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電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 8/11講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁
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指向性アンテナ ある特定の方向にのみ強く電波を放射(特定の方向のみから電波を受信)することができるアンテナを指向性アンテナ(Beam Antenna)と言う 指向性アンテナの種類 八木・宇田アンテナ パラボラアンテナ キュービカルクワッドアンテナ
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八木・宇田アンテナの構造 導波器 放射器 反射器 λ/2 この方向に強く電波が放射される 約λ/4 約λ/4 約λ/4 素子 (エレメント)
放射器は、ダイポールアンテナと同じもので、半波長(λ/2) の長さ 導波器は、放射器よりもやや短い 反射器は、放射器よりもやや長い
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八木・宇田アンテナの原理 放射器 放射器のみのときは、素子に垂直方向に均等に電波が放射される
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八木・宇田アンテナの原理 放射器からの電波と導波器からの電波の位相が等しく強め合う 放射器からの電波と導波器からの電波の位相が逆で弱め合う
λ/4 放射器からの電波 導波器からの電波 導波器には、放射器に対して π /2 だけ位相が遅れて給電されている 放射器から λ/4 離れた位置に導波器がある場合は、導波器のある方向に強く電波が放射され、その反対方向への電波の放射が弱められる
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八木・宇田アンテナの原理 放射器からの電波と反射器からの電波の位相が逆で弱め合う 放射器からの電波と反射器からの電波の位相が等しく強め合う
λ/4 放射器からの電波 反射器からの電波 反射器には、放射器に対して π /2 だけ位相が進んで給電されている 放射器から λ/4 離れた位置に反射器がある場合は、反射器のある方向への電波の放射が弱められ、それと反対方向への電波の放射が強められる
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八木・宇田アンテナの原理 実際の八木・宇田アンテナでは、導波器には給電せず、放射器からの電波を受けて、導波器自らも電波の放射を始める。このとき、放射器よりも僅かに短くしておくと、放射器よりも位相が約 π /2 遅れた電波を放射するようになる。 実際の八木・宇田アンテナでは、反射器には給電せず、放射器からの電波を受けて、反射器自らも電波の放射を始める。このとき、放射器よりも僅かに長くしておくと、放射器よりも位相が約 π /2 進んだ電波を放射するようになる。 導波器 放射器 放射器 反射器 約λ/4 約λ/4
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八木・宇田アンテナの原理 導波器 放射器 反射器 この方向に電波が強く放射される この方向への電波の放射が弱められる 約λ/4 約λ/4
3素子八木・宇田アンテナ
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点電荷の運動方程式 ここでは、電子のような点電荷の運動によって放射される電磁波のエネルギーを求める。 点電荷 e の電荷密度は、 z(t)
軌道 で表される。 ここで、z(t)は、点電荷の軌道関数である。 このとき、電気双極子モーメントは、 で与えられ、従ってその時間微分はそれぞれ、 これを、先週導出した以下の式(37) に代入する。
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ラモーアの公式 点電荷から放射される単位時間当たりの電磁波エネルギーは、 で与えられる。 ここで t0 は、
の解として決められる点電荷からの発信時刻 式(4) より、電磁波は、点電荷が加速された時に放射されることが分かる。 ただし、式(4), (5) が成立するのは、点電荷の速度が光速度に比べて十分小さい時である。 このときまた、観測点での時間と点電荷のある場所での時間はほぼ同一に扱えるので、 この式は、点電荷の単位加速時間当たりの放射エネルギーを与えると解釈することができる。この式をラモーア(Larmor)の公式という。
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点電荷からの放射エネルギー いま、質量 m, 電荷 +e の点電荷が、 の運動方程式に従って、角振動数 ω0 で単振動をしているとする。
式(7) の解は、 と書くことができる。 このとき式(6) は、 となる。そこで、この単振動の1周期 T = 2π /ω0 当たりの平均値を求めると、 を得る。これは、点電荷の単位加速時間当たりの平均放射エネルギー
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ラザフォード原子模型の寿命 ラザフォードが1911年に提唱した原子模型は、中心に正電荷をもつ重い原子核があり、その周りを負の電荷を有する軽い電子が回っているというもの。 -e 電子 原子核 ところが、原子核の周りを回転している電子は、加速度運動をしているから、それに伴い電磁波が放射される。 +e すると、回転している電子の運動エネルギーは次第に減少し、電子は原子核に向かって落ち込んでいくはず。 ラザフォードの水素原子の模型 即ち、古典物理学の法則に従えば、ラザフォードの原子は不安定で、ある一定の寿命で消滅するはずである。 以下では、古典物理学の法則に基づき、水素原子の寿命を計算してみる。 今簡単のために、電子は陽子とのクーロン力によってのみ引かれて、原子核の周りを回っているものとする。
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ラザフォード原子模型の寿命 このとき、質量 m, 電荷 –e の電子の回転半径を r, その速さを v, 回転の角速度を ω とする。 v
陽子 ラザフォードの水素原子の模型 m r v ω すると、この電子の動径方向の運動方程式は、 また、電子のエネルギー W は、 で表される。ここで v = rω の関係に注意して、式(11) を式(12) に代入すると、 を得る。
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ラザフォード原子模型の寿命 一方、単位時間に電子が放射する電磁波のエネルギーは、式(6) と式(11) より、 で与えられる。
従って、単位時間当りに電子の失うエネルギーは、 によって与えられる。 式(15) の左辺に式(13) を代入すると、 となる。 そこで、はじめの時刻 t = 0 における電子の回転半径が a であったとし、それが原子核に落ち込んでしまうまでの時間を とすると、式(16) を積分することにより、
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ラザフォード原子模型の寿命 を得る。 これから、 が得られる。
これに電子の電荷の大きさ e = 1.602×10-19 C, その質量 m = 9.11×10-31 kg および原子半径 a = 5.29×10-11 m の数値を代入すると、およそ となる。 従って、原子は約10 psという非常に短い時間で潰れてしまうことになり、この矛盾から、ボーアの原子模型、さらには量子力学が誕生することとなる。
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ラザフォード原子模型の寿命 式(11)から電子の回転角速度ωを見積もってみると、
従って、電子の回転運動によって放射される電磁波の周波数 f は、 これは電磁波の波長で言うと紫外線の領域となり、 電子の回転速度 vは、 量子力学によると、電磁波のエネルギー量子(光子)の大きさは hf (hはプランク定数)であり、 電子は光子エネルギーの単位でしか電磁波を放出することができない。 これは電子の運動エネルギー よりも大きな値である。 従って、原子は電磁波を放射できない。 →原子は潰れることなく安定に存在できる。
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