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アジアの音楽と民族楽器 原田奈穂子
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インドネシアの音楽 インドネシア語で、「伝統音楽」を意味するカラウィタン(karawitan)には、「舞踊や語り物、演劇と一体となって演じられる音楽」という意味合いが含まれている インドネシアは、東南アジア特有の楽器であるゴング類や、鍵盤打楽器を発達させた中心地の一つである
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インドネシアの音楽 ゴングなどの打楽器の発達相まってリズム・アンサンブル感覚を主体とした各種の合奏が盛んである
ゴングなどの打楽器の発達相まってリズム・アンサンブル感覚を主体とした各種の合奏が盛んである ガムランの楽器のようなに楽器の音律を微妙にずらして調律しうなりを生じさせたり、定音律の旋律打楽器に対してそこにない音を声や胡弓で重ねていくなど、音のずれを楽しむ繊細な音感覚も各地で見られる
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ジャワ島・バリ島・マドラ島の音楽 この地域は、今日ではバリをのぞいてほとんどイスラム化されているにもかかわらず、音楽的にはヒンドゥー・ジャワ文化の伝統を色濃く受け継いでいる その最高峰は何と言っても、ゴング類や鍵盤打楽器類を中心とする大合奏ガムランだ。ガムランとは「たたく」「操る」を意味する動詞gamelの名詞形で「たたかれる物」つまり打楽器とその合奏体系を意味する。この語は、「たたく」「打つ」という行為がこの地域の音楽にとって以下に根源的であるかを物語っていよう 今日ガムランには中東部ジャワ、西ジャワ、バリの三大地方様式があり青銅製の他、鉄や竹製など形態や編成もさまざまなものが各地に偏在している
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中東部ジャワ ①こぶ付ゴング類(大ゴングなどの吊り下げゴング・チャイムのクノンkenong、ボナンbonangなど)②鍵盤打楽器類(青銅琴サロンsaron類と共鳴筒付のグンデルgender類)③その他(木琴ガンバンgambang、筝チュルポン celempung、竹の縦笛スリン suling、胡弓ルバーブ rebab、女性独唱プシンデン pesindenと男性斉唱)。全体の指揮を司る両面太鼓クンダン kendangである
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西ジャワ(スンダ) 高原の街バンドンを中心により庶民的で多彩な音楽文化が開花している。とりわけ声楽が際立って盛んで、こぶしをきかせた歌唱法や節回しの妙技などに優れた旋律・旋律感覚の枠が感じられる スンダのガムランには、ジャワのとよく似た形態のガムラン・ペロッグ・サレンドロ g・pelog salendro(別名ガムラン・スンダ)と、スンダ独自の小編成のガムラン・ドゥグンg・degungの二種がある
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バリ インドネシアで唯一ヒンドゥー教を残すバリ島は、イスラムかを拒んだジャワ人が一六世紀ごろ多数移民したことも伴って、ジャワ古来の文化もその中に取り込んだ独特のヒンドゥー・バリ文化を築き上げた。各村にある寺院では村人総出で宗教儀礼が執り行われ、音楽や舞踊は神々に捧げる奉納芸として村人の生活に密着して息ずいている バリの細密画を思い起こさせるような稠密な音空間が現出される。一つの旋律を複数の人間で分け合って演奏する音の相互扶助(ゴトン・ロヨン)とも言うべき集団性の高い合奏の背景には、バリではガムランが地域共同体と結びついた組織(スク sekaという一種の同好会)によって担われているという社会的要因も関連している
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