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2.伝送線路の基礎 2.1 分布定数線路 2.1.1 伝送線路と分布定数線路 集中定数回路:fが低い場合に適用

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1 2.伝送線路の基礎 2.1 分布定数線路 2.1.1 伝送線路と分布定数線路 集中定数回路:fが低い場合に適用 線路上の電圧、電流は同一時刻で同じで,場所zに依存しない 分布定数回路:fが高い場合に適用 線路上の電圧、電流は,時間tと場所zの関数 例題2.1 l<<λなら集中定数回路,それ以外なら分布定数回路 として扱う。 線路の一次定数:線路の構造と材料によって定まる R[Ω/m]:往復導線抵抗 L[H/m]:往復導線インダクタンス  G[S/m]:線間漏れコンダクタンス C[F/m]:線間キャパシタンス

2 2.1.1 分布定数回路の基本式 v(z,t), i(z,t)を図2.2の等価回路から求める。 電流と電圧の複素表示: (フェーザ表示)。瞬時値は (2.1) 複素表示の絶対値は点Pの 実効値を表す 線路の微小区間Δzを考える。 Δzでの電圧降下ΔV (2.2) 両辺をΔzで割ってΔz→0とすれば (2.3)

3 Δzでの電流の減少分ΔI (2.4) 両辺をΔzで割ってΔz→0とすれば (2.5) (2.3) (2.3)と(2.5)より (2.6) は伝播定数 (2.7)

4 (2.6)の微分方程式(波動方程式)の解は積分定数
を用いると (2.8) (2.3) (2.3)を変形して(2.8)を代入 (2.9) Z0は特性インピーダンスである。 (2.10) 分布定数線路の基本式 は境界条件(送端,受端の電圧と電流)によって定められる。 線路の2次定数:伝播定数 と特性インピーダンスZ0

5 2.1.3 伝搬定数 伝播定数 は非負の実数α(減衰定数),β(位相定数)を用い (2.11) とおいてαとβを求める。 (1) の関係を用いると (2) (1)+(2) : (2.12) (2)ー(1) : (2.13)

6 2.1.4 減衰定数 分布定数線路の基本式の第1項を次のように置く (2.14) 電圧 の瞬時値はV1を実数として とおくと (2.15) v1(z,t)は,振幅V1me-αz,周波数ωの正弦波振動。 αが大きいと減衰が大きくなる。 zが大きくなるにつれて減衰量が 大きくなる。 減衰定数α:電圧の振幅が線路単位長あたりに減衰する程度を表す。 単位は[dB/m], [Np/m] 基準点の電圧をVA,比較する電圧をVBとすると

7 例題2.2 α=0.125(dB/m)のとき48mの伝送線路の減衰量は
            よりVT/VR=2。VT=5VのときVR=2.5V    もe-αzに比例して減衰。電圧と電流の振幅が線路に沿って減衰するのは,線路の抵抗とコンダクタンスによるジュール損。 R=G=0のとき は0になって無損失となる。 2.1.5 位相定数 無損失線路を考えると,電圧 の瞬時値は (2.16) [1] 電圧の時間変化 線路の送端Aでの電圧 を動径がV1mでOを中心とする回転ベクトルに対応させる。

8 位相が0の基準ベクトルを ととる。時刻tでの は, Sを始点として反時計方向に角周波数ωで回転するベクトルの縦軸OSへの正射影A1’。 時刻t1での位相はωt1 tを横軸, を縦軸にとると 送端Aでの電圧は,図2.5(a)で表わされる。 ベクトル が1回転する時間が 周期T。 周期と角周波数の関係:ω=2π/T (2) 送端から距離z1にある点P1の電圧 点P1の電圧は Sから位相がβz1(時間でt1=βz1/ω)遅れている。 P1での電圧は図2.5(b)の実線で表わされる。

9 [2] 電圧の場所に関する変化 ある時刻における線路上の電圧分布 t=0における電圧 図2.6に示すようにzの増加と ともにSを始点として時計回り に位相βzで回転 波長λ:βz=2πとなる距離: (2.17) 位相定数: 単位長あたりに遅れる位相 例題2.3 l=λ/4の線路での送端と受端の位相差 (遅れ)

10 t=t0の分布の山をP1,その位置をz0とする。ΔtでΔzだけ移動したとするとv=Δz/Δt P1とP2では位相が等しいので,
[3] 伝搬速度 伝送線路上の電圧 が線路を伝わる様子を考える。 Sからωt0だけ進んだA1を始点とし,時計方向にβzだけ回転させる(図2.7の実線)。Δt秒経過したときの電圧分布      は,A1から位相がωΔt進んだA2を始点として時計方向にβzだけ回転するベクトル(図2.7の点線)。時間の経過とともにz軸の正の方向に移動していく。この移動速度が伝搬速度v。 t=t0の分布の山をP1,その位置をz0とする。ΔtでΔzだけ移動したとするとv=Δz/Δt P1とP2では位相が等しいので, (2.18) [m/s] を(2.18)に代入すると (2.19)

11 例題2.4 長さ1.5mの伝送線路に100MHzの信号を入力する。
信号が線路の送端から受端に到達するまでの時間と位相遅れ 2.1.6 進行波とその複素表示 進行波:一定の方向に一定の速度で伝わる波動 無損失線路の電圧             は,z軸の正方向へ速度    で伝搬する進行波 複素表示        では時間依存性  が省略されており,  が 進行波であることを示している。     はz軸の正方向に速度   で伝搬する進行波 例題2.5 は時間項を含めて書くと ωt+βz=一定の条件では時間経過とともにzが減少する。すなわちzの負方向に伝搬する。


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