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巡回セールスマン問題入門 Introduction to Traveling Salesman Problems
東京大学工学部計数工学科 松井知己
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巡回セールスマン問題 (Traveling Salesman Problem)
●定式化が困難な問題 ●新聞記事等で有名な問題 ●様々な解法の試金石
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セールスマンが全ての都市を1回ずつ通過して, 出発地に戻って来る経路で最も短いものを捜す. 6都市ならば,
巡回セールスマン問題 セールスマンが全ての都市を1回ずつ通過して, 出発地に戻って来る経路で最も短いものを捜す. 6都市ならば, 5!/2= 5×4×3×2 / 2 =60通り. n 都市ならば, (n - 1)! /2 通り. 近年, 新聞や科学雑誌でも 取り上げられて有名になった. TSP(Traveling Salesman Problem) 原型:ハミルトン閉路問題
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電子基盤に穴をあける (部品を埋め込む)順序を決定する問題. 総移動距離を最小化する = 単位時間当たりの生産量最大化.
ドリル穴あけ計画問題 電子基盤に穴をあける (部品を埋め込む)順序を決定する問題. 総移動距離を最小化する = 単位時間当たりの生産量最大化.
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全ての都市を1回ずつ通過して,出発地に戻って来る経路で最も短いものを捜す. ただし,都市間の移動時間は, 移動方向に依存して異なる.
非対称巡回セールスマン問題 全ての都市を1回ずつ通過して,出発地に戻って来る経路で最も短いものを捜す. ただし,都市間の移動時間は, 移動方向に依存して異なる. (移動時間の非対称性) 実際の道路網では, 良く見かける状況. 3 5 6 2 7 8 9 1 4
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鉄板の圧延計画 部品によってブレード位置を 設定する必要がある. ブレードの設定変更の費用は, 変更前後の部品種類によって異なる,
一機械スケジューリング問題 鉄板の圧延計画 部品によってブレード位置を 設定する必要がある. ブレードの設定変更の費用は, 変更前後の部品種類によって異なる, (幅を狭めるのは難しい). ブレード設定変更の総費用最小化. 非対称TSPへの帰着 都市 = 生産する部品 セールスマン = 圧延機械 距離 = ブレード設定変更費用
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非対称TSP 都市間の距離が向きにより異なる 一般 対称TSP 都市間の距離が向きに寄らない 平面TSP 都市が平面上の点,
巡回セールスマン問題のヴァリエーション 都市間距離 非対称TSP 都市間の距離が向きにより異なる 一般 対称TSP 都市間の距離が向きに寄らない 平面TSP 都市が平面上の点, 都市間距離は2点間の直線距離 特殊 他の制約 m人TSP 出発点から出たm人で都市全体を回る 各都市を丁度1回ずつ通過→1回以上通過 各枝を1回以上通過=中国人郵便配達人問題 (Chinese Postman Problem)
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Hamilton 閉路問題 ●セールスマン問題の原型 ●難しさの原点
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グラフ:頂点とそれを結ぶ枝からなるもの 頂点:①, ②, ③, ④, ⑤ 枝:a, b, c, d, e, f
1 4 f d a c 5 e 2 3 b
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Hamilton 閉路:すべての頂点を丁度1回づつ通過して, 出発点に戻る路(閉路). 与えられたグラフにHamilton閉路がありますか?
YES:Hamilton 閉路有り NO:Hamilton 閉路無し
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William Rowan Hamilton (1805-1865) Icosian Game: 正12面体の頂点全て(20個)を,
1人目: 最初の4歩 (5個の頂点)を指定. 2人目: 5歩目以降を探索. 正12面体の頂点全てを, 丁度1回ずつ通過して戻る道を, 見つければ,勝利. ? 6 7 5 20 4 2 1 3
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参考図書
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The Traveling Salesman Problem,
参考図書 The Traveling Salesman Problem, E. L. Lawler, J. K. Lenstra, A. H. G. Rinnooy Kan, and D. B. Shmoys, Wiley, 1985.
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参考図書 「巡回セールスマン問題への招待」, 山本芳嗣, 久保幹雄, 朝倉書店.
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参考図書 「整数計画法と組合せ最適化」, 今野浩, 鈴木久敏, 日科技連.
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組合せ的爆発 ●セールスマン問題の難しさ ●計算量
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(対称)TSP:都市n個のとき, (n‐1)!/2通り. 組合せの数は有限だが, 沢山あるので,最適解を見つけるのが難しい.
組合せ最適化の難しさ (対称)TSP:都市n個のとき, (n‐1)!/2通り. 組合せの数は有限だが, 沢山あるので,最適解を見つけるのが難しい. 組合せ錠 (Combination Lock): 組合せは有限だが, 最適を見つける(錠を開ける) のは難しい. 錠の性質を知って, 効率的に開ける. 有限時間で解ける事は分かっているので, 解くのにかかる時間の議論は本質的な議論. 9 1 2 3 4 5 6 7 1
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5つの基本演算はすべて1stepで実行できる. Q1. a1, ...,an の2倍の和を求める.
計算量 +,-,×,÷, 比較: 5つの基本演算はすべて1stepで実行できる. (実際は,×は+より時間がかかる.) Q1. a1, ...,an の2倍の和を求める. (1) 2×a1+・・・+ 2×an , 2n-1 steps→ O(n)算法. (2) 2×(a1+・・・+an) , n steps→ O(n)算法. Q2. a1b1+・・・+anbnの計算. 2n-1 steps → O(n)算法. Q3.n×n行列2つの掛け算. 定義通りの計算 n2(2n-1) steps → O(n3)算法. 注: Strassen の算法は O(n2.7).
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最悪値評価: 最悪のケースの時間を算定する. : O(n) O(n log n ) 多項式時間算法
アルゴリズムの速さ アルゴリズムの実行時間は, 入力に依存する事が多い. 最悪値評価: 最悪のケースの時間を算定する. : O(n) O(n log n ) 多項式時間算法 O(n2) polynomial time algorithm O(n3) O(2n) 指数時間算法 O(n!) exponential time algorithm O(n log2 n ) = O(n log10 n )
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(対称)TSP:都市n個のとき, (n‐1)!/2通り. 100MIPS (mega instructions per second)
組合せ的爆発 (対称)TSP:都市n個のとき, (n‐1)!/2通り. 100MIPS (mega instructions per second) 1秒間に100万回の計算=1回 に 10-6秒 光速 3.0×1010cm/秒 (10-6秒 に 300m進む) n , ,000 n 秒 秒 秒 秒 n 秒 秒 秒 秒 n 秒 秒 分 時間 2n 秒 1014世紀 世紀 ‐‐‐‐‐‐‐ n! 秒 世紀 世紀 ‐‐‐‐‐‐‐ 実感しよう! 宇宙の年齢 1.5×108 世紀 (150億年)
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5mm四方のチップ:1.7×10‐11 秒に光は0.5cm進む.
計算機スピードと組合せ的爆発 計算機が速くなれば,むしろ差は広がる! 10秒間にできる計算量は? 100MIPS 10倍 倍 倍 n n 千 万 万 万 n 千 千 2n n! 1000倍⇒ 1step に 10-9秒 ⇒ 10-9秒 に光は30cm進む 5mm四方のチップ:1.7×10‐11 秒に光は0.5cm進む.
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100MIPSの計算機に比べ,どのくらい速いか? n 100 1,000 .
並列計算機ならば 5 mm 四方 のチップ: 光が5mmを動くには 1.7×10‐11 秒より, 1stepには1.7×10‐11 秒かかる. 地球表面を全て上記チップで覆う: 2.0×1019個. 100MIPSの計算機に比べ,どのくらい速いか? n , 2n 世紀 → 0.85 秒 世紀 → 世紀 n! 世紀 → 10120世紀 世紀 → 世紀 有限で解けるのだから, 「計算の速さ」の議論は本質的.
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計算の複雑さ (Computational Complexity )
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答がYESとNOで,納得させる難しさが異なる. 「すべてのカラスは黒い」 =「黒くないカラスがいるか?」
存在の判定問題の難しさ 何かが存在する事を判定する問題: 答がYESとNOで,納得させる難しさが異なる. 「すべてのカラスは黒い」 =「黒くないカラスがいるか?」 YES:(簡単)そのカラスを連れてくる.(反例を挙げる) NO:(困難)すべてのカラスをチェックしてみせる? 「宇宙人はいるか?」 YES :(簡単)宇宙人を連れてくる. NO:(困難)宇宙中をすべて探索してみせる? 計算可能性や反証可能性とも関連
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YES:Hamilton 閉路有り NO:Hamilton 閉路無し
Hamiton 閉路問題 Hamilton 閉路: すべての頂点を丁度1回ずつ通過して, 出発点に戻る路(閉路). Hamilton閉路が存在するか? YES:Hamilton 閉路有り NO:Hamilton 閉路無し 証拠は?
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割当問題 4っの仕事を4台の機械に割り当てる. YES
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割当ては存在しない(NO!) → 存在しない証拠は?
2n頂点: O(n2.5)時間で存在をチェックできる.
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クラスNP :YESの時に証拠のある問題のクラス クラスco-NP:NOの時に証拠のある問題のクラス
NP‐完全 (NP-complete) 決定問題:YES-NO を答える問題 クラスNP :YESの時に証拠のある問題のクラス クラスco-NP:NOの時に証拠のある問題のクラス クラスP:多項式時間算法の存在する問題のクラス クラスNP‐完全:多項式時間算法の存在が 絶望視されている問題のクラス クラスco-NP クラスNP クラスNP-完全 Hamilton閉路問題 クラスP 割当問題
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最小包囲円問題 最小包囲円問題:与えられた点集合を含む, 半径最小の円を求める 最適でない 最適である n点:O(n)時間解法が存在.
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与えられた巡回路は最適解(最も短い)か? 最適でない 最適? 最適でないときは,より短い解を証拠とできる.
平面TSP 与えられた巡回路は最適解(最も短い)か? 最適でない 最適? 最適でないときは,より短い解を証拠とできる. 最適である証拠は?
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TSPを解く算法 ●厳密解法 ●近似解法 ●発見的解法
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厳密解法 (exact algorithm): 最適解を1つ求める解法 近似解法 (approximation algorithm):
TSPの解法の種類 厳密解法 (exact algorithm): 最適解を1つ求める解法 近似解法 (approximation algorithm): 求められる解の精度に(何らかの)保証のあるもの. 発見的解法 (heuristic algorithm): 良いと思われる解を探索する解法.解の精度に保証は無い.
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●分枝カット法 =分枝限定法+組合せ的多面体論
厳密解法 ●分枝カット法 =分枝限定法+組合せ的多面体論
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1954: 49都市: 切除平面法 1971: 65都市: ラグランジュ双対法 1980: 318都市: 分枝カット法
厳密解法の歴史(平面TSP) 厳密解法について,今日は話しません! 1954: 49都市: 切除平面法 Dantzig, Fulkerson and Johnson 1971: 65都市: ラグランジュ双対法 Held and Karp 1980: 318都市: 分枝カット法 Christofides and Padberg 1991: 666都市: 分枝カット法 Grotschel and Holland 1991: 2,392都市: 分枝カット法 Padberg and Rinaldi 1993: 4,461都市: 並列計算機+分枝カット法 Applegate, Bixby, Chvatal and Cook 1994: 7,397都市: 並列計算機+分枝カット法
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近似解法 ●近似の困難さ ●簡単な2近似解法
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「与えられた(対称)TSPにおいて,最短巡回路の長さのM倍以下の巡回路が存在するか?」 という問題はNP‐完全である.
近似の難しさ 定理: 任意の正の数 Mに対し,以下が成り立つ. 「与えられた(対称)TSPにおいて,最短巡回路の長さのM倍以下の巡回路が存在するか?」 という問題はNP‐完全である. 最適解のM倍以内の近似解を求める問題も,元の問題(TSP)と同程度に難しい. 三角不等式が成り立つときは,近似算法がある.
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枝の短いものから順に(サイクルが出来ない限り)取り入れて行く.
巡回セールスマン問題の2‐近似解法 全域木:頂点全体を連結にする枝集合 最短全域木:貪欲算法で求められる. 枝の短いものから順に(サイクルが出来ない限り)取り入れて行く. 最短全域木の長さ≦最短巡回路 1 2 4 5 7 8
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三角不等式が成り立つときは,近似算法がある:
2重全域木法 三角不等式が成り立つときは,近似算法がある: 最短全域木にそって, 一度通過した頂点は, 全ての頂点を回る. スキップする. 2×最短巡回路の長さ ≧2×最短全域木の長さ≧得られた巡回路の長さ
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●局所探索 ● Simulated Annealing ● Tabu Search
発見的解法(平面TSP) ●局所探索 ● Simulated Annealing ● Tabu Search
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構築法 (construction method) nearest neighbor 法 nearest addition 法
発見的解法 構築法 (construction method) nearest neighbor 法 nearest addition 法 farthest insertion 法 改善法 (improvement method) 局所探索法 (local search method) 模擬焼き鈍し法 (simulated annealing method) 禁断探索法 (tabu search method) 遺伝的アルゴリズム(genetic algorithm) ニューラルネットワーク (neural network): (TSPに向かない.最近は使われていない)
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● nearest neighbor 法 ● nearest addition 法 ● farthest insertion 法
構築法 ● nearest neighbor 法 ● nearest addition 法 ● farthest insertion 法
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nearest neighbor 法:(最適値との誤差 15% 程度)
構築法 nearest neighbor 法:(最適値との誤差 15% 程度) nearest addition 法: (最適値との誤差 20% 程度) farthest insertion 法: (最適値との誤差 5% 程度)
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改善法 ●局所探索法 (local search method) ●模擬焼き鈍し法 (simulated annealing method)
●禁断探索法 (tabu search method)
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●最も簡単な改善法 ●改善法の基礎 ●最も強力な改善法となることも多い
局所探索法 (Local Search) ●最も簡単な改善法 ●改善法の基礎 ●最も強力な改善法となることも多い
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局所探索法 (local search method)
最も基本的な改善法 山登り法 (hill climbing method) とも呼ばれる. 現在の解の近傍(良く似ている解の集合)で,目的関数値がより良いものがあれば,現在の解をそれに更新する. (大域的)最適解 局所的最適解 良い 目的関数値
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現在の巡回路から2本枝を付け替えて, より短かくなる巡回路が有るならば, (1つとは限らない),巡回路をそのうちのどれかに更新する.
2-opt近傍を用いた局所探索法 2-opt近傍:2本の枝の付け替えで 得られる巡回路の集合 現在の巡回路から2本枝を付け替えて, より短かくなる巡回路が有るならば, (1つとは限らない),巡回路をそのうちのどれかに更新する. Nearest Neighbor + 2-opt =(最適値から2.5%程度) etc.
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一般的な局所探索法(図) 目的関数値 局所的最適解 局所的最適解 良い (大域的)最適解 近傍
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2-opt 近傍:枝を2本付替えて得られる巡回路. 3-opt 近傍:枝を3本付替えて得られる巡回路.
近傍の決定 巡回セールスマン問題の近傍 2-opt 近傍:枝を2本付替えて得られる巡回路. 3-opt 近傍:枝を3本付替えて得られる巡回路. 4-opt 近傍:枝を4本付替えて得られる巡回路.
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得られる解:悪い局所最適解⇔良い局所最適解 近傍の決定は,得られる解の良さと,使用できる計算時間の釣り合いに依存.
例 : 2-opt opt opt ‥‥ 近傍の広さ: 狭い ⇔ 広い 近傍探索 : 短時間 ⇔ 長時間 得られる解:悪い局所最適解⇔良い局所最適解 近傍の決定は,得られる解の良さと,使用できる計算時間の釣り合いに依存. Nearest neighbor =(最適値から15%程度) Nearest neighbor + 2-opt =(2.5%程度) Nearest neighbor + 2,3-opt =(0.3%程度)
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探索する解空間を,許容領域から少し広げる事により,性能の良い探索法を構築する.
探索空間の設定 Lin and Kernighan の解法 探索する解空間を,許容領域から少し広げる事により,性能の良い探索法を構築する. 擬似許容解解:許容解に近い解集合を,擬似許容解として定義し,擬似許容解中を探索. δパス (e パス,のパス‥?):
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探索する領域を,許容解集合(巡回路集合)から,少し広げる.対応する巡回路
Lin and Kernighan の算法 探索する領域を,許容解集合(巡回路集合)から,少し広げる.対応する巡回路 擬似許容解 許容解
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局所最適解からの脱出
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(multiple start local search) ●広い近傍の一時的な導入 (iterated local search)
局所最適解の脱出 局所探索法は,局所最適解で停止する. ⇒局所最適解からの脱出法が必要 ●初期解を変えて,局所探索法を再適用 (multiple start local search) ●広い近傍の一時的な導入 (iterated local search) ●ランダム性の導入 模擬焼き鈍し法 (simulated annealing method) ●最急降下‐最緩上昇 タブー探索法 (tabu search method)
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●一時的に広い近傍を用いて, 局所最適解から脱出する. (1ページ)
Iterated Local Search ●一時的に広い近傍を用いて, 局所最適解から脱出する. (1ページ)
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iterated local search:一時的に広い近傍を用いて, 現在いる局所最適解から脱出する.
例:巡回セールスマン問題の Lin and Kernighan探索法において,局所最適解が得られた際,(無作為に) 4-opt 操作を行って,局所最適解から脱出する.
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模擬焼き鈍し法 (Simulated Annealing)
●ランダム性を用いて 局所最適解を脱出する. ●解の改善量を導入して, ランダム性に偏向を与える. (3ページ)
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金属やガラスの内部の歪みを除くため,ある程度まで熱してから徐々に冷ますこと. 以下の方法で山を登る:
simulated annealing annealing: 焼き鈍し: 金属やガラスの内部の歪みを除くため,ある程度まで熱してから徐々に冷ますこと. 以下の方法で山を登る: 現在地 x の近傍内から適当に1点y を選ぶ. if (x より y が高い), then (x から y に移動). else (ある確率 pで x から y に移動). x と y の標高差が小 ⇒ 移動する確率 pが大. 気温が高い(熱い) ⇒ 移動する確率 pが大. 気温は時間と共に徐々に下がって行く.
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各反復で以下を行う.(目的関数 f (x) ) 現在の解を x,現在の温度をTとする. x の近傍内から適当に1点y を選ぶ.
simulated annealing 各反復で以下を行う.(目的関数 f (x) ) 現在の解を x,現在の温度をTとする. x の近傍内から適当に1点y を選ぶ. if (x より y が良い解), then (x を y で更新). else (確率 exp{-| f(x)-f(y)| / T}で x を yで更新). 変化量|f(x)-f(y)|が小 ⇒ 更新する確率が大. 温度Tが高い ⇒ 更新する確率が大. (温度が高いと,局所最適解を脱出する可能性が有る.) 温度は反復と共に下がって行く. 例:対数冷却:第k反復の温度Tk∝1/log(k+1)
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simulated annealing の特徴
近傍より1点を選んで計算する. 近傍全域を探索しない. 局所探索に比べ広い近傍を用いる事ができる. 2~4opt 近傍を用いる事が可能. 定理[Hajek] simulated annealing の挙動を表現するMarkov chainが既約で弱可逆ならば,対数冷却を用いた simulated annealing で生成される解の列は,確率1で最適解に収束する. 注:上の定理が保証する収束時間は,O(n !)より長い.
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●最急降下最緩上昇で 局所最適解を脱出する. ●タブーリストを用いて,循環を避ける. (4ページ)
禁断探索法 (Tabu Search) ●最急降下最緩上昇で 局所最適解を脱出する. ●タブーリストを用いて,循環を避ける. (4ページ)
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最急降下:下がれる時は最も下がる方向へ. 最緩上昇:下がれないときは,最も緩やかな登りの方向へ.
最急降下最緩上昇 (最小化問題の)局所最適を脱出する: 最急降下:下がれる時は最も下がる方向へ. 最緩上昇:下がれないときは,最も緩やかな登りの方向へ. これだけでは, いくつかの解を巡回するだけ. タブーリストを用いて, 後戻りを「しばらくの間」禁止する. (次ページで例示)
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e または f を使った 2-opt 交換を禁止する. tabu list:交換に用いる事が禁止されている枝リスト.
tabu search 2‐opt 近傍:2つの枝を交換 tabu:ある反復で 枝 eと枝 f の交換を行ったら, その後数回の反復では, e または f を使った 2-opt 交換を禁止する. tabu list:交換に用いる事が禁止されている枝リスト. tabu search: 可能な 2-opt 交換の中で, 最急降下最緩上昇の交換を選ぶ. tabu length:tabu の状態に留める期間. 要素毎に 5~11 の値を無作為に選ぶ.
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頻度メモリ:解の更新方法それぞれにつき, それが実行された頻度(回数)を記憶しておく. 頻度の大きな更新は,余り行わないようにする.
頻度メモリ(長期メモリ)の導入 解の一部分での局所的な交換で, 目的関数値をあまり変えない物があれば, 多数回起こる可能性がある. 頻度メモリ:解の更新方法それぞれにつき, それが実行された頻度(回数)を記憶しておく. 頻度の大きな更新は,余り行わないようにする.
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近傍内の全探査をする: あまり広い近傍は取れない. 解法の枠組みが単純: 問題依存の規則を多数加える事が出来る.
tabu search の特徴 近傍内の全探査をする: あまり広い近傍は取れない. 解法の枠組みが単純: 問題依存の規則を多数加える事が出来る. ヴァリエーションが広い(広すぎる). 良い解法の構築の「定石」が少ない.
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おわり
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