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感染症法に定められた致命率が高いウイルス病

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1 感染症法に定められた致命率が高いウイルス病
発生地域 アフリカ 中国東北部・朝鮮 南米 アフリカ・中南米 アジア・中南米 アジア太平洋・中南米 全世界 東欧・中東・アフリカ インド ロシア 感染症法 一類 四類 ウイルス病 病原巣 コウモリ⇔サル げっ歯類 蚊⇔野生動物 ダニ⇔野生動物 エボラウイルス病 マールブルグ病 ラッサ熱 腎症候性出血熱 南米出血熱(アルゼンチン、ブラジル、ボリビア、ベネズエラ) 黄熱 デング熱 チクングニア熱 ジカ熱 リフトバレー熱 クリミア・コンゴ出血熱 キャサヌル森林熱 オムスク出血熱

2 エボラ:ヒトへの感染経路 大流行 ヒト ヒト 果実の 争奪 コウモリとの接触:ハンター、鉱山労働者、生態学者、旅行者
霊長類・野生動物との接触:ハンター、畜産業者、と畜場従業員 野生動物の調理・喫食:都市部以外 患者との接触:家族の介護、院内感染、葬儀・埋葬 果実の 争奪 汚染した果実 鉱山労働者 洞窟探検 捕獲、調理、喫食 大流行 ヒト ヒト

3 エボラ出血熱から エボラウイルス病に 名称変更
1976、77、95、 2007、08、12、14 1976、79、 2004、 1994 1994、96、2001-2 1996 2000,07、 2001-2、03.05 ザイール アフリカ中央部での発生が続いてきたが、2014年にサハラ砂漠以南の最貧国で発生し、衛生状態が悪いことに加えて国際的支援者が患者を殺しているというデマが流れ、患者を実力で奪還する暴挙がさらに流行を拡大した。「厳粛かつ安全な埋葬」を普及するため宗教や人文社会学が大きな役割を果たした。 エボラ出血熱から エボラウイルス病に 名称変更

4 1976 1977 1979 1994 1995 1996 2000 2001-2 2003 2004 2005 2007 2008 2011-2 2012 2014-6 2014 2015 コンゴ民主共和国 スーダン ガボン コートジボワール 南アフリカ ウガンダ コンゴ ギニア リベリア シエラレオーネ ナイジェリア マリ セネガル 米国 英国・スペイン イタリア ウイルス株 Zaire Sudan Taï Forest Bundibugyo 症例数 318 151 1 34 52 315 91 425 65 59 178 17 12 264 149 32 ,57 3,811 10,675 14,124 20 8 4 2 66 死亡数 218 151 1 22 31 254 66 224 53 44 157 7 10 187 37 14 29 2,543 4,809 3,956 8 6 49 致命率(%) 88 55 100 65 60 81 53 82 75 41 83 71 25 44 69 51 67 45 28 40 74 1976年6月にヌザラの和他工場の倉庫番が発熱、頭痛、胸部通で入院後鼻口腔出血、血便により死亡。工場内の従業員に広がり、67名に達した。8月にヌザラから旅立った学生がマリディで死亡し、病院職員76名が感染し41名が死亡。ヤンプクの教会病院で外来患者9名と職員11名が死亡。近隣の村に広がる。      ウイルス分離は77年。

5 9月18日にWHO事務局長がエボラに関して国連安保理に呼び掛け、国連の関与が始まる
2013年12月6日にギニアのゲケドゥで2歳男児が死亡 9月18日にWHO事務局長がエボラに関して国連安保理に呼び掛け、国連の関与が始まる 翌2014年3月20日にギニア保健省は正体不明の病気が36人で確認され、うち少なくとも23人が死亡したと発表。 9月16日にWHOは米軍の輸送・警備・地域的指揮権と制御の確立に謝意を表明 4月5日:エボラ出血熱は外国人によってギニアに持込まれたという噂に触発された群衆が、国境なき医師団(MSF)によって運営されているセンターを襲撃。 国境を自由に往来する部族社会 望ましい統治(Good governance) 8月8日にWHOは国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態(PHEIC)を宣言 リベリア:4月7日に7名の死亡を含む18名の疑い症例。 ● 国のトップは国家非常事態を宣言しなければならない ● 保健大臣とその他の保健指導者は、緊急エボラ対策措置の調整と実行に際立った指導的役割を果たさなければならない シエラレオネ:5月末に13症例。 国の診断能力欠如だけでなく、国際支援を受入れる体制構築ができない 山間部だけでなく、都市部に広がる 7月末には、患者を奪還するため隔離施設の襲撃が多発 7月初旬にはシエラレオネで患者を匿う事例が増加 6月末リベリアの医療従事者が職場放棄し、病院閉鎖に追い込まれる 2014 2015 累積患者数の推移 2016

6 マールブルグ病 1967 西ドイツ(マールブルグ、フランクフルト)とユーゴスラビアのワクチン工場で職員25名が出血熱を発症し、7名が死亡、さらに治療をした5名が2次感染した。小児麻痺ウイルスの増殖に用いたアフリカミドリザルの血液・体液からの感染。 1975 ジンバブエを旅行中の男女が発病、南アフリカで入院し1名死亡。 2次感染1名。 1980 ケニアのエルゴン山洞窟を訪れたフランス人が感染 1987 ケニアのエルゴン山洞窟を訪れたデンマーク人が感染  コンゴ民主共和国北東部にある金山労働者等154名が発症し、内128名が死亡。致命率は83%に達した。 2004-5 アンゴラで329名の死亡を含む374症例(致命率88%)。 2007 ウガンダで鉱山労働者3名が発症、1名死亡。 2008 コウモリの生息する西ウガンダの洞窟を訪れたオランダ人旅行者が帰国後に発症。 2009 西ウガンダの洞窟を訪れた米国人旅行者が帰国後に発症。ウガンダ政府は洞窟を閉鎖。 2012 西ウガンダで4名の死亡を含め15症例 2017 西ウガンダの洞窟近くに住む狩猟者が発症し、5名に感染。 コウモリがウイルスを保有しており、唾液中に排出されたウイルスを吸入または汚染した飲食物を食べて感染。

7 1969年ナイジェリア北東部ラッサ村で出血熱疾患患者が病院移送後に死亡し、看護婦2名も発症し内1名が死亡した。患者サンプルが米国エール大学に送付され、新型ウイルスが発見されたが、その過程で教授と動物実験技術者が感染し、後者は死亡した。 ラッサ熱 Lassa Fever 1972年シエラレオネで捕獲したマストミス(多乳房マウス)からウイルス分離。ネズミの総数に占めるマストミの割合;9.5~89.9%、抗体保有率;~35.8%、ウイルス保有率;~81.3%、1軒当り~4匹。 マストミス Mastomys natalensis マストミス 胎盤感染 尿・唾液 血液・排泄物、性行為 ヒト 食品、水、塵埃 マストミスが生息するサハラ砂漠以南の地域で年間2〜30 万人程の感染者があると推定されている。突発的な発熱、頭痛、咽頭痛を主症状とし、重症インフルエンザ様症状を呈するが、重症化すると出血(吐血、下血)によりしばしば死に至る(致命率1~2%)。妊婦の重症化が発生し、胎内死亡、 流早産を起す。患者の血液や体液、排泄物によりヒトからヒトへ感染し、院内感染や家族内感染を引起す。 住環境が悪いアフリカでは土間の台所にマストミスが侵入し、飲食物を汚染するので、現地訪問には注意が必要である。日本でも1987年3月にシエラレオネから帰国した人がラッサ熱を発症したが、幸い回復した。

8 2015~17年の頻発 スウェーデン 8/4/2016 輸入;1 2015年5月にリベリアから米国に戻った後に咽頭痛と疲労感で受診した男性が死亡し、ラッサ熱と診断された。8月から2016年1月の間に、ナイジェリアで82名の死亡を含む159名の疑い症例が報告された。 ドイツ 27/4/2016 輸入;1 2016年4月にはスウェーデンとドイツで輸入症例が発見された。サハラ砂漠以南の国々における発生報告が相次いでいる トーゴ 10/3/2017 確認;2 ベナン 10/3/2017 疑い;54 死亡;28 シエラレオーネ 10/3/2017 確認;2 リベリア 18/5/2016 確認;7 死亡;3 ナイジェリア 28/6/2017 疑い;272 死亡;149

9 南米出血熱 Arenavirus Hemorrhagic Fever げっ歯類(ネズミ科アメリカネズミ亜科)の唾液や排泄物との接触、排泄物に汚染された食器や食物を介して、あるいは汚染された粉塵の吸入、出血熱患者との接触により感染する。日本では法律上次の4種の疾病を南米出血熱に一括。 アルゼンチン出血熱: 1958年にフニンウイルスが分離された。耕作地周辺に生息するネズミのコンバインへの巻き込み、糞尿で汚染した穀物、ホコリの吸入、などによって暴露する。約1/3が出血や神経症状を呈し、致命率は最大15%。ウイルス血症にならず、ヒト・ヒト感染は起きない。1991年からワクチンが使用されている。 ボリビア出血熱:  1950年代にボリビアのサンホアキン地方への入植が始まり、 1960年頃から入植地で原因不明の出血熱が流行し始めた。1962~64年の間に住民の40%以上が発症し、10~20%が死亡した。米国CDCが調査に乗り出し、耕地に増えたネズミが調べられ、 1964年にマチュポウイルスが分離された。その過程でCDC研究員が複数名発症した。 ブラジル出血熱:  原因のサビアウイルスは、1990年にブラジルのサンパウロで出血熱症状を呈し、死亡した農業技術者から単離された。自然宿主はまだ特定されていないが、齧歯類と推定されている。 ベネズエラ出血熱:  1989年にベネズエラのグアナリト市で最初の流行が観察され、ウイルスが分離された。ネズミが自然宿主と特定され、ヒトへの感染経路は他のウイルスと同様である。 いずれも特殊なネズミの間で維持されており、日本に侵入するリスクは低い。

10 Haemagogus 属(主にアメリカ大陸)
サル嗜好性の蚊 Aedes 属(主にアフリカ) Haemagogus 属(主にアメリカ大陸) ジャングル型 (野生動物型) 霊長類 ヒト;偶発的感染 1900 W.Reedが濾過性病原体であると実証(1902 死亡) 1928 野口英世が研究途中で感染死。A. Stokesがアカゲザルの感染実験。 1930 Theilerがワクチンを開発(1951 ノーベル賞) 中間型 (サバンナ型) サルと人間を 嗜好する蚊 小流行 農村集落 人間を嗜好する蚊 ネッタイシマカ Aedes aegypti 大流行 密集した都市人口 黄熱 都市型 黄熱ウイルスの多くは不顕性感染である。一部の感染者が3-6日の潜伏期間ののち発熱、頭痛、悪寒、筋肉痛、背部痛、悪心嘔吐等の症状を呈する。発症した患者の15%が重症化し、数時間から一日程度の寛解期を経て、発熱が再燃し、黄疸や出血傾向などを来たし、ショックや多臓器不全に至る。重症化した場合の致命率は20~50%と高い。 予防接種により予防可能な疾患であり、感染するリスクのある国・地域の中には、入国に際し、黄熱予防接種証明書(イエローカード)の提示を義務づけている国がある。アフリカおよび南米で地域的流行が発生しており、WHO試算では、年間84,000~170,000人の患者が発生し、死者は最大で60,000人に及ぶとしている。

11 黄熱の報告数 症例数 公式発表 WHO・UNICEF推定
Yellow fever global annual reported cases and vaccination coverage, 症例数 公式発表 WHO・UNICEF推定 診断、調査、集計などの社会システムが整っていない発展途上国では、疾病発生の把握が不十分で、大幅な過少報告が続いている。2013年にアフリカで13万人の患者が発生し、78,000人が死亡したとWHOは試算している。 2015年12月から2016年10月の間に、アンゴラで377例の死亡を含む4347例の疑い例が報告された(その内884例は検査で確認)。 2016年1月から2016年10月の間に、コンゴ民主共和国で2987例の疑い例が報告された。アメリカ大陸では、2016年12月から2017年5月の間に、ブラジル全土で792例が確認され(死亡274例、致命率35%)、ペルー、ボリビアなどでも報告されている。

12 ネッタイシマカ( Aedes aegypti )、 ヒトスジシマカ( A. albopictus)
密集都市 ヒトで大流行 ネッタイシマカ( Aedes aegypti )、 ヒトスジシマカ( A. albopictus) ジャングル サル デングウイルスはフラビウイルス科に属し、4 種の血清型が存在する。一度感染すると終生免疫が得られるが、異なる血清型に対する交叉防御免疫は数ヶ月で消失する。約50~80%が不顕性感染と推定され、大多数は頭痛、筋肉痛、関節痛を伴うデング熱に留まるが、一部の患者は突然、血漿漏出と出血傾向を主症状とするデング出血熱となる。 アジアとアフリカの熱帯および亜熱帯地域で古くから(ウイルス発見は1943年)発生していたが、1963年にアメリカ大陸に侵入して81年以降は流行を繰返している。2015年には米国を含む8ヶ国で約52万人が確認され、7,664人が重症化し、998人が死亡した。世界で毎年5,000万人~1億人がデング熱に感染していると試算されている。 デング熱 1981年以降 近年の発生: 中国;45,171人、 台湾;15,765人、ベトナム;17,766人、シンガポール;17,992人、マレーシア;103,610人、フィリピン;90,503人、カンボジア;3,543人、タイ;22,873人、ラオス;1,695人、インド;36,486人、オーストラリア;1,434人、

13 デング熱国内確認症例数 2014年の国内発生160名の大半は代々木公園周辺や新宿中央公園など東京都内だったが、千葉市と兵庫県西宮市も各1名いた。 発症日は8月9日から10月8日の間で、男性93名女性67名、年齢は20大が53名、10代が32名、40代が24名の順だった。 四類感染症年別報告数 デング熱を媒介する蚊は、ネッタイシマカとヒトスジシマカで、ヒトスジシマカは東北地方以南に生息し夏季には活発に活動している。1942から1945年にかけて、神戸・大阪・広島・呉・佐世保・長崎などで約20万人に上る温帯地域最大のデング熱流行が発生した。2014年の流行を地球温暖化による蚊の生息域北上と断定することはできないが、日本周辺の海水温上昇による異常気象が続いており、否定することもできない。 輸入症例の推定感染地 2012 38 60 26 27 3 15 6 2013 68 43 49 9 12 2014 50 32 20 8 24 2 2015 66 75 28 5 2016 111 64 19 16 31 4 インドネシア フィリピン タイ インド マレーシア ベトナム カンボディア ミャンマー

14 ネッタイシマカ( Aedes aegypti )、 ヒトスジシマカ( A. albopictus)
シマカ(A. luteocephalus) 霊長類、齧歯類、鳥類 ネッタイシマカ( Aedes aegypti )、 ヒトスジシマカ( A. albopictus) 密集都市 ヒトで大流行 チクングニア熱 1952年に初めて、アフリカで流行が報告 2005年にウ イルスが変異し、インド洋の島々に広がり、2006年にはフランス領レユニオン島で全人口の 1/3 に当る約 27万人が感染し、250 人以上が死亡した(致命率 0.1%)。ネッタイシマカだけでなくヒトスジシマカも媒介することが明らかになり、欧州、中国を含め世界各国で発生が報告された。 日本では2011年に4類感染症と検疫感染症に指定された。 アメリカ大陸には2013年に侵入し、広がった。 日本の輸入症例数 発熱(40°C)、関節痛、関節腫脹、発疹、頭痛、筋肉痛、嘔気、出血傾向(鼻出血や歯肉出血)、倦怠 予防: 蚊の発生防止(空き容器、古タイヤなど幼虫発生場所をなくする)は地域住民の協力が必要であり、地域の快適性に欠かせない。 個人的には日中に蚊に刺されない工夫が重要である。具体的には、長袖・長ズボンの着用、昆虫忌避剤の使用などである。

15 2015年以降のジカ熱の拡大 1947 ウガンダのZika森のアカゲザルからウイルスを 特定 1948 ヒトスジシマカからウイルス分離
1948 ヒトスジシマカからウイルス分離 1952 ウガンダとタンザニアで最初のヒト症例 1960~80年代 ヒトの暴露が常時起きているが、死亡や入院の報告はなく、症状は軽い 1969~83 インド、インドネシア、マレーシア、パ キスタンを含む赤道アジアの媒介蚊でウイル検出 2007 ミクロネシアのヤップ島で最初の大規模なヒト流行 2015 症例の急増、ウイルスの伝播力に変異 2016 小頭症およびその他の中枢神経系奇形の発生。性感染。 2015年以降のジカ熱の拡大 2016/2 WHOは国際保健規則に基づく「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言。エボラに次いで2件目。日本は検疫感染症と4類感染症に指定。 日本の輸入症例は、2013年12月フランス領ポリネシア;男女各1名、2014年7月タイ・サムイ島男性。2017年3月現在全部で16例。蚊の吸血、性交による国内発生のリスクは高まっている。

16 感染者はウイルス血症に陥らず、吸血した蚊はウイルスを保有せず
リフトバレー熱                     1931年にケニアで羊の流産症例から原因ウイルスが発見                           された。                 された。沼沢地帯で齧歯類、レイヨウ、バファローなどの野生動物とヤブカ属の間で維持されている。山羊、羊、牛などの家畜が感染すると体液や流産胎児(流産の嵐)を介して爆発的に広がり、イエカ属の吸血によってヒトも感染する。 沼沢でのサイクル 家畜でのサイクル ヒトの感染 経卵感染 ヤブカ Aedes 蚊・野生動物 体液・流産胎児 感染者はウイルス血症に陥らず、吸血した蚊はウイルスを保有せず ● 蚊の吸血 ● 家畜の流産胎児・斃死体・血液の取扱い ● 生乳、加熱不十分な肉 蚊・家畜 ヒト・ヒト感染はない イエカ Curex 家畜伝染病予防法で法定伝染病に指定され、対象家畜は牛、水牛、鹿、めん羊、山羊である。 ヒトに係る感染症法では4類感染症に指定され、医師の届出義務がある。

17 リフトバレー熱の主な発生、2000年まで モーリタニア 1987、1998 エジプト 1977-8、1993
モーリタニア 1987、1998 エジプト 1977-8、1993 サウジアラビア、イエメン 2000 リフト・バレー(大地溝帯) ケニア 1930-1、1968、1997-8 南アフリカ 1950-1、1974-5 継続的発生、風土病化 少数例の報告、ウイルス分離、血清学的陽性 不明 スーダン 1975 ソマリア 1997-8 タンザニア 1997-8 モザンビーク 1997-8 ジンバブエ 1955、1957、 、1978 ザンビア 1973-4、1978、1985 マダガスカル 1990-1 ナミビア 1955、1974-6

18 動物およびヒトにおける近年のRVF発生報告
OIEへの報告21) WHO等への報告22) 2006 ケニア(37件;12/6~6/7) ケニア(死亡234名/684症例;11/6~3/7)、ソマリア(死亡51名/114症例;12/6~2/7) 2007 タンザニア(19件;1~6/7)、スーダン(2件;10/7~11/8) ソマリア(死亡109名/264症例;1~3/7)、タンザニア(死亡109名/264症例;1~/7)、スーダン(死亡230名/738症例;11/7~1/8) 2008 南アフリカ(26件;1~6/8)、マダガスカル(9件;2~10/8、9件;11/8~1/9)、マヨット島(4件;3~4/9)、スワジランド(2件;6~9/8) マダガスカル(死亡19名/476症例;1~6/8、死亡7名/236症例;12/8~5/9) 2009 マダガスカル(1件;3~5/9)、南アフリカ(20件;2~7/9、19件;10/9~1/10) 報告なし 2010 ボツワナ(1件;5~11/10)、モーリタニア(3件;10/10~2/11)、ナミビア(12件;5/10~2/11)、サウジアラビア(1件;3/10)、南アフリカ(489件;1~9/10、135件;12/10~8/11) 南アフリカ(死亡26名/237症例;2~7/10)、モーリタニア(死亡13名/63症例;10~11/10) 2011 ナミビア(3件;4/11~3/12)、 2012 モーリタニア(死亡18名/36症例;9~11/12) 2013 モーリタニア(5件;9/13~1/14)、セネガル(4件;9/13~5/14)、 2014 ボツワナ(25件;7~12/14)、 2015 モーリタニア(4件;9/15~3/16) モーリタニア(死亡8名/31症例;9~11/15) 2016 マリ(1件;10/16~)、ニジェール(1件;9/16~3/17)、ウガンダ(1件;3~9/16) ニジェール(死亡33名/348症例;12/16)、ウガンダ(5症例 両者の報告が並行していない

19 年初めに激しい降雨に見舞われ、洪水による蚊の発生増加が野生反芻獣におけるウイルス増殖をもたらし、家畜に波及した。
ヒト確認症例数(N=302) サンプル数(N=2,626) 疑い症例数(N=2,0142) Outbreaks of Rift Valley Fever in Humans, South Africa, 2008–2011 サンプル数と疑い症例数 ヒト確認症例数 死亡数25(致命率8%)。 年初めに激しい降雨に見舞われ、洪水による蚊の発生増加が野生反芻獣におけるウイルス増殖をもたらし、家畜に波及した。 研究報告では、動物とヒトの発生は平行していた。302名の内訳は、農場関係者、動物衛生作業員、食肉解体作業員が84%を占めた。男性が87%を占め、年齢は40-49歳23%、20-29歳22%、50-59歳18%、30-39歳16%、60-69歳10%であった。動物がヒトの約600倍で、羊の発生が主であった。 2010年の動物症例数

20 動物におけるRVFの臨床症状 ・綿羊、ヤギ、ラクダの流産が広範囲に突然始まることが最も重要な兆候である。 ・5~6日齢以下の子羊の100%に至る死亡率。 ・成獣での高熱、リンパ節炎、鼻汁や目やにの排出。 ・おびただしい悪臭下痢便(しばしば出血性)。 ・嘔吐、激しい腹痛。 ・著しい意気消沈、泌乳低下、黄疸。 ・8~16週にわたる流行。 流産した羊の胎児

21 RVFの剖検所見 ・肝臓の肥大、始めは局所その後しばしば全体に広がる壊死 ・肝臓のうっ血. 赤褐色から黄色を呈する.
・全身の点状または斑状出血. ・しばしば重度の出血性胃腸炎. ・全身のリンパ節腫脹. ・肺水腫、肺気腫. ・胎児では自己融解を伴う同様な病理所見が見られる. 牛の流産胎児:胎便で皮膚が黄色 肝臓の出血と壊死 腸の漿膜表面の点状出血

22 ヒトにおけるRVFの臨床症状 ヒトでの潜伏期間は2~6日で、無症状のこともあるが、軽症のものでは、インフルエンザ様症状、筋肉痛、関節痛、頭痛などの発熱性の症状が特徴的である。症例によっては項部硬直、羞明、嘔吐などを呈する場合もあり、髄膜炎と誤診されることがある。 症状が4~7日続き、その後免疫が誘導され、ウイルスは血中から徐々に消失する。ほとんどの場合、比較的軽症であるが、数パーセントの症例では重篤になり、これらの症例では眼疾患(0.5~2%)、髄膜脳炎(1%)、出血熱(1%未満)の特徴的な3症状のうちの1つ以上が認められることが多い。致死率は1%未満である。 診断は、IgM抗体の検出、病初期の血液や死亡後の組織からのウイルス検出が行われ、ウイルス検出方法としてはウイルス分離、抗原検出、RT-PCR法などがある。多くの患者は軽症で特異的治療は必要とされず、重篤な患者では一般的な支持療法が行われる。 ヒト用の不活化ワクチンが開発されているが、副作用との兼ね合いから未認可で市販されていない。

23 感受性動物 野生動物(水牛、レイヨウ)および家畜(羊、ヤギ、牛)の広範な動物が感染し、とくに幼獣の感受性が高い。 重度の病状
致命率 <1 致命率 >70 致命率10-70 抗体産生 感受性なし 仔羊 仔山羊 仔犬 仔猫 マウス ラット 仔牛 一部のげっ歯類 ヒト サル 山羊 アフリカ水牛 アジア水牛 レイヨウ ラクダ ロバ ウサギ 爬虫類 両生類 RVFウイルスに自然感染する蚊の種類は多く、ヤブカ亜属とシマカ亜属の16種で保有が確認されており、2000 年以降もサウジアラビアで新たな種類の蚊の保有が確認され、新た な地域へ侵入すれば保有蚊の種類がさらに増えるのかも知れない(Rift Valley fever - a threat for Europe?)。 イエカ属では、アカイエカ( Culex pipiens pallens)やコガタイエカ(Culex tritaeniorhynchus)など9種で確認され、その他のCoquillettidia属、Mansonia属、ヌカカ(Culicoides)属などの5種でもウイルスが確認されている。

24 小型反芻動物の飼育密度 トルコはサウジアラビアより小型反芻動物の飼育密度が高く、中央アジアから南アジアへと繋がっている。
頭/km2 トルコはサウジアラビアより小型反芻動物の飼育密度が高く、中央アジアから南アジアへと繋がっている。 トルコは2000~2006年に採取した動物の血清サンプルについてRVFウイルス抗体を調べた結果を2017年10月に報告した。ラクダ72頭およびガゼル82頭は全て陰性であったが、8ヶ所450頭の水牛の内35頭(8.5%)が陽性であった。2000年のサウジアラビアへの侵入以降初めての新たな地域への拡大報告であり、採材日から既に10年経過していることから中央アジアや南アジアへの侵入が懸念される。これらの地域に土着する蚊や保有動物との親和性を高めたRVFウイルスが誕生すると、新たな病型として爆発流行する可能性があり、日本へも脅威をもたらす。

25 Crimean Congo Hemorrhagic Fever
クリミア・コンゴ出血熱 Crimean Congo Hemorrhagic Fever CCHF クリミア・コンゴ出血熱は、エボラ、マールブルグ病、ラッサ熱とともにウイルス性出血熱 4 疾患の一つとされてきた。 マダニが媒介し、野生動物(ウサギ、トリなど小動物)、家畜(ヒツジ、ヤギ、ウシ)が自然宿主である。 ヒトへの3つの感染経路がある;(1)感染マダニに咬まれたりダニをつぶしたりして感染ダニから感染、(2)感染動物の血液や組織と接触して感染、(3)感染者や患者の血液、血液の混入した排泄物、汚物などに接触して感染。ワクチンや予防薬はない。 ダニに咬まれてから1~3日、感染性血液に触れてから5~9日で、突然の発熱、頭痛、筋肉痛、リンパ節腫脹、発疹、血便、鼻血などの出血症状がみられる。症状出現後9~10日で症状が改善するか、または、2週間程度で約30%が死亡する。 ダニによる吸血は流行の発端であり、動物でウイルスが増殖した後に流行が激しくなる。羊飼い、農業従事者、 獣医師等の家畜との濃厚接触者、患者に接する医療関係者(院内感染)および家族などの介護者は高リスクグループである。 成ダニ マダニ Hyalomma 属 介卵伝達 幼ダニ 若ダニ 野生動物・家畜・ヒト 吸血 血液、体液、臓器に直接接触

26 ウイルスを増幅する反芻動物に対して病原性が弱く発症例が少ないため、診断が難しく、発生報告はほとんどない。
クリミア地方 1944 〜45年 旧ソ連軍兵士 WHO CCHF maps 1944 ~5年にかけてクリミア地方で旧ソ連軍兵士の間で重篤な出血を伴う急性熱性疾患が発生した時に患者血液とダニからウイルスが分離された。その後1956年にコンゴで分離されたウイルスと同一と証明された。 ウイルスを増幅する反芻動物に対して病原性が弱く発症例が少ないため、診断が難しく、発生報告はほとんどない。 その他の出血熱が存在するアフリカではヒト症例の診断が難しく、ヒトの発生報告は中東から東欧に集中している。マダニ属の多数の種がウイルスを伝播し、ダニが生息する温暖な地域で風土病化している。ダニの駆除も困難であり、常在地の清浄化は難しい。 コンゴで 1956年 多くのトリは発症しないが、ダニを遠方に運ぶ役割を果たしている。ただしダチョウは感受性が高く、南アフリカで流行し、ヒトへの感染源となっている。 現在患者発生が知られている地域は、東欧、中近東、中央アジア、ロシア、中国、アフリカ全域である。中国では2004~5年に新疆ウイグル自治区においてCCHFV抗体調査が実施され(5,629検体)、ヒトの1.7%と家畜12.7%が陽性であり、ダニのウイルス保有がPCR法で実証された(J. Clin. Microbiol. 2009)。

27 特別な調査研究が行われない限り発生報告はない 周辺国との間に動物の国境を超える違法輸送があり、制御を困難にしている
2010年1~6月 2010年7~12月 特別な調査研究が行われない限り発生報告はない 周辺国との間に動物の国境を超える違法輸送があり、制御を困難にしている 2016年1~6月 2016年7~12月 動物における発生報告 OIE WAHIS 情報なし これまで報告なし 発生なし 発生が疑われている 感染・侵入あり 発生あり 発生は数ヶ所に限局 感染・侵入は数ヶ所に限局

28 Crimean-Congo hemorrhagic fever in Iran.
ブルガリアは風土病化しており、1953年から2008年までの届出症例数1568名、致命率17%報告されている(Eurosurveillance 2010)。流行地域と非流行地域におけCCHFウイルスの浸潤状況を比べると、 2006–12年における1775頭のウシの抗体保有率は両者に差がなく7.89% であり、 3種のマダニのウイルス保有率は1.63~3.73%であった(J Vector Borne Dis 2013)。これらはマダニの種類とウシとの感染環が地域の細部で複雑に絡んでいることを示唆するとしている。2010;6名、2011;4名、2012;5名、2013;8名。 ロシアでは1999年に27年ぶりに流行し、2009年までに1,300名以上が報告され、10万当り年間罹患率が10.1、致命率が3.2%に達した地域もあった(Eurosurveillance 2010) 。 Crimean-Congo hemorrhagic fever in Iran. イランでは家畜とダニで1970年代にウイルスが確認されていたが、ヒト症例が見つかったのは1999年である。 2012年までに31州の内26州で870名症例が確認され、126名が死亡した(致命率17.6%)。イランでは出血熱の症例が12世紀に記録されており、古くから存在した可能性がある。 トルコでも数十年前から抗体陽性例が知られていたが、患者の確認は2002年からであり、2006年以降急増している。致命率は5%程度だが、制御方法とともに、早期診断と治療法の確立が求められている。 パキスタンは3名の死亡を含め26症例を2010年にWHOへ報告している。 2008年63名の死亡を含め1315症例 イランにおけるヒト症例数 トルコにおけるヒト症例数 イラン 死亡数

29 Development of vaccines against CCHFV
欧州には、ブルガリア、コソボ、ロシア、アルバニア、トルコおよびギリシャを含む ギリシャでは1975年に北部の村の調査で6.1%の住民が、その後1981–1988年の全国調査で1.1%が抗体陽性であったが、症例は確認されていなかった。 2008年にベルギーとの国境の村で海外渡航歴のない48歳女性が最初の症例と確認された。 英国では2012年にアフガニスタンから帰国した38歳男性が最初の輸入症例と診断され、入院先で死亡した。2014年にはブルガリアからの帰国男性が2例目と確認された。 スペインにおいては鹿,キツネ,牛から採取されたマダニがCCHFウイルスを保有していることが知られていた。 2016年8月末に62歳男性が入院先で亡くなったが、海外渡航歴はなく山歩きでマダニに刺されたことによるとされた。


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