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極域海洋学:熱塩循環・気候変動との関わりを中心として
講義計画 1. イントロ:世界の気候における海氷の役割 2. 深層水形成:海洋熱塩循環の起点 3. 海氷生成と南極底層水:全海水の30-40%の起源水 4. オホーツク海での海氷生成:北太平洋中層・物質循環の起点 5. 海氷域における熱塩収支 6. 海氷・海洋アルベドフィードバック:北極海氷激減のメカニズム? 7. 極域海洋と気候変動:地球温暖化のホットスポット 8. 海洋・氷床相互作用:全球環境変動の鍵 9. 衛星観測:海氷研究の生命線 10. 地球流体力学の海氷域・極域海洋への応用
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海氷生産量の全球マッピング(by AMSR)
熱フラックスから 海氷生産量を求めている Nihashi &Ohshima, 2015 Iwamoto, Ohshima, & Tamura (2014) 南極海: 高海氷生産 →底層水生成 北極海: 低海氷生産 オホーツク海: 北半球で最大
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沿岸ポリニヤ → 海氷生産工場 海氷厚 Heat loss vs. Ice thickness 熱損失
海氷がたくさんできるほど、塩分が排出され、重い水ができる マイクロ波放射計による薄氷厚アルゴリズム → 熱収支計算による熱損失 = 海氷生産量
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Vincennes Bay Polynya, East Antarctica
現場から南極沿岸ポリニヤを直接見る Vincennes Bay Polynya, East Antarctica 2003年10月 Photograph courtesy Takeshi Tamura
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マイクロ波放射計 沿岸ポリニヤ=薄氷域 衛星(マイクロ波放射計)から薄氷厚推定 熱収支計算:奪われた熱量=海氷生産量
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表面温度(AVHRR) マイクロ波放射計(SSM/I) ポリニヤ Thin ice Thick ice
Kimura and Wakatsuchi, 2004
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海氷生産量の見積もり (熱収支と衛星データより) ・マイクロ波放射計データ(SSM/I)より ポリニヤ(薄氷域)を検知・ 薄氷厚の推定
(熱収支と衛星データより) ・マイクロ波放射計データ(SSM/I)より ポリニヤ(薄氷域)を検知・ 薄氷厚の推定 ・熱収支計算より、大気に奪われた分の 熱が海氷生産に使われると仮定する ・年間累積海氷生産量として厚さに換算 Ohshima et al. (2003)
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大気海氷間の熱収支 放射フラックス + 乱流フラックス = 熱伝導フラックス Fi = Ki (Tw – Ts) / H
放射フラックス + 乱流フラックス = 熱伝導フラックス (長波はTsの関数) (Tsの関数) Fi = Ki (Tw – Ts) / H Ki:海氷熱伝導係数 海氷表面温度Ts以外はknown 海氷表面での熱収支がバランスするようにTsを決める Tsが決まると熱伝導Fiが決まり、 海洋からの熱フラックス0とすると、Fiが海氷生成率になる 乱流フラックス 放射フラックス 海氷表面温度(Ts) 海氷内熱伝導フラックス(Fi) 海氷 = 氷厚(H) 海氷生成率 ー1.86℃(Tw) 海
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5-10月の熱フラックスのマッピング 年平均の塩フラックスのマッピング 年積算の海氷生産量のマッピング
衛星データと熱収支計算による 昭和基地 ウェッデル海 アデリー 南極底層水 の形成域 生産量 No. 2 未知の南極底層水? ダンレー岬 年平均の塩フラックスのマッピング 衛星データと熱収支計算による 年積算の海氷生産量のマッピング 衛星データと熱収支計算による Tamura, Ohshima, Nihashi (2008) ロス海 生産量 No. 1
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厳冬期、北部オホーツク海表面での正味熱収支 開水面・厚さに違う海氷
開水面・厚さに違う海氷 (Ohshima et al.,2003)
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(Ohshima et al.,2003) 厳冬期、北部オホーツク海での表面熱収支 正味収支 短波放射 長波放射 潜熱 顕熱
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Ice Observation using a Basket
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バスケットによるサンプリング 海氷薄片 偏光解析 一つの層の厚さ 平均 9cm 90.5cm 10cm top = オホーツク海にて
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氷厚発達過程のシナリオ(仮説) Hi~10 cm rafting ridging Hi = 30~40 cm
(rafting cycle model, Toyota et al., 2004) Sometimes Hi > 1 m ridging Hi = 30~40 cm
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1)高アルベド(日射に対する反射率が大きい):夏に重要
海氷の特性と気候 1)高アルベド(日射に対する反射率が大きい):夏に重要 2)大気―海洋間の断熱材:冬に重要 3)熱と塩の再分配・輸送(中深層水の形成)
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夏季、南極海での表面熱収支 (Nihashi & Ohshima,2001)
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アイスアルベドフィードバック 季節海氷域での 海氷融解 日射 開水面 底面・側面より融解 アルベド 開水面:0.07海水 :0.7
開水面:0.07海水 :0.7 アイスアルベドフィードバック 1990年12月南極昭和基地沖
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アイスアルベドフィードバック 融解期の海氷海洋結合モデル 密接度:C 1-C 海氷 海洋混合層 日射等が開水面を通して 海洋混合層を暖める
Nihashi & Ohshima(2001a) 融解期の海氷海洋結合モデル 密接度:C 1-C 海氷 海洋混合層 アルベド: 開水面:0.07 海氷:0.7 日射等が開水面を通して 海洋混合層を暖める その熱によって海氷が融解 アイスアルベドフィードバック 1990年12月南極昭和基地沖
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多年氷域 鉛直一次元で海氷成長・融解が決まる 海氷の成長→底面 海氷の融解→表面
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多年氷域と季節海氷域の熱収支 多年氷域 鉛直一次元で海氷の成長・融解が決まる 海氷の成長→底面 海氷の融解→表面
鉛直一次元で海氷の成長・融解が決まる 海氷の成長→底面 海氷の融解→表面 季節海氷域: 一次元的な成長・融解ではない 成長も融解も氷盤の隙間(薄氷域)が大事 冬の成長:heat lossは圧倒的に開水面(薄氷域)での乱流フラックス :海氷の断熱効果 夏の融解:heat inputは圧倒的に開水面からの短波放射 : 海氷の高アルベド
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海氷による熱塩の輸送・再配分
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海氷による気候形成 年間の正味海面熱収支 1mの海氷の融解(潜)熱 =全大気柱25-30度を昇温 北海道北部・東部域の
大気から海洋が熱をもらう場合を正 海氷生成 潜熱(負の熱)を蓄積 海氷による気候形成 1mの海氷の融解(潜)熱 =全大気柱25-30度を昇温 負の熱の輸送 北海道北部・東部域の 寒冷な気候(特に夏季)は、 海氷(+東樺太海流)が 運ぶ負の熱によって形成 海氷融解 潜熱(負の熱)を放出 (Ohshima et al.,2003)
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海氷生成・融解に伴う年間の正味の塩分収支
(Kg m-2) 海水の塩分:33psu 海氷の塩分:3-10psu 海氷生成 塩分供給 海氷の輸送 ∥ 淡水の輸送 塩分供給 淡水供給 海氷融解 淡水供給 Nihashi, Ohshima, Kimura (2012)
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F A Haumann et al. Nature 537, 89–92 (2016) doi:10.1038/nature19101
Mean state and trends of net annual freshwater fluxes associated with sea ice over the period 1982–2008 赤:海氷生成大→正の塩 青:海氷融解大→負の塩(淡水) ← 平均場 ← トレンド F A Haumann et al. Nature 537, 89–92 (2016) doi: /nature19101
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F A Haumann et al. Nature 537, 89–92 (2016) doi:10.1038/nature19101
Effect of northward sea-ice freshwater transport on Southern Ocean salinity 平均場 トレンド 海氷漂流が強化 南極中層水 の低塩化 F A Haumann et al. Nature 537, 89–92 (2016) doi: /nature19101
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