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Published byShinta Kartawijaya Modified 約 5 年前
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気候-陸域炭素循環結合モデルの開発 加藤知道 (かとうともみち) 独立行政法人 海洋研究開発機構 地球環境フロンティア研究センター
独立行政法人 海洋研究開発機構 地球環境フロンティア研究センター 生態系変動予測研究プログラム 共生2連絡会議2006年6月19日
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これまでの展開 2005年度まで ・モデル結合を完成 ・20世紀の炭素循環を再現 2006年度 ・21世紀の炭素循環の推定
・モデル結合を完成 ・20世紀の炭素循環を再現 2006年度 ・21世紀の炭素循環の推定 ・SEIB-DGVMの導入 AGCM (大気モデル) MATSIRO (陸面の熱・水) Sim-CYCLE (陸域炭素) ua, va, Ta, qa, Ps, Prec, Rad↓ Ts, Tg LAI E, H,τ Rad↑ NEP CO2a 導入 出力(完了) 出力 20世紀の全球炭素動態 動的植生モデル (SEIB-DGVM) 21世紀のCO2濃度
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本日の発表内容 ・20世紀の気候-炭素循環の推定結果 ・21世紀ランへむけた結合モデルの改良について
・投稿準備中の結果について、紹介します ・21世紀ランへむけた結合モデルの改良について ・Sim-CYCLEとMATSIRO結合についての問題点 ・Land use changeデータの導入に向けた取り組み(仮) ・ECRP陸域モデルGの北大での打ち合わせの内容 ・2005年度FRCGC評価委員会の評価(Aだった) → ほとんどが陸域モデルについての(厳しい)コメント → 6/8に北大地環研にて対応策を検討
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目的: 20世紀の陸域炭素循環を再現してみる!!
地球の炭素収支 750 放出源 化石燃料消費 & セメント生産 5.5 土地利用変化 1.1 吸収源 大気 3.2 海洋 2.0 陸域生態系? 1.4 ( , PgC yr-1) 2190 Schimel(1995) 目的: 20世紀の陸域炭素循環を再現してみる!!
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20世紀における陸域炭素フラックスの変化 ・NPP、HRともに5-7%程度上昇 ・NEPわずかだが正 →陸域が炭素シンク
→陸域が炭素シンク ・LUCを考慮すると、陸域はたびたび炭素ソース →LUCの影響大 全球積算 NPP(純一次生産), HR(従属栄養生物呼吸), NEP(生態系純生産) and NEP-LUCefflux(土地利用変化による放出)
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SST, CO2コントロール実験 ・NPPについて、CO2-controlはほぼ一定だった → NPP上昇はCO2の影響のみを受けている
・HRについて、SST-controlは中間的な動き →HR上昇はCO2とSST上昇の二つの影響を受けている
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全球のCO2濃度 1月 7月 地表面付近CO2濃度 (ppmv; 1999)
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Atmospheric CO2 concentration (ppmv)
a) BRW (N71.3, W156.6) b) CBA (N55.2, W162.7) ・季節変化が北方では大きく、南方では小さい傾向は一致 ・年々変化はかなり近い動き →グリッドサイズ等を考慮すると、それなりに精度は高い c) MLO (N19.5, W155.6) Atmospheric CO2 concentration (ppmv) d) SMO (S14.3, W170.6) e) BHD (S41.4, W174.9) f) SPO (S89.2, W24.8) Year
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Table. 全球炭素収支 (1980-1989; PgC/yr)
輸送モデルによる大気CO2濃度の年々変化 year CO2 濃度 (ppmv) 観測値 (0.25*spo+0.75*mlo) モデル推定値 Table. 全球炭素収支 ( ; PgC/yr) 本研究 Houghton (2003) 化石燃料 +5.4 海洋 -2.2 -1.7 陸域生態系 -0.5 -2.4 土地利用変化 +0.6 +2.0 Total +3.3 全球平均大気CO2濃度 (ppmv; ) ・Totalは実測値によく一致 ・陸域は大気CO2に中立的な振舞 ・しかし、その内訳は文献値と異なる → 文献値が過大評価の可能性
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CO2 concentration (ppmv)
気候・炭素動態アノマリーの年々変化 ・CO2アノマリーは温度アノマリーから1-2年遅れてピークがくる → Keelingらの 観測と一致 ・温度アノマリーとHRの動きは近い ・CO2アノマリーの変化速度はNCBの動きと近い →陸域が短期的な CO2変動を起こす a) CO2 anomaly CO2 concentration (ppmv) Temperature (oC) Temp. anomaly b) HR Carbon flux (Pg C yr-1) NPP NCB Year
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Correlation coefficient Lagged months from CO2 anomaly
気候・炭素動態アノマリー変化の先行 a) Temperature anomaly NiNO3 CO2アノマリーから18-21ヶ月前に、相関係数のピークがくる Correlation coefficient b) HR NPP NCB Lagged months from CO2 anomaly
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まとめ ・本研究で開発した結合モデルは、20世紀中の炭素循環をうまく再現することができ、その推定精度は高いと考えられる
・20世紀中のNPP、HRともに5-7%程度上昇し、差し引きのNEPはわずかに正だった。 ・土地利用変化による炭素の放出の影響は大きい。 ・20世紀中の気候変化において、陸域生態系は大気CO2に対して、長期にはほぼ中立的で影響を及ぼしていないが、短期には主たる変動要因であった。
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21世紀ランへむけた結合モデルの改良について
今年度の計画 ・21世紀の炭素循環の推定 ・SEIB-DGVMの導入 土地利用変化・植生分布の変化が 炭素循環と気候に及ぼす影響を調べる → アルベド変化・蒸発散量変化 → MATSIROとのさらなる融合が必要 → これまで各モデルで並列的に扱ってきた 陸面のアルベド・水収支・蒸散量推定を 統一する必要がある。
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現在 AGCM MATSIRO Sim-CYCLE NEP CO2 transport ua, va, Ta, qa,
Ps, Prec, Rad↓ ua, va, Ta, qa, Ps, Prec, Rad↓ E, H,τ Rad↑ CO2a MATSIRO LAI Sim-CYCLE Ts, Tg Water Balance Photo- synthesis Water Balance Photo- synthesis Wg
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最終形 AGCM MATSIRO Sim-CYCLE NEP CO2 transport ua, va, Ta, qa,
Ps, Prec, Rad↓ ua, va, Ta, qa, Ps, Prec, Rad↓ E, H,τ Rad↑ CO2a MATSIRO LAI Sim-CYCLE Ts, Tg Water Balance Photo- synthesis Photo- synthesis Wg gc
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MATSIROとSim-CYCLEの親和性を高める
~鉛直構造について~ MATSIRO Sim-CYCLE SEIB-DGVM 0m 1 0m 0m 0.05m 0-0.1m 2 1 0.25m 0.3m 0-0.5m 1 0.5m 3 0.6m 1m m 2 0.1-2m 2 1.5m 4 ~ 地温・土壌水分 2m 3 1.5-3m 重み付け内挿 Rooting depth 2.7m PFT typeによって決定 3m 5 ・各モデルの鉛直構造は変更しない ・地温だけでなく土壌水分もMATSIROからもらうようにする 4m
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MATSIROとSim-CYCLEの親和性を高める
~水平構造について~ MATSIRO Sim-CYCLE PFTs: 14 types PFTs: 20 types 融合させる必要があること ・アルベド ・気孔コンダクタンス ・植生変化への対応
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Land use changeデータの導入に向けた取り組み(仮)
・21世紀中のLUCにおける気候と炭素循環への影響を調べるために、将来のLUCのデータが必要になった。 ・しかし、IMAGE groupはいつまでたってもデータをくれない。 ・NIES groupのデータをもらうことを考える。 → 環境研モデルの利用可能性 → Jamstec研究開発促進アワードとの関連 LUCデータを作っている場所 ・IMAGE group (Bas Eickhout; RIVM/Netherland) ・SAGE group (Rammunkutty and Foley; Univ. Wisconsin) ・NIES group (山形さんら; NIES)
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ECRP陸域モデルGの北大での打ち合わせの内容(6/8)
○趣旨説明 ○各人の成果概要と研究計画 ○外部評価内容の検討 ○グループとしての目標設定 ○その他、コメント 発表者:伊藤、佐藤、稲冨、加藤 参加者:甲山先生、山中先生、高田先生、 もう一人研究者、大学院生
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評価委員会のコメント要約 総評: ・昨年度の評価結果を受け止め、全体の体制が見直され、研究陣の整備が進み、研究担当者の士気の向上、メンバー間での連携の強化など、効果的な組織運営になってきた。 ・3次元放射伝達モデルなど陸域生態系モデルの開発に大きな進展があった。モデルのラインアップがそろい、全球モデルにつなぐ方向が見えて、H17年度に比べ格段の進歩がある。 ・特に陸域生態系のモデルを全球の水・炭素収支などに結びつけるデータベースに関する戦略を立てる必要がある。 ・この分野での日本唯一のチームとして、更なる人材確保に努めるべき。
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個別の点へのコメント1(厳しいコメント) 1.モデルの検証が不十分 2.モデル間・研究者間の連携が不十分
・DGVMは、現在気候の植生分布を再現しただけでは 検証にはならない。 ・各モデルの平均気候特性、気候変動特性、不確実性の幅に 関して、しっかり検証を行なうべき。 2.モデル間・研究者間の連携が不十分 ・陸域は空間的非一様性が高いので、地域性に重点を置く とともに、それと全球モデルとの関係を明らかすべきだ。 ・まだなんでもありの印象が強く、目標設定をもっと絞った ほうがよいのではないか。 ・さまざまな試みがなされ成果を上げているが、全球モデル に何が必要なのかの検討もするべき。 ・モデルを応用性の高いものにしていくために、実データの 予測をモデルの改良にフィードバックする必要がある ・既存サイト等を使い、フィールド研究者との連携を確実に行う。 ・プログラム間での更なる連携が期待される。
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個別の点へのコメント2(励ましのコメント)
3.今後の発展の方向性 ・グローバルな気象変化の、人間の生活基盤への影響を評価するこ とがFRCGC全体の目的だとすると、生態系変動の影響評価、と くに陸域生態系のグループの研究は、もっとも重要な部門と 考えるべきで、より強化すべきである。 ・特に日本ではこのような研究グループがまったくないため、人材 の確保と育成に十分留意いただきたい。 4.アウトリーチ活動のススメ ・国際的活動への積極参加が目立つ(C4MIP?)ことは評価できる。 ・論文業績もあがりつつあるが、研究成果のすべてが必ずしも出版 されていない。まだ努力の余地がある。 ・地域的な現実の問題に取り組むことによって社会へのインパクト が高まることが期待される。 ・外部へのインパクトを高める意味でも、ECRPの存在意義について の議論を関連学会やその他の場で、もたれることが望ましい。
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個々人の仕事をなるべく増やすことなく、コメントに対応する答えを探す!
グループ構成 生態系変動予測研究プログラム(ECRP) 陸域生態系モデルグループ(GL:和田英太郎) ・物質循環サブグループ(SL:伊藤昭彦) ポスドク研究員:加藤知道、稲冨素子 → Sim-CYCLEの高度化 ・植生動態サブグループ(SL:甲山隆司) ポスドク研究員:佐藤永 → SEIB-DGVMの開発 個々人の仕事をなるべく増やすことなく、コメントに対応する答えを探す!
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1.モデルの検証(データベースの利用) ・全球スケール水&炭素収支 ・環境変動への植生動態応答 問題点: ・観測とのスケールギャップ
・観測とのスケールギャップ ・長期データの不足 ・観測データの信頼性 GPPDI data (Zheng et al. 2003)
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2. モデル間・研究者間の連携 Sim-CYCLEのスケール間の関わり 植物動態 + 窒素循環機能 + それなりの対応関係はすでにある!
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プログラム内・間連携は十分か? プログラム内: ・海洋Gとはほとんど研究上の交流無し
・海洋Gとはほとんど研究上の交流無し ・空間Gとリモセンデータのモデル利用に関して共 同研究が進められている 例:高精度のPARデータをモデルで利用 プログラム間: ・プログラム横断的に地球システムモデルを構築 ・大気組成G研究者へバイオマス分布データを提供 ・大気組成G研究者とN2O収支について議論
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既存観測サイト・データとの比較 ○岐阜高山サイト:土壌からのGHG放出(稲富)
○中国青海草原サイト:土壌からのGHG放出(加藤)、 PAR(小林) ○環境省S1:フラックス観測データ ○共生3:衛星観測データ 東アジアの CO2フラックスタワー S sites Asiaflux sites CREST etc. 11 sites Japan site total 38 sites + Koflux, Chinaflux (~20 sites)
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データ同化例:衛星データ利用 葉面積指数(LAI) LAI Sim-CYCLE SLA 比較 MODIS LAI
・モデル:炭素重からLAIへ変換(変換係数:SLA, 比葉面積=植生ごとの固定値) ・衛星(MODIS):アルゴリズム ・ナジング:衛星LAIで置き換え ・同化:衛星に合うようSLAを較正 LAI Sim-CYCLE SLA 比較 MODIS LAI Data by P.J.Baruah (IIS, U.Tokyo)
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モデルの観測データへのリアルタイム利用: 火災延焼と炭素放出の推定
モデルの観測データへのリアルタイム利用: 火災延焼と炭素放出の推定 野外火災の予報システム(JST-SORST)
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モデル推定における不確実性の評価 空間分布・経年変動
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3. 今後の発展の方向性 物質循環モデル ・陸域生態系の炭素-窒素-水循環を統合的に扱う新モデル
・アジア陸域における温室効果ガス収支マップの作成 ・国内外の観測サイトにおけるデータの積極的利用 統合モデル ・共生課題における陸域部分の完成(炭素循環+植生動態) ・20-21世紀における土地利用変化の気候的影響評価 衛星データの利用 ・高精度PAR、土地被覆データを用いた陸域炭素収支評価 ・MODIS火災マップを用いたCO2放出の評価 (JST-SORST)
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4. アウトリーチ 提案:生態学会でのシンポジウム/自由集会 「地球環境問題と陸域生態系モデル:可能性と課題」
温暖化をはじめとする地球環境問題は陸域生態系に深刻な影響を及ぼし、逆にその変化は気候変動へのフィードバック効果として作用する。このような相互作用を解析し予測する上で、モデル手法は不可欠なツールとなりつつある。特に最近数年間で顕著な研究の展開がみられたが、それが生態学にもたらす新たな可能性については十分に伝えられていない。一方、複雑多様な生態系を予測するモデル開発には課題も多く残されている。ここでは、国内の陸域生態系モデル研究の最新成果を報告し、今後の展開について議論を行いたい。
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