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理研RIBFにおける 中性子過剰Ne同位体の核半径に関する研究
埼玉大学大学院理工学研究科 物理機能系専攻 物理学コース 08MP117 八馬 功
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内容 ・背景 ・研究目的 ・実験概要 ・解析と結果 ・考察 ・まとめ
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背景 ~安定核と不安定核~ :安定核 :β+崩壊をする核 :β-崩壊をする核 :ハロー核 :魔法数 陽子数及び中性子数が ようしうう
魔法数であると、例外的な 安定性を示す。 :魔法数
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背景 核子はある決まった軌道上にいると考える。 l,s は核子の軌道角運動量と ~シェルモデル~ 核子に対する平均ポテンシャルV
スピン角運動量 VHO:調和振動子型ポテンシャル VLS :スピン軌道力
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背景 ~安定核と不安定核~ :安定核 :β+崩壊をする核 :β-崩壊をする核 :ハロー核 :魔法数 陽子数及び中性子数が ようしうう
魔法数であると、例外的な 安定性を示す。 :魔法数
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背景 ・密度分布が長い裾をもつ ・バレンス核子の分離エネルギーが小さい ・反応断面積が大きい
~ハロー核の特徴~ ・密度分布が長い裾をもつ ・バレンス核子の分離エネルギーが小さい ・反応断面積が大きい ・バレンス核子の軌道はd,fよりもs,pの方が支配的 1中性子分離エネルギー
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研究目的 ・軌道逆転領域核の基礎データの取得 ・中性子ハロー候補核 31Ne
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研究目的 ・軌道逆転領域核の基礎データの取得 軌道逆転領域 軌道逆転領域のNe同位体の核半径を測定する。 魔法数であるのに
異常変形をしている 中性子過剰領域における 軌道の逆転 魔法数N=20の消失 30Neの異常変形 軌道逆転領域のNe同位体の核半径を測定する。
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研究目的 ・軌道逆転領域核の基礎データの取得 ・中性子ハロー候補核 31Ne → 28Ne-32Neの反応断面積を測定し、
核半径を導出する。
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研究目的 ・中性子ハロー候補核 31Ne N = 21 なのでバレンス中性子は 通常 f 軌道に入るはず。 しかし
軌道逆転により p 軌道に入ると p 軌道ハローになる可能性がある。 さらに、31Neの 1中性子分離エネルギーは0.3MeV程度 (cf. 安定核~8 MeV)
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研究目的 ・軌道逆転領域核の基礎データの取得 ・中性子ハロー候補核 31Ne → 28Ne-32Neの反応断面積を測定し、
核半径を導出する。 → 31Neの反応断面積を測定することで 傾向から大きく外れることが予想される。
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実験概要 ~相互作用断面積と反応断面積~ 相互作用断面積 σI 反応の前後で核種が変わる反応の確率 反応断面積 σR
反応の前後で核種が変わる反応の確率 反応断面積 σR 非弾性散乱も含む全反応確率 非弾性散乱イベントを見積もる必要がある。
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実験概要 トランスミッション法 ~測定原理~ 反応標的前後の粒子の計数から断面積を導出する方法 検出器との反応などを補正 反応標的が無くても
トランスミッションは100%ではない 検出器との反応などを補正
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実験概要 RIBF(RIビームファクトリー) 世界最大強度でビームを加速することができる 理化学研究所の新施設 ~施設~ 1次ビーム
345MeV/nucleon 48Ca 生成標的 1.85 , 2.77 , 3.62g/cm2 Be ・2次ビーム生成 ・分離、識別、解析
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実験概要 ~セットアップと粒子識別~ RIビーム生成分離装置 BigRIPS 粒子識別 (Br -TOF- DE 法)
反応標的 3.61 g/cm2 12C 粒子識別 (Br -TOF- DE 法) ・磁気剛性率(Br ) 双極子磁石(前段D3 , 後段D5) ・飛行時間(Time of Flight) 前段F3F5Plastic , 後段F5F7Plastic 前段F3Plastic , 後段F7IC ・エネルギー損失(DE)
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解析と結果 ~29Neの粒子識別~ 反応標的前段の 粒子識別 反応標的後段の 粒子識別 ⊿E [channel] ⊿E [channel]
30Na 29Na 29Ne 28Ne 29Ne ⊿E [channel] ⊿E [channel] TOF [ns] TOF [ns]
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解析と結果 最大値 最小値 ~非弾性散乱イベントの見積もり~ 4σ 非弾性散乱 イベント A [counts]
F7 Position X [mm] [counts] 4σ 非弾性散乱イベントの最大値と最小値をそれぞれ 領域A、領域Bと見積もり、 最大値と最小値の平均を非弾性散乱イベント数とした。 平均値と最大値(最小値)の差を誤差とした。 A 非弾性散乱 イベント 最大値 最小値 B
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解析と結果 ~前段、後段でのイベント数~ 29Neの場合 Rin Rout 他の核種についても同様に 反応断面積を導出する。
Target Nin [counts] Nout Nerr 28Ne IN 193609 151721 483 OUT 157181 155673 63 29Ne 98044 75796 140 76241 75391 106 30Ne 79486 61099 232 34287 33935 34 31Ne 7825 5857 72 6168 6060 16 32Ne 4252 3231 23 2959 2913 Nerr は非弾性散乱の 見積もり誤差 29Neの場合 Rin Rout 他の核種についても同様に 反応断面積を導出する。
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解析と結果 ~導出した反応断面積~ ・誤差は統計誤差と系統誤差(非弾性散乱)によるもの
反応断面積 σR [mb] 統計誤差 [mb] 系統誤差 [mb] 28Ne 1293±21 6.7 19.8 29Ne 1359±20 9.8 18.0 30Ne 1396±29 11.2 26.5 31Ne 1502±78 37.4 68.3 32Ne 1430±63 49.3 39.3 ・誤差は統計誤差と系統誤差(非弾性散乱)によるもの ・31,32Neの誤差の大きさは統計数の少なさによるもの
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考察 ~Koxの経験式との比較~ Koxの経験式 σR (exp) [mb] σR (Kox) [mb] 赤:exp 青:Kox
実験結果から与えられた経験式 安定核同士の反応断面積をよく再現する :原子核中心部での入射核と標的核の相互作用半径の和 :原子核表面部での入射核と標的核の相互作用半径の和 :クーロン障壁 :重心系での運動エネルギー σR (exp) [mb] σR (Kox) [mb] 28Ne 1293±21 1265 29Ne 1359±20 1285 30Ne 1396±29 1306 31Ne 1502±78 1326 32Ne 1430±63 1347
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考察 ~グラウバー理論計算による核半径の導出~ :クーロン力の補正 :核子-核子全散乱断面積 :入射核の核子密度分布 :標的核の核子密度分布
核子-核子全散乱断面積:過去の様々な実験により既知 標的核の核子密度分布:密度分布関数を仮定し、 過去の実験データを再現 入射核の核子密度分布:密度分布関数を仮定し、 本実験データを再現
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考察 ~標的の密度分布関数~ 標的核(12C)の核子密度分布 σI [mb] χ2 = 2.630 12C+12C の実験値を再現するように
調和振動子(HO)型関数を仮定 χ2 = 2.630 :幅パラメータ 12C+12C の実験値を再現するように aHO を決める Energy [MeV/u] σI [mb] aHO 950 853±6 1.641
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考察 ~入射核の密度分布関数と核半径~ 入射核(28-32Ne)の核子密度分布 d = 0.6 , 0.65 , 0.7 に固定し、
フェルミ分布関数を仮定 R : 密度が半分になる半径 d : 表面のぼやけ度 d = 0.6 , 0.65 , 0.7 に固定し、 Rを本実験データを再現するように 決定する。 平均2乗半径
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考察 r = r0 A1/3 ~安定核での核半径と比較~ d = 0.65 安定核の核半径をよく再現する 1中性子分離エネルギーと
31Neは大きく傾向から外れる 1中性子分離エネルギーと 核半径の関係 バレンス核子が弱く束縛されるほど 核半径が大きくなっている
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まとめ ・軌道逆転領域核である28-32Neの反応断面積を測定した ・28-32Neの反応断面積からグラウバー理論計算により、
31Ne以外はKoxの経験式と同様の傾向を示した ・28-32Neの反応断面積からグラウバー理論計算により、 ぼやけ度 dを3パターン仮定することで核半径を導出した 31Ne以外はr = r0 A1/3 と同様の傾向を示した ・31Neは反応断面積(核半径)で傾向から予測される値よりも 大きい値を示したことからハロー核であることが強く示唆される f 軌道とp 軌道が逆転し、バレンス核子がp 軌道に 配位している可能性が高い T. Nakamura et al. Phys. Rev. Lett. 103(2009)262501 ・誤差の大きかった31,32Neをより精度良く測る 今後 ・Na 同位体やMg 同位体といった他の軌道逆転領域核を調べる
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おわり
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W. Horiuchi et al. Phys. Rev. C in press
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