くの人が医療福祉と聞くと、医療ソーシャルワーカーを思い浮かべるはずです。
  それぐらいに、医療福祉の中核を担う役割を医療ソーシャルワーカーが有していることになります。    ただし、医療福祉は、医療ソーシャルワーカーの活動だけを指しているのではありません。   今日の医療福祉とは、医療と福祉が一体的に「生きづらさ、生活のしづらさ」へ対応することであり、統合的なサービスを提供するものです。    したがって、社会福祉士・精神保健福祉士・介護支援専門員・介護福祉士・保育士などの福祉専門職、並びに医師・看護師・理学療法士などの医療関係職種が、その役割を担うことになります。   多くの職種が医療福祉の視点から利用者を支援することで、利用者の人生の質を高めるサービスの提供とつながります。

15 小西加保留 田中千枝子編 『よくわかる医療福祉』 ミネルヴァ書房、2010

16 医療費のしくみと構造 医療費のしくみ 国民医療費と医療保険の保険給付 国民医療費
 国民医療費と医療保険の保険給付  国民医療費   医療技術の高度な発達による影響と、高齢化の急激な進展による高齢者の医療費の増加傾向などに伴い、毎年、高騰を続けており、その抑制策が政策的課題となっている。  国民医療費抑制策として   医療費適正化施策として、クリティカルパスの導入、退院計画による早期介入で、「社会的入院」の削減や、入院患者の平均在院日数の短縮化に向けた取り組みを強化。   終末期ケアの在宅医療連携支援の推進   地域完結型の医療連携体制の構築     クリティカルパス      良質な医療を効率的、かつ安全、適性に提供するための手段として開発された診療計画表。      最近では、急性期病院から回復期病院を経て、早期に自宅に帰れるような診療計画を作成し、治療を受けるすべての医療機関で共有して用いる地域連携クリティカルパスの導入が進められている。 医療保険の保険給付   診療報酬制度による。   医療機関を受診した際、患者は窓口で診療にかかった費用の一部を負担する。   保険診療のしくみにより、患者の一部負担以外の費用については、医療機関から医療保険者に請求され、被用者が納めている保険料から支払われるしくみ。 データ 国民医療費の構造  『厚生労働白書』

17 DPC導入の影響 2003年 2008年 DPC制度では、必要な検査、処置、入院日数を削減し、副作用の強い抗がん剤投与に関わる治療などは、外来通院で実施するようになっており、患者不在の平均在院日数の削減を一層強化していく効率化が進められている。 2003年、特定機能病院の一般病床に「包括的診療報酬制度(DPC)」が導入 2008年、地方の一般病院にまでDPCが導入  DPC(Diagnosis Procedure Combination)とは、医療費の定額支払制度に使われる包括的評価制度のこと。  具体的には、診療群分類。患者ごとに病名や年齢、意識障害レベル、手術、処置の有無などの治療行為を組み合わせたもの。  2003年にDPCが導入され、急性期の入院医療について、病名や治療内容により、検査や薬剤の費用を包括した1日あたりの入院費と、入院日数で診療報酬が決定されるしくみとなった。  DPC制度では、必要な検査、処置、入院日数を削減し、副作用の強い抗がん剤投与に関わる治療などは、外来通院で実施するようになっており、患者不在の平均在院日数の削減を一層強化していく効率化が進められている。

18 診療報酬制度と福祉士 データ 診療報酬制度と社会福祉士・精神保健福祉士

19 わが国の医療等関係機関 病院 診療所 医療施設の機能・類型 医療行政の機関・職種
 病院:医師または歯科医師が、公衆または特定多数人のため医業または歯科医業を行う場所であって、20人以上の患者を入院させるための施設を有するもの。(医療法)  診療所:19人以下の患者を入院させるための医療機関 データ 国立高度専門医療研究センター(ナショナルセンター)を中核に取り組む主な医療課題  厚生統計協会『国民衛生の動向』 保健医療政策による医療施設の機能・類型  国立高度専門医療研究センター   2010年「高度専門医療に関する研究等を行う独立行政法人に関する法律」で法人化  国立がん研究センター  国立循環器病研究センター  国立精神・神経医療研究センター

20 医療スタッフ 病院の従業者の不足 「安心と希望の医療確保ビジョン」
○ 政府・厚生労働省の権限を拡大せず、現場・地域のイニシアチブを第一とする。医療現場の医師・看護師等の医療従事者から、自ずから上がってきた多様な意見を集約して政策とするという、現場重視の方針を貫く。 ○ 改革努力を怠らない。ビジョンを示した後も、無駄を省く努力を怠らない。例えば、規制撤廃により医療費を削減できる場合は、安全性を確保しつつ、積極的に規制撤廃を推進する。 病院の従業者の不足  2008年「安心と希望の医療確保ビジョン」・・・医師養成数の増員を決定  MSWの設置病院の増加・・・200床以上の病院の90%程度。 「安心と希望の医療確保ビジョン」  医療従事者等の数と役割  9,000人の不足に対する医師養成環境の整備、コメディカル要員の確保、プライマリケアの充実、  医師の勤務環境の改善、産科・小児科・救急科・外科等の医師の増員、  チーム医療の充実、医師と看護職の協働  地域で支える医療の推進  救急医療の充実、救急患者の効率的な振り分け、夜間救急の利用の適正化、  「地域完結医療」の推進、在宅医療の推進、地域医療の充実、遠隔医療の推進 医療従事者と患者・家族の協働の推進  医療従事者と患者、家族と国民の相互理解の必要性、  医療従事者と国民の相互の医療の公共性に対する認識 MSWや医師と患者側のコミュニケーションを進める専門職やボランティアの役割

21 医師憲章:新ミレニアムにおける医療プロフェッショナリズム
3つの根本原則 10の責務 医師憲章:新ミレニアムにおける医療プロフェッショナリズム  アメリカ・欧州の内科系四学会が共同で作成。2002年  3つの根本原則  ①患者の利益追求 医師は、患者の利益を守ることを何よりも優先し、市場・社会・病院管理者からの圧力に屈してはならない。  ②患者の自律の尊重 医師は、患者の自己決定権を尊重し「インフォームド・デシジョン」が下せるように、患者をエンパワーしなければならない。  ③社会正義 医師には、医療における不平等や差別を排除するために、積極的に活動する社会的責任がある。  10の責務 プロとしての能力についての責務 患者に対して正直である責務 患者の秘密を守る責任 患者との適切な関係を維持する責務 医療の質を向上させる義務 医療へのアクセスを向上させる責務 医療資源の適正配分についての責務 科学的知識への責務 「利益相反」に適切に対処し、信頼を維持する責務 専門職に伴う責任を果たす責務

22 MSW=QOLに貢献 「生命=生死・生殖・恒常性」 「生活=生計・暮らしぶり」 「人生=生涯・生き様・生き甲斐」 という3つの層
                    という3つの層 「いろはにご飯」 保健医療サービスにおける生活相談・援助を行う社会福祉士=MSW MSW=保健医療サービスの領域において利用者(患者)のQOL(生活の質)の向上に貢献できるように、他の専門職との連携・協働をどう進めるのか、保健医療サービスを支える制度・施設・資格のほか、チームアプローチの理論と実践事例を学ぶ。 保健・医療・福祉サービスを統合した総合的・包括的な高齢者ケアの提供がおこなれる。 QOL向上の重要な概念であるLIFEは、「生命=生死・生殖・恒常性」「生活=生計・暮らしぶり」「人生=生涯・生き様・生き甲斐」という3つの層から構成される。 介護サービスにおける「いろはにご飯」=①移動、②風呂、③排泄、④認知機能、⑤食事


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