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基礎商法2_13 2016/01/20 基礎商法2 第14回
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本日のテーマ 手形の支払い(承前) 遡求 手形上の権利の消滅 白地手形
※シラバスの予定を一部変更して、第14回に配当されている支払いについても学びます。
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手形の支払(承前)
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支払猶予・手形書替 当事者の手形外の合意による支払の猶予
支払猶予の合意 振出人Y A B C 振出 裏書 裏書 人的抗弁 合意の当事者間では支払猶予の抗弁(人的抗弁)を対抗できるが、他の者には支払猶予の合意の効力は及ばない 時効の起算点は、合意の当事者間では猶予後の満期 合意外の遡求義務者との関係では当初の満期を基準に遡求権保全
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当事者による満期の記載変更 合意の当事者間では記載の変更は有効で満期未到来の抗弁(物的抗弁)を対抗できるが、他の者にとっては変造になる
支払猶予の合意+満期記載変更の合意 振出人Y A B C 振出 裏書 裏書 約束手形 変造 変造 満期未到来の抗弁 H H 合意の当事者間では記載の変更は有効で満期未到来の抗弁(物的抗弁)を対抗できるが、他の者にとっては変造になる 時効の起算点は、合意の当事者間では変更後の満期 合意外の遡求義務者との関係では変造前の満期を基準に遡求権保全
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手形書替① 旧手形と引替に新手形を交付 書替の法的性質は代物弁済(通説)
手形書替① 旧手形と引替に新手形を交付 振出人Y A B 振出 裏書 新手形 満期 H23.2.1 旧手形 満期 H 書替の法的性質は代物弁済(通説) 旧手形上の抗弁、旧手形取得時の善意・悪意の事情、担保・保証は新手形に引き継がれる 旧手形振出後の能力制限、新手形についての偽造の場合には、新旧手形は別の手形と考える
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手形書替② 旧手形はそのまま新手形を交付 振出人Y A 振出 旧手形 満期 H22.11.1 新手形 満期 H23.2.1
手形書替② 旧手形はそのまま新手形を交付 振出人Y A 振出 旧手形 満期 H 新手形 満期 H23.2.1 満期 H23.2.1 書替の法的性質は支払延期(判例)または旧手形の「支払のため」もしくは「担保のため」の振出 ※AがYとの合意に反して旧手形を保有する場合には代物弁済と解する余地 旧手形の満期も新手形満期まで伸長される(ただし人的抗弁) 旧手形上の抗弁、旧手形取得時の善意・悪意の事情、担保・保証は新手形に引き継がれる 旧手形振出後の能力制限、新手形についての偽造については、新旧手形は別の手形と考える 所持人は新旧どちらかの手形の呈示で支払を受けられる(ただし新旧両方の手形の交付と支払いは同時履行)
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振出人Y A B 振出 裏書 新手形 満期 H23.2.1 旧手形 // 切断 支払済みの抗弁 (人的抗弁) 手形書替に合意した所持人に一方の手形で支払を行った債務者は、もう一方の手形による請求を拒める(支払済みの抗弁)。ただし書替の合意は手形外の合意だから、抗弁は人的抗弁にすぎず、転得者には原則として対抗できない
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遡求・再遡求
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遡 求 「不渡り」 遡求 遡求の当事者 担保責任(遡求義務)の法的性質 振出人が支払いを拒絶すること 遡求権者 ・・・支払拒絶された所持人
遡 求 「不渡り」 振出人が支払いを拒絶すること 遡求 遡求の当事者 遡求権者 ・・・支払拒絶された所持人 遡求義務者 ・・・前者までの裏書人と手形保証人 ※自分より前者であれば、好きな人に好きな額を好きな順序で請求でき、ある者への請求が奏功しなければ他の者に請求できる 担保責任(遡求義務)の法的性質 合同責任(請求方法は連帯債務に類似するが、①請求の絶対効(民434)、負担部分がなく、②弁済は弁済者より後者の債務を消滅させるが、弁済者より前の裏書人、振出人の債務は消滅しない)
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遡求の手続(要件) 実質的要件(手43) 形式的要件(手44) 通知 満期に支払のないこと
※満期前遡求は為替手形は明文で認められているが約束手形については規定なし(学説は満期前遡求を認めるべきとする) 形式的要件(手44) 満期日+2取引日内の呈示(手38) 同期間内の振出人による支払拒絶証書の作成(手44ⅠⅢ) ※実務上は拒絶証書作成免除(手46) 通知 拒絶証書作成日の翌日(拒絶証書作成免除の場合は呈示日の翌日)から4取引日以内に裏書人、保証人に支払拒絶を通知 ※通知義務者は期間内の通知を証明する必要がある(手45Ⅴ) ※通知は遡求の要件ではない(通知の懈怠により遡求義務者に生じた損害の賠償責任を負うのみ。手45Ⅵ)
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遡求の効果 遡求権の消滅 遡求義務者(複数の可能性あり)は遡求権者に手形金と利息、および遡求費用を支払う(手48Ⅰ)
遡求義務者は支払と引替に手形の受戻を請求可(手50) ※遡求金額の支払いと受戻は同時履行 遡求権の消滅 消滅事由 手形債務の消滅(振出人の支払等) ※ただし、遡求義務者が遡求を誤信させた場合には、時効による手形債務消滅の主張は信義則上許されない(最判S 民集 百-73) 遡求権保全手続の不履行 遡求権の時効消滅(遡求権保全手続は履行したが、実際の遡求を行わないケース。時効期間は拒絶証書作成から(免除の場合は満期日から)1年。手70Ⅱ)
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満期前の遡求 為替手形は満期前の遡求を認める(手43) →引受がなければ支払が期待できないので当然
約束手形も振出人の破産や銀行取引停止等の信用失墜によって、満期の支払が期待できない場合がある ⇒約束手形も解釈上満期前遡求を認めるべき(通説。最判S は満期前遡求を認める前提に立つ)
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再遡求 遡求の当事者 再遡求の手続(要件) 再遡求権者 ・・・遡求義務を履行して手形を受け戻した遡求義務者
再遡求権者 ・・・遡求義務を履行して手形を受け戻した遡求義務者 再遡求義務者 ・・・再遡求権者の前者までの裏書人と、前者までの裏書人および振出人に対する手形保証人 ※再遡求も自分より前者であれば、好きな人に好きな額を好きな順序で請求でき、ある者への請求が奏功しなければ他の者にあらためて請求できる 再遡求の手続(要件) 実質的要件 遡求義務の履行 →手形および拒絶証書の所持(手50Ⅰ) 形式的要件 裏書の抹消は任意(手50Ⅱ)なので特段の手続は不要 通知 遡求の通知を受けた者は翌日から2取引日内に裏書人に通知(手45Ⅰ)
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再遡求と抗弁 振出人A B C D 遡求 遡求 振出人A B C D C B 抗弁 遡求 遡求 悪意 善意 ケース1:ABの抗弁のCへの対抗
通常の戻裏書と同様に、原則として抗弁は切断されるが、最初の裏書の時点より有利な地位には立たない
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振出人A B C D 遡求 遡求 振出人A B C D C B 遡求 遡求 善意 悪意 ケース2 BDの抗弁のCへの対抗 人的抗弁 切断されない? 遡求時のCの取得は法律上の義務なので 人的抗弁は切断されると解する
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手形割引
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手形割引 口座残高 約束手形 振出人 受取人 (満期前) 当座勘定契約 信用調査 当座勘定契約 手形交換所 満期
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手形割引の経済的意義 所持人にとっては、満期前の換金の有力な手段。ただし、不渡りの場合には買戻し義務が生じるため、一種の手形を担保とした借金の性質もある 割引き側(銀行)にとっては割引額と券面額の差額が収益。かつ、不渡りの場合のリスクは割引きの依頼人に極力転嫁できる 手形割引の法的構成 手形法上には規定のない、実務上の取引慣行 ※銀行取引約定書(約款)が割引きについて定めを置く 法的(会計的)には手形の売却
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手形上の権利の消滅
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手形の権利の消滅 手形金請求権の消滅事由 手形金の支払 満期の支払 遡求義務がすべて果たされての支払 手形債権の時効消滅
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時効 総説 時効期間 振出人の手形債務・・・満期から3年(手70Ⅰ,73)
遡求義務・・・拒絶証書作成日(作成免除の場合は満期日)から1年(手70Ⅱ,73) 再遡求義務・・・再遡求義務者の手形受戻または訴状送達の日から6か月 ※いずれも初日不算入 ※支払呈示期間とは異なり、休日(取引日でない日)はまったく考慮されない
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時効の中断 時効中断事由 催告 民法と同じ 催告と手形の呈示 催告の相対的効力
催告に手形の呈示は不要(最判S 百78。判例・通説) 〔理由〕催告は予備的・暫定的請求、権利の上に眠っていないことは示せる 催告の相対的効力 催告には相対的効力しかない(手71) ・・・合同債務だから
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裁判上の請求 裁判上の請求による時効中断と手形の呈示 手形金請求訴訟と原因債権の時効
手形の呈示は不要(大判M )だし、手形の所持も不要(最判S 百79。判例・通説) 〔理由〕催告の場合と同じ。手形を喪失しても権利は失わない 手形金請求訴訟と原因債権の時効 手形金請求訴訟の提起は原因債権の時効も中断する(最判S 百80。判例・通説) 〔理由〕①原因債権と手形債権は法律上は別個だが経済的には同一の給付を目的とする、②手形金請求訴訟中に原因債権の時効が完成して人的抗弁となることは手形の迅速決済の趣旨に反する
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白地手形による訴え提起と時効中断 白地手形呈示の効力 白地手形による訴え提起 白地手形は未完成手形であり、有効な呈示にはならない
白地手形の呈示では手形金を請求できない 白地手形の呈示は付遅滞効、遡求権保全効を有しない 白地手形による訴え提起 白時未補充のままの訴え提起(請求)は時効中断効を有する(最判S 百44。判例・通説) 〔理由〕①権利の上に眠っていないことは示せる、②白時未補充でも時効は進行するのだから白地のままで中断するのが自然、③手形不所持でも時効が中断されるのだから未完成とはいえ手形を呈示したのだから時効中断は当然
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利得償還請求権 総説 利得償還請求権 内容 意義
手形上の権利が、①手続の欠缺、または②時効により消滅した場合でも、所持人は手形上の債務者(振出人、裏書人)に対して利得の限度で償還を請求できる(手85) 意義 手形上の権利は容易に消滅し、手形債務者が望外の利得をする場合が多いことから、利得と損失の調整のためにもうけられた規定。 法的性質については 衡平の見地から特別に与えられた法定の権利 手形上の権利の変形物もしくは残存物とする説(変形物説) が対立。通説は変形物説(なお最判S 百87判旨参照) ⇒要は、どこまで手形としての性質を認めるかという議論
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利得償還請求権の成立要件 基本的な要件 手形上の権利が手続の欠缺または時効によって消滅したこと
前提として手形上の権利が有効に成立していることが必要(白地手形が時効にかかった場合を有効な成立と見るかどうかについては争いがあるが、多数説は権利行使、遡求権保全ができないことから否定的) 手続の欠缺=遡求権保全手続の欠缺 他の手形金(もしくは手形金相当額)の獲得手段がないこと 債務者に利得が発生することが確定したこと ・・・iiとiiiについては争い有り(次項参照)
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他の救済手段の存否 振出人A 裏書人B 受取人 所持人C 振出 裏書 原因関係 原因関係 ケース① 遡求 ケース② 請求 ケース③
要件についての学説 C→A C→B 手形金 遡求 原因債権 ①全ての権利が消滅 消滅 ②全ての手形上の権利が消滅 存続 ③特定の者に対する手形上の権利が消滅 どちらでも 判例
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最判S 百84 振出人Y 裏書人A 受取人 所持人X 振出 裏書 原因関係 遡求 請求 判旨:XはYおよびAに対する手形金の請求権を失い、かつY、Aに対して原因債権も有していないから利得償還請求権を取得する。 ※ただし、YはまだAに対する原因債務を負っており利得があるかどうか疑問。判旨は、Aは経済的に満足しておりXからの遡求もないのだからYA間の原因債権も消滅すると判示するが、この理由付けには批判も多い(次項参照)
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相手方の利得 原因債権の存在 原因債権の時効消滅 原因債権存続中は債務者には利得は生じていない(通説)
⇒手形が「支払に代えて」振り出された場合には手形債権の時効消滅で利得が確定 原因債権の時効消滅 原因債権の時効消滅は時効という法定の効果だから債務者に利得が生じたわけではない(判例。最判S 百85) ※原因債権が手形債権の時効完成前に消滅したか、完成後に消滅したかを問わない 原因債権が先に消滅すれば手形債権が消滅した時点で利得が確定し償還請求権が発生する(逆はそもそも利得償還請求権が発生しない) 手形債権が消滅した時点で(原因債権の存否にかかわらず)利得償還請求権が発生し、その前後を問わず原因債権が消滅していれば利得が確定する
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原因関係の存否と利得の関係 時効消滅 振出人Y 受取人X 振出 原因関係 原因債権 請求 二当事者間の場合には、原因関係が存続していればXは原因債権を行使できるのだから、Yには利得はない。他方原因関係が存在していなければYには利得がある
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振出人Y 裏書人A 受取人 所持人X 振出 裏書 原因関係 原因関係 時効消滅 遡求権保全手続欠缺 Xが手形上の権利を失い、かつYA間、AX間の原因関係がどちらも存在していない場合、YはXからの手形金請求、Yからの遡求および原因債権の行使のいずれも受ける可能性がないから利得はある
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振出人Y 裏書人A 受取人 所持人X 振出 裏書 原因関係 原因関係 時効消滅 遡求権保全手続欠缺 Xは手形上の権利を失ったが、AX間の原因関係は存在している(YA間の原因関係は不存在)場合、YはXからの手形金請求、Aからの遡求、原因債権の行使のいずれも受けないから利得がある。 ※この場合、XはAに対する原因債権は行使できないとするのが多数説(XがAに原因債権を行使するとAがYに不当利得返還請求をすることになるから)
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振出人Y 裏書人A 受取人 所持人X 振出 裏書 原因関係 原因関係 時効消滅 遡求権保全手続欠缺 Xは手形上の権利を失い、AX間の原因関係も存在していない場合(YA間の原因関係は存在)、YはXからの手形金請求、Aからの遡求は受けないが、原因債権を行使される可能性はある。しかし、Xに対する負担がないことが確定したAがYに原因債権を行使することは考えられないから(仮に行使してもAの不当利得になる)、Yに利得があると解するのが通説(少数説はAに利得があるとする)。
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振出人Y 裏書人A 受取人 所持人X 振出 裏書 原因関係 原因関係 時効消滅 遡求権保全手続欠缺 Xは手形上の権利を失ったが、AX間、YA間の原因関係がともに存在している場合、YはAから原因債権を行使される可能性があるからYには利得はない。
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利得償還請求権と手形の所持 利得償還請求権取得時 利得償還請求権行使時
手形を所持していなくても、手形上の権利者であれば利得償還請求権を取得する(判例・通説。最判S34.6.9百86) 利得償還請求権行使時 行使時も手形所持は不要 〔理由〕特別な法定の権利(指名債権)だから 行使時には手形を所持し呈示しなくてはならない 〔理由〕①変形物だから ②権利失効まえの善意取得者が害されるし、利得償還請求権者の権利証明も困難にする ③債務者に二重払いの危険が生じる
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利得償還請求権の時効 10年説 5年説 3年説 新5年説 ・・・手形の時効起算点から5年 〔理由〕特別な法定の権利であり、指名債権だから
〔理由〕手形上の権利自体ではないが、その変形と見るべきであり、商501Ⅳにより商行為債権であって5年(最判S 百87) 3年説 〔理由〕変形物というなら手70類推(かつ商522)で3年と解すべき。遡求義務者に対しては1年で消滅。 新5年説 ・・・手形の時効起算点から5年
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白地手形
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白地手形 意義 白地手形の成立要件 手形要件の一部が欠けている未完成の手形で、事後の補充が予定されていて無効手形ではないもの
振出人の署名があること 手形要件の一部が欠けていること 欠けている要件が後日補充される予定であること
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白地手形と無効手形の区別 主観説(多数説?) 手形外の契約によって発生する白地補充権の授与の有無で区別する(補充権があれば白地手形)
主観説(多数説?) 手形外の契約によって発生する白地補充権の授与の有無で区別する(補充権があれば白地手形) 客観説 外観上補充を予定して署名したと認められれば白地手形 折衷説 外観上補充を予定して署名したと認められれば白地手形。外観上補充を予定したかどうか不明の場合は補充権授与の有無(=主観)による ⇒判例は当初主観説にたつことを明示していたが(大判T )、その後補充権が欠けていても白地手形の成立を認める(最判S 百-41。どの立場かは不明) ※主観説は白地手形と無効手形の区別が困難で流通の安全を害するとの批判がある。これに対しては、補充権授与の推定や手10類推で所持人保護がはかれるとする見解(弥永)、権利外観理論と組み合わせる見解(田邊)が出されている。
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白地補充権 補充権の成立 補充権は当事者の合意(補充権授与契約)で成立する(主観説)
補充内容は補充権授与契約成立時に決まる(当事者の特約で決定を先送りにしたり所持人に一任してもよい) 抽象的な白地補充権は白地手形作成時に成立する(折衷説、客観説) 補充内容は別途、当事者間の合意で定める ※補充権を手形外の合意と考えない方が取引の安全には資するが(たとえば主観説は当事者の合意でいつでも補充権を撤回できる)、民法の意思理論の原則からは遠くなる
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白地補充の時期 その1(満期以外の白地) 白地補充の時期 その2(満期白地)
白地補充の時期 その1(満期以外の白地) 当事者間に補充時期の合意があるときは合意に従う(合意外の時期の補充は不当補充となり手10で処理) 当事者間に合意がない場合は手形の時効までに補充すればよい(補充しなければ権利行使ができないまま権利は消滅) 白地補充の時期 その2(満期白地) ⇒手形の時効は満期から3年(手70)なので、満期白地だと補充されるまで時効が起算されないのではないか。 →いつまでたっても時効にかからない手形が存在するのは時効制度の趣旨に反するのではないかとの懸念から、学説・判例は補充の時期を限定する試み
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補充権の時効を観念する見解 5年説(判例) 最判S44.2.20百-42 5年 H15.3.1 H20.3.1 以後は補充不可=権利行使不可
振出日 補充権 時効消滅 批判:満期以外の補充権を同様に考えると不都合 3年説 3年 H15.3.1 H18.3.1 以後は補充不可=権利行使不可 補充権 時効消滅 振出日 ※起算点を補充の合意の成立日とする見解もある(後掲最判H5.7.20百-43
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批判:満期以外の補充権を同様に考えると不都合
5年説の場合 ※3年説も同様 5年 H15.3.1 H20.3.1 以後は補充不可=権利行使不可 振出日 金額白地 補充権 時効消滅 満期: 〔判例〕満期および他の手形要件が白地の場合、満期が補充されれば「その他の手形要件の白地補充権は、手形上の権利と別個独立に消滅することはなく」、手形債権が時効消滅するまで補充が可能(最判H5.7.20百-43) ⇒満期白地の間だけ補充権独自の時効を観念する
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(新5年説) ※実際にはこの説は成立し得ない
補充権の時効を観念しない見解 (新5年説) ※実際にはこの説は成立し得ない 5年 H15.3.1 H20.3.1 手形金請求権自体が消滅 振出日 手形債権の時効起算点 手形債権時効消滅 = 批判:時効完成前に振出日から3年を超える満期を補充した場合に不都合 新3年説 3年 H15.3.1 H18.3.1 手形金請求権自体が消滅 手形債権の時効起算点 手形債権時効消滅 振出日 = ※起算点を補充の合意の成立日とする見解もある
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批判:時効完成前に振出日から3年を超える満期を補充した場合に不都合
3年 H15.3.1 H18.3.1 満期前に時効完成 手形債権 時効消滅 振出日 満期補充 H21.3.1 H21.3.1 ※起算点を補充の合意の成立日としても同じ
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不当補充で処理する見解 一覧払い手形と考える見解 約定または 相当期間 H15.3.1 H20.3.1 以後は不当補充=手10で処理 振出日
補充すべき期間の満了 一覧払い手形と考える見解 3年 H15.3.1 H19.3.1 振出日 時効起算点 時効完成 H16.3.1 一覧払い手形は振出日から1年以内の呈示が必要(手34)
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白地の不当補充 意義 手10の趣旨 類推適用 当事者の合意(補充権授与契約または別途の合意)に反した内容の補充=不当補充
不当補充がなされても手形債務者は、善意・無重過失の所持人に対しては合意違反を主張できない(手10) 手10の趣旨 手形所持人を保護した規定(主観説) 本来保護されない所持人を保護した 手形債務者を保護した規定 本来手17で処理されるところを手10で処理している 類推適用 不当補充された手形を取得した場合だけでなく、白地手形を合意と異なる補充権があるとして取得した場合にも類推適用される(最判S 百-45)
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変造と白地手形の不当補充の区別 統一手形用紙の手形用法は、金額欄はチェックライタで記載することを要求
⇒手書き(特に鉛筆書き、小さな記載、欄外の記載)が変更された場合をどう考えるか ・・・判例は「欄内なら記載として有効で変造」「欄外なら記載はメモであって白地の不当補充」と考えているらしい。百-23事件は手形用法に従うかどうかで判断 ※欄内か欄外かを問わず、空白を多く残した記載であれば、いずれにせよ振出人は善意・無重過失の所持人に対して現在の文言に従った責任を負う(白地手形と考えるなら手10適用、変造と考えるなら振出人に帰責性があるので手10類推)
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白地手形と権利行使 権利行使 白地未補充の状態では権利行使はできない。かつ、敗訴判決が確定すると、補充後の再訴は許されない(最判S 百-46) ※手形金請求としても遡求権保全手続としても無効 時効中断 白地手形を用いて手形金請求訴訟を提起すれば時効中断効はある(最判S 百-44)
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