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Kr同位体の核半径の研究 埼玉大学大学院理工学研究科 中島 真平 2006/03/27 学籍番号 04SP009 中島真平です。

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1 Kr同位体の核半径の研究 埼玉大学大学院理工学研究科 中島 真平 2006/03/27 学籍番号 04SP009 中島真平です。
中島 真平 学籍番号 04SP009  中島真平です。 これから自分が2年間修士課程の間に行った。研究成果を発表させて頂きます。 2006/03/27

2 研究目的 Kr 同位体の核半径を決め、スキン構造を議論する。 ⇒ 核半径を測定すると陽子分布と中性子分布が比較できる どのように測るか?
72Krの分離エネルギー差が大きい  (Sp-Sn = MeV  ~33Ar) 荷電分布が既知     ⇒  核半径を測定すると陽子分布と中性子分布が比較できる どのように測るか? 相互作用断面積を測定しグラウバー理論により核半径を導出する。 (反応の前後で核種(N or Z)が変化する確率) そこで本研究の目的にうつります。 本研究の目的はKr同位体の核半径を決めることです。 なぜKr同位体かというと、72Krは分離エネルギー差は-11.3MeVです、先ほどの図をみると33Arと同程度あります。このため、スキン構造である可能性があるのではないかと考られます。 また、荷電半径が計られており、(M.Keimさんアイソトープシフト実験より1995)であり、物質核半径を測定することで陽子密度と中性子密度比較することができます。 核半径をどのようにはかるかというと、方法は以下の式ので核半径と結びつけられる相互作用断面積を測定します。 分離エネルギー Sp=4.8MeV, Sn=16.1MeV Δ= -11.3 74 Sp= 2006/03/27 (黒体球と仮定) 相互作用断面積 相互作用半径 (入射核、標的核)

3 N1 N2 トランスミッション方法 反応標的 非反応数 入射数 ビーム t I 断面積の測定方法 粒子識別 (Bρ- TOF – ΔE 法)
双極子磁石 飛行時間 (Time Of Flight) プラスチック シンチレーター エネルギー損失 (ΔE) イオン チェンバー(IC) 2006/03/27

4 セットアップ(FRS @ GSI/ドイツ) S0 S1 S2 生成標的 S4 S1 S2 S4 S0 Bρ Bρ ΔE ΔE TOF TOF
双極子磁石(D) 四重極磁石 スリット S0 80Kr 1050 MeV/u D1 S1 S2 76Kr 72Kr D2 生成標的 S4 D4 S1 S2 S4 S0 FRSのセットアップを説明します。 FRSにある各焦点面 S0~S4に検出器を設置できるようになっており、粒子識別に必要なものを設置しました。 反応標的はS2のここに設置され、この前後にて粒子識別ができるように検出器を設置します。 Bρは双極子磁石からよみます。TOFはプラスチックシンチレーターを二枚おき、その飛行時間を測定します。ΔEはイオンチェンバーにより即手します。 また、粒子の軌跡を調べるためと、位置検出器のタイムプロジェクションチェンバーを設置しました。位置検出器を二台おくことで粒子の奇跡を調べることができます。 このセットアップにより、右から入ってきたビームを反応標的の前段後段にて粒子識別します。 IC ΔE ΔE TOF TOF 2006/03/27 反応標的

5 反応標的 前段 Z A/Z 解析 様々な粒子が入ってくる 72Kr ±2σ 10 10 10 1 34 35 36 37 38 74Rb
反応標的 前段 ±2σ 3 10 70Br 72Kr 様々な粒子が入ってくる 2 10 73Kr 74Rb 10 75Rb 1 72Kr 73Kr 34 35 36 37 38 Z 3 10 70Br 71Br 72Kr 73Kr 2 10 69Se 70Se 10 1 1.96 1.98 2 2.02 2.04 2006/03/27 A/Z

6 反応標的 後段 Z 前段で72Krにgate 72Kr A/Z ±4σ 10 10 73Kr 1 34 35 36 37 38 10 10
反応標的 後段 ±4σ 前段で72Krにgate 2 10 10 73Kr 1 34 35 36 37 38 72Kr Z 2 10 10 1 1.96 1.98 2 2.02 2.04 2006/03/27 A/Z

7 相互作用断面積 Koxの半経験式 ∝ A1/3 安定核の反応断面積計算に用いられている ● 安定核と 異なる傾向を示した ● 陽子過剰側へ
● 安定核と    異なる傾向を示した ● 陽子過剰側へ    σIは拡大 ∝ A1/3 図にプロットしました。黒丸と誤差が実験値です。 安定核の反応断面積を再現する式としてしられるKoxの半経験式と比較します。白丸がそれです。この経験式は安定核では10%ほどの精度で反応断面積を再現しています。 また、安定核の性質のA1/3の傾向も図示しました。 比較すると、安定核とは異なる傾向をしめしていることがわかります。 また、陽子過剰側へよるにつれ、相互作用断面積は拡大しています。 72 76 80 2006/03/27

8 物質半径の導出と変形の補正 グラウバー理論 変形の情報を含んでいない ⇒ 球形部分の半径に変換する 4.7 4.5 4.3 4.1
   変形の情報を含んでいない ⇒ 球形部分の半径に変換する 4.5 4.3 4.1 rms [fm] ここで、グラウバー理論は核の変形の情報を含まず計算しています。Kr同位体は核が変形しているという報告があり、その補正をおこない球形部分の核半径を導出しました。 ここでβ2は左下の値を用いた。72Krのみ実験値がないため、相対論的平均場理論からえら得る三つのパラメーターを用いました。 球形部分物質半径は右表になった。 3.9 3.7 72 76 80 Kr 同位体 2006/03/27

9 Kr同位体の陽子半径 Ar同位体について 荷電半径から陽子半径へ変換 増加 減少 陽子過剰側へ陽子半径は緩やかに減少
次に陽子半径を求めます。 アイソトープシフトより得られている荷電半径を次のように陽子半径に変換しプロットしました。 ここで安定核であり、N=50の魔法数核である86を極小値として陽子過剰側へ緩やかに増加しているのが見えます。 また、その後75あたりから急激な減少がみらえる。 Kr同位体には陽子過剰がわへよるにつれ、陽子半径は減少し、物質半径が増大する傾向が見られる。 これはAr同位体と異なる傾向です。 要因のひとつとして考えられる変形について考察していみました。 シェルは魔法数が28、50を取り、 28から 1f 5/ (34) (70) 2p 3/ (38) (74) 2p ½ (40) (76) 1g 9/ (50) (86) となっているので、そのへんの影響もあり?変形度ともの。 sharp,principal.diffuse.fundamentalの頭文字らしいよ。 減少 陽子過剰側へ陽子半径は緩やかに減少 それ以上に物質半径は減少 同様な議論をすることはできない 2006/03/27

10 フェルミエネルギー差とスキンの相関 大局的にみて、ばらつきの範囲内。 陽子スキンである可能性もある。 Ar Na Kr ] fm [ rms
0.7 Ar 0.5 Na 大局的にみて、ばらつきの範囲内。 陽子スキンである可能性もある。 Kr 0.3 ] fm [ rms 0.1 Δ -0.1 陽子スキン核のArと比較する。 赤丸は陽子半径 青円は物質半径 陽子過剰がわへ陽子半径は緩やかに減少 それ以上に物質半径は減少している。 これはKr同位体と異なる。Kr同位体では物質半径は増大している。 Ar同位体と同様なスキンの議論は難しい。 フェルミ面差、分離エネルギー差とスキンの相関をみてみます。 図には陽子スキン核で知られるAr同位体と中性子スキン核で知られるNa同位体をプロットしています。 本実験から得られるKrのデータもプロットしました。 Kr同位体のみをみてみるとスキンの持つ相関を持たないように見えますが。Ar同位体も大きなばらつきをもっており、この相関、スキンをもたないとはいいきれません。 次に、このような陽子過剰側への核半径の増大の原因が何にあるかを探ってみます。 Kr同位体は大きな変形度が知られており、その傾向をみてみます。 -0.3 -0.5 -24 -19 -14 -9 -4 1 6 11 16 Sp - Sn [MeV] 2006/03/27

11 核半径と変形度 Kr同位体は核が変形している 陽子過剰側へ 変形度は拡大 exp 変形度 |β| 質量数 A 0.4 0.3 0.2 0.1
変形度 |β| 0.2 RMF理論からでる3つの理論値を横軸に質量数をとりプロットした。 陽子過剰核がわへよるにつれ、変形度が増している。 72に関しては実験地がないが、どの理論値も大きな変形度を予想している。 変形度の拡大が物質半径の増大に影響していることが考えられる。 74までは実験値があり、再現しているます。 0.1 70 72 74 76 78 80 82 84 86 2006/03/27 質量数 A

12 近辺の陽子過剰核の傾向 A=60~80では 陽子過剰側で 物質半径の増大が見られた。 rms [fm] Kr Br Se As Ge Ga
4.7 Kr A=60~80では 陽子過剰側で 物質半径の増大が見られた。 Br 4.5 Se As 4.3 Ge Ga rms [fm] 4.1 3.9 rms [fm] 最近 Ga ガリウム  (31) Ge ゲルマニウム (32) As アーセニック アーセン ヒ素  (33) Se セレン、 セレニウム (34) Br ブロム 臭素 (35) についてのデータがある。 それらをプロットした。 Kr同位体については球形半径を用い、72Krについては理論値の平均をとった。誤差は最高値と最低地の差を用いた。 誤差の範囲が大きく、ひとつの同位体をみると、Se以外は同位体同士のエラーバーが重なっている。ですが、本実験で得られたKr同位体を含め、質量数が60から80程度の領域において、測定されたデータが陽子過剰側で物質半径が増大している傾向がみることができます。 これらの傾向から核半径の広がりが、フェルミ面に起因する分離エネルギー差以外の影響があることが考えられる。 ひとつの重要な要素として、変形が考えられる。 実験情報としては GANIL (Grand Accelerateur National d’Ions Lourds, Caen, France) 73 A MeV primary beam 78Kr Hitting 90mg/cm2 Ni target 3.7 3.5 3.3 6 6 2 6 4 6 6 6 8 7 7 2 7 4 7 6 7 8 80 2006/03/27 質量数 A

13 結論 80Kr, 76Kr, 72Krの12Cに対する相互作用断面積から物質半径を決定することができた。
この領域では、安定核で知られる質量数の1/3乗に比例する性質が成り立っていないことがわかった。 質量数が40領域であるAr同位体が陽子過剰側で物質半径が減少するのに対して、質量数が60~80領域で増大していることが確認できた。 スキン核の特徴である、フェルミ面とスキンの相関に矛盾はないが、さらなるスキンの考察には変形度等のパラメーターを検討する必要がある。 2006/03/27

14 2006/03/27


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