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慶應義塾大学医学部 精神・神経科 川原 庸子、藤澤大介

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1 慶應義塾大学医学部 精神・神経科 川原 庸子、藤澤大介
平成28年度東京都自殺未遂者支援研修 救急病院での未遂者支援 慶應義塾大学医学部 精神・神経科  川原 庸子、藤澤大介 /

2 本日の内容 1.自殺に関する事実 2.救急医療での自殺予防に対する役割 3.リスクアセスメントと自殺未遂者対応

3 本日の内容 1.自殺に関する事実 2.救急医療での自殺予防に対する役割 3.リスクアセスメントと自殺未遂者対応

4 日本の自殺数の推移( ) 34427 32863 25427 24963 23013 17386 9850 9464 8041 平成27年  交通事故死亡者 4,117人 自殺者数     24,025人 (全日本交通安全協会/内閣府) 自殺対策基本法制定(2006)

5 若くして亡くなる人のほとんどは自殺で亡くなっている
日本人の死因(平成27年、人口動態統計) 自殺は日本の死因全体の第8位 世代 1位 2位 3位 10代 自殺 がん 不慮の事故 20代 30代 40代 心疾患 50代 脳血管疾患 若くして亡くなる人のほとんどは自殺で亡くなっている

6 年齢階級別の自殺者数の推移 10代~40代の若年者の 割合が増えている H27 警視庁 自殺統計より内閣府作成

7 人が自殺に傾倒していくプロセス① ~精神疾患の問題~
人が自殺に傾倒していくプロセス①        ~精神疾患の問題~ 失業 個人が有する危険因子 多重 債務 ひきがね 準備 状態 自殺 →精神疾患 病気 外的な 危険因子 死別 7 7

8 人が自殺に傾倒していくプロセス② ~社会心理的要因の悪循環~
人が自殺に傾倒していくプロセス②   ~社会心理的要因の悪循環~ ハローワーク 問題 病気 環境の変化 生活苦 支払 滞納 借金 心理 問題 家庭 問題 孤立 誤った対処 体調 不良 身体疾患 生活費がない 保健・医療・福祉 生活保護 飲酒行動 ローン 税金滞納 生活の場 水道・ガス サポートの欠如 居場所がない 消費者金融から多重債務 地域 相談窓口 学校・家庭 家庭不和 保健・医療 福祉・地域  うつ状態・希死念慮

9 人が自殺に傾倒していくプロセス③ ~事故傾性(個人が持つ危うさ)~
人が自殺に傾倒していくプロセス③  ~事故傾性(個人が持つ危うさ)~ 自殺に先行して、自己の安全や健康を  守れなくなる状態(自己破壊傾向) 衝動性、攻撃性が高まりやすい状態 性格(気質)、パーソナリティ障害、発達障害 などが関係しやすい 

10 自殺企図者の心理状態 「両価性」(振り子モデル) (生きたい気持ちと死にたい気持ちは 揺らいでいる)
「両価性」(振り子モデル)    (生きたい気持ちと死にたい気持ちは    揺らいでいる) 心理的視野狭窄(トンネルの中の一点の光)

11 両価性 「振り子モデル」 自殺念慮 目の前の状態は 一点の状態にすぎない 死にたい気持ち 生きたい気持ち
両価性 「振り子モデル」 死にたい気持ち 生きたい気持ち 自殺念慮 目の前の状態は 一点の状態にすぎない 福岡大学 精神医学教室 衞藤暢明先生 資料より

12 心理的視野狭窄 (トンネルの中の一点の光)
絶望感 精神障害 孤立感 この辛い状況から脱するにはこの方法しかない・・・

13 国の動き 1998年 自殺者の急増 2006年 自殺対策基本法 2007年 自殺総合対策大綱 2012年 自殺総合対策大綱(改訂)

14 内閣府HP http://www8. cao. go. jp/jisatsutaisaku/taikou/index_20120828

15 自殺を予防するための9つの重点施策 (自殺総合対策大綱より)
自殺を予防するための9つの重点施策 (自殺総合対策大綱より) 国民一人 ひとりの気づきと 見守りを促す 早期対応の中心的 役割を果たす人材 (ゲートキーパー) を養成する 自殺の実態を 明らかにする 心の健康づくりを 進める 適切な精神科医療 を受けられるよう にする 社会的な取組で 自殺を防ぐ 自殺未遂者の の自殺を防ぐ 自殺対策基本法が制定され、2007年に自殺総合対策大綱が閣議決定され、社会全体で取り組む自殺対策の9つの重点施策がしめされ、日本全体で自殺対策がすすめられるようになりました。 遺された人の 苦痛を和らげる 民間団体との 連携を強化する 2007年策定、2012年改定

16 自殺は複合的な問題から生じる 問題 病気 多職種による 複合的支援が必要 環境の変化 生活苦 支払 滞納 借金 心理 問題 家庭 問題 孤立
ハローワーク 問題 病気 環境の変化 生活苦 支払 滞納 借金 心理 問題 家庭 問題 孤立 誤った対処 体調 不良 身体疾患 生活費がない 保健・医療・福祉 生活保護 飲酒行動 ローン 税金滞納 生活の場 水道・ガス サポートの欠如 居場所がない 消費者金融から多重債務 地域 相談窓口 学校・家庭 家庭不和 保健・医療 福祉・地域  うつ状態・希死念慮

17 “自殺予防はみんなの仕事” 立場、機関ごとに果たすべき役割がある 気づき・連携・つなぎがキーワード 切れ目のない支援体制・ネットワークづくり

18 本日の内容 1.自殺に関すること 2.救急医療での自殺予防に対する役割 3.自殺のリスクアセスメント

19 医療における自殺未遂者対応が重要視される理由
自殺企図者の多くは救急医療に運ばれている 自殺既遂者の9割は直前に精神疾患に罹患している 医療機関に運ばれる自殺企図者は氷山の一角 救急外来は貴重な介入の場である 院内自殺は重大な医療事故の一つである

20 自殺を予防するための9つの重点施策 (自殺総合対策大綱より)
自殺を予防するための9つの重点施策 (自殺総合対策大綱より) 国民一人 ひとりの気づきと 見守りを促す 早期対応の中心的 役割を果たす人材 (ゲートキーパー) を養成する 自殺の実態を 明らかにする 心の健康づくりを 進める 適切な精神科医療 を受けられるよう にする 社会的な取組で 自殺を防ぐ 自殺未遂者の の自殺を防ぐ 自殺対策基本法が制定され、2007年に自殺総合対策大綱が閣議決定され、社会全体で取り組む自殺対策の9つの重点施策がしめされ、日本全体で自殺対策がすすめられるようになりました。 遺された人の 苦痛を和らげる 民間団体との 連携を強化する 2007年策定、2012年改定

21 自殺既遂者の90%以上が死の直前に精神疾患に罹患している
(うつ病 躁うつ病) スライド改訂 パーソナリティ障害の位置とフォントサイズを変更 今、自殺につながりやすい要因として、精神障害もあげられていましたが、 自殺企図者の調査では、大多数は、最後の行動に及ぶ前に、 うつ病や、適応障害などストレス関連障害、統合失調症などの診断に該当する状況でした。 これらの病気を早期に発見して適切なケアにつなげることが必要です。 ICD-10診断(N=1348) Kudo Kaoru, et al: Study of the outcome of suicide attempts: characteristics of hospitalization in a psychiatric ward group, critical care center group, and non-hospitalized group.BMC Psychiatry 2010, 10:4

22 総合病院における院内自殺の多くは一般病棟で起きている
対象  575の一般病院・総合病院  過去3年間の院内自殺 29%  (117病院,347件)

23 身体疾患は自殺の危険因子 身体疾患と自殺の危険(一般人口との比較) <Harris EC et al, 1994>
慢性腎不全  人工透析 倍  腎移植 3.8倍 がん     頭頸部  倍  その他 1.8倍     HIV陽性/AIDS 倍       SLE 倍  脊髄損傷  倍 ハンチントン病 倍 多発性硬化症  倍 消化性潰瘍   倍 *この他に、関節リウマチ、てんかん なども危険因子にあげられる。

24 “自殺予防はみんなの仕事” (医療版) 医療者は貴重なゲートキーパーである
“自殺予防はみんなの仕事” (医療版) 自殺問題は精神科だけが遭遇する問題ではない  (誰でも何科でも遭遇しうる) 病院に来る患者さんは一定の割合で危険因子を有し ている 適切な治療・介入へのつなぎが必要である 医療者は貴重なゲートキーパーである

25 救急医療における自損関連件数

26 自殺未遂歴は自殺の最大のリスク 自殺未遂者は1年以内に1~3%が自殺、5年以内 に約9%が自殺で死亡している。  (自殺未遂者の約10人に1人は将来自殺で死亡) 自殺者の44%に自殺未遂の既往があり、そのうち 82%は2つ以上の異なった手段で自殺企図。   自殺者の43%が死亡する1年以内に少なくとも1 回、救急医療部門を受診している。(Da Cruz et al. Emerg Med J ) 自殺未遂者は自殺者の少なくとも10倍存在すると いわれている。 (Owen et al. Br J Psychiatry ) (Isometsä ET, Lönnqvist. Br J Psychiatry )

27 最初は軽い自殺企図も、 次の自殺は致死的になりうる
企図手段 未遂時 (件) 薬物過量内服 22 リストカット 16 衝動行為 いっ頚 飛び降り 服毒 切創・刺創 轢断 入水 焼身 不明 企図手段 既遂時 (件) リストカット 薬物過量内服 衝動行為 いっ頚 10 飛び降り 服毒 切創・刺創 轢断 入水 焼身 不明 8 吉田(川原)ら,2014

28 最後の自殺未遂から既遂まで 最後の自殺未遂での救急外来受診から既遂までの期間 ・初回の自殺企図 ・身体疾患の併存 ・精神科未受診患者
約半数が6か月以内に既遂 約1割が1か月以内に既遂 (熊本医療センター:N=36) ・初回の自殺企図 ・身体疾患の併存 ・精神科未受診患者   が 短期(6か月未満)の自殺既遂リスク (p<0.05; x2 test) Kawahara Y, Fujisawa D, et al. Int Assoc Suicide Prevention 2015

29 “自殺予防はみんなの仕事” (救急医療版)
“自殺予防はみんなの仕事”  (救急医療版) 救急医療に来る自殺未遂者の1割は将来自殺に至る  (しかもそのうちの1割は1か月以内の超短期に死亡) 救急医療に来る患者さんは自殺企図者の氷山の一角 アセスメント、介入、つなぎができる唯一の機会である ことが多い   (救急医療でしか果たせない役割がある)

30 救急医療での役割(帰宅時) トリアージ ? ? 指示 ? 初期治療・対応 意識レベル バイタルチェック かかりつけ医受診 「頭を打った人へ」
例えば・・・   頭部外傷 自殺未遂者 トリアージ 意識レベル バイタルチェック 初期治療・対応 CT、MRIなど 神経学的検査 入院/帰宅 指示 かかりつけ医受診 「頭を打った人へ」

31 本日の内容 1.自殺に関する事実 2.救急医療での自殺予防に対する役割 3.リスクアセスメントと自殺未遂者対応

32 うつ病は気づかれにくい ⇒ 積極的に聴取することが必要 身体症状 精神症状 睡眠障害 疲労・倦怠感 首・肩のコリ 頭重・頭痛
意欲・興味の減退 仕事能力の低下 抑うつ気分 不安・取越し苦労 精神症状 渡辺昌祐,光信克甫:プライマリケアのためのうつ病診療Q&A,p.91,金剛出版,1997.

33 自殺の危険因子 「自殺未遂患者への対応~救急外来(ER)・救急科・救命救急センターのスタッフのための手引き」(日本臨床救急医学会,2009)

34 リスクアセスメントの際の問診 (基本な流れは他の疾患と同じ)
受診理由 現病歴 生活問題、社会問題 人間関係、喪失体験などが自然と語られることもある かかりつけ 内服 精神疾患の既往 身体疾患の有無、セルフケアの状況 既往歴 家族歴 自殺企図歴 身体疾患、精神疾患に関する悩み 家族など 緊急連絡先 家庭問題 ソーシャルサポートの欠如 希死念慮 今後の自殺計画の有無など緊急的な兆候の有無 検査

35 希死念慮の確認 見捨てられ不安 「死にたい気持ち」は自ら語られることが少ない 羞恥心 聞かなければ話さない、話題にする機会 罪悪感
心理的視野狭窄 など 「死にたい気持ち」は自ら語られることが少ない 聞かなければ話さない、話題にする機会   -患者に関わることそのものである    (信頼関係を築く第一歩。問題を扱う取り掛かり。) はっきりと聞く  -多くの場合患者は混乱状態にある。冷静な判断がつかない。  -抽象的な表現を解釈する余裕はない。  「死にたいという気持ちがありますか」  「死んでしまいたいくらいつらいことはありますか」  「もういなくなってしまいたいと思うことはありますか」

36 希死念慮が自ら語られないとき 希死念慮のみによる判断は当てにならない ・否定する患者がいる
 ・否定する患者がいる  ・重度の精神症状を有すると訴えられないことが ある         客観的な判断が必要

37 緊急度が高い兆候 (臨床症候) 現在提唱されている危険因子は社会的な因子が 多く、すぐに変化(改善)しないものが多い
現在提唱されている危険因子は社会的な因子が 多く、すぐに変化(改善)しないものが多い 即座の判断、対応の指標にはもっと臨床的な  兆候の情報がほしい Warning signs(Ruddら, 2006) BPSAS(Behavioral and Psychological Sings of Attempting Suicide) (羽藤)

38 緊急度が高い兆候 自殺を計画している、手段を持っている 精神病症状(幻聴、幻覚、妄想) 焦燥感(そわそわしている、落ち着かない)
追い詰められ感(心理的視野狭窄)、絶望感 衝動性、怒り、気分や行動の容易な変動 疎通の悪さ(会話や思考のまとまりの悪さ、反応 の鈍さ、混乱) アルコールや薬物使用の増加 Warning sign(Rudd), BPSAS(羽藤)より

39 自殺企図に至る心理・背景は 誰にでも話せることでもない
ただし・・・ 自殺企図に至る心理・背景は 誰にでも話せることでもない 適格なアセスメントのためには 信頼関係が重要 (話せる雰囲気づくり)

40 支援的な態度 -「TALK」の原則 T(Tell) 誠実な態度で話しかける 気にかけていることを伝える A(Ask) 自殺についてはっきりと尋ねる 真摯に向き合う L(Listen) 相手の訴えに傾聴する 受容的な態度 K(Keep safe) 安全を確保する 手段を遠ざける、1人にしない

41 のぞましいコミュニケーション ねぎらいと 注意深く静かに耳を傾ける 傾聴・共感が大切 相手の感情を理解する(共感)
受容や尊重を非言語的に(態度で)伝える 相手の意見や価値観に対して、それを尊重する気持ちを 表す(主体性の尊重) 誠実に心をこめて話す 相手への関心や気遣い、思いやりを表す 相手の感情に注目する 自殺予防 プライマリ・ヘルスケア従事者のための手引き(日本語版 第2版)より

42 のぞましいコミュニケーション(例) 「とてもたいへんな思いをしたのですね」 「とてもつらかったのですね」
「話せる範囲で構わないので、よければ話していただけますか」 ・沈黙を恐れない(黙っていることも、聴いている、という重要な サイン) ・しかるべき支援者や支援窓口の情報を提供するだけでも    十分な支援

43 望ましくないコミュニケーション 頻回の中断 衝撃を受けたことを表してみたり、感情的になる 自分が忙しいと相手に伝える 横柄な態度をとる
押しつけがましいか、もしくは不明瞭な発言をする 誘導的な質問をする 自殺予防 プライマリ・ヘルスケア従事者のための手引き(日本語版 第2版)より

44 望ましくないコミュニケーション(例) 言葉 「こんな方法じゃ死ねないよ」 「死ぬ気になれば、何でもできるでしょう」
 「こんな方法じゃ死ねないよ」  「死ぬ気になれば、何でもできるでしょう」  「本気だったらもっと確実な方法をとれ」  「みんな大変なんだから」  「こうすれば気分が楽になるよ」(安易な提案) 態度  「他にも命を助けたい人がいるので」と忙しいそぶりをする  「身勝手な行為だ」といらだつ

45 対応の際に気に留めておくこと (イライラしたときの対処、セルフケア)
自殺に関することは複合的な問題であり、長年にわたる 患者の背景、歴史に基づくものである 相当な背景がないと自傷・自殺企図が手段とはならない はず 助けを求められる人、場所が少ないために救急医療にた どり着いている 救急医療、精神科医療は社会のはざまに立たされること が多い(個人や医療でどうにもできないこともある) セルフケア、職場でのお互いのサポートが重要

46 「自殺未遂患者への対応~救急外来(ER)・救急科・救命救急センターのスタッフのための手引き」(日本臨床救急医学会,2009)

47 急性期病院と地域の連携・つなぎ 院内ソーシャルワーカーとの連携、チーム医療の実践(リエゾンチーム等) ⇒多様なニーズ、問題に包括的に対応する
  ⇒多様なニーズ、問題に包括的に対応する 地域のメンタルクリニック、精神科病院との連携   ⇒診療情報提供書の作成、紹介先の医療スタッフとの連絡 地域の社会資源の活用   ⇒精神保健福祉センター、地域の保健所、保健センター    各自治体のHPでの相談窓口案内、学校・産業医との連携、    各自治体での自殺予防対策事業 ex)東京都こころといのちのサポートネット メンタルヘルスに関する情報提供HP     ex)厚労省:みんなのメンタルヘルス、こころもメンテしよう(若者向け))       こころのスキルアップ・トレーニング など   

48 具体的な支援先の情報提供 ・具体的な支援先の情報提供 ・「相談できる場所がある」ことを伝える 支援機関 セルフヘルプ HP
各自治体のリーフレット 緊急時のホットライン ・具体的な支援先の情報提供 ・「相談できる場所がある」ことを伝える

49 救急医療での役割(帰宅時) トリアージ 指示 初期治療・対応 意識レベル バイタルチェック 希死念慮 緊急度兆候の評価 かかりつけ医受診
例えば・・・   頭部外傷 自殺未遂者 トリアージ 意識レベル バイタルチェック 希死念慮 緊急度兆候の評価 初期治療・対応 CT、MRIなど 神経学的検査 入院/帰宅 自殺のリスクアセスメント 精神科コンサルト/帰宅 指示 かかりつけ医受診 「頭を打った人へ」 必要な精神科治療・ 支援機関へのつなぎ

50 救急医療からの自殺未遂者への積極的支援 Assertive Case Management 厚労省戦略研究ACTION-J
介入群 ケースマネージャーによる ・定期面談 ・精神科的評価、心理教育 と精神科治療へのつなぎ ・社会背景の情報聴取と支援へのつなぎ 救急外来を受診した自殺未遂患者 ・20歳以上 ・精神疾患あり ・文書同意 N=914 対照群 通常治療 Kawanishi C, et al. Lancet Psychiatry 1, , 2014

51 問題があれば支援機関につなげる。etc.)
ACTION-Jモデルの流れ CM紹介 救急部 精神科医診察 初回面接 心理教育 フェイスシート記入 状態確認 治療アドヒアランス確認 (ex. 再企図は起きていないか。 かかりつけに受診できているか。 生活上の問題は起きていないか。 問題があれば支援機関につなげる。etc.) 第1回定期面接(1週間後) 第2回定期面接(1カ月後) フォローアップ 第3回定期面接(2カ月後) 第4回定期面接(3カ月後) かかりつけが他院の場合でも救急で搬送された病院で フォローアップを続ける。 第5回定期面接(6か月後)

52 自殺未遂者への積極的支援は再企図リスクを低下させる 厚労省戦略研究ACTION-J
介入群 対照群 リスク比 1ヵ月 3/444 (1%) 16/445 (4%) 0.18* 3か月 7/430 (2%) 32/440 (7%) 0.21* 6か月 25/417 (6%) 51/428 (12%) 0.47* 12か月 43/397 (11%) 60/399 (15%) 0.70 18カ月 55/380 (14%) 71/385 (18%) 0.75 Kawanishi C, et al. Lancet Psychiatry 1, , 2014

53 (3)自殺未遂者対策に携わる地域の医療従事者に対し、ケースマネージメント研修を行い、自殺未遂者対策に関する正しい知識・技術の普及に努める。
H27 厚生労働省 事業化 平成27年11月~開始 *慶應は 平成28年1月~ 【事業内容】 (1)救急に搬送された全ての自殺未遂者に対し、精神科医とともに、ケースマネージャー(CM)が入院中から心理教育、ケースマネージメントを行い、退院後も定期的なフォローアップを行う(退院後1週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、6ヶ月)。 (2)自殺未遂者の数、自殺未遂の背景や手段等の内容、ケースマネージメントを行った数とその内容、フォローアップ状況について記録する。 (3)自殺未遂者対策に携わる地域の医療従事者に対し、ケースマネージメント研修を行い、自殺未遂者対策に関する正しい知識・技術の普及に努める。 *ケースマネージャー(CM)は  指定のPost ACTION-J CM研修会の修了者。 * CMは基本的にコメディカル(精神保健福祉士、社会福祉士、臨床心理士、看護師など)が務める。

54 H28 診療報酬化 PSWの介入に加算がついた初めての 診療報酬
PSWの介入に加算がついた初めての 診療報酬 [施設基準] (リエゾン加算算定施設) 自殺企図後の精神疾患の患者への指導に係る適切な研修を受けた専任の常勤医師1名及び適切な研修を受けた専任の常勤看護師又は専任の常勤精神保 健福祉士等1名が適切に配置されていること。  

55 救命救急センターに搬送された自殺未遂者の自殺企図の再発防止に対する複合的ケース・マネージメントに関する研修会
(詳細は自殺予防学会HP参照) 救命救急センターに搬送された自殺未遂者の自殺企図の再発防止に対する複合的ケース・マネージメントに関する研修会

56 (Psychiatric Evaluation in Emergency Care)
(詳細は臨床救急医学会HP参照) (Psychiatric Evaluation in Emergency Care) 主催:NPO法人PEEC研究機構 共催:日本臨床救急医学会 日本精神科救急学会 日本総合病院精神医学会 後援:厚生労働省、昭和大学病院、東海大学医学部 アシスタント ファシリテーター 【PEECコースの一般目標】 精神科医不在の状況において 精神科的問題を有する救急患者に標準的な初期診療を提供するために、救急医療スタッフとして必要な医学的知識、接遇法、入院管理、リソースの有効活用、外来フォローアップへのつなぎ方をコースを通して身につける。 参加者 「大量服薬による自殺企図をおこしたパーソナリティ障害」 「救急外来を頻回受診する過換気症候群」 「統合失調症で不穏・興奮を呈する例」 「覚せい剤などの違法薬物の中毒例」 など

57 まとめ 医療場面で遭遇する自殺未遂者は氷山の一角である 自殺予防における救急医療の役割は大きい
コミュニケーションスキル、適格なリスクアセスメントと 必要な治療・支援機関へのつなぎが重要である

58 参考資料 「自殺未遂患者への対応~救急外来(ER)・救急科・救命救急センターのスタッフ のための手引き」(日本臨床救急医学会,2009)
WHO自殺予防プライマリ・ヘルスケア従事者のための手引き(日本語版第2版) 医療者が知っておきたい自殺のリスクマネジメント(高橋祥友,医学書院) PEECガイドブック(Psychiatric Evaluation in Emergency Care)-チーム医療の視点 からの対応のために-(監修:日本臨床救急医学会,へるす出版) 河西千秋ら. 自殺企図の再発防止に対する複合的ケース・マネージメントの効 果 多施設共同による無作為化比較試験(ACTION-J) その背景と成果・展望. 最新精神医学. 2015, 20(3):


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