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横浜市立大学 総合講義 国際社会の将来 「持続可能な森林管理」
地球環境と森林管理の課題 横浜市立大学 総合講義 国際社会の将来 「持続可能な森林管理」 森林総合研究所 藤原敬
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全体の構成 人と森林の関わり 地球の森林の状態と地球環境問題 国際的な森林レジーム形成の取組と国際社会の将来
地球環境問題前史 生活環境としての森林 地球の森林の状態と地球環境問題 グローバルコモンズとしての森林 循環社会の中での林産物の役割 国際的な森林レジーム形成の取組と国際社会の将来 森林は持続可能な開発の指標
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国民の森林への期待 出所:森林と生活に関する世論調査 (総理府) 順位 1980 1986 1993 1999 1 2 3 4 5 6 7
災害の防止 水資源の確保 温暖化防止 大気浄化・騒音緩和 伝統的3分野災害 水資源、木材 その他に「安価で肥沃な土地の提供」という隠れた期待がある 地球規模で考えれば木材生産による収入の確保は重要な要素 森林と生活に関する世論調査(平成11年7月) 総理府広報室 調 査 の 概 要 調査の目的 森林と生活に関する国民の意識を調査し、今後の施策の参考とする。 調査項目 ・森林への親しみ ・森林の役割と森林づくり ・木材の利用 ・地球環境問題と森林について ・森林・林業行政に望むこと 調査対象 (1)母集団 : 全国20歳以上の者 (2)標本数 : 3、000人 (3)抽出法 : 層化2段無作為抽出法 調査時期 平成11年7月8日~18日 調査方法 調査員による面接聴取 回収結果 (1)有効回収数(率) 2、137人(71.2%) (2)調査不能数(率) 863人(28.8%) 調査票 Q5 〔回答票7〕 あなたは, 今後、森林の働きに何を期待しますか。この中から3つまであげてください。(3M.A.) (12.9) (ア) 木材を生産する働き (14.6) (イ) きのこや山菜などの林産物を生産する働き (41.4) (ウ) 水資源を蓄える働き (56.3) (エ) 山崩れや洪水などの災害を防止する働き (29.9) (オ) 大気を浄化したり、騒音をやわらげる働き (39.1) (カ) 二酸化炭素を吸収することにより、地球温暖化防止に貢献する働き (15.5) (キ) 保健休養などのレクリェーションの場を提供する働き (23.9) (ク) 自然に親しむなど、野外における教育の場としての働き (25.5) (ケ) 貴重な野生動植物の生息の場としての働き ( 3.9) (コ) 特にない ( 0.2) その他( ) ( 1.2) わからない (M.T.= 264.4) 野生生物の保全 野外教育の場 レクリエーションの場 キノコ山菜の生産 木材生産
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瀬戸内海沿岸のはげ山風景 広島県能美島から江田島を望む 昭和20年代
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瀬戸内海沿岸のはげ山復旧後 広島県能美島から江田島を望む(平成3年)
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広島県における戦後の山地災害 山地災害による死者数の推移 40 年代 50 年代 60 年代 70 年代 80 年代 90 年代
第二次大戦直後広島県の南部の森林ははげ山が多く、12千ヘクタールのはげ山があったという記録がある。 その緑化事業は保安林の指定、治山事業により全額国費県費で実施し去れ、70年代初頭までにははげ山の対策は終了した。 40 年代 50 年代 60 年代 70 年代 80 年代 90 年代
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国民の森林への期待 出所:森林と生活に関する世論調査 (総理府) 順位 1980 1986 1993 1999 1 2 3 4 5 6 7
災害の防止 水資源の確保 温暖化防止 大気浄化・騒音緩和 伝統的3分野災害 水資源、木材 その他に「安価で肥沃な土地の提供」という隠れた期待がある 地球規模で考えれば木材生産による収入の確保は重要な要素 最近 地球環境問題が注目 野生生物の保全 野外教育の場 レクリエーションの場 キノコ山菜の生産 木材生産
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森林機能の波及範囲と管理手法 当該森林からの距離 管理手法 集落 集落 流域 流域 国 国 地球 地球 入会 共用林 農業資材 生活資材
水源基金 国有林 保安林 災害防止 水資源確保 レクリエーションの場 開発計画 開発用地提供 国際協定 温暖化防止 生物多様性
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世界の森林の状況(1)現況 土地 面積A 森林全体 天然林 人工林 面積B B/A アフリカ 2978 650 22 17 642 8
シェア アフリカ 2978 650 22 17 642 8 アジア 3085 548 18 14 432 116 欧州 2260 1039 46 27 1007 32 北中米 2137 549 26 532 オセアニア 849 198 23 5 194 3 南米 1755 886 51 875 10 合計 13064 3869 30 100 3682 187 日本 37 25 66 13 10 FAO: Forest Resources Assessment 2000 単位:百万Ha
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世界の森林の状況(2)変化 森林面積(百万ha) 年間増減面積 年間 1990 2000 アフリカ 703 650 ▲5.3 ▲0.8
増減率 1990 2000 アフリカ 703 650 ▲5.3 ▲0.8 アジア 511 548 ▲0.4 ▲0.1 欧州 1030 1039 0.8 0.1 北中米 555 549 ▲0.6 オセアニア 201 198 ▲0.2 南米 923 886 ▲3.7 合計 3963 3869 ▲9.4 FAO: Forest Resources Assessment 2000
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世界の森林の状況(3)変化 地域区分 森林減少 森林増加 ネット増減 熱帯地域 -14.2 +1.9 -12.3 非熱帯地域 -0.4
-0.4 +3.3 +2.9 世界計 -14.6 +5.2 -9.4 FAO: Forest Resources Assessment 2000
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100坪の土地 18m 10m 7m 1年間の 熱帯林 減少面積 熱帯林14坪 60cm 世界中の森林30坪 世界中の陸地100坪
毎日新聞2002/5/6発信箱瀬川至朗 世界中の陸地100坪 瀬川至朗:毎日新聞「発信箱」
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地球環境問題としての森林の認識 地球規模での森林動態の把握 国境を越えた利害関係の認識
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地球上の森林の動態把握 最初の地球規模の森林の状態(動態)把握は、 1980年代初期の二つの報告書
米国政府「西暦2000年の地球」1980年 FAO/UNEP「熱帯林評価報告書」1981年 森林動態把握の困難性 森林の所在 都市地域から遠隔地に偏在分散 (農業・工業など巨大投資が困難な地域に森林が残存・所在) パラメータの定義 何が森林か、人工林とは、蓄積の計測 動態把握の調査期間
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地球環境問題としての森林の認識 地球規模での森林動態の把握 国境を越えた利害関係の認識 地球共有資源としての森林
生物多様性保全の拠点、二酸化炭素の貯蔵源 循環社会の中での林産物の役割
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生物多様性保全と森林 現存種数 現存種数の推計 500万種から 熱帯雨林7 5000万種 (記載されている 内熱帯林14 のは140万種)
うち熱帯雨林 に半数 あるいは 未記載の甲虫類 の推計によると 熱帯雨林に 90% 鷲谷いずみ 矢原徹一 「保全生態学入門」 熱帯雨林7 全地球 100 内熱帯林14 内熱帯降雨林 内森林 30
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地球の炭素循環 大気 7500 600 613 5 16 900 920 55 化石資源 セメント生産 呼吸 生産 土地利用変化 陸上生態系
単位億トン 大気 7500 600 613 5 16 900 920 55 化石資源 セメント生産 呼吸 生産 土地利用変化 陸上生態系 21900 海洋表層 10200 地下 資源 土壌の貯蔵する炭素量52%、植物体の炭素量89%が森林生態系 土壌 有機堆積物 15800 植物 6100 1000 1020 89% 52% 海洋中層・深層 381000 出所:IPCC第二次報告書第一作業部会報告書
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森林の炭素プールとその流れ 流れ 億トン プール 億トン +4.8±2 +5 +2.6±1 ±0 -5 -9±5 -10
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循環社会の中での林産物の役割 エコマテリアルとしての木材
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世界の人口の過去と未来 出所:国連人口局 現在 世界の人口の推移 億人 90 60 X 30 1960年 西暦 0 1000 2000
世界の人口の過去と未来 出所:国連人口局 億人 90 現在 60 世界の人口の推移 21世紀を考えるとき、20世紀とはどんな世紀だったかを知る必要。 だれも、20世紀しか実体験していないので、これが普通と思っているが、実は20世紀の特に後半は異常な時間。 我々の先祖も子孫もこんな時間を経験することはない。 20世紀は人口が、16億から60億(99年10月21日)4倍に増えた。それも最後が加速。19世紀は10億から16億で1.6倍。30億をこえたのが1960年 西暦 世界の人口 0 300 1600 620 X 30 1960年 西暦 0 1000 2000
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将来の地球のエネルギー消費は? 循環社会実現の背景事情
4.2 トン/人 一人当たり 原油 0.7トン 旧途上国 原油 370億トン 原油82億トン 途上国 4.5倍 人口57億人のうち先進国12億人(2割)・途上国45億人(8割)。 消費エネルギー82億トンのうち先進国49億トン(6割)・途上国33億トン(4割)。 82億トンのうち72億トンは化石燃料。 石油確認可採埋蔵量1400億トン、究極可採埋蔵量2100億トン、究極埋蔵量7500億トン。 90億人 57億人 先進国 先進国 2050年 循環社会 への努力 1995年
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循環社会実現への合意 地球サミットの国際合意(1992年) 日本の環境基本法(1993年平成5年) (第8条事業者の責務)
各国は持続可能な開発及び全ての人々のより質の高い生活を達成するために、持続可能でない生産及び消費の様式を減らし、除去し、かつ適切な人口政策を推進すべき(リオ宣言原則8) 日本の環境基本法(1993年平成5年) (第8条事業者の責務) 環境の負荷の低減に資する原材料、役務を利用するよう努めなければならない。 地球サミット、 国連開発環境会議 1992年6月 100カ国以上の元首が一同に会した会議は後にも先にもこの会議だけ 「環境の負荷の低減に資する原材料」という表現を をよくおぼえておいてください
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環境に負荷をかけない原材料 木材 原油28 キロリットル 原油7 キロリットル 原油36 リットル
環境に負荷をかけない原材料 木材 原油28 キロリットル 原油7 キロリットル 木材は他の資源に比べて製造するのにエネルギーが少なくてすむ。 金属、ガラス、プラスティックなどは生成、合成、成型などの過程で 高温処理しなければ成らないので、どうしても多くのエネルーギーを消費する。 それに比べて木材は、全て常温処理が可能なことから本来省エネ資材である。 原油36 リットル
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出所:循環社会と輸入木材の輸送過程消費エネルギー「木材工業」vol.55no6
輸入材と地域材のエネルギー問題 1m3当たり 原油リットル 原油220リットル 木材は、かさばるので輸送するのに製造するとき以上にエネルギーがかかる。 最近輸入が多くなっている、欧州材は、2万2千キロを輸送されて日本に来る。 製造の6倍のエネルギーをかけて輸送される。 地域材を使うのが省エネになる。 原油36リットル 出所:循環社会と輸入木材の輸送過程消費エネルギー「木材工業」vol.55no6
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出典:エネルギー経済統計要覧、スウェーデン国家工業技術開発局
再生可能なバイオマスエネルギー 先進国と比較しても少ない我が国の木材燃料依存 18%が木材 先進国の中でも、日本の木材エネルギーの依存率は少ない。 スウェーデンは色々の製作努力をして、木材エネルギー依存度は 2割弱になっている。 日本では8割が化石燃料 参考文献 熊崎実著 木質バイオマス発電への期待 社団法人全国林業改良普及協会発行 化石資源 出典:エネルギー経済統計要覧、スウェーデン国家工業技術開発局
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世界のバイオマスエネルギーの将来 バイオマスエネルギーがカギを握る21世紀の社会 IPCC第二次評価報告書(バイオマス促進ケース)
10^12MJ バイオマス 地球温暖化について話し合う場である気候変動に関する政府間パネル (IPCC)が1996年に発表したデータ。 原子力発電を現状維持するバイオマス促進ケース 前提は CO2排出量を62億トンから17億トンに減らす エネルギー消費を二倍に押さえる 参考文献 熊崎実他著 地球の限界 日科技連出版社発行 化石資源
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「循環社会」とエコマテリアルとしての 林産物
社会の永続性を確保するため、あらゆる活動に伴い消費するモノやエネルギーにかかる資源を、繰り返しまたは様々な形で利用し、廃棄するモノを最小限にする、システムを有する社会加藤三郎「『循環社会』の創造条件」より 自然エネルギー(バイオマス、太陽光など) 当面最も効率的なエネルギーの供給源 環境 温室効果ガスなど 人間社会 循環社会にとって森林の重要性はもっとある 農地の保全を図る 水の利用をしやすくする 蒸散作用によりヒートアイランドを冷やす などなど 人は森林から生まれてきている 流通 消費 再生可能資源 生産 廃棄物 再資源化 生産流通段階での 省エネ資材 数少ない再生可能資源
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国際的な森林レジーム形成の取組 「持続可能な森林経営」
政府の役割 民間の活動 80 年 代 熱帯林の急速な 減少の調査報告 緊急な援助計画 熱帯林行動計画 不発に終わる 熱帯木材 ボイコット運動 沸騰 地球サミット:「全ての森林の持続可能な森林経営の実現」 木材生産から生態系管理・市場の失敗・国際共同作業 90 年 代 熱帯林行動計画の評価報告書90年 125カ国の熱帯隣国の内75カ国が参加 うまく行かなかった原因は タイムフレームと数値目標がなく、実施責任があいまい、そのために政治的な動員ができなかった。 FAOの中でもトッププライオリティに持っていけなかった。 森林条約を提言 各国 政策 努力 CSD IPF/IFF UNFF 個別協定 の 強化 国際的な技術基準 認証制度 ラベリング 制度 21 世 紀 包括的国際森林条約 政治的合意 技術開発(規準・監視手法)
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森林条約を巡る各アクターの動き 条約推進 環境 NGO EC 日 米 EC 日 アジア 環境派 開発派 アジア 米 環境 NGO 伯 伯
条約反対
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森林に関する条約と森林の機能 B.M.G.S.Ruis, ”No forest convention but ten tree treaties”, UNASYLVA, 2002 より作成
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森林条約と気候変動条約の レジーム形成の差異の背景
共通点 どちらも開発の制約になる 監視コスト・管理コストがかかる 相違点 途上国を除外したレジームが意味をなすか ターゲットの明確度
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国際森林レジームの特徴と 可能性 レジーム形成のハードル レジーム展開の契機 次世代の利益と現在の途上国の開発権との調整
各国内での複雑な利害関係者の調整 モニタリングのための質の高いネットワークの形成 レジーム展開の契機 緑の消費者の登場 西暦2000年目標問題の経験、違法伐採問題、国際的な森林経営の認証 既存のレジームの発展 温暖化条約・生物多様性条約の森林の取り扱い WTO新たなラウンドでの環境と貿易 我が国の果たす役割
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「持続可能な森林経営」や「森林認証」、「環境と貿易」など興味のある方はお立ち寄り下さい
My Website 「持続可能な森林経営」や「森林認証」、「環境と貿易」など興味のある方はお立ち寄り下さい 持続可能な森林経営の実現のための 政策手段に関する勉強部屋 このページは、国内外の持続可能な森林経営の実現のため、実務者や研究者が政策手段に関して様々な交流をすることを目的に開設しています。持続可能な森林経営・森林認証ラベリング・モニタリング・森林条約・貿易的手法・貿易と環境・WTO・環境ダンピング・化石資源・環境税などに少しでもご関心のある方は、お立ち寄りください。→サイトマップへどうぞ。 ご希望の方には月一回のペースで勉強部屋ニュースレターを配布しています(ニュースレターをご希望の方は、こちらへ 過去のニュースレターはこちら)。 なおこのサイトは「持続可能な森林経営の実現のための政策手段に関する考察」という、研究構想に基づいて構成されております。興味のある方は研究構想概要をご覧ください。
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