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アジア都市圏における水問題解決のための適応策に関する研究

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Presentation on theme: "アジア都市圏における水問題解決のための適応策に関する研究"— Presentation transcript:

1 アジア都市圏における水問題解決のための適応策に関する研究
平成24年度成果報告 2013年8月2日(金)      都市環境科学研究科 代  表:教  授 河村  明 分担者:教  授 梅山 元彦       教  授 松本 淳      教  授 稲員 とよの       准教授 横山 勝英       准教授 荒井 康裕       助  教 山崎 公子       助  教 新谷 哲也       助  教 天口 英雄       助  教 國実 誉治    特任教  授 小泉  明    特任准教授 中川直子

2 水循環系の激変による甚大な水問題の発生 特に,アジアの諸都市 激甚な水災害の発生 水問題の解決が都市存続 に関わる最重要課題
森林伐採や人口集中による 急激な都市化の進展 産業の発展と高度化 温室効果ガスの増加による 気候変動の影響を強く受け 激甚な水災害の発生  ・都市水害  ・著しい水域の汚染  ・安全な飲料水へのアクセス不足  ・厳しい水不足  ・地下水障害  ・激しい海岸侵食 などなど 水問題の解決が都市存続 に関わる最重要課題

3 アジア都市圏における水問題解決のための適応策に関する研究
アジア都市圏における様々な水問題の内 2 安全な飲料水の配水問題 3 貯水池や河川の水質汚濁問題 1 アジア都市圏の水資源環境問題 水環境問題 5 都市豪雨洪水災害問題 4 海岸侵食問題 水災害問題 ☆実践的で応用性の高い適応策や政策シナリオを提示する

4 平成24年度研究成果一覧         年度  H21 H22 H23 H24 査読付き学術論文: 23 26 34  32 編 国際会議論文:  17 36  34  52 編  講演論文:     38  61  52  74 編  総説など:    25  26  13  19 編 

5 平成24年度研究費使用 総額:35,000千円  設備備品費:      11,834千円  研究消耗品費:     6,192千円  研究調査・成果発表旅費,招聘旅費:            ,164千円  研究支援者雇用経費: 5,260千円  その他(学会参加費,英文校正費,論文掲載料など):                  3,549千円

6 テーマ1 アジア都市圏の水資源環境問題 フィリピン・メトロマニラの 洪水対策環境評価問題 = 現状の課題 = 洪水対策は最重要課題
テーマ1 アジア都市圏の水資源環境問題 フィリピン・メトロマニラの 洪水対策環境評価問題 2009年9月台風Ondoyによる 首都メトロマニラの浸水状況 = 現状の課題 = 2009年の台風により首都は甚大な被害 洪水対策は最重要課題 ・水資源環境に直接影響 ・予算制約上,どの地域どの洪水対策   を優先させるべきか不明 ・環境影響評価が十分になされていない メトロマニラ各自治体の洪水リスク減災マネジメントの定量的評価が必要 各種洪水減災対策の簡便かつ客観的で定量的な環境影響評価が必要

7 テーマ1 アジア都市圏の水資源環境問題 1.台風Ondoy被害後のメトロマニラ各自治体へのアンケートを基に,多基準ギャップ解析を行い,各自治体の洪水リスク減災対策ごとにそのギャップ値を算定し,各自治体の洪水リスク減災マネジメントを体系的かつ定量的に評価した. 2.メトロマニラに計画さている種々の洪水減災ハード対策の環境影響評価にRIAM法をアレンジして適用した.洪水減災ハード対策の環境カテゴリー・環境要素毎に定量的な環境影響評価が可能となった. メトロマニラ各自治体の浸水状況と洪水リスク減災マネジメントギャップ値 堤防No.2 洪水減災ハード対策(堤防No.2)に対する環境カテゴリー別の環境スコア

8 テーマ2 安全な飲料水の配水問題 【Phase-1:途上国】 【Phase-1:途上国】 急激な人口増加と工業化。 ↓
テーマ2 安全な飲料水の配水問題 =水道管路インフラの課題= 【Phase-1:途上国】  急激な人口増加と工業化。  社会基盤の整備が不十分。  漏水事故や水圧不足。 【Phase-2:先進国】  老朽化インフラの対応。  事故による市民生活・経済活動への影響が重度化。  維持管理の説明責任 (アカウンタビリティ)。 【Phase-1:途上国】 水道 システム= 水輸送  機能 水質変換  機能 【Phase-2:先進国】 漏水修理による 事後保全 管路更新による 予防保全 水道管路インフラをめぐる課題を考えるとき、2つのフェーズに区別する必要がある。 第一に、途上国における課題である(Phase-1)。 すなわち、多くの途上国では,急激な人口増加と工業化に社会基盤の整備が追い付かず,水道ライフラインに関しても不適切な管路システムによる漏水事故や水圧不足の被害が問題となっている. 今後,財政状況の厳しい途上国において,経済的かつ適切な管路更新計画を策定することは重要な課題である. 第二に、先進国における課題である(Phase-2)。 昨今の日本のように、先進国では今後深刻なインフラ老朽化問題に直面する。 特に、過密都市では事故による影響は市民生活ならびに経済活動に大きな影響を及ぼすことから、水道ライフラインへの取り組みは重要性が増す。 社会資本整備の合理的な維持管理が一層強く求められている中で、予防保全の重要性を主張するために「アカウンタビリティ」が大切になってくる。

9 テーマ2 安全な飲料水の配水問題 1.更新率:0%(更新なしの場合)から 0.5%,1.0%,…2.5%,3.0%までの シナリオを設定し,修繕費と更新費の 関係を比較した結果,更新率:2.0% の時にトータルコストが最小となる結果が得られた(下図を参照). 2.漏水事故が及ぼす影響人口を考慮した場合には,更新率:2.5%の時に最も投資効果が高くなることを明らかにした. スライド右上図:分析対象の水道管路ネットワーク。1配水池、21需要点、21管路。給水人口:48,000人。 モンテカルロシミュレーションを用いて各管路の事故発生時期を与え、総費用(修繕費と管路更新費の合計)を試算。 更新率の違いによる影響を明らかにするため、更新率:0%(更新なしの場合)から0.5%,1.0%,…2.5%,3.0%までのシナリオを設定。 分析の結果、更新率:2.0%の時にトータルコストが最小となる様子を可視化することができた(スライド下図を参照)。 さらに、漏水事故が及ぼす影響人口を考慮した評価方法として、「更新率:0%」と比較した際の影響人口のギャップ(削減人口)をΔPとし、投じたコストTCでこのΔPを除した評価値(ΔP/TC)を考案した。 考案した評価値を用いて検討した結果、更新率:2.5%の時に最も投資効果が高くなることを明らかにした.

10 テーマ3 貯水池や河川の水質汚濁問題 = 現状の課題 = 水域の富栄養化と植物 プランクトンの異常増殖, 濁水長期化 水域の生態系の変化,
テーマ3  貯水池や河川の水質汚濁問題 = 現状の課題 = 水域の富栄養化と植物 プランクトンの異常増殖, 濁水長期化 水域の生態系の変化, 浄水場における濾過障害 貯水池や河川の富栄養化に関わる水質・流動の調査 富栄養化現象の解析 シミュレーション技術の開発 水質制御施設(選択取水・ 分画フェンス)の効果検証 総合的な貯水池・河川管理技術の構築・提案

11 テーマ3  貯水池や河川の水質汚濁問題 1.表層水移送装置の効果について流動・水質を現地調査した.当初,吐出口から水平に表層水が拡散していると予想されていたが,水平拡散は観測されなかった. 3.プルーム構造の一次元解析より,吐出水は水深10mまで上昇して水平拡散していることが明らかになった. 2.水深10mに貯水池の流動(河川侵入水)では説明できない流れとクロロフィル層が観測された. 吐出口 水温・流動 クロロフィル 河川流 吐出水

12 テーマ4 海岸侵食問題 = 現在の研究課題 = ■ ニャチャン海岸における冬季海岸侵食問題の調査 ■ 内部波の伝播に伴う質量輸送の評価
テーマ4  海岸侵食問題 = 現在の研究課題 = ■ ニャチャン海岸における冬季海岸侵食問題の調査 ■ 内部波の伝播に伴う質量輸送の評価 ■ ハイフォン港周辺海域における土砂輸送問題 ニャチャン海岸における海岸侵食調査 海岸北側の状況 桟橋建設により侵食された地域 1.南北に伸びるニャチャン海岸は,冬季に北端で侵食が生じる傾向にある.これは,卓越風向が南東から北東に変わるために砂の移動が南向きになると考えられているが,このことをベトナム国家大学と共に定点カメラを用いて観測している. 2.十分なテータを取得後に,このメカニズムを解明する準備をしている.

13 テーマ4 海岸侵食問題 内部波の質量輸送と成層構造の関係 ハイフォン港周辺海域における土砂輸送解析
テーマ4  海岸侵食問題 内部波の質量輸送と成層構造の関係 1.粒子追跡法を2次元数値流体モデルに組み込むことによって,質量輸送を算出する方法を見出した.計算結果は可視化実験結果と良好な一致を示した. 2.成層構造の変化が,波長,波高,波速および質量輸送量とその方向に与える影響を明らかにした. 質量輸送の鉛直分布(左:数値計算,右:可視化実験) ハイフォン港周辺海域における土砂輸送解析 1.海洋モデルROMSと波浪推算モデルSWANを組み合わせ,波と流れが原因で起こる土砂の巻き上げおよび輸送量の予測を行った. 2.数値計算で得られた沿岸の流れと波浪については,現地観測結果と良好な一致を示した.また,流れの速い河道と浅海域では巻き上げが顕著になることが確認できた. 土砂の巻き上げと輸送に関する数値計算結果

14 豪雨発生の原因となる台風活動の季節変化・長期変化解明
テーマ5 都市豪雨洪水災害問題  降水量他長期気候資料の   整備 平均的季節変化の解明 豪雨発生の原因となる台風活動の季節変化・長期変化解明 都市型豪雨・洪水災害の発生状況の解明 都市型豪雨の発生予測手法の構築・提案 = 現状の課題 = 気候変動および都市化の進行に伴う豪雨洪水災害の激化・都市型洪水の頻発 未曾有の大洪水被害を受けた世界遺産フエ 1999年11月3日 水没した首都ハノイ 2008年10月31日

15 テーマ5 都市豪雨洪水災害問題 1.ベトナムにおける長期間の日降水量観測データを利用して、台風豪雨日とそれ以外による豪雨日とに分類して日降水量50mm以上の豪雨発生日数の長期変化を調査した。首都ハノイを含むベトナム北部では、台風以外による豪雨が減少傾向にあることが示された。 2.フィリピンにおいて長期間の降水量の極端 現象指標の長期変化を解析し、7-9月の夏の 南西モンスーン期には中部を中心に降雨強度 が強まる傾向がある一方で、秋から冬の北東モ ンスーンの開始期には降雨強度が弱まる傾向、 後半には強まる傾向が見出された。 首都ハノイを含むベトナム北部では,台風以外の原因による豪雨が広範囲で減少傾向 ベトナムにおける豪雨発生日数(左)、台風による豪雨日(中)、台風以外による豪雨日(右)の長期変化傾向 フィリピンでは夏の南西モンスーン季に降雨強度が増加し、秋から冬の北東モンスーン季の開始期には減少、後半には増加傾向 1・2・3月 4・5・6月 7・8・9月 10・11・12月 フィリピンにおける3ヶ月ごとの5日合計降水量の最大値の長期変化傾向 ▲(+)は有意な(有意でない)増加傾向、▼(-)は有意な(有意でない)減少傾向

16 アジアからの留学生の受入実績 平成20年度実績 1.ベトナム・ハノイ水利大学 Duong Du Bui (ジュン・ジュ・ブイ)
    「ベトナム紅河デルタにおける帯水層構造および地下水位トレンドの特性評価」 平成21年度実績   2.ベトナム・ハノイ水利大学 Nguyen Hoang Duc(グゥエン・ホァン・ドゥック)     「デルタ・エステュアリーシステム内で生じる塩水侵入への地形、潮汐、淡水流出の影響」   3.韓国・ソウル市立大學校 Min Byung-dae(ミン・ビョン・ディ)      「小規模浄水場を対象としたマンガン処理に関する研究」 平成22年度実績   4.フィリピン・Woodfields Consultants, Inc. 研究員,フィリピン大学社会人ドクター      Romeo L. Gilbuena, Jr. (ロメオ・ヒルブエナ)     「フィリピン・メトロマニラにおける洪水マネジメント評価に関する基礎的研究」   5.韓国・ソウル市立大學校 Kim Min Cheol(キム・ミン・チェル)     「安定給水のための配水管網における最適維持管理計画に関する研究」   6.ベトナム・ベトナム国家大学 Nguyen Kim Cuong(グエン・キム・クゥン)     「ベトナム・ハイフォン沿岸域の土砂輸送に関する数値解析」   7.ベトナム・ハノイ大学 Nguyen Thi Hoang Ahn (グエン・チ・ホアンアン)     「ベトナムにおける豪雨の気候変動に関する研究」

17 アジアからの留学生の受入実績 平成23年度 8.ベトナム・ハノイ水利大学 Nguyen Thanh Thuy(グエン・タン・トッイ)
 「ベトナム・ハノイ市の地下水資源問題に関する研究」   9.インドネシア・ハサヌディン大学 Bambang Bakri(バムバン・バクリ)     「水道管路ネットワークの整備計画に関する研究」  10.フィリピン・フィリピン気象庁 Marcelino Q. Villafuerte(マーセリノ・ヴィラフェルテ)     「フィリピンにおける豪雨発生の長期変化に関する研究 」    11.インド・インド工科大学 Gubash Azhikodan(グバッシュ・アジコダン)     「河川感潮域における高濁度水塊と植物プランクトンの挙動特性」

18 国際シンポジウム(AAA+2013)の開催 主催:首都大学東京 AAA+2013国際シンポジウム実行委員会 後援:東京都
日時:平成25年11月16日(土) 9:45~19:15 場所: 首都大学東京 南大沢キャンパス 国際交流会館大会議室 9: 開会の挨拶 開会の辞 実行委員長 都市環境科学研究科 河村 明 教授 挨拶 原島 文雄 学長 挨拶 西村 和夫 都市環境科学研究科長  10:15-11:30 セッション1 基調講演 Prof. M. Levent Kavvas (カリフォルニア大学デイビス校 土木環境工学科) Prof. Demetris Koutsoyiannis (国立アテネ工科大学 水資源環境工学科) 13:00-14:40 セッション2 アジア人材育成留学生 研究発表 15:10-16:50 セッション3 招待講演 Prof. Vu Minh Cat,(ハノイ水利大学 海岸海洋工学科, ベトナム) Prof. Muhammad Saleh Pallu,(ハサヌディン大学 土木工学科, インドネシア) Prof. Gemma T. Narisma,(アテネオ・デ・マニラ大学 物理学科, フィリピン) Prof. Sudhindra Nath Panda,(インド工科大学カラグプル校 農業食品工学科, インド) 16:50-17:15 討議 17:15-19:15 レセプション 会場:ルヴェソンヴェール南大沢

19 インドネシア・マカッサルの夕日(2010年8月20日)
ご清聴ありがとうございました


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