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宇宙航空開発研究機構 宇宙科学研究所 安部研究室 前川 啓

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1 宇宙航空開発研究機構 宇宙科学研究所 安部研究室 前川 啓
ラム圧型パラフォイルの風洞試験について 宇宙航空開発研究機構 宇宙科学研究所 安部研究室 前川 啓

2 研究背景 将来の火星探査における探査機の候補 展開型柔軟エアロシェル パワードパラグライダー型探査機  →二つを組み合わせた小型の探査機

3 研究背景 パラフォイルの利点 火星の環境 省スペース 推進機による巡航飛行 大気密度が低い 突風が発生する
→通常のラム圧式のパラフォイルではなく密閉型のパラフォ イルを検討 過去の研究から密閉型パラフォイルの揚抗比は約4 (CL=0.52,CD=0.132)

4 研究目的 風洞試験によってパラフォイルの空力特性や挙動を調べ, 低圧状態でのパラフォイルの挙動と揚抗比の変化を明らか にする.
今回は予備試験として、ホビー用ラジコンパラフォイルの傘体に対して、実施した惑星環境風洞試験の結果を報告する。

5 惑星環境風洞試験 スパン長1.6m,コード長0.6m,アスペクト比2.6のホビー用 ラム圧型パラフォイルを使用した 試験内容
風洞内の気圧を下げること  により低圧状態での揚抗比  の取得,パラフォイルの挙動  を調べた 風洞気流 大気圧からパラフォイルがつぶれるまで減圧 風速:15[m/s]~27[m/s]

6 測定方法 空気力の測定は、6分力計を用いた 左図の6分力計に治具を装着して行った. アイボルトにパラフォイルを付ける
  左図の6分力計に治具を装着して行った. アイボルトにパラフォイルを付ける 共和電業製,LFX-A型 非直線性:0.5%RO ヒステリシス:0.5%RO 干渉度:1.5%RO 応答周波数:DC~500HZ 6分力計:共和電業製 型番:LFX-A-1KN

7 天秤校正 6分力計の電圧出力は、下記の干渉補正マトリックスを使用して力に変換する
(MxとFy、MyとFxに大きな干渉がある6分力計であるので、これを補正する) aFx aFy aFz aMx aMy aMz Fx 0.6421 0.0189 0.2667 0.0043 Fy 0.0061 0.6407 0.0029 0.0235 0.0047 Fz 0.0020 0.0007 0.6683 0.0001 Mx 0.0002 0.0024 0.0256 0.0000 My Mz 0.168 天秤校正を行ったところ下の共和電業の作成した校正結果と数%の違いでほぼ同じ結果が得られたので,この係数行列を用いる 念の為、簡易の校正を行い、上記のマトリックスが正しいことを確認した。→

8 気流条件 風洞内の減圧により気流は以下のように変化した (気流の速度は設定可能な最低風速に設定)

9 試験結果 低圧状態での挙動について    40kPa付近までは安定している.    約9kPaで潰れてしまう.

10 試験結果 低圧状態での揚抗比について 風洞内圧と揚抗比の関係 JAXA調布大型風洞で 試験した時の結果
  風洞内圧と揚抗比の関係 JAXA調布大型風洞で 試験した時の結果 大低風洞での試験結果と整合性が取れなかった.   大低風洞:V=15[m/s],CL=0.39,CD=0.14,L/D=2.89

11 試験結果 計測結果は以下のようになった. 風洞内圧によらず揚力係数は一定であるが、 低圧では、抵抗係数が下がり、揚抗比が増したように見えた。
P0[kPa] V[m/s] q[Pa] Lift[N] Drag[N] CL CD L/D 100 14.7 125.43 41.72 26.57 0.34 0.22 1.57 90 15.3 122.29 38.24 24.24 0.32 0.20 1.58 80 15.8 115.92 37.13 23.79 0.33 0.21 1.56 70 16.5 110.62 35.91 22.85 60 17.6 107.88 34.36 21.57 1.59 50 18.7 101.49 33.39 18.67 0.19 1.79 40 20 92.87 29.87 18.16 1.65 30 21.6 81.24 26.85 14.02 0.18 1.92 23.3 63.02 21.66 9.53 0.35 0.16 2.27 10 27.2 42.94 13.33 3.30 0.08 4.03 大低風洞での試験結果と整合性が取れなかった.   大低風洞:V=15[m/s],CL=0.39,CD=0.14,L/D=2.89 風洞内圧によらず揚力係数は一定であるが、 低圧では、抵抗係数が下がり、揚抗比が増したように見えた。

12 まとめ 惑星環境風洞にてラム圧型のホビー用パラフォイルを用い て風洞試験を行った.
低圧状態でのパラフォイルの挙動がわかった.約9[kPa] で潰れることがわかった. 低圧状態での揚抗比の変化を調べた. ただし、現時点では、以前のJAXA調布の大低試験との結果の整合がとれていないため、結果の信頼性は乏しい。 11月下旬の惑星環境風洞試験で、追試験を実施する予定である。


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