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集積回路中における 絶縁膜に加わる熱応力の緩和
T02MD029 中村 誠
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☐背景 ・マイクロチップ(IC)による電子制御された製品の普及
ULSI(超大規模集積回路:Ultra Large Scale Integrated Circuit)の開発 情報の高速処理とICの縮小化 絶縁膜 SiO2→Low-k材料 図1 パッケージ 参考:はじめての超LSI 現代では身の回りにあるほとんどの電気製品がマイクロチップと呼ばれる集積回路で制御されています。図1は集積回路を収めた容器の概観で、その内部の様子を図2に示しました。 集積回路はトランジスタなどの素子を組み合わせることで構成されており、一般には数万個程度ですが、近年ではトランジスタを数十億個搭載した超大規模集積回路の開発が進められている。トランジスタの数が増えるとその形状も大きくなることから、回路の縮小化が必要になる。縮小化すると信号が早く伝わるため、情報の処理が早く行えるが、安易に小さくしてしまうとコンデンサーの充電時間が長くなるため逆に情報処理速度が遅くなってしまいます。回路の縮小化と共に情報が高速処理できる適切な方法を考える必要があります。 そこで検討されている方法が絶縁膜にLow-k材料を用いることです。 日立 図2 内部の様子
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☐Low-k材料 回路内の温度上昇により生じる 熱応力が問題になる!! 特徴 誘電率が小さい 難点 機械的強度が弱い
縮小化しても情報処理速度の低下を防ぐことが可能 小さな応力で破壊する Low-k材料とは誘電率の小さな材料のことで、この材料を絶縁膜に用いると回路を縮小化しても情報処理速度の低下を防ぐことができます。しかし、Low-k材料は多孔性であるため、機械的強度が弱いという欠点があります。これは小さな応力で破壊してしまうことを意味します。このため、トランジスタや配線の発熱により回路内の温度が上昇することで生じる熱応力が問題になってきます。 回路内の温度上昇により生じる 熱応力が問題になる!!
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対象 絶縁膜に注目する。 目的 絶縁膜の破壊を防ぐため、熱応力が緩和する方法を提案する。 図3 絶縁膜 図3 絶膜 図4 配線モデル
対象 絶縁膜に注目する。 目的 絶縁膜の破壊を防ぐため、熱応力が緩和する方法を提案する。 図3 絶縁膜 このような背景から、私は回路内の絶縁膜に注目し、最大熱応力と温度、および配線長さの関係を算出して破壊応力と比較することで破壊の危険性を考えました。絶縁膜とは図中に示した緑色の部分のことで、配線の周囲に配置されています。そして、最終的には絶縁膜に加わる熱応力を緩和する方法を提案することを目的として研究を行いました。右側の図は今回研究を行ったモデルの境界条件を表し全体の左半分を現しています。左側の図はviaと呼ばれる配線とシリコン基板の連結部を拡大したものを表しています。図中において、絶縁膜は灰色に見えるの配線部分と黒い層の下のシリコン基板の間にある全ての層です。このモデルでは異なるLow-k材料が3層一組で幾層にも積み重ねてあります。 図3 絶膜 図4 配線モデル
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☐手法 ・有限要素法を利用 ・熱応力は線膨張係数を含んだフックの法則から算出 破壊応力
図5 近似モデル化 計算の近似:平面ひずみ状態(εz≅0) 各要素内の値は一次補間 研究の方法は、有限要素法を用いてモデル化した配線構造についてシュミレーションを行いました。有限要素法とは実際の構造をを任意の多角形の集合体として近似し、計算を行う方法のことで、今回のシュミレーションでは三角形要素で近似しました。実際の構造をモデル化する様子を図5に示しました。 また、変形が平面ひずみ状態であると近似できることから2次元モデルとして考え、各要素内の値は1次補間で表しました。 ここで、肝心の熱応力は線膨張係数を含んだフックの法則から求めました。 ・熱応力は線膨張係数を含んだフックの法則から算出 応力成分をミゼス応力に変換 破壊応力 比較
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☐応力分布 配線の全長が200µm 最大応力はviaの中心部(Trench Layer部)で検出 配線の周りに分布 図6 応力分布
この図7はvia周りの応力分布の様子を図示したものです。赤いところほど応力の値が大きいことを表しており、大きいところでは180MPa程度です。配線の周辺に熱応力が分布しており、viaの側面に集中していることがわかります。この原因として、Low-k材料の線膨張率が配線や周囲の材料よりも大きいことと、配線のヤング率がとても大きいことだと考えられます。 (60℃の理由:20℃で応力0状態と近似したときの一般的な回路内の上昇温度が60℃だから。) 温度上昇が60℃のとき 図6 応力分布
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☐最大応力と上昇温度の関係 破壊応力は160MPa 50℃程度温度上昇すると破壊 図7 最大応力と温度
この図6はシュミレーションにより得られた最大応力と上昇温度の関係です。横軸に上昇温度、縦軸にそのときの最大応力を表しました。破壊応力は160MPaであるので、応力0状態となる温度から50℃程度上昇するとLow-k材料が破壊する危険性があります。 温度の原点は応力0状態となる温度である。 図7 最大応力と温度
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☐最大応力と配線長さ 図8 最大応力と長さ 配線全長=2ב配線長さ’ 上昇温度が60℃時
配線の全長が8µm以下 ミゼス応力の急激な減少 (via連結部で検出) →断線の危険性大 配線の全長が8µm以上 ミゼス応力はほぼ一定 (via側面中央部で検出) 配線長さ全域 破壊応力を上回る。 →破壊する危険性大 この図8は最大応力と配線長さの関係を表しています。横軸が長さ変化、縦軸がそのときの最大応力です。最大応力の変化は配線の全長に大きく関与していることがわかります。言い換えると、絶縁膜のアスペクトヒが重要であるということです。この要因は、絶縁膜の長さ方向の伸びによって高さ方向が縮むため高さ方向の熱応力が減少することだと考えられます。長さ方向および高さ方向の熱応力の増減の割合がミゼス応力の増減につながると考えられます。 上昇温度60℃、”長さ”は全長の半分である。 図8 最大応力と長さ
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☐配線両端のLow-k材料が周囲に与える影響
★:測位点 配線両端にLow-k材料がない状態 両端のLow-k材料は配線の回転を抑制する効果がある。 このグラフはLow-k材料以外の材料も考えた時、ミゼス応力が最も大きくなったviaとシリコン基板の連結部におけるミゼス応力の変化を表しています。配線の長さが短い時には急激な増加をしており、配線の全長が16µmの時に最大値として400MPaの値を検出しました。 この原因として、Low-k材料の膨張により配線に与える影響が配線を回転させようとするものであるか、上面および長手方向へ変位させようとするものであるかの変化にあると考えられます。 上昇温度60℃ 図9 via連結部でのミゼス応力の変化
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☐破壊の危険性 Low-k材料 応力0状態となる温度から50℃程度の上昇で破壊。 配線の全長が短い時ほど破壊する危険性。
周囲の構造への影響 配線の全長が8µm以下では 断線の危険性がある。 以上の結果から配線が8µm以下の短い時にはLow-k材料の破壊や断線する危険性があることがわかりました。
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☐改善策 Low-k材料の線膨張率を小さくする。 配線で囲まれたLow-k材料のアスペクト比が大きくなるようにする。 ※アスペクト比a= a
配線の全長(µm) a 危険性 16 15 断線危機大 100 91 Via破壊大 400 364 影響 小 以上の結果から、改善策としてLow-k材料と周囲の材料の線膨張率の差を小さくすることが最も有力な方法だと考えられます。この他には、形状により最大応力が大きく変わるため、アスペクト比に注意をした配線長さを使用すろことや、Low-k材料の間にヤング率の大きな層を縦及び横方向に挿入することにより配線周辺の熱応力の集中を緩和する方法があると考えられます。このときに、Low-k材料の形状に注意をする必要があるが、このときのアスペクト比は先ほどの長さ変化によるものとは値が変化するため、適切な形状をさらに研究する必要がある。 Via高さ=1.1µmとしたとき
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☐結論 温度上昇が50℃程度で破壊 配線の周囲に熱応力が集中 最大応力とLow-k材料のアスペクト比に深い関係性がある。
以上今回の研究では配線の長さにより構造に悪影響を及ぼす危険性があることがわかりました。Low-k材料の膨張率を小さくするなど材料事態の改善や、配線で囲まれたLow-k材料をヤング率が大きな材料で仕切ることで応力の集中と熱応力の値を和らげるなどの検討が必要だと考えられます。今回の研究では、どのような材料で仕切ることがよいかや、その構造については見解を得ることができなかったため、更に研究を進めることが必要であると考えます。 配線の長さにより構造に危険な影響を与える可能性がある。 材料開発および構造の更なる検討が必要
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