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MEMSセンサを用いた低コスト INS/GPS複合航法システム

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Presentation on theme: "MEMSセンサを用いた低コスト INS/GPS複合航法システム"— Presentation transcript:

1 MEMSセンサを用いた低コスト INS/GPS複合航法システム
鈴木・土屋研 M2 成岡 優 ご紹介ありがとうございます。 それでは、『(タイトル)』と題しまして、東京大学の成岡が発表させていただきます。

2 概要 背景 ~ なぜ、なにを? 手法 ~ どうやって? 実験 ~ 飛行機で実験してます 進捗状況 ~ 最近こんなことしてます まとめ
背景 ~ なぜ、なにを? 手法 ~ どうやって? 実験 ~ 飛行機で実験してます 進捗状況 ~ 最近こんなことしてます まとめ まず、本発表の概要についてですが、 はじめに、本研究の必要性や概要について、研究背景としてご紹介したく思います。 次に、本研究で用いる手法について、そしてその手法を用いて実験を行いましたので、 その実験の概要ならびにその実験結果についてお話したく思います。 また実験を通して本研究の手法に対する考察を行いたいと思います。 最後に本発表のまとめと、今後の課題についてお知らせしたく思います。 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

3 背景(1) 航空機のナビゲーション技術を転用 位置・速度・姿勢が知りたい 航空機・宇宙機のナビゲーション 電車・自動車など移動体の監視
ロボットの制御 携帯電話 航空機のナビゲーション技術を転用 まず本研究の背景についてお話したく思います。 世の中には、現在の位置や速度、姿勢といった状態量を知りたいといった アプリケーションが数多く存在すると思います。 例えば、航空機や宇宙機の航法用途であったりとか、 電車や自動車といった移動体の監視、 そしてロボットの制御やアミューズメント機器への適用も考えられます。 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

4 背景(2) INS/GPS複合航法<1>
Global Positioning System(GPS) 誤差蓄積 連続動作 誤差蓄積せず 間欠動作 そのような現在の位置・速度・姿勢を知りたいというアプリケーションに対する一つの解決策として あげられているもののなかにINS/GPS複合航法というものがあります。 これはそれぞれ単体で位置・速度・姿勢などが得られる慣性航法装置(INS)と Global Positioning System(GPS)というシステムを統合したものです。 なぜ統合する必要があるのかといいますと、INSは更新周期が数百Hzと高いのですが、その精度が時間とともに悪化する、 一方GPSは更新周期が数Hzと遅いのですが、精度は時間に対してほぼ一定です。 従ってINSとGPS、両者をうまく統合すれば、誤差がたまらず、更新周期も早いシステムをつくりあげることができます。 誤差蓄積せず 連続動作 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

5 背景(3) INS/GPS複合航法<2>
位置 速度 姿勢 位置 速度 姿勢 加速度 角速度 統合 積分 慣性センサ INS/GPS複合航法の概略を書きあらわすと図のようになります。 INSは、加速度を積分すると速度に、速度を積分すると位置に、 また、角速度を積分すると角度になる、という運動法則を応用した装置であり、 加速度や角速度を検出する慣性センサを入力とし、位置や速度・姿勢を出力する装置です。 またGPSは地球上を周回する衛星からの電波を検知することによって、 位置や速度を出力する装置です。 INSとGPS両者を統合するとINS/GPS複合航法と呼ばれるものになります。 位置・速度等 GPS 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

6 背景(4) 既存のシステム 提案するシステム 小さく(103cm以下) 軽い(1kg以下) 飛行機・人工衛星のみ! 安価 (数万円)
精度を最重視 提案するシステム ある程度の精度確保 小さく(103cm以下) 軽い(1kg以下) 大きく(103cm以上) 重い(1kg以上) 飛行機・人工衛星のみ! このINS/GPS複合航法ですが、応用可能性を秘めているにもかかわらず、 実は現在のところ、飛行機や人工衛星といった航空宇宙用途しか応用例がありません。 なぜかといいますと、既存のシステムでは精度を最重視しているため、 応用用途が限られてしまうくらい、大きく、重く、非常に高価なものとなっています。 そこでINS/GPS複合航法の応用を広げるためにも、 装置として小さく、軽く、単価が安いもので、 また精度については最重視はしない、というものがあったほうがよいのではないかということで、 本研究にて、小さく、軽く、単価が安いINS/GPS複合航法を取り扱うことになりました。 安価 (数万円) 非常に高価 (数百~数千万円) 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

7 手法(1) 既存システムの構成 提案システムの構成 精度最重視なため、大きく、重く、高価 特注の慣性センサ 特殊GPS
構成機器は小さく、軽く、安価 MEMS慣性センサ 民生用GPS それでは研究手法に移りたいと思います。 小さく、軽く、単価が安いINS/GPS複合航法を研究するにあたって、 既存のシステムを分析してみることにしました。 すると既存のシステムでは、精度を最重視するために、 個々の構成機器に対しても高精度であることを要求していました。 従って既存システムの構成機器は大きく、重く、高価であることがわかりました。 例えばINSの構成にRing Laser Gyroといった高精度な慣性センサが使われていたり、 GPSについても、単体でcm級精度を実現可能な特殊GPSが使われていることがありました。 そこで本研究では、まず既存のシステムに対し、 構成機器を小さく、軽く、安価なものに置き換えることにしました。 それが、MEMS慣性センサを用いたINSであり、また民生用GPSです。 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

8 手法(2) MEMS慣性センサを用いたINS 民生用GPS 微細加工技術(MEMS)を応用した慣性センサ
小さく(12cm程度)、軽く(数グラム)、安い(数千円) 誤差が蓄積する速度が早く、精度維持困難 民生用GPS カーナビなどに使われている 小さく(32cm程度)、軽く(数十グラム)、安い(数千円) 位置で誤差数m程度と、比較的高精度 次に本研究で用いることとした、MEMS慣性センサを用いたINSと民生用GPSについて 説明していきたいと思います。 まず、MEMS慣性センサを用いたINSですが、センサについて説明しますと、 これは微細加工技術(これをMEMSといいます)を応用して作られたセンサで センシングを行う部分と、それを駆動するための電子回路が一つのパッケージになったセンサです。 非常に小型で、軽く、一個数千円程度と単価が非常に安いのが特徴です。 本研究では、このセンサを用いてINSを組むことにしました。 しかしながら、このセンサは非常に安定性が低く、誤差が蓄積する速度がはやいため、 このセンサを用いたINS単体で精度を確保することは困難であるといわれています。 あとの実験結果でお見せしますが、実際そのことが確認できました。 次に民生用GPSですが、 これはカーナビげーションシステムなどに搭載されているGPSです。 カーナビ自体はそれなりの大きさがありますが、GPS部分のみを取り出すと、 とても小さく、軽く、また単価も安いです。 また安い割にはその精度はあなどれなく、例えば位置で数m程度の誤差と、その精度は比較的高精度です。 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

9 手法(3) INSとGPSの統合方式 INSとGPSの良いところをとりたい できるだけ発散しにくいアルゴリズム
Kalman Filterを使用する できるだけ発散しにくいアルゴリズム クォータニオンでモデルを構築 計算中に特異点が存在しない Extended Kalman Filterの線形化を工夫 クォータニオンの制約条件を考慮 これらのMEMS慣性センサを用いたINSと民生用GPSを統合して、 INS/GPS複合航法を実現することにしました。 INS、GPSの単体については使用するものを選定しましたので、 あとはその統合方式について決定すればINS/GPS複合航法を達成できることになります。 この統合方法ですが、INSとGPS単体では精度を気にせずに選定したため、 統合方式でシステム全体としての精度をできるだけ改善したいと考えました。 まずINS単体では先ほど述べましたとおり、精度が期待できませんので、 GPSで効果的にINSを補正する方法を採用することにしました。 そのため、入力に対して確率的に最も確からしい値を出力するKalman Filterを採用することにしました。 しかしながら、Kalman Filterは入力される値の性質が悪いと出力値が発散することが知られていますので、 これをできるかぎり予防するために、 計算中にtan90°などの特異点が存在しないクォータニオンでシステムのモデル化を行い、 また今回のように非線形なシステムに対しKalman Filterを適用する際に必要となる誤差モデルについて、 工夫をすることにしました。 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

10 手法(4) 全体図<1> センサの観測値が得られた場合 2006/5/18 2006年5月 輪講資料
手法(4) 全体図<1> センサの観測値が得られた場合 全体を図示するとこのようになります。 MEMSセンサからの出力があった場合はINSの更新と、Kalman Filterの更新を行います。 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

11 手法(5) 全体図<2> GPSの観測値が得られた場合 2006/5/18 2006年5月 輪講資料
手法(5) 全体図<2> GPSの観測値が得られた場合 またGPSからの出力があった場合はKalman Filterの更新を行い、またKalman Filterの出力値に従ってINSを修正します。 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

12 実験(1) プロトタイプの作成 2005年11月、セスナに搭載して実験 リアルタイムでは生データ取得 INSとGPSの統合処理はオフライン
比較としてCrossbow NAV420 価格(約百万円)と性能を両立した製品として評価されているINS/GPSシステム 次に、以上説明してきました手法を実際に適用するとどうなるかを 実験で確かめてみることにしましたので、それについてお話したいと思います。 実験の概略を説明しますと、 まず本研究の手法の有効性を確認するために、プロトタイプを作成しました。 今回は時間的に全機能を実装するには至りませんでしたので、 リアルタイムでは生データの取得に専念し、統合処理はコンピュータでオフラインで行うことにしました。 そして、このプロトタイプをセスナに搭載して計測を行うことにしました。 プロトタイプ単体で測定してもどの程度の精度が出ているのかわかりませんので、 比較対照としてCrossbow社製のNAV420というINS/GPS複合航法装置も搭載することにしました。 このNAV420はINS/GPS製品の中で比較的低価格である程度の制度が確保されていると 市場では評価されている製品です。 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

13 実験(2) プロトタイプ<1> 構成図 センサ GPS 加速度計 ジャイロ 温度センサ 緯度・経度・高度 3軸速度
実験(2) プロトタイプ<1> 構成図 センサ GPS 加速度計 ジャイロ 温度センサ 緯度・経度・高度 3軸速度 その他生データ(擬似距離・搬送波位相) 24bit ADC USB 処理用PC 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

14 実験(3) プロトタイプ<2> 2006/5/18 2006年5月 輪講資料 まずプロトタイプですが、
実験(3) プロトタイプ<2> まずプロトタイプですが、 MEMS慣性センサの加速度計、ならびにジャイロ、そして民生用GPSを搭載しました。 またコンピュータとのインターフェイスとしてUSBを採用しました。 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

15 実験(4) 実験風景 Crossbow NAV420 INS/GPS プロトタイプ 2006/5/18 2006年5月 輪講資料
実験風景です。 プロトタイプとNAV420を機体後方に搭載しました。 なおGPSのアンテナは機体の外部に接着してあります。 Crossbow NAV420 INS/GPS プロトタイプ 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

16 実験(5) Crossbow NAV420 搭載しているのは INSを地磁気やGPSで補強 (3軸)加速度計 (3軸)ジャイロ
(3軸)地磁気センサ GPS 温度センサ INSを地磁気やGPSで補強 詳細は不明 NAV420について簡単に紹介しますと、 製品の説明書によると、搭載しているのは、 加速度計・ジャイロ・地磁気センサ・GPS・温度センサです。 温度センサによって温度補償された加速度計・ジャイロによりINSを構成し、地磁気やGPSでINSを補強しています。 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

17 実験結果(1) MEMS慣性センサのINS と Crossbow 位置 速度 姿勢 2006/5/18 2006年5月 輪講資料
実験の結果は次のようでした。 まず先ほど述べましたが、MEMSセンサで構成されたINSですと、図のように全く精度を維持することができません。 赤は~ 青は~ 速度は上から北方向、東方向、重力方向速度です。 姿勢は上からロール、ピッチ、ヘディングです。 位置 速度 姿勢 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

18 実験結果(2) 提案するINS/GPS と Crossbow 位置 速度 姿勢 2006/5/18 2006年5月 輪講資料
ご覧のとおり、NAV420にほぼ近い結果がでていることが確認いただけると思います。 位置 速度 姿勢 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

19 実験結果の考察 手法は有効 キャリブレーションが必要 MEMSセンサのINS単体では実用にならない GPSによる補正で精度を確保
オフセットなどの特徴的な誤差が発生 温度ドリフト スケールファクタエラー 取り付け誤差 本研究の考察にうつりたいと思います。 まず本研究の手法の有効性について検討してみたいと思います。本研究で提案したINS/GPS複合航法は小さく、軽く、単価を安くすることを第一の目標とし、ある程度の性能を確保することを第二の目標としましたが、実験結果から、本研究で用いた手法でも市販品のNAV420とほぼ同程度の性能が得られたことにより、十分にその研究目標を達成できたと考えられます。 また実験結果を詳細に比較しますと、次の2点がいえると思います。 まず一点目として、姿勢についてプロトタイプとNAV420を比較すると、ロール、ピッチはほぼ同じであるのに対し、ヘディングがずれていることが確認できると思いますが、これは実験対象に用いたセスナが航空機であり、航空機の運動についていえば、ロールやピッチは運動に非常に関わってくるのに対し、ヘディングはあまり影響しない、そのことと関係していると思われます。つまり本研究で用いる手法は、適用する対象に合わせてチューニングを行う必要があるであろうことを示唆していると考えられます。 また姿勢のロールではプロトタイプとNAV420で傾向が似ていますが、オフセットが存在します。これは今回の実験ではセンサのゼロ点等をカタログスペックで決定したのですが、それによるものだと考えられます。つまりセンサのキャリブレーションを行い、特性について事前に把握する必要があることを示唆しているのだと思われます。 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

20 最近の話題(1) キャリブリーション結果 温度ドリフト スケールファクタ 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

21 最近の話題(2) 竜ヶ崎で2度目の飛行実験 リファレンスのCrossbowが発散 ビデオデータと照合 2006/5/18
2006年5月 輪講資料

22 最近の話題(3) JAXAのMuPAL-aで実験予定(6月~7月) 次世代航法装置GAIAとの比較 MuPAL-a GAIA
GAIAは非常に精度が高い(位置で誤差10cm程度) MuPAL-a GAIA 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

23 最近の話題(4) 本格的なプロトタイプを作ります! 現在取り組んでいる問題点 オンライン処理 小型化(UAVに搭載、目標50cc、100g)
電源投入ごとにおきるゼロ点の変化 Adaptive KFによるゼロ点のオンライン推定 GPSのデータ遅延 システムの誤差共分散行列Pを遅延修正する手法 2006/5/18 2006年5月 輪講資料

24 まとめ と 展望 提案したINS/GPSの有効性を確認 展望 Crossbowと同程度の性能 誤差の定量的評価 GPSの使用可能性
共分散解析などの時系列解析 GPSの使用可能性 Tight / Ultra-Tight coupling(衛星1つでも補正可) 最後に、まとめと今後の展望についてお話したいと思います。 本研究で提案したINS/GPS複合航法が有効であることをプロトタイプの作成、 また飛行による実験で確認することができました。 その精度は定性的には市販品であるNAV420と同程度であることが確認できました。 今後の課題につきましては、 を考えています。 2006/5/18 2006年5月 輪講資料


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