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本章では、モデル取引・契約に関連する法律や 権利義務について解説します。

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1 本章では、モデル取引・契約に関連する法律や 権利義務について解説します。
第2章 契約とは 本章では、モデル取引・契約に関連する法律や 権利義務について解説します。

2 2 2 2 契約とは何か 契約とは何か 契約書が無くても契約は成立
契約とは約束であり、契約をした人達(当事者)は、権利を取得し、一方で義務を負うことになります。 契約は民法や商法などの法律によって規律され、当事者は契約に法的に拘束されることになります。契約に違反した当事者は、相手方から損害賠償等を求められることがあります。 契約書が無くても契約は成立 契約書を作成しないで、「売ります。」「買います。」という口約束をするだけでも、契約は成立します。自動販売機で缶ジュースを買うのも、売買契約といえます。 売ります 買います ②法的な責任-契約 ■ポイント 契約が法的拘束力を有すること、口頭でも意思表示が合致すれば成立することを理解させる。 法的拘束力によって契約内容を実現することが目的であるので、拘束される内容(契約内容)はある程度特定されていることが必要(例えば、単に「缶ジュース」だけではなく、「コーラを1本」と特定されることで実現が可能となる)。 なお、金額の多寡は契約の成否に関係ない(もっとも、裁判で高額の契約を立証する際には、経験則(商慣習)上、一定の様式を備えた契約書の存在が必要と判断されることはある)。 2 2

3 3 3 3 契約とは何か 契約の権利と義務 契約の権利と義務とは具体的にどのようなものでしょうか。
田中さん:「このリンゴを1個100円で売ります。」 鈴木さん:「わかりました、そのリンゴを1個100円で買いましょう。」 このリンゴの売買契約を、それぞれの権利と義務に分けると下の表になります。 田中さん 鈴木さん ②法的な責任-債権・債務、契約 ■ポイント 義務=債務、権利=債権を理解させる。売主・買主双方に別々の内容の債権・債務がある。 当事者 義務=債務 権利=債権 田中さん 鈴木さんにリンゴを引き渡す 鈴木さんから代金100円を受け取る 鈴木さん 田中さんに代金100円を支払う 田中さんからリンゴを受け取る 3 3

4 4 4 4 契約の種類 契約類型 民法では、13種類の契約が規定されており、これらは、典型契約と呼ばれています。
典型契約以外の契約でも、自由に定めることができます(契約自由の原則)。たとえば、ソフトウェアの使用許諾契約などがあります。 情報システム取引でよく用いられる典型契約には、売買、請負、準委任などがあります。 分類 民法が定めた典型契約 財産を移転する 贈与 交換 売買 財産を利用する 消費貸借 使用貸借 賃貸借 労務を提供する 雇用 請負 (準)委任 その他の契約 組合 終身定期金 和解 寄託 ②法的な責任-契約 ■ポイント 典型契約と、契約自由の原則の存在について解説する。 契約類型を明らかにしていないと争いの原因になることを理解させる。 ソフトウェアの使用許諾契約は、13類型の典型契約に直接には該当せず、無名契約とされる。 4 4

5 5 5 5 契約の種類 取引で利用される契約 情報システム取引でよく使われる契約は、売買、請負、準委任、ソフトウェア使用許諾の4種類です。
関係する法律 利用される状況 売買契約 民法、商法 ハードウェア、消耗品の販売 請負契約 民法 プログラムの設計・制作 準委任契約 コンサルティングなど ソフトウェア使用許諾契約 著作権法 ソフトウェアの使用、複写など ②法的な責任-契約 ■ポイント 情報システム取引でよく使われる契約は、売買、請負、準委任、ソフトウェア使用許諾の4種類であることを理解させる。 なお、委任とは法律行為の委任を内容とし、準委任とは法律行為以外の事務を委任することを内容とするものである。 5 5

6 6 6 6 債権と債務 契約で決めた権利を「債権」、義務を「債務」と呼びます。
債権:相手に対して特定の行為をするように要求する「権利」 債務:要求された特定の行為をする「義務」 医療情報システム開発受託契約を例に債権と債務を考えてみましょう。 契約の条件(請負契約): A社はB病院に医療情報システムを要件定義書に従って構築し、引き渡す。 B病院は医療情報システム構築の代金100万円をA社に支払う。 B病院の債権 医療情報システムを受け取る権利 A社の債務 システムを構築して引き渡す義務 ②法的な責任-債権 ・債務 ■ポイント 債権:相手に対して特定の行為をするように要求する「権利」、 債務:要求された特定の行為をする「義務」という理解を得る。 A社の債権 代金100万円を受け取る権利 B病院の債務 A社に代金100万円を支払う義務 6 6 6

7 7 債権と債務 契約の目的 契約を締結する当事者は、最終的に以下のメリットを見いだしています。
B病院は医療情報システムを導入して、医療業務の効率化を図る A社は医療情報システム構築の代金を受け取り、金銭的な利益を得る ただし、A社の債務の内容は、「医療業務の効率化を図る」ことではなく、「要件定義書に記載された内容でシステムを構築する」というものです。したがって、A社は、医療業務の効率が図られないというだけで責任を負うわけでありませんが、システムが要件定義書どおりに構築されていない場合には、責任を負うことになります。 B病院の債権 医療情報システムを受け取る権利 A社の債務 システムを開発して引き渡す義務 ②法的な責任-債権 ・債務 ■ポイント 要件定義が不明瞭だとメリットの食い違いが発生することを注意する。 債務の内容(本旨)は、契約によって定められる。本件では、A社が「要件定義書に記載された内容でシステムを構築する」という内容で、A社とB病院は合意したのであるから、これがA社の債務の内容(本旨)となり、A社はこの債務を履行すれば義務を果たしたことになる。 A社の債権 代金100万円を受け取る権利 B病院の債務 A社に代金100万円を支払う義務

8 債権と債務 債務不履行 契約で定めたことは、お互いに正しく果たす義務があります。契約違反となってしまう例を学びましょう。
契約の目的が達成されない原因としては、債務(義務)が果たされていないことが考えられます。こうした状態を「債務不履行」といいます。「債務不履行」が認められる場合、①債務の完全な履行を求められるほか、②契約を解除されたり、③損害賠償請求を受けたりすることがあります。 A社が債務不履行となるケース システムの納品が遅れた、要件定義書に記載された機能の一部ができていない。 B病院が債務不履行となるケース 検収したのに代金を支払わない。 納期遅れ、 一部機能未完成など B病院の債権 医療情報システムを受け取る権利 A社の債務 システムを開発して引き渡す義務 ②法的な責任-債権 ・債務 ■ポイント 契約違反の原因である債務不履行とその結果としての完全履行、解除、損害賠償について理解を得る。 支払遅延など A社の債権 代金100万円を受け取る権利 B病院の債務 A社に代金100万円を支払う義務

9 9 ベンダの 債務不履行とは何か 債務不履行となる例 債務不履行にならない例 ベンダの責任とポイント
具体的な契約違反となる債務不履行について 理解しましょう。 9 債務不履行となる例 仕様書には、日次処理を1時間以内に終えるとされていたのに、3時間以上掛かり、かえって残業が増えてしまった。 仕様書に書いてある通り操作しても機能しない。期待した結果にならない。 債務不履行にならない例 ユーザが想定外のフリーソフトウェアを勝手にインストールしたところ、性能が発揮できなくなった。 ベンダの責任とポイント ユーザの求めに応じて、瑕疵を直し、仕様書通りに性能を発揮させることにより、契約解除や損害賠償請求を防ぐことができます。 内容があいまいな仕様書や、口頭での約束は、後々、争いの原因となります。あいまいさを排除した精確な文書作成が重要です。 ②法的な責任-債権・債務 ■ポイント 債務不履行となる例とそれを防ぐための曖昧さを排除した精緻な文書の有効性について理解を得る。 「債務不履行にならない例」は、例えばスライドにあるとおり債務者に帰責事由が認められないケースがあり、他にもそもそも債務の内容とはなっていないものについては債務不履行にはならず、例えば仕様書に範囲外の機能が完成品に含まれていなかったとしても原則として債務不履行にはならない。

10 債権と債務 瑕疵担保責任 ベンダは正しく機能する製品やサービスを提供する義務があります。
契約の目的が達成されない原因の一つに、瑕疵があります。瑕疵とは、欠陥すなわち本来あるはずの性能を備えていないということです。システム構築などの請負契約において、ベンダは、目的物の瑕疵について、一定期間責任を負うものとされています。 目的物に瑕疵が見付かった場合には、①契約を解除されたり、②損害賠償請求を受けたり、③瑕疵の修補を求められたりします。 バグ等不具合の修理 B病院の債権 医療情報システムを受け取る権利 A社の債務 瑕疵のないシステムを引き渡す義務 ②法的な責任-債権・債務 ■ポイント 債務不履行となる例として瑕疵担保責任を説明し、瑕疵があった場合の、①契約解除、②損害賠償請求、③瑕疵の修補について理解を得る。 債務不履行と瑕疵の区別:判断は難しいが、裁判例では仕事が当初の請負契約で予約していた最後の工程まで終えているか否かを基準とするものがあり((東京地裁平成14年4月22日)、当初仕様書にて予約されている業務の最後の工程まで終えて納品及び検査合格後に瑕疵が発見された場合には瑕疵担保責任の問題と考えられる。 A社の債務 損害賠償に応じる義務 B病院の債権 損害賠償を請求する権利 損害賠償

11 ソフトウェアの 瑕疵とは何か 瑕疵となる例 瑕疵にならない例 ベンダの責任とポイント 具体的なソフトウェアの瑕疵について 理解しましょう。
プログラムが動かない、機能が動作しない、ハングアップする、 予期せずにファイルやデータを上書きしてしまう、計算を間違う 瑕疵にならない例 使用条件と異なる環境・設定で発生する不具合 ベンダの責任とポイント ユーザの指摘でバグを直したり、代替措置を施したりすることで、契約解除や損害賠償請求を回避できる場合があります。 動作環境や運用条件については、事前の調査と十分な打ち合わせを行い、想定外の利用や設定変更がなされないように配慮する必要があります。 ②法的な責任-債権・債務 ■ポイント 瑕疵の例と回避、そもそも瑕疵が発生しない行動を強調する。

12 情報システム取引におけるベンダの責任 まとめ
情報システム取引では、 ベンダは次のような責任があります。 12 債務の完全履行 契約(仕様書)で定めた機能を達成できる性能、機能を有する製品、ソフトウェア等を引き渡さなければなりません。 定めた期日までに納品しなければなりません。 これらに対応できない場合、①契約の解除(原状回復と損害賠償)、②損害賠償を求められることがあります。 瑕疵担保責任 納品した成果物に瑕疵があった場合には、瑕疵のない物と交換したり修正したりするという対応が求められます。 これらの対応ができない場合、損害賠償を求められたり、さらに契約が解除されたりすることがあります。 ②法的な責任-債権 ・債務 ■ポイント 債務の完全履行と瑕疵担保責任を果たさなかった場合を説明し、 「なにをもって完成とするか」は、正しい仕様書であることに理解を得る。

13 重要事項説明書 で用いられる契約 重要事項説明書では、請負契約と準委任契約が用いられます。
また、これらの他、売買契約が併せて締結されることがあります。 要件定義 準委任 <カスタマイズモデル> A 要件定義支援及びパッケージソフトウェア候補選定支援業務契約 B パッケージソフトウェア選定支援及び要件定義支援業務契約 売  買 <オプションモデル> C パッケージソフトウェア選定支援及び要件定義支援業務契約 設計・開発 準委任 D 外部設計支援業務契約 請負 E ソフトウェア設計・制作業務契約 F 構築業務契約 移行・運用準備 準委任 G データ移行支援業務契約 H テスト支援業務契約 I 導入教育支援業務契約 ②法的な責任-契約 ■ポイント 契約の類型とモデル契約での適用について理解を得る。 保守・運用 準委任 J 保守業務契約 K 運用支援業務契約

14 14 14 14 売買契約の特徴 契約の目的 債務不履行 瑕疵担保責任 構築業務などの際に行われる機器の販売などが売買契約に当ります。
ハードウェアや消耗品を売買する際に適用する契約です。ベンダは商品を引き渡しと、ユーザは代金を支払うことを約束します。 ベンダは、正しく動作するものを引き渡す義務があります。 債務不履行 ベンダは、期日までに納品を行わない場合などは、債務不履行として損害賠償請求を受けたり、さらに契約が解除されたりすることがあります。 瑕疵担保責任 「カタログや仕様書に書いてある機能が存在しない」ことなどが瑕疵に当たり、ベンダは瑕疵担保責任を負います。 企業同士の取引において、ユーザが引渡しを受けたときは、すぐに瑕疵がないかを検査しなければなりません。 引渡後にユーザが瑕疵を発見した場合、ユーザから損害賠償を請求されたり、契約を解除されたりすることがあります。企業同士の取引では、瑕疵担保期間を引き渡し後6ヶ月とする特約のある場合が多く、この場合、引渡後6か月間は、ユーザから瑕疵を理由に損害賠償を請求されることがあります。 ②法的な責任-売買契約 ■ポイント 債務不履行と瑕疵担保を説明し、瑕疵の内容、役割、時効について理解を得る。 14 14

15 請負契約の 特徴 15 15 15 重要事項説明書のEソフトウェア設計・制作業務契約及びF構築契約が請負契約に当ります。 契約の目的 一方が仕事を完成させることを請負い、その相手方が完成した仕事に対して報酬を支払う際に適用します。請負契約の対象となる仕事としては、プログラムの設計・制作、ネットワークの構築などがあります。 完成が目的ですので、情報システム取引では、何をもって完成とするかを明確にするため、詳細な仕様書、設計図、指図書などが必要となります。 %$! *#...? あいまいな仕様書、設計図では、正しい完成状態が分かりません。正確、緻密な文書による合意が必要になります。 ? ②法的な責任-請負契約 ■ポイント 目的と仕様書との関係を説明し、文書合意の重要性について理解を得る。 15 15

16 16 16 16 請負契約の 特徴 代金支払債務の発生時期 債務不履行 瑕疵担保責任
代金の支払債務は、仕事が完成した後でないと発生しません。 債務不履行 ベンダは、期日までに仕事を完成させない場合などは、債務不履行として、損害賠償請求を受けたり、さらに契約を解除されたりすることがあります。 瑕疵担保責任 仕事の目的物に瑕疵がある場合、ベンダは瑕疵を直すなどの対応をしなければなりません。 瑕疵が、ユーザの提供した資料等又はユーザの与えた指示によって生じたときは瑕疵担保責任は問われません。しかし、ユーザの資料や指示が不適当であることを知りながら、ベンダがそのことを告げなかったときはこの限りではありません。 また、瑕疵が見つかった場合、ベンダは、瑕疵担保責任としてユーザから損害賠償を請求されたり、契約を解除されたりすることがあります。 ②法的な責任-請負契約 ■ポイント 代金、債務不履行、瑕疵担保を説明し、解除、損害賠償について再確認する。 法律上の瑕疵担保責任:(売買)引渡より六カ月(民法上は、瑕疵発見時より1年間)                (請負)引渡より1年間 16 16

17 準委任契約の 特徴 17 17 重要事項説明書のA、B、C、D、G、H、I、J、Kが準委任契約に当ります。 契約の目的 事務処理を目的とする契約です。請負と異なり仕事の完成を目的としていません。 コンサルティング業務などで、ベンダがアイディアや知識を提供し、ユーザと共同して仕様書を策定する契約などが準委任に当たります。 保守契約や運用支援業務なども仕事の完成義務がないことから、準委任契約と位置付けられます。 ②法的な責任-準委任契約 ■ポイント 目的を請負との対比で説明しその違いの理解を得る。 請負:仕事を完成させることが契約の目的 準委任:委託された事務を適切に処理することが目的 請負は仕事を完成させることが契約の目的ですが、準委任は委託された事務を適切に処理することが目的です。 17 17

18 準委任契約の 特徴 18 18 特徴 ベンダは、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務(善管注意義務)を負います。この善管注意義務は、社会一般の取引上要求される程度の注意を払っているかという基準で判断されます。 善管注意義務違反があった場合、ベンダは、ユーザから品質不良等によって生じた損害につき賠償請求を受けることがあります。 ベンダは、ユーザから請求があったときと、仕事が終わったときには、処理の状況をユーザに報告する義務があります。 ベンダが業務で受け取った物や金銭、得た権利などは、ユーザに引き渡す義務があります。 ユーザの義務としては、費用や契約で定めた報酬の支払義務などがあります。 ②法的な責任-準委任契約 ■ポイント 善管注意義務:特に社会一般の取引上要求される程度であることを説明し、 他の複数のベンダから指摘を受けるような行為は、違反になる可能性があることについて理解を得る。 また、損害賠償、報告義務、業務終了時点での引渡、契約で定めていないと支払い義務がないことを注意する。 18 18

19 19 19 19 ソフトウェア使用許諾契約の特徴 契約の目的 ソフト会社 使う権利、複写する権利を許諾します
ソフトウェアに関する権利の売買はせず、ソフトウェアの使用権や複製権をユーザに与える(許諾する)ことを目的とした契約です。 ソフトウェアに関する権利は、ソフト会社にあり、ユーザは使用権などの一部の権利を許諾してもらいます。 契約は、ソフト会社とユーザが直接結ぶものが一般的です。 ユーザ ソフト会社 ②法的な責任-使用許諾契約 ■ポイント ソフトウェアに関する権利の売買はせず、ソフトウェアの使用権や複製権をユーザに与える(許諾する)ことを目的しており、 契約はソフト会社とユーザが直接結ぶことについて理解を得る。 使う権利、複写する権利を許諾します ユーザ

20 20 20 20 ソフトウェア使用許諾契約の特徴 特徴 ソフトウェア会社の考え方によって、ユーザに与える権利が異なるので、注意が必要です。
多くのソフトウェアが、ソフトウェアの変更、リバースエンジニアリング(解読)を禁止しています。 また、許可無く第三者にソフトウェアの権利を販売したり、無償でソフトを配布することなどを禁止しています。 多くのソフトウェアが、著作者は一切の責任を負わないとしており、ソフトウェアの使用によって生じた損害は賠償せず、また、不具合があったとしても損害を賠償しない(修正を保証しない)としています。 不具合の修正は、ソフトウェア会社とユーザとの間で別途、保守契約を結ぶなどの措置が必要な場合もあります。 ②法的な責任-使用許諾契約 ■ポイント 不具合の修正や保守について注意喚起、ベンダとソフト会社とユーザの関係を整理し理解を得る。

21 21 21 21 契約の成立 契約はどのように成立するのでしょうか 契約は「申込」と「承諾」という意思表示によって成立します。 ベンダ
「100万円で在庫管理システムを開発します」 (申込) 「わかりました、開発を発注します」 (承諾) ユーザ 申込が入れ替わる例 ②法的な責任-契約 ■ポイント 申込と承諾、意思表示について理解を得る。 「100万円で在庫管理システムを開発します」 (申込) ベンダ 「100万円は高い、95万円なら発注します」 (拒絶と申込) 「わかりました、95万円で開発します」 (承諾) 21 21 21

22 契約の成立 22 22 22 22 意思表示 契約書がある場合は、押印又は署名によって意思表示を行うことになります。押印をする場合、印鑑は三文判でも有効で、実印である必要はありません。 しかし、口頭や電話のやりとりでも「成立」したと見なされる場合があるので、必ず「書面をもって契約にしましょう」と言い添えましょう。 ②法的な責任-契約 契約書での記名押印、署名といった意思表示について説明し、口頭でも契約が成立することを事例等で理解を得る。 →事例集 p14 1. 契約成立以前に作業を開始したためトラブルになった事例 →事例集 p18 3. 契約成立以前に作業を開始したためトラブルになった事例 なお、追補版システム基本契約書では、第2条(契約内容の確定及び変更等)において、以下のように口頭の変更を認めていない。 (契約内容の確定及び変更等) 第2条 本契約(システム契約並びに選択された本件業務についての別紙重要事項説明書によって構成される契約全体を指す)の内容は、以下のとおり確定し、以下の条件に従って変更することができる。 ベンダ及びユーザが記名押印した、システム契約並びに別紙重要事項説明書に記載された内容は、ひとつの契約を構成し、そのタイトルの部分に「予約」と記載されていない限り、ベンダ及びユーザを法的に拘束する。 別紙重要事項説明書には、確定した契約条件のほかにまだ確定していない契約条件が記載されていることがあり、このうち確定していない契約条件については、そのタイトルの部分に「予約」と記載される。予約と記載された事項についての記載はベンダ及びユーザを法的に拘束するものではない。 ③ ベンダが複数の本件業務を担当する場合、ユーザ及びベンダは、最初に遂行すべき本件業務に係る部分については、すべての契約内容を確定させるものとする。 ④ ベンダが複数の本件業務を担当する場合で当初複数の重要事項説明書を作成している場合は、ユーザ及びベンダは、最初に遂行すべき本件業務以外に係る重要事項説明書について、それぞれの本件業務の開始時に、具体的業務内容、個別契約条項等の条項の再確認を行い、その時点までに確定していなかった条項を確定し、また必要に応じて確定されていた条項についての変更を行った上で、当該本件業務に関する契約条件を確定する。この場合における契約条件の確定は、新たに重要事項説明書(以下「改訂版重要事項説明書」という。)を作成しこれにユーザ及びベンダが記名押印することによって行う。 ⑤ 改訂版重要事項説明書は、これが作成され記名押印されたときから、本契約と一体をなすものとして本契約の内容を規定する効力を生じる。 ⑥ ④所定の契約条件変更のほか、ユーザ及びベンダの協議により、別紙重要事項説明書(改訂版重要事項説明書を含む。以下同じ。)に記載された条項の変更を行う場合は、ユーザ及びベンダが記名押印した書面によって行うものとする。なお、かかる変更の際には価格及び納期の変更の有無、変更の内容についても協議・合意されるものとする。 ⑦ ベンダは、ユーザが前号の変更規定に基づかずに契約条件の変更を行った場合、この変更により生じたことについて、一切の責任を負わない。 22 22 22 22

23 23 23 23 23 契約の成立 承諾は、言葉で告げる以外の行為でなされることもあります。 郵便などでの契約
シュリンクラップを破ると契約成立と書かれた、パッケージソフトウェアのCD-ROMの”シュリンクラップを破る。” (注) PCの画面で ”「同意する」ボタンをクリックする。” 郵便などでの契約 通信販売などで注文を郵便で行う場合は、郵便やFAXを発信したときに「申込」があったものとされます。(発信主義) ただし、メールやFAXを使って注文しても、エラーで相手に届かない 場合は、契約が成立しないことに注意しましょう。 申込を受けた側が郵便やFAXなどで注文を承諾した場合は、それが相手に到着した場合に「承諾」が認められます。(到着主義) ②法的な責任-契約 ■ポイント 一般知識として説明する。 (注)CD-ROMのシュリンクラップを破ることで契約が成立したとは言えないのではないかという学説があり、また、シュリンクラップ契約に関する法律や判例はありませんので注意が必要です。 23 23 23

24 24 24 24 無効な契約 次の条件を満たさないと契約は無効になる可能性があります。 無効になりうる契約の例
何をするのかが確定できること 実現可能であること 法律や公序良俗に反しないこと 無効になりうる契約の例 「コンピュータで何でもできる」契約 何ができるか確定できません タイムマシンに乗って1800年代を探索する旅行ツアー タイムマシンは存在しないので実現できません 10万円で競争会社のWebシステムに侵入しデータを破壊する契約 違法行為です 無効な契約では、債権、債務が発生しません。既に受け取った物やお金は、返還しなければなりません。 ②法的な責任-契約 ■ポイント 無効な契約での原状回復について説明する。 24 24

25 25 25 25 営業秘密・知的財産権 営業のノウハウやビジネスモデルなどの知見は、営業秘密として、不正な利用から保護されています。
ただし、これらの知見が「営業秘密」として保護の対象となるためには、アクセスを制限したり、資料に「秘」などと明示して営業秘密であることを明確にするなどの管理が必要となります。 また、著作権、特許権など無体物に対する権利を知的財産権といい、法律によって他人の侵害から保護が与えられています。 システム開発取引では、相手方の営業秘密や知的財産権の内容を開示することが避けられません。契約において、これらの情報の取扱いを定めた上で、営業秘密を不正に開示・利用したり、知的財産権を侵害したりすることがないよう配慮しなければなりません。 ②法的な責任-契約 ■ポイント 営業秘密の管理については不正競争防止法によって、コピー禁止の営業情報を、無断でコピーするだけで刑事罰の対象となることを説明する。 知財侵害は、システム使用の差し止めなど、ユーザに直接的被害があり、ベンダの信用失墜になることから、注意喚起する。 (以下、ウィキペディアから参考) ○営業秘密の保護 営業秘密や営業上のノウハウの盗用等の不正行為を禁止 ・秘密情報に有用性があること:客観的に有用であること ・秘密管理性を有すること:客観的に情報を秘密として管理していると認識できる状態にあることで、具体的には①情報にアクセスできる人が特定されており、②情報にアクセスした人が秘密であると認識できることが必要 ・非公知性を有していること:当該情報が刊行物に記載されていない等、保有者の管理下以外では一般に入手できないこと 期限:なし ○デッドコピーの禁止 他人の商品の形態(模様も含む)をデッドコピーした商品の取引禁止 ・模倣商品の様態が元の商品と酷似していること 期限:販売開始日から3年 ○信用の保護 周知の他人の商品・営業表示と著しく類似する名称、デザイン、ロゴマーク等の使用を禁止 ・商品・営業表示に周知性を有していること ・模倣商品と混同のおそれがあること(類似性) 他人の著名表示を無断で利用することを禁止 ・営業表示に著名性を有し特別顕著性を有すること ・営業上の利益を侵害していること 制限:なし ○技術管理体制の保護 コピー・プロテクション迂回装置(技術的制限手段迂回装置)の提供等を禁止 ・技術的制限手段が存在すること ・迂回装置の提供をしていること 25 25 25

26 個人情報 26 26 個人情報の保護 デジタル化とネットワークが発達し、個人の生活や趣味、嗜好などの個人情報がネット上で露わになるおそれが高まってきました。そこで、個人情報保護法が制定され、個人の情報は厳格な管理が求められるようになりました。 個人情報保護法 個人情報等データベースを事業の用に供する者(ただし、取り扱う個人情報の数が過去半年以内のいずれの日においても5,000を超えない者を除く。)は、個人情報の管理が義務付けられています。 利用目的の特定・制限、適正な取得、取得に際しての利用目的の通知、データ内容の正確性の確保、安全管理措置、従業者・委託先の監督、第三者提供の制限、開示請求、訂正請求、利用停止請求、苦情処理 以下の場合は、本人の同意なしに開示が可能です。 法令に基づく場合 国、地方公共団体が法令の定める事務を遂行することに協力する必要がある場合であって本人の同意を得ることにより事務の遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき 人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき 公衆衛生の向上又は児童の健全な育成の推進のために特に必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき ②法的な責任-契約 ■ポイント 個人情報保護は例え5,000件を超えない場合でも、業務上、ユーザの情報である限り、営業情報にもあたり、厳重な注意をもって 取り扱うべきことについて理解を得る。

27 個人情報 27 27 個人情報とは 個人情報は、氏名 、性別、住所、生年月日、勤務先、電話番号など複数の情報で、「特定の個人を識別することができるもの」を指します。 例えば、氏名:山田一郎、住所:東京都千代田区霞が関1丁目1番地、という組み合わせは個人を特定できるので、個人情報になります。 生年月日:昭和45年1月1日、性別:男性、という組み合わせは個人を特定できないので、個人情報にはなりません。しかし、これにメールアドレスが組み合わされば、個人情報になります。 損害賠償 京都府宇治市で住民データが流出した際は、1人あたり15,000円(弁護士費用を含む)の損害賠償が判決で確定しています。 この金額で計算すると、10,000人のデータが流出した場合、 1億5千万円もの賠償が必要になります。これ以外にも裁判費用、 企業イメージの低下など有形無形の損害を被ることになります。 ②法的な責任-契約 ■ポイント 個人情報: 氏名 、性別、住所、生年月日、勤務先、電話番号など複数の情報で、「特定の個人を識別することができるもの」 生年月日:昭和45年1月1日、性別:男性、メールアドレスならば、個人情報になることから、Webシステム等は十分な注意が必要であることについて理解を得る。 また、損害賠償が年々高額になっていることに注意喚起。 ジャパネットたかた:情報漏洩を起こした元社員に1億1千万円の損害賠償請求で裁判所は認容。 TBC:個人情報漏洩で一人3万円。 宇治市役所:4情報漏洩で一人1万円。

28 28 28 個人情報 個人情報と情報システム ユーザとの取決め 情報システムと個人情報は切っても切り離せない、密接な関係を持っています。
販売管理、財務管理などは、マスタデータや適用データに個人情報が含まれます。 人事管理は、給与、税金、医療費などさまざまな個人情報とプライバシーに関わる情報が含まれます。 Webフォーム、アンケートシステム、電子メールなども、個人を特定できる情報を含んでおり、場合によってはプライバシーに関わる情報が含まれます。 インターネットでの通信販売システムなどは、個人情報やクレジットカード情報など、重要な情報を取り扱います。 ユーザとの取決め ベンダがユーザからデータを預かる場合にも、 ユーザと同じように個人情報の取り扱う義務があります。 こうした場合は、データの受渡方法、暗号化、保管方法などの 取扱基準を、ユーザと事前に文書で合意しておきましょう。 ②法的な責任-契約 ■ポイント システム上、個人情報を扱うことから、ユーザとベンダの取り決めを文書化することについて理解を得る。

29 29 29 システム開発モデル契約 モデル取引・契約書では、どのようにして契約が成立するのでしょうか。 基本契約書と重要事項説明書
モデル契約書は、基本契約書と重要事項説明書から成り立っています。 ベンダ・ユーザの作業内容や代金額など契約条件の多くが、重要事項説明書で定められます。 基本契約書では、すべてのプロセスに共通する基本事項を定めています。 契約の締結 ベンダとユーザがシステム開発契約を締結する場合、基本契約書と重要事項説明書の両方を作成して、押印する必要があります。 これらのうち、重要事項説明書は、各取引のプロセスの始めに、その 都度作成します。一括受注であっても、プロセスごとに作成します。 重要事項説明書の押印に際しては、内容をベンダがすべて読み上げ、 ユーザの疑問点の解消に努めなければなりません。 ユーザは、重要事項説明書の内容に不明な点がある場合は、ベンダに 説明を求め、十分に納得した上で押印をしなければなりません。 基本契約書の方は、同一ベンダ・ユーザ間では最初のプロセスを 始めるときに1通だけ作成します。 ③契約手順-モデル契約の概要 ■ポイント 基本契約書:すべてのプロセスに共通する基本事項 重要事項説明書:個別事項 契約の締結でプロセスごとに、多段階にするように説明し、基本契約書は1通だけ、最初に締結することを説明する。

30 以上で第2章の解説は終了です。 eラーニングメニューに戻り「第2章のセルフチェック」を選択して、 理解度の確認テストを受けてください。


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