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第6講 保険事故論 保険事故の「偶然性」とは?
第6講 保険事故論 保険事故の「偶然性」とは?
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最判平成13年の趣旨は? 最判平成16年、18年判決との整合性? 「偶然性」の立証責任の意味は?
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「危険普遍の原則」との関係 危険普遍の原則とは? 旧商法665条 「火災によりて生じたる損害は、その火災の原因の如何をとわず保険者これを填補する責に任ず」
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ところが… 「火災保険の担保範囲は実際には限定されている現状からして危険普遍の原則を任意規定として残すことはミスリーディングである…ため、改正試案は商法六六五条を削除することとしている」(西島・248頁) *旧規定但書 「但し第640条および第641条の場合はこの限りにあらず」
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だとしたら、危険普遍の原則とは、いったい何なのだろうか? 「原則」である必然性がないではないか!
↑ せっかく「原因がなんでも填補する」と定めておきながら、誰もが「そんなはずはない」と考えている。
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「保険事故」をどのように把握すべきか? 例えば「火災」
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「火災」 ガスコンロ内の火 燃焼炉の火 焦損 ストーブ加熱による 周辺動産の変質 ロウソクの火
外郭的範囲:「適切な安全燃焼器具の外で発生した火、または安全燃焼器具内で発生した のち器具外に逸出した火で、自力で延焼する力を持つものをいう」
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「火災」 旧商法642条 目的の性質瑕疵 自然の消耗に よる火災 保険法17条 保険法改正過程 戦争その他の 変乱による火災
実は、地震・噴火・ 津波も免責案!
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「火災」 戦争変乱 による火災 保険法17条 被保険者の故意・重過失による 火災
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*もっとも、故意免責と偶然性が表裏の関係だとすると…
「火災」 2条6号 「一定の偶然な事故」 被保険者の故意・重過失による 火災 当初より(危険普遍の原則が適用された段階で)すでに故意免責は 削られていたと考える余地もあるか?
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平成16年最高裁判決 危険普遍の原則を「確認」 立証責任問題としてのクローズアップ! 平成13年の最高裁判決と「事案を異に」するとは??
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傷害保険の約款規定 A条:〔第1章・当会社の責任〕 当会社は…被保険者…が急激かつ偶然な外来の事故…によってその身体に被った傷害に対して…保険金…を支払います。 B条:〔第3章・保険金の種類および支払額〕 当会社は、被保険者が第1条(当会社の支払責任)の傷害を被り、その直接の結果として、事故の日からその日を含めて180日以内に死亡したときは、保険証券記載の保険金額…の全額…を死亡保険金として死亡保険金受取人に支払います。 C条:〔第3章〕 被保険者が第1条…の傷害を被った時すでに存在していた身体の障害もしくは疾病の影響により、または同条の傷害を被った後にその原因となった事故と関係なく発生した傷害もしくは疾病の影響により同条の傷害が重大となった場合は、当会社は、その影響がなかったときに相当する金額を決定してこれを支払います。
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傷害保険の保険事故(A条3要件) 急激性 = violent 偶然性 = accidental 外来性 = external
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偶然 偶然 急激 外来 自然の 消耗 性質・ 瑕疵 保険法2条6号 旧商法641条 同左 でも、損害保険だって… 損害保険 傷害保険
経年劣化etcはダメ! 錆、生鮮食品の腐敗、アルコール等の蒸発・品質不良な車両の故障etcはダメ! でも、損害保険だって… 損害保険 傷害保険
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要するに、損保では免責対象が比較的明確なのに対して、傷害保険では免責の限界が曖昧 そのため3要件が「目立つ」のです!!
なぜ、傷害保険だけ問題? 急激性 : 対象が人であることによる特性 人にゆっくりと(ジワジワと)発生する事象 → 病気系の要因 *外来性とも関連… 偶然性 : 対象が人であることによる特性 人に「意図的に」発生する事象 → 「自殺」が多いだけ? 外来性 : 対象が人であることによる特性 人に「内在的」に潜在する素因! 要するに、損保では免責対象が比較的明確なのに対して、傷害保険では免責の限界が曖昧 そのため3要件が「目立つ」のです!!
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傷害保険の「偶然・外来・急激」要件をどのように捉えるべきか?
①消去法(?)で残った部分 →消去された部分(「偶然でない」事故、「外来でない」事故、「急激でない」事故を慎重に吟味する必要がある。 ②積極的に担保する範囲を限定した部分 →むしろ保険でもつ範囲を慎重に吟味しなければならない。
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外来でない 人身傷害・死亡 偶然でない 急激でない
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偶然・外来・急激な人身傷害・死亡
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平成13年最高裁判決 「偶然性」の立証責任問題とのファーストコンタクト! 「事故」概念については、前2スライドのどちら??
傷害保険以外にも応用がきくのか? →平成18年最高裁判決
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さらに… 傷害保険の難問題 二重の因果関係 A条の「事故によって傷害」と B条の「その直接の結果として」 因果関係との相関も考慮に容れるの?
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ごく一般的な傷害事故とその結果 原因イベントA 自動車衝突事故で… 「直接の結果として」 結果A 死亡した!
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ところでC条は… 複数イベント・単独結果増悪型
原因イベントA 原因イベントB 被保険者が血友病に罹患していた。 自動車衝突事故によって… 結果 出血を伴う複雑骨折。 出血が止まらず死亡した。
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さらにC条の発展… 複数イベント・単独結果型
原因イベントA 原因イベントB 従来から気管支喘息で医師の治療を受けていた。 遊園地のジェットコースターに乗った。 結果 死亡した。
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「どうせなら割合的に…」へと… 相当因果関係は杓子定規すぎる! 誰が見ても、「どっちも原因じゃーないの?」と思うでしょ。
相当因果関係は杓子定規すぎる! 誰が見ても、「どっちも原因じゃーないの?」と思うでしょ。 だったら、いっそのことAイベントが○○%、Bイベントが××%という具合に、「寄与」度を認定してしまったらいいのでは? ←ちょうどC条が都合よろしい!
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ある事案の考察 原因イベントA 原因イベントB 結果A 結果B 高血圧症・糖尿病に罹患しており… 自動車衝突事故で…
4日後に心筋梗塞で死亡した。 下腿骨骨折。入院
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「相当因果関係」を模索すべきか? 原因イベントA 原因イベントB 結果A 結果B 高血圧症・糖尿病に罹患していた。 自動車衝突事故で…
「直接の結果として」 結果A 結果B 下腿骨骨折。 心筋梗塞で死亡した。
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あるいは、複数イベント・単独結果増悪型として処理?
原因イベントA 原因イベントB 高血圧症・糖尿病に罹患していた。 自動車衝突事故によって… 結果 下腿骨骨折。 心筋梗塞で死亡した。
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はたまた… 複数イベント・単独結果型? 原因イベントA 原因イベントB 交通事故 高血圧・糖尿病 結果 死亡した。
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