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言語学習・言語処理論 今井むつみ 慶應大学環境情報学部
2018/12/2 メンタルレキシコン 今井むつみ 慶應大学環境情報学部 2018/12/2
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言語学習・言語処理論 今井むつみ 慶應大学環境情報学部
2018/12/2 ことば同士の結びつき 今井むつみ 慶應大学環境情報学部 2018/12/2
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ことば同士の結びつき 二つのアプローチ (1)ことばは限られた数の普遍的な意味原素から成り立つ。似ていることば同士は共通の意味原素を持つ(古典的意味論と非常に似た考え方)→意味原素論(Decompositionist Theory) (2)ことばはそれぞれをひとつの単位と考える。ことばは複数の種類の結びつき方で結びついており、メンタルレキシコンは蜘蛛の巣のような意味ネットワークの構造をしている 2018/12/2
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2018/12/2
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意味原素論(1) 何が普遍的な意味原素なのか? シャンク Physical acts MOVE, INGEST, GRASP
Mental CONC, MTRANS, ATRANS breath, drink, eat, inhale, sniff →INGESTを共通に持つ buy,sell,give, take, steal →ATRANSを共通に持つ 2018/12/2
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意味原素論(2) ~意味原素論の問題点~ 「原素」がいくつなのか、一体何が原素なのかについて心理学的な根拠が希薄
このアプローチは主に限られた動詞のセットを扱う 他の種類のことばでの適用は難しい 例 空間関係を表す語は? 2018/12/2
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意味原素論まとめ この考え方は辞書の記述(特にコンピュータ上での)に非常に便利。意味分析において必須。経済性の面からも望ましい。
しかし、古典的意味論と同様、普遍的原素が何かを特定することが非常に困難で、提唱された原素もその心的根拠はほとんどない。 2018/12/2
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意味ネットワーク メンタルレキシコンの地図をつくれるか 語の連想 蝶 (butterfly) 空腹な (hungry) 赤 (red)
塩 (salt) 2018/12/2
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2018/12/2
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メンタルレキシコンの地図をつくれるか(1)
連想されやすい語 Co-ordination (同種の仲間) 塩→こしょう、蝶→蛾、赤→白、青etc. Collocation (共起しやすい語) 塩→水、蝶→網 2018/12/2
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メンタルレキシコンの地図をつくれるか(2)
Super-ordination (上位概念) 赤→色、蝶→昆虫 Synonymy (同義語) パーティー →宴会 2018/12/2
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2018/12/2
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Co-ordination のリンクがある証拠
人の言い間違い 右→左、昨日→明日、青→緑、兄→妹 似た語を一緒くたにしてしまうこともある I went to Noshville (Nashvill + Knoxville). I’d like some taquua (tequila + Kahlua). 2018/12/2
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Co-ordinationのリンクの証拠から示唆されること(1)
Co-ordinate の関係のリンクは非常に強い 言い間違いに見られる Co-ordinates の種類 対比 りんごーなし、赤ー黒、月曜ー火曜 反対 上ー下、太っているーやせている、男ー女 いとこ関係 土曜日ー1月(曜日名ー月名) 2018/12/2
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Collocational link の証拠
star: stardust, starfish, starwars 失語症→ collocational link は良く保たれていることが多い bread → butter adolescent → rude イディオム→それ自体がひとつのまとまりとして処理される 2018/12/2
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Super-ordination ~階層関係のリンク~
カテゴリーの多く→階層関係 コリンズとキリアン ‘A canary is a canary.’ ‘A canary is a bird.’ A canary is an animal.’ 2018/12/2
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Super-ordination(2)~階層関係のリンク~
コリンズとキリアンに対して (1)頻度の問題→カナリアは動物より鳥といっしょに使われることが多い (2)「動物」は2つの使われ方をする 生き物全般 哺乳類あるいは4つ足の動物 2018/12/2
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Super-ordination(3)~階層関係のリンク~
‘A poodle is an animal.’ ‘A dog is an animal.’ → verification の時間に差がない 階層的な関係→同列の関係 (Co-ordination) ほど強い結びつきではない 階層的な結びつき→すべてのカテゴリーに同質にあるものではない → Wisniewski, Imai & Casey (1996) 2018/12/2
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Super-ordination(4)~階層関係のリンク~
Wisniewski, Imai & Casey (1996) の実験 上位概念には2種類ある 階層関係によって結ばれている概念 (動物、乗り物、植物など) テーマ、空間的な共起関係によってまとまっている概念 (家具、キャンプ用品など) 2018/12/2
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同義語 (Synonym) 非常に意味が近い(ほとんどの状況で交換可能)同義語については blending の言い間違いが起こる
That’s torrible. (terrible, horrible) 少し意味が違うと起こりにくい chase / pursue → blending は起こらない pursue →望ましいものを追いかける 知識、知恵、名声 chase →馬、犬、犯人 2018/12/2
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ことばの品詞と意味ネットワーク ことばは意味ネットワークでは品詞(part of speech:動詞、名詞、形容詞など)ごとに分類されているのだろうか? 品詞の境界を超えた言い間違いはほとんどみられない 動詞、名詞、形容詞は言語普遍的なカテゴリー 文法クラスと意味カテゴリーは密接な関係 2018/12/2
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ことばの品詞と意味ネットワーク(2) メンタルレキシコンではそれぞれのことばは品詞のタグづけがされ、ことばの文法的役割と意味はいっしょに表象されている →‘lema’ メンタルレキシコン内のことば同士のネットワーク構造の形は品詞によって異なる (ワードネットプロジェクト) 2018/12/2
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名詞クラスの構造 一般的な関係 階層関係 基礎レベル内のco-ordinatesの関係が特に重要 部分全体関係(meronomy)
それぞれのエントリー(名詞)は「属性」を持つ 2018/12/2
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動詞クラスの構造 多くの動詞は名詞のように上位、下位に関係づけられる
下のレベルにある動詞 →一般的に上のレベルのアクションの特定の仕方を表す ワードネットではこの関係を名詞の階層構造と区別してTroponymyと呼ぶ 2018/12/2
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形容詞クラスの構造 二つのタイプ ascriptive (名詞の属性;一般的に1次元上で対概念があり、相対的な性質) heavy vs. light, high vs. short, soft vs. hard pertainyms (名詞に付属する、あるいは関連する分野、場所などを表し名詞を限定する) musical cat, scientific discovery, mathematical genius 2018/12/2
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形容詞と形容動詞 冷たい、柔らかい、赤い 静かな、おおらかな 2018/12/2
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上位語(hypernym): すべてのXがYの種類の一であるならYはXの上位語である。
名詞 上位語(hypernym): すべてのXがYの種類の一であるならYはXの上位語である。 下位語(hyponym): すべてのYがXの種類の一であるならYはXの下位語である。 同族語(coordinate term): XとYがの上位語が同じなら、YはXの同族語である。 holonym: XがYの一部であるなら、YはXのholonymである。 meronym: YがXの一部であるなら、YはXのmeronymである。 動詞 上位語(hypernym): Xという行動がYの種類の一であるなら動詞Yは動詞Xの上位語である。 (「移動(movement)」は「旅行(travel)」の上位語) troponym: もしYという行動がXを行う際の様態であるなら動詞Yは動詞Xのtroponymである。(「片言で話す(lisp)」は「話す(talk)」のtroponym) entailment: Xしている場合必然的にYしているなら動詞Yは動詞Xにentail(ひきおこすこと)されている。 (X:「いびきをかく(snoring)」はY:眠る(sleeping)」ことによって引きおこされる。) 同族語(coordinate terms): XとYの上位語が同じなら、YはXの同族語である。 2018/12/2
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名詞(自然物) Apple 名詞(人工物)refrigerator 動詞 Walk 形容詞 Beautiful 2018/12/2
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ことばの意味を類似語の対比とカテゴリーの境界から探る
2018/12/2
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持つ・運ぶ動作に関することばの意味 日本語 英語 中国語は? 持つ、抱える、抱く、背負う、担ぐ、支える Carry, hold
2018/12/2
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2018/12/2
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それぞれの動作にどの動詞を割り当てるか 手続き: 産出テスト:被験者はビデオを見て,刺激文に回答する 2018/12/2
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それぞれの語の境界は? 13の語と13のビデオのすべての組み合わせをつくり、そのひとつひとつにYes, Noで反応してもらう これはna?
これはding? これはbao? これはbei? 2018/12/2
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子どもの理解する「意味」と大人の理解する「意味」は同じか、違うか
2018/12/2
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2-2.実験概要:単純集計 大人(大学生)群 産出動詞 ビデオ 上手く使い分けられていれば対角線上に値が並ぶ 2018/12/2
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2-2.実験概要:単純集計 3歳児 産出自体はしているものの,大きくばらついている 2018/12/2
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3-1.分析①:相関分析 目的: 方法: 子どもの動詞の産出分布がどの様な過程を経て大人の産出分布へと近づいていくかを見る
年齢群毎にイベント間の相関行列を取り(各ベクトルの成分は動詞の産出頻度),更に行列ごとに年齢間で相関を取る 2018/12/2
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3-1.分析①:相関分析 結果: 年齢を経る毎に,イベントに対する動詞の産出分布は線形に大人との相関を強める傾向がある
しかし7歳児でも,大人との相関は0.6程度 産出することは出来ても,大人と同様に使うにはより時間がかかる 2018/12/2
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5-1.予備⑥:個別MDS 3 years ADULT 2018/12/2
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3-3.分析③:個人差MDS 結果:共通空間 ぬいぐるみ 手(指)が重要 容器 手以外の部分も重要 鞄 2018/12/2
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3-3.分析③:個人差MDS 結果:個人空間 動詞を用いたイベント認知の特徴(軸に対する重み付け)が年齢間で異なる!
大人は軸1(手の重要さ)に対する感度が相対的に子どもよりも高く、子どもは軸2(オブジェクトの性質?)に対する感度が相対的に大人よりも高い 2018/12/2
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