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3-1-1 組織内の人間像(p.49) 人間の行動 経営情報論A 第5回個人と組織の意思決定(第3章1節)
経営情報論A 第5回個人と組織の意思決定(第3章1節) 3-1-1 組織内の人間像(p.49) 人間の行動 人間の 行動 を予測できる範囲や精度には限界がある。 過去の出来事や人々の 行動パターン を参考にすることによっ て、個人の行動や社会の動向をある程度までなら予測することがで きるであろう。 しかし、同じような状況下にある人々は必ずしも同じように行動する わけではない。人間の行動には、置かれている 状況 も影響する が、 個人差 も重要な働きをする 人間には常に何らかの 欲求 があり、それを満たすために、なん らかの行動を行う。人間の行動の根源にある欲求は、個人の 気 質 や置かれている状況によって、大きく異なる。
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組織内の人間像 右図は マズロー の「欲求段階説」を 図示したものである。
右図は マズロー の「欲求段階説」を 図示したものである。 人間の欲求を、生命維持に不可欠な 「 生理的 欲求」、危険回避に関する 「 安全 ・ 安定 への欲求」、就職や 結婚など社会的な「 所属 ・ 連帯 へ の欲求」、集団の中で尊重されたいという 「 自我 ・ 自尊 の欲求」、自分の潜 在能力を発揮したいという「 自己実現 欲求 」の5つに区分した。 それらが 階層 をなしているとしている。 低次の欲求が満たされると、より 高次 の欲求が現れ、満たされた欲求は支配 的ではなくなるとされている
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伝統的な経済学で想定している世界:完全競争
製品の 均一性 :市場で販売されている同じ種類の製品は全て 同質である。全ての企業が生産・販売している製品に差はない。 完全 情報 :企業も消費者も価格や品質などについて完全な知 識を持っている。市場で販売されている製品は同じなので、消費 者は最低価格で購入しようとする。 原子性 :市場に多数の企業が存在しているので、全ての企業が 価格に影響を与えられない( プライス テイカー)。 平等 アクセス:同じ製品を製造・販売するすべての企業の生産 技術と生産に関する費用は同じ;すべての企業が技術情報や資 源を平等に利用できる。 市場への 参入・退出 が自由 :上記の完全情報や平等アクセ スに基づいて供給不足ならば新規参入企業が現れ、供給過剰な らば企業が退出し、需要と需要が均衡する。
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経営学における人間像 合理性に限界があるのが人間(経営人)
サイモン(Herbert A. Simon)は、実際の人間が経済人のように完全に 合理的に意思決定することについて疑問を呈し、著書『経営行動』 (1967)の中でより現実的な人間像として「 経営人 」を提唱。実際の 人間は、限られた情報や知識の範囲の中で合理的に行動し、最適基 準ではなく、「 満足基準 」によって意思決定を行っている. 経済学の世界(完全競争状態下)では、人間は 完全情報 を有し、 最適化行動を行う存在(経済人)。 しかし、実際には人間は 情報不足 (選択肢は不十分)で、そして 各選択肢の比較評価方法あるいは 数値化 にも限界がある。した がって、最適化行動は現実的ではない。 現実的には、複数の選択肢の中から、 恣意的 な基準を作成し、 それらを満足するものを採用することが多い(満足基準)。
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3-1-2 人間関係の影響(p.52) 個人の意思決定に影響を与える要素
個人が行う意思決定には、親子、兄弟、友達、隣人、同僚な ど身近な人間に加えて、 社会 や 文化 などの影響も強 く受ける。 身近な人間および社会や文化が、個人の意思決定の内容に 直接影響を及ぼすこともあれば、個人の 属性 に影響を与 えるなど意思決定決に 間接 的に影響を及ぼすこともある。 逆に、個人の意思決定が、家族や組織などの 集団 あるい は社会や 文化 に影響を及ぼすこともありうる。
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人間関係論 (作業条件より、職場の人間関係の方が生産性に良好な影響を与える)
1920年代の米国ではテイラーの科学的管理法が普及。 メイヨー等が米国ウェスタン・エレクトリック社のホーソン工場での実 験で、 作業条件 (環境)によって、 生産性 が変化することを 実証したかった(1924年から1932年の長期的分析)。 実験室で組立作業を様々な条件(照明の明るさ、休憩回数や時間、 軽食の提供など)下で行わせ、結果を測定した。 ところが、どのような条件下でも、作業条件と生産性の 因果 関係 は確認できなかったので、原因は他にあるとして、面接調査を行った。 非公式組織を含めた職場の 人間関係 が職務満足や生産性の 向上につながると結論づけた。人間の心理的要因、モラール(意欲) が生産性向上には大切。
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マクレガーのX理論とY理論 マクレガー(Douglas McGregor)は、人間は命令(強制)と金銭だけ で高い生産性を達成・維持できるのかを疑問に感じ、「X理論」と「Y 理論」を提唱した。 X理論は命令統制に関する伝統的見解であり、テイラーが想定した 人間観に基づいている。人間は本来怠惰であり、自ら進んで仕事 をしようとしないので、人間は 強制 あるいは金銭的な 報酬 (飴と鞭)によって働くとされている。 それに対して、Y理論は従業員個々の目標と企業目標を統合した ものであり、前述したマズローの欲求段階説に基づく人間観を基 本としている( 動機づけ )。 生活が豊かになった現代では、X理論の限界が露呈し、Y理論の方 が重要性を増してきているように思える。
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3-1-3 組織と個人(p.54) 組織の意思決定プロセス
組織の意思決定プロセスにおい て、 満足基準 による意思決定 プロセスをあてはめることができる。 目的設定後、その目的達成に向 けた 代替案 を複数作成し、目 的達成の見込みの高い代替案が あればそれを採用し、実行に移す。 目的達成の見込みの高い代替案 が見当たらない場合は、更なる代 替案を作成する必要がある。いく ら代替案を探しても、見込みの高 い代替案を見つけられなければ、 設定した 目的 事態を考え直す。 ※組織にも探索能力と時間・費用に限界があるので、有限の選択肢の中から特定の条件を満たしたものを採用せざるを得ない。 ※組織の場合でも、個人と同様に、最適基準での意思決定というより、満足基準での意思決定となる。
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