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X-ray Study of Gravitational Lensing Clusters of Galaxies
K. Hashimotodani (presented by K. Hayashida May18, 2000 at Kyoto Univ)
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X線と重力レンズでの質量の食い違いの問題
☆ 重力レンズアークから求めた質量は、 X線観測から求められる質量よりも 系統的に2~3倍大きい。 cf. Wu & Fang (1997) 30個の重力レンズ銀河団について、 レンズ質量(球対称)とX線質量を比較 MX /MLens = (0.43±0.09)β の関係を得た。 銀河団の中心部で静水圧平衡が なりたっていない?
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X線サンプルと解析 ☆ サンプル(「あすか」とROSAT/HRI) 重力レンズ効果による arc, arclet が観測
されている銀河団27個 ・ 赤方偏移: 0.1~0.8 ○ 「あすか」データ ・ 半径1Mpcの円領域でスペクトルを作成 ・ Raymond-Smithモデルでフィッティング してガスの温度を求めた ○ ROSAT/HRIデータ ・ X線表面輝度分布を球対称βモデルで フィッティングしてコア半径、βを求めた
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X線質量と重力レンズ質量との比較 ☆重力レンズ質量の方が系統的に factor 2程度大きい ☆ポリトロピック分布を導入しても、食い
半径より内側の質量を求めて重力レンズ 質量と比較した ☆重力レンズ質量の方が系統的に factor 2程度大きい ☆ポリトロピック分布を導入しても、食い 違いは解消しない
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考察~質量の食い違いの原因は? ○ 背景銀河の赤方偏移 レンズ質量が20-30%小さくなりうる
○ 背景銀河の赤方偏移 レンズ質量が20-30%小さくなりうる ○ 宇宙論パラメータ(H0、Ω0、λ)の影響は 無視しうる (e.g. Loeb & Mao 1994) ・ 銀河団の「中心」 ・ X線観測量と質量の食い違いの関係 について調べた。
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銀河団中心の検討 ☆銀河団中心の三つの定義 ・Brightest Cluster Galaxy(BCG)の中心
‐ Digitized Sky Survey イメージから決定 ・ROSATのX線イメージのintensity peak ・X線イメージの「重心」 ‐ イメージをR.A.、Dec方向に射影して、 Gauss関数でフィッティングして決定 “regular”銀河団… 三つの定義による中心が 誤差の範囲内で一致する 銀河団 “irregular”銀河団… 三つの中心の内、少なく とも一つが有意に一致し ない銀河団
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Irregular Regular
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結果 ☆質量の食い違いの大きさは、 “regular”、“irregular”で有意に異なる。
“regular”銀河団 MX /MLens = 0.56±0.04 “irregular”銀河団 MX /MLens = 0.30±0.06 ☆X線コア半径 “regular”銀河団… ~50h50-1kpcか、それより 小さい → 重力レンズモデルから予想される dark matter halo のスケールと一致 (e.g. Mellier et al. 1993; Kneib et al. 1995) “irregular”銀河団… 100h50-1kpc以上で大きく ばらつく
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“regular”銀河団の食い違いの原因
○三つの定義による中心は誤差の範囲で一致 ○X線コア半径は小さい (~50h50-1kpcか、それ以下) ○ほとんどがcD銀河団 ⇒ well-relaxed system i.e. 質量を求める際の仮定は正しいはず “regular” 銀河団にみられる MX/MLens=0.56±0.04 の食い違いの原因は? ・β ・ kT ・質量、アーク半径 ・X線イメージのellipticity
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r=-0.630
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重力レンズ効果のモデリング ・楕円形二次元ポテンシャルを導入 ・アークの近傍の明るい銀河団銀河、及び
中心のBCGのポテンシャルを Faber-Jackson 関係から評価して導入 ・銀河団のポテンシャルの中心、ellipticity、P.A. と深さはX線観測から決める 重力レンズ方程式を逆に解き、X線観測と矛盾しない範囲でアークを再現できる解を探す。 ・MS2137.3‐2353… “regular”銀河団。対称性 が高い。 ・MS … “regular”銀河団。二つの 明るい楕円銀河の間に “straight arc” ・MS … “irregular”銀河団
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結果 ☆「あすか」とROSAT/HRIの解析結果と矛盾 しない範囲で、観測されているアーク配置 を説明可能
しない範囲で、観測されているアーク配置 を説明可能 ・ MS2137 … X線イメージとコンシステントな 楕円ポテンシャル ・ MS0302 … 二つの明るい楕円銀河の ポテンシャル ・ MS1621 … アーク近傍の楕円銀河の ○ 質量の食い違いの原因はellipticityや アーク近傍の明るい銀河の影響など、 球対称からの小さなズレが原因であること を支持 ○ cooling flow は考慮する必要なし → 影響は無視しうる
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まとめ ☆ 27個の重力レンズ銀河団に関して「あすか」 とROSAT/HRIのデータを解析し、
・ 球対称な物質分布を仮定した場合、重力レンズ質量 は系統的にX線質量より大きくなることを確認した MX /MLens = 0.43±0.05 ・ 銀河団中心に三つの定義を導入 (BCG、X-ray peak、X-ray centroid) - 三種の中心が一致しない銀河団は、一致する 銀河団に比べて食い違いが有意に大きい MX /MLens = 0.56±0.04 (“regular”) ±0.06 (“irregular”) - X線のコア半径の分布も有意に異なる “regular” …~50h50-1kpcか、それより小 “irregular”…100h50-1kpc以上でばらつき大 → “irregular” 銀河団では merger による擾乱で質量 を求める際の仮定が崩れている? “regular” と “irregular” は分けて考えるべき
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・ “regular” 銀河団の質量の食い違い
- X線イメージのellipticityが大きい銀河団ほど、 食い違いが大きい傾向 - アーク半径が大きいものほど、質量の食い違い が大きい傾向 が示唆された。 → 球対称の仮定からのズレが食い違いの主原因である ・球対称レンズモデルが質量を過大評価? *楕円ポテンシャル、アーク近傍の銀河を導入した レンズモデルの結果からも支持 ・半径が大きくなるほど影響が顕著になる? ☆ 今後の課題 “regular” な銀河団を集中的に研究すべきである。 ・ 高精度のX線観測 温度(分布)の精密な決定、ガス分布の詳細な モデリング、 cooling flow の影響の評価 ・ 可視でのより深い観測 背景銀河の赤方偏移の決定、より暗いレンズ像の 探査による詳細なモデリング、weak lensingとの cross calibration。
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