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荷電粒子飛跡の可視化装置の開発 理工学部 物理学科 宇宙粒子研究室 猪目 祐介
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研究の目的 上空から飛来する宇宙線の飛跡を、シンチレータ及びイメージインテンシファイアを用いて可視化できる装置を開発する。
また可視化した映像から、宇宙線の時間当たりの量や方向を全自動で解析できるプログラムの開発を行う。 宇宙空間を飛び交っている一次宇宙線が、地球大気圏に侵入し大気中の原子核と衝突や反応をしてできるのが二次宇宙線である。 地上に到達する二次宇宙線はほとんどがミューオンであり、主にミューオンの観測を行う。 一次宇宙線 ミューオンなど 二次宇宙線 Newton2011 9月号より
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可視化の原理 物質中を荷電粒子が通過する際、微弱な光を発する。 これはシンチレーション現象と呼ばれており、そのための物質をシンチレーターと呼ぶ。 シンチレーションファイバー束 CsI(Tl)シンチレーター 今回は図のように、分解能の高いファイバーシンチレーターの束と、感度の高いCsI(Tl)シンチレーター結晶体の2種類のシンチレーターを連結し検出器として用いる。 なぜ二つ用いるかと言うと、CsIシンチレーターは感度が高いので微弱な宇宙線の通過でも発光強度が高い。 ただピントの関係で面発光してしまって飛跡をこまかく見れない場合が多いので、感度は低いがそれぞれの点が独立しているファイバー状の シンチレーターを角度計算用に別に用いることで細かい飛跡を見分ける事が出来る。
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可視化の原理 宇宙線 物質中を荷電粒子が通過する際、微弱な光を発する。 これはシンチレーション現象と呼ばれており、そのための物質をシンチレーターと呼ぶ。 シンチレーションファイバー束 CsI(Tl)シンチレーター 今回は図のように、分解能の高いファイバーシンチレーターの束と、感度の高いCsI(Tl)シンチレーター結晶体の2種類のシンチレーターを連結し検出器として用いる。 なぜ二つ用いるかと言うと、CsIシンチレーターは感度が高いので微弱な宇宙線の通過でも発光強度が高い。 ただピントの関係で面発光してしまって飛跡をこまかく見れない場合が多いので、感度は低いがそれぞれの点が独立しているファイバー状の シンチレーターを角度計算用に別に用いることで細かい飛跡を見分ける事が出来る。
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装置の構成 この2つの装置が光増幅装置として働き、シンチレーターからの微弱な光をCCDカメラで捉える事の出来る明るさまで増幅する。
増幅された光 宇宙線 暗箱 大口径 イメージ インテンシファイア 高速ゲート イメージ インテンシファイア CCDカメラ シンチレーション光 映像信号 大口径は大きな検出装置に対応するため直径10cmという大型の入力面を持ち、高速ゲートはコントラストを上げる事で映像の鮮明化と感度の微調整を行うのに用いている。 この2つの装置が光増幅装置として働き、シンチレーターからの微弱な光をCCDカメラで捉える事の出来る明るさまで増幅する。 処理装置
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ファイバーシンチレーター部から飛跡の角度計算
飛跡解析ソフトウェア 動画の画面サイズ ・フレーム数取得 ※フレーム =動画の1コマ 今回は30FPS 解析ソフトウェアはBASIC系言語であるHSPを用い、全て新規に作成した。 各角度分布=0 検出個数=0 フレーム数分 繰り返し cnt++ ファイバーシンチレーター部から飛跡の角度計算 右はキャプチャソフトから取得した動画ファイルの、解析部分の働きを表したフローチャートである。 解析結果は角度と分布をtabで区切ったテキストで出力し、Excelで利用できる形とした。 cnt番目のフレーム 読み取り 当てはまる角度分布に+1 変化 あり CsIシンチレーター部を走査 キャプチャソフトから動画の読込も自動であり、ソフト起動時に操作者が行うのはキャプチャソフトの出力フォルダと解析ソフトの結果の出力フォルダ指定。 あとは一度設定していたら自動で引き継がれるが、検出度と角シンチレーターの座標だけである。 飛跡検出数+1 変化なし loop 角度分布 ・検出個数 ・稼働時間 の出力
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可視化装置で捉えた映像 以下はCCDカメラによって捉えられた可視化装置からの映像。
映像側では大口径イメージインテンシファイアの特性上、上下が反転して写っている。
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可視化装置で捉えた映像 以下はCCDカメラによって捉えられた可視化装置からの映像。
映像側では大口径イメージインテンシファイアの特性上、上下が反転して写っている。
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可視化装置で捉えた画像 画像は動画からソフトウェアが読みだした飛跡部分を捉えたフレームであり、次の画像がそこから上部のファイバーシンチレーター部の反応を基にソフトウェアが角度を計算したものである。 これらの色づけはソフトウェアが行っているもので、発表用に人為的に後付けしたものではない。 各種枠がシンチレーターの検出範囲、赤い正方形がソフトウェアが認識している高輝度の部位、青い範囲が高輝度点の密集領域。 これによってノイズによる誤差を低減させる事が出来る。
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可視化装置で捉えた画像 画像は動画からソフトウェアが読みだした飛跡部分を捉えたフレームであり、次の画像がそこから上部のファイバーシンチレーター部の反応を基にソフトウェアが角度を計算したものである。 これらの色づけはソフトウェアが行っているもので、発表用に人為的に後付けしたものではない。 各種枠がシンチレーターの検出範囲、赤い正方形がソフトウェアが認識している高輝度の部位、青い範囲が高輝度点の密集領域。 これによってノイズによる誤差を低減させる事が出来る。
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自動化の結果について 左上図のように鋭角で入射した飛跡に関しては、密集領域を検出できない時があるため手動での角度計算が必要となってしまっている。 この検出器では左下図のように検出できる最低角度が存在し、天頂から50度以上の入射角に対しては測定が大変困難となっている。 5cm 4cm
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観測結果 以下のグラフは今回観測した宇宙線の飛跡の分布を、天頂を0度として角度ごとに表したものである。
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結論 入射角度による制約などはあったが、荷電粒子飛跡の可視化装置の開発と、その映像から自動的に解析を行うソフトウェアの開発に成功した。 今回は平面での飛跡観測にとどまったが、検出器の工夫などで3次元的な観測が出来ればより面白かったのではないかと思った。
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おわり 以上より、可視化装置とそれに関する全自動プログラムの開発に成功した。
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以降、補足説明 ノイズ対策に関するアルゴリズム
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解析ソフトウェア
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天頂角分布の理論値と測定値 以下のグラフはミューオンの天頂角分布と、測定した分布を天頂を0度として示したものである。 3次元的な分布である天頂角分布と2次元的な観測によって得られた結果であるため、直接比較はできないと思われる。 3次元の天頂角分布に対して2次元の角度情報からグラフを出しているので、左に寄ってしまっていると思われる。 先程結果で示した近似直線は、測定個数が少ないため直線に近くなっていると思われる。
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大口径イメージインテンシファイア イメージインテンシファイアとしては非常に大きい10cmの直径を持ち、大型のシンチレータからの光を損なわずに増幅できる。 動作原理は、光電面に入射した光が面の電子を射出させ、16kVの電位差をもって蛍光面に打ち込ませることで光量を増幅する。 FOP 光電子 入力イメージ 10cm 出力イメージ 光電面 蛍光面
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高速イメージインテンシファイア 光電子増幅にマイクロチャンネルプレート(MCP)と呼ばれる面増幅型の素材を用いることで増幅率を上げ、イメージのコントラストを上げて出力することが出来る。 動作原理は、光電面で射出された電子がMCPで平面的に蛍光面に打ち込まれることで増幅される。 光電面(光→電子) FOP 真空 MCP 蛍光面(電子→光)
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可視化の原理 宇宙線 荷電粒子は蛍光物質が含まれた物質を通過する際に微弱な光を発する。 これはシンチレーション現象と呼ばれており、そのための物質をシンチレーターと呼ぶ。 これにより粒子の飛跡を光として捉えることができる。 発光現象が起こる シンチレーター この現象で発生する光はとても微弱なため、2重の光増幅装置を通した後CCDカメラで撮影し、飛跡を可視化する。
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飛跡解析ソフトウェア 今回BASIC系言語を用いて開発したソフトウェアがビデオキャプチャーソフトから動画ファイルを受け取り、その中から自動的に飛跡を判断して集計し、角度分布と時間当たりの個数をデータとして出力する流れとなっている。
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自動化の結果について 開発したソフトウェアは先程の画像にあるように良く角度をとらえてくれているが、下にあるように鋭角で入射した飛跡では密集領域を検出できない時があるため、手動での角度計算が必要となってしまっている。
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また角度計算用に用いているファイバーシンチレーターの束は横幅が5cmであり、イメージインテンシファイアに映っている2段目からCsIシンチレーターまで飛跡が抜けるには最低4cmは必要である。 tan-1(4/5)≒50度より、今回の検出器では50度以下の入射角 に対しては測定が 大変困難となって いる。 5cm 4cm
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