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CaMn1-xRuxO3薄膜の作製と光電子分光,MCD測定

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1 CaMn1-xRuxO3薄膜の作製と光電子分光,MCD測定
2005/6/17 科研費研究会 東京大学柏キャンパス CaMn1-xRuxO3薄膜の作製と光電子分光,MCD測定 日本原子力研究所/Spring-8 a , JASRI b , 広大放射光 c , 東大新領域 d 寺井恒太 a, 岡根哲夫 a,竹田幸治 a,藤森伸一 a ,斎藤祐児 a, 吉井賢資 a, 小林啓介 b , 島田賢也 c ,有田将司 c ,生天目博文 c , 谷口雅樹 c ,藤森淳 a,d . 1.研究目的 2.装置の概要(PES,MCD,PLD) 3. CaMn1-xRuxO3薄膜の作製 4.PES 測定 5.MCD, XAS測定 6.総括

2 1.研究目的 CaMn1-xRuxO3 エンド組成のCaRuO3はparamagnetic. CaMnO3 はantiferromagnetic. Ru,Mnが共に4価であるとすると強磁性は現れないはず. CaRuO3およびCaMnO3 を混合すると強磁性を示す. 電気伝導率も組成に依存して変化し、x=0.4付近で最も抵抗が低くなる. magnetic properties of CaMn1-xRuxO3  電気伝導率の変化の原因は? 磁性発現の機構は? Mn3+ + Ru5+ interaction?  Mn Ruの軌道、スピンモーメントの相関? 光電子分光(PES)法  → (価数、電子構造) 軟X線吸収磁気円二色性(MCD) 測定  → (価数、軌道,スピン磁気モーメント) A. Maignan et al. Solid State Comm. 117 (2001)

3 CaMnO3 / CaRuO3 超格子界面の磁性発現
Solid state solution CaMn0.7Ru0.3O3 CaMnO3 CaMnO3 × 10 K. S. Takahashi et al., Appl. Phys. Lett. 79 (2001) 1324. CaRuO3 × 2 分光学的手法を用いて、物質界面での 性質を調べる事が目標 CaMnO3 × 10 CaRuO3

4 2.装置概要 パルスレーザー堆積(PLD)装置
試料作製模式図 試料成長室 パルス Nd : YAG レーザー 基板加熱半導体レーザー 導入用光ファイバー 温度モニタ (Pyro meter) 試料導入口 試料搬送 小型チャンバー RHEED スクリーン RHEED 銃 半導体レーザー を用いた試料加熱 RHEED スクリーン 基板 電子 銃 マスク制御 40-30mm パルス Nd : YAG レーザー (3倍波 : 355nm) 焼結体 ターゲット マルチターゲット コントロール アブレーション:パルスNd:YAGレーザー(Quantel Brilliant b) 355nm 試料加熱:半導体レーザー (JENOPTIK JOLD-140-CAXF-6A) 808nm 試料加熱温度   ~1100℃  ターゲット: 最大4個 導入ガス: O2 Base pressure:1×10-9Torr

5 硬X線光電子分光測定(HXPES) 軟X線吸収磁気円二色性(MCD) 日本原子力研究所 BL22XU アナライザ シエンタ R4000
測定温度 30K 測定エネルギー hv=3948eV ΔE=270meV 軟X線吸収磁気円二色性(MCD) 日本原子力研究所 BL23SU 超伝導マグネット 10T 位相変調測定 測定温度  20K 測定磁場2T

6 3. CaMn1-xRuxO3 薄膜の作製 AFM image 2μm×2μm
CaMn1-xRuxO3  (x=1.0, 0.75, 0.5) 薄膜 作製条件 ターゲット: CaMnO3, CaRuO3 焼結体ターゲット 基板: LaAlO3単結晶基板(3.82Å) 作製温度: 700℃ 酸素圧力: 1×10-3Torr 膜厚: 300Å CaMn0.5Ru0.5O3 bulk CaMn0.5Ru0.5O3 film CMRO

7 4. 光電子分光測定 CMRO Hard X-ray PES on BL22XU Valence T=30K hv=3948eV O-Ru
Ru4d Mn3d? O-Mn

8 Hard X-ray PES + XAS O1s CaRuO3 (Ruエンド) PES O 1s XAS CaMn0.5Ru0.5O3
HXPES T=30K hv=3948eV XAS T=20K CaRuO3 paramagnetic CaRuO3 (Ruエンド) Ca 3d Ru 4d 電気伝導率 悪い PES O 1s XAS Ca 4sp + Ru 4sp CaMn0.25Ru0.75O3 ferromagnetic Ca 4sp + Mn 4sp + Ru 4sp Mn 3d CaMn0.5Ru0.5O3 ferromagnetic 電気伝導率 良い CaMn0.5Ru0.5O3

9 光電子分光測定まとめ RuとMnの組成比により、 Ef近傍の電子状態が系統的に変化している. 軟X線を用いた、Mn共鳴光電子分光測定が必要
RuをMnに置換すると共に、Ef近傍のRu4dに起因する構造が減小.  電気伝導率の良くなるCaMn0.5Ru0.5O3 付近ではEf付近の電子構造がブロードになっている。 4KeV付近ではMnのクロスセクションがRuの約半分    軟X線を用いた、Mn共鳴光電子分光測定が必要 

10 X線吸収(XAS)による Mn 元素の価数の評価
5 . MCD, XAS測定 X線吸収(XAS)による Mn 元素の価数の評価 Ru,Mnが共に4価であるとすると強磁性は現れないはず. 本当に4価なのか? Mn XAS T=20K CaMn0.5Ru0.5O3 LaMnO3 Mn3+ Mn酸化物の過去の報告例 C. Mitra et al., Phys. Rev. B 67 (2003) MnO2 Mn4+ XASの形状からは、価数はMn3+に近いと考えられる

11 MCDによるモーメントの評価 MCD =  Mn XAS H=2T T=20K 円偏光放射光 薄膜試料 右円偏光 左円偏光
MCD =  Ru MCD   H=2T T=20K Mn MCD   H=2T T=20K

12 サム・ルールの適用による Mn L2,3 [2p3d ], Ru M2,3 [3p4d ] MCD からの 軌道、スピン磁気モーメント の導出
軌道磁気モーメント スピン磁気モーメント B.T. Thole et al. PRL 1992,P. Carra et al. PRL 1993 CaMn0.5Ru0.5O3 の場合 H Mn 終状態dの占有電子数 と仮定 磁気双極子モーメント AF AF Ru 終状態dの占有電子数 Mn Ru Mn Ru Mn 磁気双極子モーメント Mn 軌道磁気モーメント スピン磁気モーメント Ru 軌道磁気モーメント スピン磁気モーメント (+側が印加磁場方向) Ferro 軌道磁気モーメント  Mn Ruとも ほぼ0 スピン磁気モーメント Mn:磁場に対して正   Ru:磁場に対して負           |Mn|>|Ru| CaMn0.5Ru0.5O3 の磁化率  =0.296μB

13 6. 総括 CaMn1-xRuxO3薄膜のHard X-ray PES測定の結果、伝導帯の電子状態変化を系統的に観察することができた。
6. 総括 CaMn1-xRuxO3薄膜のHard X-ray PES測定の結果、伝導帯の電子状態変化を系統的に観察することができた。 XAS スペクトルの形状から、Mnは3価に近いことが求められた。このことからMu、Ru間のチャージトランスファーによって強磁性の発現が可能となる。 MCD測定の結果、Mnのスピン磁気モーメントに対してRuスピン磁気モーメントは逆方向に向いており、その強度比が磁性発現に影響していることを見出した。


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