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平成20年10月5日(月) 東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 亀田弘之
言語プロセッサ2009 -B(後半)- 平成20年10月5日(月) 東京工科大学 コンピュータサイエンス学部 亀田弘之
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後半はオートマトンの話 automaton (複数形は,automata) 敢えて訳せば「自動機械」でしたね。
教科書の第4章(字句解析)を理解するのに不可欠ですので、じっくりと学びましょう。 もっと詳しく学びたい人へ [1] 米田(監修):オートマトン・言語理論の基礎,近代科学社 [2] 言語理論とオートマトン,サイエンス社 など
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オートマトンとは オートマトン = 自動機械 (automaton, pl. automata) もっと具体的には…
いったいどんなものなのかなぁ
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まずは有限オートマトンから Finite Automaton(FA) 何がfinite(有限)か? もっと詳しく見ていきましょう!
=> 内部状態数が有限 もっと詳しく見ていきましょう!
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有限オートマトンのイメージ FAの概観 a1 a2 ai-1 ai an ・・・ ・・・ ・・・ qk
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有限オートマトンのイメージ FAの概観 入力記号 セル an ai a1 a2 ai-1 ・・・ 入力テープ qk 内部状態 ヘッド
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有限オートマトンのイメージ qk FAの概観 a1 a2 ai-1 ai an セル 入力記号 入力テープ ヘッド 内部状態 ・・・ ・・・
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このようなハードウェアをもった自動機械が、入力記号を読みながら内部状態を変化させていく、といったもの。
言葉で表現すると次のようになる。
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有限オートマトンの定義 FA = ( K, Σ, δ, q0, F ) ただし、 K : 状態の集合( Kは有限集合)
Σ : 入力アルファベット(Σは有限集合) δ : 状態遷移関数 δ: K×Σ∋( qi , a ) → qj ∈ K q0 : 初期状態 F : 最終状態の集合 ( F ⊆ K ) なるほどそうですか でも、よくわからないなぁ
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それでは、具体例をみてみましょう。
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有限オートマトンの例 FA = ( K, Σ, δ, q0, F ) ただし、 K : 状態の集合( Kは有限集合)
Σ : 入力アルファベット(Σは有限集合) δ : 状態遷移関数 δ: K×Σ∋( qi , a ) → qj ∈ K q0 : 初期状態 F : 最終状態の集合 ( F ⊆ K )
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有限オートマトンの例 FA = ( K, Σ, δ, q0, F ) ただし、 K : { r, s, t } 状態の集合
Σ : 入力アルファベット(Σは有限集合) δ : 状態遷移関数 δ: K×Σ∋( a, qi ) → qj ∈ K q0 : 初期状態 F : 最終状態の集合 ( F ⊆ K )
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有限オートマトンの例 FA = ( K, Σ, δ, q0, F ) ただし、 K : { r, s, t } 状態の集合
Σ : { a, b }入力アルファベット δ : 状態遷移関数 δ: K×Σ∋( a, qi ) → qj ∈ K q0 : 初期状態 F : 最終状態の集合 ( F ⊆ K )
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有限オートマトンの例 FA = ( K, Σ, δ, q0, F ) ただし、 K : { r, s, t } 状態の集合
Σ : { a, b }入力アルファベット δ : 状態遷移関数 δ: K×Σ∋( a, qi ) → qj ∈ K q0 : 初期状態 F : 最終状態の集合 ( F ⊆ K )
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δ : 状態遷移関数 δ(r, a)=s, δ(r, b)=r, δ(s, a)=t, δ(s, b)=r,
δ : 状態遷移関数 δ(r, a)=s, δ(r, b)=r, δ(s, a)=t, δ(s, b)=r, δ(t, a)=t, δ(t, b)=r 状態 入力 次の状態 r a s b t
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δ : 状態遷移関数 δ(r, a)=s, δ(r, b)=r, δ(s, a)=t, δ(s, b)=r,
δ : 状態遷移関数 外部入力 δ(r, a)=s, δ(r, b)=r, δ(s, a)=t, δ(s, b)=r, δ(t, a)=t, δ(t, b)=r 状態 入力 次の状態 r a s b t 内部入力
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有限オートマトンの例 FA = ( K, Σ, δ, q0, F ) ただし、 K : { r, s, t } 状態の集合
Σ : { a, b }入力アルファベット δ : 状態遷移関数 δ: K×Σ∋( a, qi ) → qj ∈ K q0 : r 初期状態 F : 最終状態の集合 ( F ⊆ K )
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有限オートマトンの例 FA = ( K, Σ, δ, q0, F ) ただし、 K : { r, s, t } 状態の集合
Σ : { a, b }入力アルファベット δ : 状態遷移関数 δ: K×Σ∋( a, qi ) → qj ∈ K q0 : r 初期状態 F : { t } 最終状態の集合 ( F ⊆ K )
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つまり
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有限オートマトンの例 K = { r, s, t} , Σ= { a, b }入力アルファベット, q0 = r, F ={ t },
δ : 状態 入力 次の状態 r a s b t
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このFAを動作させてみましょう 入力文字列 abaa bababa aabbaabb
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以上のFAは決定性FAともいう 決定性有限オートマトン (Deterministic FA; DFA) ??? 後で、
非決定性オートマトン(Non-deterministic finite automaton; NFA) が出てきます。
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FAの視覚的表記法 言葉よりも図の方が分かりやすいこともある。 便利なので覚えましょう。簡単です! よかったぁ
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初めに内部状態ありき s r t
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δ:状態遷移関数をみながら… δ(r, a)=s, δ(r, b)=r, δ(s, a)=t, δ(s, b)=r,
δ(t, a)=t, δ(t, b)=r 状態 入力 次の状態 r a s b t
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遷移の条件と行き先を記入 s a r t
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遷移の条件と行き先を記入 s a r t b
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遷移の条件と行き先を記入 s a a r t b
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遷移の条件と行き先を記入 s a a b r t b
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遷移の条件と行き先を記入 s a a b r t a b
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遷移の条件と行き先を記入 s a a b r b t a b
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初期状態と最終状態を記入 s a a b r b t a b
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もう一度動作させてみよう 入力文字列 abaa bababa aabbaabb
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練習問題
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以上のFAは決定性FAという 決定性有限オートマトン (Deterministic FA; DFA)
次に、非決定性有限オートマトン (Non-deterministic Finite Automaton; NFA)
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非決定性有限オートマトンの定義 FA = ( K, Σ, δ, q0, F ) ただし、 K : 状態の集合( Kは有限集合)
Σ : 入力アルファベット(Σは有限集合) δ : 状態遷移関数 K×Σ∋( a, qi ) → (qk, ql,…,qm)∈ 2K q0 : 初期状態 F : 最終状態の集合 ( F ⊆ K )
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例
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ε非決定性有限オートマトン 空動作を許容する非決定性有限オートマトン (non-deterministic FA with ε; ε-NFA)
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ε非決定性有限オートマトンの定義 FA = ( K, Σ, δ, q0, F ) ただし、 K : 状態の集合( Kは有限集合)
Σ : 入力アルファベット(Σは有限集合) δ : 状態遷移関数 K×(Σ∪{ε})∋ → 2K q0 : 初期状態 F : 最終状態の集合 ( F ⊆ K )
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Ε-NFAの例 FA = ( K, Σ, δ, q0, F ) ただし、 K : { p, q, r} 状態の集合
Σ : { 0, 1 }入力アルファベット δ : 状態遷移関数 δ: K×(Σ∪{ε})∋ → 2K q0 : p 初期状態 F : { q, r } 最終状態の集合
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δ:状態遷移関数 δ(p,ε)={ q, r } δ(q,0)={ q } δ(r,1)={ r },
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状態遷移図にすると… (自分で書いてみよう) 検討:このオートマトンはどんな文字列を 受理するのだろうか?
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練習問題
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注意事項 DFA -> NFA -> ε-NFA 「条件を順次緩めた」 ということは、より多くの文字列を受理できる?
つまり、より大きな言語・より多様な言語を受理することができる?
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いいえ 違います 本当なの?! あら、残念…
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FA, NFA, ε-NFA は同等の能力 (言語の生成・受理の能力として)
ε-NFAをFAに、それも状態数が最小のFAに変換する方法について学ぼう! (教科書のp.61あたりに書いてあります。) 次回は、まず、p.29あたりからはじめます。
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次の話題 Backus Naur Form (構文要素の記述) 構文図式(構文の視覚的表示) 文法(構文の形式的記述)
構文木(構文構造の視覚的表示) 正規表現=FA ε-NFA -> NFA -> FA -> 状態数最少FA FAのプログラムへの変換 LEX(プログラムの自動生成)
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付録 オートマトンの動作イメージ 動作の初めの部分のみ 興味のある人は続きを自分で作ってみてください。
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有限オートマトンの動作 FAの概観 a1 a2 ai-1 ai an ・・・ ・・・ ・・・ qk
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有限オートマトンの動作 FAの概観 a b a a q X q’ r a s b t r s
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続きは自由課題です。
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ここまでのまとめ 文字列認識装置としてのオートマトンを復讐した。
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とうことは、 #include <stdio.h> int main( ) { int x; x = 10; x += 5; printf(“xの値は=%d“, x); } このようなものを認識できるオートマトンが作れるってこと?
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