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電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 5/19講義分 電磁場のエネルギー 山田 博仁
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今後の講義スケジュール ・ 5/19(木)(第5回目) 電磁場のエネルギー、波動方程式
・ 5/19(木)(第5回目) 電磁場のエネルギー、波動方程式 ・ 5/26(木)(第6回目) 電磁波の性質 (第1回レポート〆切) ・ 6/2(木)(第7回目) 電磁場の運動量 ・ 6/9(木)(第8回目) 電磁波の反射と透過 (第2回レポート出題) ・ 6/16(木)(第9回目) 電磁波の反射と透過、偏波 ・ 6/23(木)(第10回目) 電磁波の共振器と導波路 (第2回レポート〆切) ・ 6/30(木)(第11回目) 光導波路と光共振器 ・ 7/7(木)(第12回目) 電磁ポテンシャルとゲージ変換 (第3回レポート出題) ・ 7/14(木)(第13回目) 電気双極子による電磁波の放射 ・ 7/21(木)(第14回目) 点電荷による電磁波の放射 (第3回レポート〆切) ・ 7/28(木)(予備) ・ 8/2(火)? 定期試験
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静電エネルギー 電荷 Q を与えた半径 a の孤立導体球の静電エネルギーを求める dq ∞遠方 dW fq
太田昭男 新しい電磁気学 p.33 電荷 Q を与えた半径 a の孤立導体球の静電エネルギーを求める dq ∞遠方 dW fq 導体上に既に電荷 q が分布している場合、導体の電位 fq は、 a q この状態から、さらに微小電荷 dq を無限遠方から導体上に運ぶために必要な仕事 dW は、 従って、導体上に電荷を少しずつ運び最終的に Q とするために要する仕事 W は、 従って、導体球は上記の静電エネルギー W を有すると考えられる(遠隔作用の観点)
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帯電した導体球の周りの電場のエネルギー 帯電した導体球の周りには電場 E(r) が存在する。
dr 電場の静電エネルギー密度 ue は、教科書 p69 式(5.41)に依れば以下の式で与えられる。 a Q E(r) (等方性媒質なら) 従って、導体球の周りの空間に存在する電場の全エネルギーは、 近接作用の観点では、電場のエネルギーは空間に蓄積されていると考える
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電磁場のエネルギー 磁場の磁気エネルギー密度 um は、教科書 p152 式(9.51)に依れば以下の式で与えられる。
(等方性媒質の場合) ここで、ue は電場によるエネルギー密度、um は磁場によるエネルギー密度 ある空間 V 内の電磁場エネルギーは、それをその空間内で体積積分したもので、 物質中(真空中)に時間的に変動しない電磁場が存在する場合、空間に蓄えられる電磁場のエネルギー
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時間的に変動する電磁場のエネルギー 次に、時間的に変動する電磁場のエネルギーを表す式を導出してみる
以下のベクトル恒等式(教科書 p228の一番上の式)からスタート 上式にMaxwellの方程式を代入 媒質が等方性であるとして、
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時間的に変動する電磁場のエネルギー 従って、 電磁場に関するエネルギー保存則 上式を、ある領域 V で積分すると、 Gaussの定理
Poynting ベクトル S = E×H を、 領域 V 内の電磁場エネルギー U ジュール熱によるエネルギー損失 領域 V を囲む閉曲面 S から単位時間に外部に流出するエネルギー dS S=E×H V S n U E・ie S = E×H Poynting ベクトル は、 電磁場のエネルギーの流れを表す E S H ※ Poyntingベクトルがあるからと言って、 必ずしもエネルギーの流れがある訳 ではない
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時間的に変動する電磁場のエネルギー S U E・ie 電磁場のエネルギー保存則 電磁場エネルギーの時間的減少
熱になって消失する電磁エネルギー 単位時間に外部に流出する電磁エネルギー = + S = E×H を Poynting ベクトルと呼ぶ u と S との関係は? 単位時間に単位面積を通過する電磁場のエネルギー、即ち単位面積を通過する電磁場の電力 P 単位体積当たりの 電磁場エネルギー: u u S = E×H 従って、 c 電磁波は、単位時間に光速度 c だけ進む の関係がある
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電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 電磁場の波動方程式 山田 博仁
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自由空間でのMaxwell方程式 Maxwell方程式 ファラデーの電磁誘導則 アンペール・マクスウェルの法則 電場に関するガウスの法則
変位電流 電場に関するガウスの法則 磁場に関するガウスの法則 自由空間でのMaxwell方程式 (自由空間では、真電荷 ρe および伝導電流 ie がゼロ) 等方性、かつ線形、かつ非分散性の媒質中 真空中
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波動方程式の導出 第1式 ここで媒質は、等方性かつ線形かつ非分散性と仮定している 両辺の rotation をとる ベクトル恒等式 第2式
第3式 従って、 波動方程式 練習のため、第2式の rotation をとり、磁場に対する式を求めてみよう
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波動方程式導出においての変位電流の役割 変位電流は、MaxwellがAmpereの式に理論的考察を行って付加したものであるが、
仮に、この変位電流の項が無かったとしたら、どんな方程式が導かれるだろうか? 変位電流が無い場合の、自由空間でのMaxwell方程式は、以下のようになる。 第1式の rotation をとると、 第2式 従って、 となり、 静電場の場合のラプラスの方程式となってしまう。
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波動方程式の意味 ここで簡単のため、E(x, t)は x と y には依存せず、z と t のみの関数であると仮定
つまり、 E(x, t) → E(z, t) 今ここで、 と置くと、 後で分かるように、v は電磁波が物質中を伝わる速度、真空中の場合には、v は光速度 c で与えられ、
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波動方程式の解 波動方程式 (教科書 p.200 参照) の解は、 で与えられる。 x y z + z 方向に速度 v で進む波 (進行波)
(後退波) より一般的には、波動方程式 の解は、 で与えられる。 + k 方向に進む波 - k 方向に進む波 kは波の伝搬方向を示す波数ベクトル w は波の角周波数
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参) 伝送線路と電信方程式 送電端 受電端 E ZL x x=0 R: 線路単位長当りの抵抗 (W/m)
L: 線路単位長当りのインダクタンス (H/m) C: 線路単位長当りの容量 (F/m) G: 線路単位長当りのコンダクタンス (S/m) 上記の伝送線路に対して、以下の線路方程式が得られる 電信方程式あるいは伝送方程式 無損失線路(R = G = 0)の場合、 線路上での電圧波と電流波の伝搬速度 v は、 であることが分かる
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参) 伝送線路上の電圧波の伝搬 ZL E x 入射波 反射波 線路上の位置 x での電圧
ej(ωt±βx) = cos(ωt±βx)+j sin(ωt±βx)は、∓x方向に進む角周波数ω, 位相定数β の正弦波 vp: 位相速度 ここで、 x は波の振幅を表し、α > 0 (α < 0)なら、xが増大する方向に振幅が増大(減少)する 因みに、波の包絡線の形状が伝わる速度を群速度: vgという x
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進行する正弦波 +x 方向に伝搬する正弦波 角周波数 波数 位相角 t1 従って、波数と角周波数の比は、 x = λ t = 0 x = 0
t = T 波の伝搬速度 x1 ある時刻(t = t1)について見てみると、 ある場所(x = x1)について見てみると、 +x -x +t -t
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電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 5/26講義分 波動方程式から導かれる電磁波の性質 山田 博仁
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自由空間でのMaxwell方程式 自由空間でのMaxwell方程式 (自由空間では、真電荷および伝導電流がゼロ)
等方性、かつ線形、かつ非分散性の媒質中 真空中 ε, μ は、異方性媒質ならテンソル , になる 非線形媒質なら電場や磁場の強さの関数( ε(E), μ(H) )になる (非線形光学で扱う) 分散性媒質なら電磁波の周波数の関数( ε(ω), μ(ω) )になる 等方性かつ線形かつ非分散性の媒質中として上の方程式を解くと、以下の波動方程式 が得られる
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波動方程式とその解 波動方程式 ここで、 と置くと、 ダランベルシアン v は電磁波が物質中を伝わる速度
真空中の場合に v は通常 c で表記され、 (真空中の光速度) 波動方程式の解は、 で与えられる。 括弧の中は波の位相を表わす + k 方向に進む波 - k 方向に進む波 X1, X2は任意のベクトル関数 kは波の伝搬方向を示す波数ベクトル w は波の角周波数
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平面波 平面波(波面が平面の波)は、波面に垂直方向に伝搬していく k · x = 一定値は、ベクトル k に垂直な平面
w t – k・x を波の位相と呼ぶ。これがある一定値 a の面(等位相面)が時間発展していく様子は、平面波が波面に垂直方向に伝搬する様子を表す。 波面 (等位相面) t −k · x = α z x3 t3 −k · x3 = α x2 t2 −k · x2 = α x1 t1 −k · x1 = α k y k: 波数ベクトル(波の進行方向を表している) x
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平面電磁波 自由空間を、角周波数 w で振動しながら、+ z方向に伝搬する電磁波の中で、波形が正弦波で表される電磁波を取り上げる。
x, y 方向には一様とする。 電場の波は、 で表わせる。 k は波数で、 x y z E Ex0 Ey0 Ez0
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平面電磁波 電場の波 磁場の波 電場の波と磁場の波の間には位相差φがあると仮定している に代入、 φはゼロでなければならない
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平面電磁波 同様に、 に代入、 φ = 0 以上の関係より、 ここで、 となる の関係を用いた
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平面電磁波 x y z Ex Hy Ey E E と H (ベクトル)は、波の進行方向に垂直な平面内に存在(つまり横波)し、互いに直交する。また、 E と H の大きさの比は一定 媒質中での電場と磁場の大きさの比を、媒質のインピーダンスという H 真空のインピーダンス Z0は、 何故なら、 真空の透磁率 μ0は、MKSA(SI)単位系では と定義している。 従って、真空の誘電率 ε0は、 で与えられる。
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平面電磁波 インピーダンス Z の媒質中を伝搬する電磁波に関して、E と H との間には以下の関係が成り立つ x k E z H y
電場の波と磁場の波は同相(同じ時刻に共に節や腹となる)
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平面電磁波 電場が e(1) 方向に偏り(直線偏波)、正弦関数的に振動する平面電磁波を考える 波動方程式 に上式を代入すると、
上式が、任意の場所 x、任意の時刻 t で成立するためには、 つまり、 角周波数 w を、正の値と定義すると、 これを分散 (dispersion) 関係という。 f は周波数(振動数) と置けば、 T は周期
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平面電磁波 電場が e(1) 方向に偏り、正弦関数的に振動する平面電磁波 を、 電場に関するガウスの法則 に代入する
上式が常に成り立つためには、 でなければならない 即ち、電場の偏りの方向 e(1) は、その波の進行方向を表すベクトル k に直交する k e(1) つまり、電場に関するガウスの法則は、電場の波は横波であるということを言っている
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平面電磁波 磁場に対しても e(2) 方向に偏り、正弦関数的に振動する平面電磁波 を考え、 磁場に関するガウスの法則 に代入する
上式が常に成り立つためには、 でなければならない 即ち、磁場の偏りの方向 e(2) は、その波の進行方向を表すベクトル k に直交する 磁場に関するガウスの法則は、磁場の波は横波であるということを与える k e(2) 従って、 電磁波は横波 !!
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平面電磁波の性質 つまり、電場および磁場の偏りの方向(偏波方向)は、波の進行方向に対して垂直。(電場および磁場ベクトル E, B は、波の進行方向に対して垂直面内に存在する。) また、電場および磁場の偏波方向( E, B の向き)は互いに直交する。 x y z k E H
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電磁波のエネルギー 媒質中の電磁場のエネルギー密度 u は、 で与えられるが、 電磁波の電場と磁場の大きさの間には の関係がある 従って、
電磁波の電場と磁場の大きさの間には の関係がある 従って、 つまり、電場のエネルギーと磁場のエネルギーは等しい 従って、電磁波のエネルギー密度は、 で表せる。 また、E = v B, Z = μv (Z0 = μ0c ) の関係も成り立つことが分かる 電場も磁場も正弦波関数的に振動している場合、 u は時間的にも空間的にも変動するが、1周期 (T=2p/w)について平均すれば、 平面電磁波の場合、E と H は電磁波の進行方向 k に垂直な平面内にあるので、 Poyntingベクトル S は、 と表せる。従って、
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ベクトル解析の復習 重要なベクトル恒等式 ラプラシアン ダランベルシアン ガウスの定理 ストークスの定理 dS F V S n dS F S
dr C n
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