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有限温度下におけるチャーモニウム 前澤 祐 (理研・橋本数理物理研究室) 重イオン衝突実験におけるQGP生成のシグナル
J/y抑制機構(QGP中ではチャーモニウムの生成が抑制される) 格子QCDシミュレーションによるJ/y抑制温度(消失温度)の測定 クォーク・反クォーク相関における様々な物理現象の解明 有限温度下におけるメソン相関の計算手法の発展 理研・和光 9月24日ー26日
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Asakawa & Hatsuda, PRL92(2004)012001
Contents : QGP中のチャーモニウム 1.静的なprobeによるポテンシャルモデルの研究 2.動的なprobeによるチャーモニウム状態の研究 3.重イオン衝突実験による示唆 ・ 有限温度下におけるクォーク間ポテンシャル Matsui & Satz, PLB178(1986)416 T 増大: mD に依存した消失温度 ・ 自由エネルギーによるクォーク間ポテンシャルの振舞い WHOT, PRD75(2007)074501 強い非摂動的遮蔽効果 チャーモニウム消失温度: ? ・ ウィルソンループによるポテンシャル: 崩壊幅の導出 Laine et al. JHEP03(2007)054 Rothkopf et al ・ 最大エントロピー法(MEM)による計算: スペクトル関数の導出 までJ/y のピークが残る ・ 境界条件法による計算: 束縛状態・散乱状態の判定が可能 でもJ/y, hc はコンパクトな状態 ・ 対角化法による状態の分離: でもJ/y, y’, hc, cc0 はコンパクトな状態 Asakawa & Hatsuda, PRL92(2004)012001 Iida et al. PRD74(2006)074502 Ohno et al ・ 中心衝突における生存確率の減少 hydro + J/y model による解析: Gunji et al. PRC76(2007)051901
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チャーモニウム: cc からなるメソン束縛状態
Sequential J/y suppression ・ 重イオン衝突: y ’, cc0 の生成 間接的な J/y の生成 ・ 高温でのy ’, cc0 の抑制 J/y 抑制に重要 Figures adapted from H. Satz, hep-ph/ 静的probe 動的probe グルーオン媒質(quenched QCD) クォーク・グルーオン媒質(full QCD) ポリヤコフ線相関 メソン相関 長所: 計算が容易、様々な現象の観測が可能 チャーモニウムの直接計算が可能 短所: 束縛状態の判定にモデルが介入 虚時間方向の制限 QGP中の重いクォーク間相関
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QGP中のチャーモニウム 1.静的なprobeによるポテンシャルモデルの研究 2.動的なprobeによるチャーモニウム状態の研究
3.重イオン衝突実験による示唆
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有限温度下におけるクォーク間ポテンシャルと束縛状態の消失過程
QCD媒質中の静的なクォーク (Q)・反クォーク(Q) 間相互作用 T = 0, T > 0, 温度揺らぎにより弱くなる, クォーク対生成による弦消失 T > TC , QGP中で遮蔽効果が現れる 予想されるポテンシャルの振舞い 遮蔽効果による束縛状態の消失過程 Matsui & Satz, PLB178(1986)416 Bound state ansatz QGP中で束縛が可能な条件 m : constituent quark mass 5
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有限温度下でウィルソン・ループと類似の演算子
クォーク間自由エネルギー 静的なクォーク間相互作用を特徴付けるためには・・・ T = 0 静的なクォーク間ポテンシャル Brown and Weisberger (1979) ウィルソン・ループ演算子 T > 0 静的なクォーク間自由エネルギー Nadkarni (1986) 有限温度下でのクォーク間ポテンシャルの候補 ポリヤコフ線 : 位置 x にある静的なクォーク クーロンゲージにおけるカラー1重項に射影されたポリヤコフ線間の相関関数 有限温度下でウィルソン・ループと類似の演算子 期待されるクォーク間自由エネルギーの振舞い: 短距離 r : F 1(r,T ) ~ V(r) (媒質の影響をうけないため) ウィルソンループとの整合性 中距離 r : プラズマによる遮蔽効果 遠距離 r : 相互作用のないクォーク単一の自由エネルギー
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r クォーク間ポテンシャル( T = 0 ) g, u, d, s 283 x 58 CP-PACS & JLQCD
現象論的ポテンシャルによる再現 フィットの結果 = 近距離でのクーロン項 + 遠距離での線形項 + 定数項 7
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クォーク間自由エネルギー(T > 0) F 1(r,T ) は温度によらず F 1(r,T ) が V(r,T = 0)から離れる距離
WHOT-QCD, PoS LAT2007 (2007) 207 323 x 16-4 クォーク間自由エネルギー(T > 0) 遠距離領域 線形項の消失 2 x(クォーク単一の 自由エネルギー) に収束する 中距離領域 F 1(r,T ) が V(r,T = 0)から離れる距離 (熱媒質の寄与を受ける距離) デバイ遮蔽質量(長)により特徴づけられる によるフィット 近距離領域 F 1(r,T ) は温度によらず V(r ,T = 0 ) に収束する 近距離の物理は温度に依らない 自由エネルギーのT = 0との整合性
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デバイ遮蔽質量と束縛条件 m = 1.5 GeV , a = 0.441 ・ 遮蔽質量は非摂動的寄与が支配的
・ Nf=2+1 (Wilson) 323 x (16-4), mp / mr = 0.63 ・ Nf=2 (Wilson) 163 x 4, mp / mr = 0.65 ・ Nf=0 (quench) 203 x (32-8) aniso 摂動論による遮蔽質量 束縛条件 m = 1.5 GeV , a = 0.441 ・ 遮蔽質量は非摂動的寄与が支配的 束縛条件から T ~Tc ですでにチャーモニウムは崩壊する ・ IF) 熱的クォーク質量が温度とともに増加 束縛が可能?
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格子上におけるアプローチ (tommorow!)
ウィルソンループによるポテンシャルの導出 Laine et al. JHEP03(2007)054 ミンコスキー空間上のウィルソンループ 熱的摂動論によるクォーク間ポテンシャル ポテンシャル虚部 崩壊幅 束縛エネルギー E0 崩壊幅 G *bottomonium system T ~ 250 MeV で崩壊幅 > 束縛エネルギー: E0 > 0でも崩壊する 格子上におけるアプローチ (tommorow!) Rothkopf et al ユークリッド空間上のウィルソンループ MEMによるスペクトル関数の導出 r (w, r) ピークの位置 ReV>(∞, r) ピークの幅 ImV>(∞, r)
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QGP中のチャーモニウム 1.静的なprobeによるポテンシャルモデルの研究 2.動的なprobeによるチャーモニウム状態の研究
3.重イオン衝突実験による示唆
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動的なprobeによるチャーモニウム状態の研究
メソン相関関数 1/T , M0: 基底状態の質量 有限温度格子QCD: 時間方向が温度で制限 高温でハドロン質量の測定が困難 t 非等方格子: 時間方向の格子点を増やす 多くの情報の抽出が可能 x t x = as /at 非等方パラメータ (注)時間方向の物理的な距離が伸びるわけではない Smeared演算子: ソース演算子を波形に 短時間で基底状態に達する (注)真の基底状態は演算子の形(An)によらない
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メソン相関関数による有限温度チャーモニウム研究
(1) 最大エントロピー法(MEM)による計算: スペクトル関数の導出 までJ/y, hc のピークが残る (2)境界条件法による計算: 束縛状態・散乱状態の判定が可能 でもJ/y, hc はコンパクトな状態 (3) 対角化法による状態の分離: 励起状態の測定も可能 でもJ/y, hc, cc0 は励起状態も含めコンパクトな状態 Asakawa & Hatsuda, PRL92(2004)012001 Iida et al. PRD74(2006)074502 Ohno et al いずれの研究もポテンシャルモデルとは異なり、QGP中でもチャーモニウムが残る (1)MEMと(2,3)境界条件法では消失温度に差異?
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(1) 最大エントロピー法(MEM)による計算
離散的な格子データから連続的なスペクトル関数の導出 Asakawa, Nakahara & Hatsuda, PNP46(2001)459 Lattice data (discrete) “Laplace” kernel Spectral Function (continuous) all information in-medium hadron properties eg.) Dilepton production rate Feinberg(1976) 確率 が最大になるようA(w)を決める Bayes’ theorem 利点: S(A) : Shannon-Jaymes entropy L(A) : Likelihood function 1. No parameterization necessary for A 2. Unique solution for A
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温度・運動量の変化に伴うスペクトル関数の有意な変化
(1) 最大エントロピー法(MEM)による計算 Asakawa & Hatsuda, PRL92(2004)012001 Lattice setup ・323 x (96-32), x = 4.0 ・plaquette action (quench) ・standard Wilson action ・point correlator ・as=0.04 fm, Ls=1.25 fm J/y hc T = 1.62Tcまでピークが存在 T = 1.87Tcではピークの消失 1.6 < T/Tc < 1.8に消失温度 Finite p Datta et al, hep-lat/ Full QCD (Nf=2) Aarts et al, PRD76(2007)094513 ・83 x (48-16), x = 6.0 ・as=0.2 fm, Ls=1.6 fm T ~ 1.7Tcで ピークの消失 運動量の増大 ピークの減少 温度・運動量の変化に伴うスペクトル関数の有意な変化
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空間方向に周期的・反周期的境界条件を課すことで束縛・散乱状態を判定
(2)境界条件法による計算 Iida et al. PRD74(2006)074502 空間方向に周期的・反周期的境界条件を課すことで束縛・散乱状態を判定 c c の相対波動関数 境界条件に 依存しない 束縛状態 空間的に局在した状態 依存する 散乱状態 空間的に拡がった状態 周期境界条件(PBC) 反周期境界条件(APBC) 境界条件によるエネルギー差: DE ~ 330 MeV (Ls = 1.5 fm, mc = 1.3 GeV) エネルギー差が大きな値を持つ 散乱状態(チャーモニウムの崩壊)
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(2)境界条件法による計算 T = 2.07Tc T = 1.11Tc MJ/y (T ) Mhc (T )
Iida et al. PRD74(2006)074502 Lattice setup ・163 x (26-14), x = 4.0 ・plaquette action (quench) ・O(a) imp. Wilson action ・smeared correlator ・as=0.097 fm, Ls=1.55 fm Effective mass plot (J/y) T = 2.07Tc T = 1.11Tc 質量の温度依存性 MJ/y (T ) Mhc (T ) 散乱状態: DE ~ 0.3 GeV J/y, hc は T ~ 2Tc でもコンパクトな状態 温度に依存した状態変化がほとんど現れない (媒質の影響を受けない?)
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波形の異なる演算子により基底・励起状態の分離
(3) 対角化法による状態の分離 Ohno et al 波形の異なる演算子により基底・励起状態の分離 Smeared演算子: メソン相関関数: 有効質量: 定数モードの分離 Umeda, PRD75(2007)094502 Wraparound quarkの伝播が スペクトル関数の ゼロエネルギー領域に影響 (a) (b) Midpoint subtracted correlator 1.1Tc cc0 P-wave(cc0 )に強い影響
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T ~ 2.3TcでもJ/y, hc, cc0 は励起状態も含めてコンパクトな状態
(3) 対角化法による状態の分離 Ohno et al Lattice setup ・203 x (32-12), x = 4.0 ・plaquette action (quench) ・O(a) imp. Wilson action ・smeared correlator ・as=0.097 fm, Ls=1.94 fm ・境界条件法による状態の判定 T ~ 2.3TcでもJ/y, hc, cc0 は励起状態も含めてコンパクトな状態 BS波動関数: 励起状態の波動関数にも 温度依存性が現れない
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QGP中のチャーモニウム 1.静的なprobeによるポテンシャルモデルの研究 2.動的なprobeによるチャーモニウム状態の研究
3.重イオン衝突実験による示唆
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重イオン衝突実験におけるJ/y抑制 横方向のJ/y生存確率 J/y hydro + J/y model による解析
Gunji et al. PRC76(2007)051901 横方向のJ/y生存確率 J/y CNM: cold nuclear matter evaluated from d +Au collision hydro + J/y model による解析 状態方程式 (Tc=170 MeV): T > Tc: massless parton gas (u,d,s,g) T < Tc: hadron resonance gas + J/yの横方向の運動 Free parameters fFD : feed-down fraction best fit 生存確率の減少にはJ/y抑制の寄与が重要 中心衝突において生存確率が減少
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有限温度下におけるチャーモニウム: まとめ
(0) ポテンシャルモデルによる計算: 遮蔽質量による状態の判定 強い遮蔽効果 T ~ Tcで束縛状態の消失? (1) 最大エントロピー法(MEM)による計算: スペクトル関数の導出 T ~ 1.6TcまでJ/y, hc のピークが残る (2)境界条件法による計算: 束縛状態・散乱状態の判定が可能 T ~ 2.0TcでもJ/y, hc はコンパクトな状態 (3) 対角化法による状態の分離: 励起状態の測定も可能 T ~ 2.3TcでもJ/y, hc, cc0 は励起状態も含めてコンパクトな状態 (ex)重イオン衝突実験におけるJ/y抑制: 横方向の生存確率の減少 hydro + J/y modelの解析 Asakawa & Hatsuda, 2004 Iida et al. 2006 Ohno et al. 2008 WHOT, 2007 Gunji et al. 2007 研究間の不一致 逆に考えてみよう
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? 有限温度下におけるチャーモニウム: 考察 TJ/y ~ 1.2Tc Thc ~ Tc Tcc0 ~ Tc
(ex)重イオン衝突実験におけるJ/y抑制: 横方向の生存確率の減少 ある温度に至れば束縛状態は消失するようだ (3, 2) 境界条件法による計算: T ~ 2.0TcでもJ/y, hc はコンパクト (1) 最大エントロピー法(MEM)による計算: T > 1.6Tcでピークが消失 境界条件法とMEMの 併用は可能か? T ~ 1.6TcではMEMに 境界条件の影響は現れない (コンパクトな束縛状態) 更なる高温計算の信頼性? (0) ポテンシャルモデルによる高温束縛状態の解釈は可能か? QGP中で熱的クォーク質量が増加 高温でもコンパクトな状態の実現? ? Iida et al. PTPS174(2008)238 T ~ 1.6Tc AdS/QCDによるメソンスペクトル関数 Fjita et al. PRD81(2010)065024 TJ/y ~ 1.2Tc Thc ~ Tc Tcc0 ~ Tc 十分な体積・非等方度による包括的な研究 格子上でのメソン”崩壊”の研究 (e.g. 軽いメソン) ・・・
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