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Published byMaría Josefa Olivera Botella Modified 約 5 年前
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北海道大学・環境科学院 藤原正智 http://wwwoa.ees.hokudai.ac.jp/~fuji/
基礎地学II 気候変動と地球温暖化(1/3) 北海道大学・環境科学院 藤原正智
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気候変動と地球温暖化 第1回 気候システムとその変動過程 エルニーニョ・南方振動 第2回 地質時代の気候変動 地球温暖化 第3回
地球温暖化:今後の課題(数値モデリング) 地球温暖化:今後の課題(観測) 地球温暖化問題とは何か
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“気候システム”? 地球の特徴は? 巨大な衛星、月の存在 大気の存在(青色) H2Oの雲の存在 広大な海洋の存在 プレートテクトニクス
“気候システム”? 地球の特徴は? 巨大な衛星、月の存在 大気の存在(青色) H2Oの雲の存在 広大な海洋の存在 プレートテクトニクス 強い磁場の存在 生命の存在 酸素主成分の大気 オゾン層の存在 “Earth Rise” : December 1968, Apollo 8 月上空から見た地球(アポロ8号:初の月周回)―写真右上より太陽光
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“気候システム”? 地球半径: 6370 km 対流圏の厚さ: ~10 km 大気圏の厚さ: ~100 km 海洋の平均水深: ~4 km
“気候システム”? 地球半径: km 対流圏の厚さ: ~10 km 大気圏の厚さ: ~100 km 海洋の平均水深: ~4 km 1997年8月 台風“Winnie” (スペースシャトル Discovery、高度300~500 km)
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気候システムを規定する 基本定数および物理・化学過程
[気候変動論、 住ほか、 岩波書店]
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気候システムを規定する 基本定数および物理・化学過程
太陽定数(太陽表面温度、地球・太陽間距離(地球公転軌道)) 地球公転速度、地球自転軸と公転面の傾き(“地球軌道要素”) 地球半径・質量、自転速度 重力とコリオリ力 大気総量、大気組成(放射活性・温室効果気体、エアロゾル、雲) 気温気圧分布(大気安定度)、水蒸気量(潜熱)、粘性(乱流) 地表面状態(海陸、植生、雪氷等の分布 放射的、熱的、力学的特性) 大気海洋相互作用、大気陸面(生物圏含む)相互作用、 大気雪氷相互作用、雪氷海洋相互作用(例:中・深層水) 火山噴火、隕石衝突…
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気候システムの変動とそれに関わる過程 数億年: “地球史46億年”(固体地球の冷却・大気海洋と生物の進化・他)
数億年: “地球史46億年”(固体地球の冷却・大気海洋と生物の進化・他) 数万年: 氷期・間氷期(地球軌道要素=“ミランコビッチ”サイクル) 数千年: (海洋深層循環) 数百年~数十年: 地球温暖化(人類の文明?) 数十年~数年: エルニーニョ・南方振動(大気海洋相互作用) 環状モード=北極振動・南極振動 太陽活動の11年周期(エネルギー量は0.1%、紫外線量は1%、宇宙線量は10%変動。なお、他にも長周期の各種変動あり) 数ヶ月~数週間: さまざまな“テレコネクションパターン” Madden-Julian Oscillation (MJO) (熱帯の積雲の組織化) ブロッキング高気圧 数日: 温帯高低気圧
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大気と海洋の相互作用 風の持つ運動量(乱流摩擦):大気海洋 海の熱と水(顕熱と潜熱):海洋大気(多くの場合)
大気側:地表面摩擦(運動エネルギー消散) 海洋側:「風成循環」駆動 海の熱と水(顕熱と潜熱):海洋大気(多くの場合) 熱と水蒸気の乱流輸送(気温・湿度分布、地表風速に依存) 降水・蒸発:海洋の塩分濃度が変化「熱塩循環」が変化 例:風海流による熱輸送(海表温)気団形成・変質風 (なお、大気と陸面、大気と雪面、大気と氷面間にも、運動量と熱のやりとりがある。)
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海洋から大気へ顕熱と潜熱が大量に供給される
【冬のシベリアからの北西季節風】 気温は大陸沿岸で-10~-20℃ 日本海沿岸で0℃ 日本海上を10~20時間進む間に、 海洋から大気へ顕熱と潜熱が大量に供給される [左図:木村竜治、流れの科学; 右上図:新田尚、新気象読本]
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エルニーニョ・南方振動 El Niño-Southern Oscillation, ENSO
Darwin Tahiti “NINO 3”海域 南方振動: インド気象台長だったウォーカー(Walker)が1923年に発見 (インドのモンスーンはいつはじまるか、総雨量はどの程度になるか、予測するため過去の気象データを調査していた) (ちなみに、“Walker循環”は、熱帯の東西循環のこと。西太平洋で上昇、東太平洋で下降、など。 vs. Hadley循環) <以降のENSO解析に使用するデータは断わりのない限り、
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Walkerが発見した南方振動(Southern Oscillation)
“細かいぎざぎざ”1年周期の変動 数年おきに、年極大値、年極小値が変動しているか? DarwinとTahitiとで、何か関係性がある?
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南方振動指数(Southern Oscillation Index)
南方振動の指数を定義: DarwinとTahitiの気圧アノマリーの差を規格化
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熱帯西太平洋と熱帯中央太平洋とで、数年周期で気圧偏差が“シーソー”的な 変動をする現象
Darwin Tahiti “NINO 3”海域 南方振動とは: 熱帯西太平洋と熱帯中央太平洋とで、数年周期で気圧偏差が“シーソー”的な 変動をする現象 その実体をさらに探るために、熱帯の海(海表温)にも着目してみよう (Sea Surface Temperature, SST)
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そもそも熱帯のSSTの季節変動はどうなっている?
NOAA Optimum Interpolation (OI) Sea Surface Temperature (SST) V2
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南方振動指数とEl Niño・La Niña
明瞭な逆相関がみえていそうである 南方振動指数が大きな負(Darwin高圧アノマリ、Tahiti低圧アノマリ) 熱帯東太平洋高温
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南方振動指数とEl Niño・La Niña
明瞭な逆相関がみえていそうである 南方振動指数が大きな負(Darwin高圧アノマリ、Tahiti低圧アノマリ) 熱帯東太平洋高温
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南方振動とEl Niño・La Niña ★エル・ニーニョ(El Niño) (“神の子”(男の子))という現象:
・南米ペルー・エクアドル沖の熱帯東太平洋(湧昇域:低温、生物生産大)にて、 毎年12月から3月にかけて、海面水温が上昇しアンチョビー(かたくちいわし)が姿消す (海水温循環の季節変化) ・数年に一度、広域で異常昇温 (海水温循環の年々変動) ・逆に、広域で異常降温する場合、ラ・ニーニャ(La Niña) (“神の子”(女の子)) ガラパゴス諸島サンクリストバル島(2004.7) ガラパゴスアシカ
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南方振動とEl Niño・La Niña ガラパゴス諸島サンクリストバル島(2004.7)
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エルニーニョ・南方振動 El Niño-Southern Oscillation, ENSO
大気海洋相互作用現象としてのENSO: ・エル・ニーニョとラ・ニーニャは、大気海洋結合システムの二つの「安定解」。 ・数年周期で(ただし不定)、二つの状態の間を行き来する。 ・地表風により海洋中に大規模波動が励起され、これが水塊を移動させ状態変化をもたらす。 [小倉義光著、一般気象学、東京大学出版会]
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“もどき”: 1970年代以前は、“教科書的な”El Niño、La Niñaが起こっていたが、
1970年代以降、様子が変わってきている。地球温暖化の進行がその原因 かもしれない。[Ashok and Yamagata, Nature, 461, , 2009]
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エルニーニョ現象と世界の天候との統計的関係
1949~2004年におけるエルニーニョ現象発生年とエルニーニョ現象・ラニーニャ現象ともに発生していない年とで比較し、検定の結果、危険率10%未満で有意な差のあった地域をまとめて分布図に示す。 どうして/どのようにして、熱帯のENSOの影響が遠く中高緯度まで伝播するのか? “テレコネクション”
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エルニーニョとインドネシア森林火災 ★エル・ニーニョに 伴う直接的影響の例: 1997年インドネシア 大森林火災 大旱魃(+乱開発)
が原因。 ・熱帯生態系の焼失 ・煙害、越境大気汚染 [AERA, ]
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< Indian Ocean Dipole Mode >
インド洋ダイポールモード [Saji et al., Nature, 1999; ] < Indian Ocean Dipole Mode >
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気候変動と地球温暖化 気候システムとその変動過程 エルニーニョ・南方振動 <参考図書等> ・「地学図表」 浜島書店
・住明正ほか 「気候変動論」(岩波講座・地球惑星科学11) 岩波書店 ・小倉義光 「一般気象学」 東京大学出版会 ・木村竜治 「流れの科学」 東海大学出版会 ・新田尚 「新気象読本」 東京堂出版 ・江守正多 「地球温暖化の予測は「正しい」か?不確かな未来に科学が挑む」 化学同人 ・IPCC Fourth Assessment Report (AR4), Climate Change 2007, Working Group I Report "The Physical Science Basis“ Cambridge U. Press ・近藤洋輝 「地球温暖化予測がわかる本-スーパーコンピュータの挑戦」 成山堂書店 ・ワート「温暖化の<発見>とは何か」 みすず書房 ・米本昌平 「地球環境問題とは何か」 岩波新書
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