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顕微発光分光法によるドープ量子細線中の 1次元電子系の研究
’08 A613 顕微発光分光法によるドープ量子細線中の 1次元電子系の研究 東京大学大学院 理学系研究科 物理学専攻 秋山研究室 井原 章之
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アウトライン 1、研究背景、研究目的 2、ゲート付きn型変調ドープ量子細線
・縮退/非縮退1次元電子系の光学スペクトル、1次元バンド端吸収 ・ハートリーフォック近似モデルとの比較、クーロン増強効果の影響 3、アクセプタ不純物を有するn型変調ドープ量子細線 ・フェルミ端の発光に対する正孔の局在の影響 4、n型変調ドープ量子井戸 ・Kennard-Stepanov関係式に基づいた電子温度絶対測定の妥当性 5、まとめ
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ドープ量子細線とは 1次元電子系に 期待される性質 ・ 状態密度 (∝ ) の特異性
・ 状態密度 (∝ ) の特異性 ・ パウリブロッキング (state filling) 効果 ・ クーロン増強効果 (発光や光吸収の増強効果) ・ 束縛状態 (励起子効果) 1次元電子系に 期待される性質
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研究背景 ~ ドープ量子井戸(2次元電子系)の研究
研究背景 ~ ドープ量子井戸(2次元電子系)の研究 ’87年 Skolnickらの実験 ’93年 Khengらの実験 ’00年 Huardらの実験 ― 発光のフェルミ端のクーロン増強効果の観測 ― 荷電励起子 (X- / charged exciton / Trion) の観測 ― 荷電励起子からフェルミ端へのクロスオーバーの観測 吸収 5K 4.7 K 25 K 低 発光 電子濃度 高 M. S. Skolnick et al., Phys. Rev. Lett. 58, 2130 (1987). V. Huard et al., Phys. Rev. Lett. 84, 187 (2000).
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研究背景 ~ ドープ量子細線の研究 実験的に未解明の問題 ’91年 Callejaらの実験
研究背景 ~ ドープ量子細線の研究 ’91年 Callejaらの実験 ’01年 Yoshitaらの実験 ’02年 Akiyamaらの実験 ― 不均一性による1次元状態密度のぼけ フェルミ端のクーロン増強効果 ― T型量子細線の高品質化に成功 ― ゲートつきドープ量子細線の開発、PL測定 実験的に未解明の問題 閉じ込めが強く、品質の高い ドープ量子細線において、 1次元状態密度の特異性や フェルミ端のクーロン増強効果は 顕著に現れるだろうか? J. M. Calleja et al., Solid State Commun. 79, 911 (1991).
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研究目的 高品質なドープ量子細線に対する顕微発光分光測定により、 縮退/非縮退1次元電子系の存在下における 光学スペクトルの性質を解明する。
特に、電子濃度や電子温度、正孔の有効質量といった物理量が スペクトルに与える影響を実験的に調べ、理論計算との比較を行い、 1次元状態密度の特異性や、クーロン相互作用による 発光や吸収の増強効果(クーロン増強効果)の影響を明らかにする。 特に着目するのは発光励起(PLE)スペクトル測定であり、 実験的に難しいバンド端エネルギー領域のPLEスペクトル測定を 実現するため、独自の顕微発光分光測定光学系を開発する。 ※ PLE : PhotoLuminescence-Excitation (発光だけでなく、吸収スペクトル形状を得ることができる手法)
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アウトライン 1、研究背景、研究目的 2、ゲート付きn型変調ドープ量子細線
・縮退/非縮退1次元電子系の光学スペクトル、1次元バンド端吸収 ・ハートリーフォック近似モデルとの比較、クーロン増強効果の影響 3、アクセプタ不純物を有するn型変調ドープ量子細線 ・フェルミ端の発光に対する正孔の局在の影響 4、n型変調ドープ量子井戸 ・Kennard-Stepanov関係式に基づいた電子温度絶対測定の妥当性 5、まとめ
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ゲート付きn型変調ドープT型量子細線の試料構造
へき開再成長法(分子線エピタキシーで成長) [1] ※ 結晶成長はルーセントベル研の Loren N. Pfeiffer博士に依頼 <細線のサイズ> 14 x 6nm (単一の量子細線) <ドーピング [2]> ・Si 変調ドープ ・ゲート電極 → 電子濃度を調節可能 [1] M. Yoshita, H. Akiyama, L. N. Pfeiffer, and K. W. West, Jpn. J. Appl. Phys. 40, L252 (2001). [2] H. Akiyama, L. N. Pfeiffer, A. Pinczuk, K. W. West, and M. Yoshita, Solid State Commun. 122, 169 (2002).
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顕微発光分光測定光学系 励起光の散乱を除去するための工夫点 ・ 励起と検出の方向を垂直に配置。
分解能 0.1 meV スポットサイズ ~ 1mm 励起強度 ~ 20mW 励起光の散乱を除去するための工夫点 ・ 励起と検出の方向を垂直に配置。 ・ 励起光の偏光に対して直交する成分 のみを検出。 ・ cw励起(波長選択の分解能:0.03 meV) ・ 透過率の波長依存性の小さい光学素 子を用い、励起強度の変動を抑えた。
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量子細線の発光励起(PLE)スペクトルの測定概要
スペクトル測定を実現。 発光エネルギーと励起エネルギーが 近接あるいは交差するため、 測定は非常に難しい。
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0.7V(高電子濃度)における温度依存性の実験結果
非縮退 (Ef/kBT~1) Vg = 0.7 V ⇔ ne ~ 6×105 cm-1 ⇔ Ef ~ 5 meV (後述の理論計算との比較で評価) PL PLE 縮退 (Ef/kBT~10)
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0.7V(高電子濃度)における温度依存性の実験結果
フェルミ端(FE: Fermi edge)の吸収オンセットと、 バンド端(BE: band edge)の発光ピークを観測
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0.7V(高電子濃度)における温度依存性の実験結果
バンド端の発光と同じ光子エネルギーに、 バンド端の吸収ピークを観測 1次元系特有
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50 Kで観測されたバンド端の吸収ピーク構造は、 1次元状態密度を反映。
温度依存性 ~自由粒子モデル計算との比較 A. Yamaguchi et al., JJAP 33, L912 (1994). 50 Kで観測されたバンド端の吸収ピーク構造は、 1次元状態密度を反映。
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ゲート電圧依存性(電子濃度依存性)の実験結果(5K)
ne ~ 6×105 cm-1 (縮退電子ガス) 高 電子濃度 低
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フェルミ端のレッドシフト ⇔ フェルミエネルギー(電子濃度)の減少
ゲート電圧依存性 at 5K ( V) フェルミ端のレッドシフト ⇔ フェルミエネルギー(電子濃度)の減少
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ゲート電圧依存性 at 5K ( V) 特徴的なBEとFEのダブルピーク構造 1次元系特有
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ゲート電圧依存性 at 5K (0.3 - 0 V) 非対称な形状の 単一ピーク構造 対称的な形状の とびとびのピーク構造
V. Huard, PRL 84, 187 (2000). R. Kaur, PSS(a) 178, 465 (2000). 2次元系の実験結果と類似 非対称な形状の 単一ピーク構造 対称的な形状の とびとびのピーク構造
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ゲート電圧依存性 at 5K (0.3 - 0 V) 0Vは電子濃度ゼロ(ノンドープ)に対応 非対称な形状の 単一ピーク構造
V. Huard, PRL 84, 187 (2000). R. Kaur, PSS(a) 178, 465 (2000). 2次元系の実験結果と類似 非対称な形状の 単一ピーク構造 対称的な形状の とびとびのピーク構造 X- : 荷電励起子 X : 中性励起子 ※ Xの分裂はstem wellの ML揺らぎに起因 0VのPLEはノンドープ量子細線のPLEと一致 [ H. Itoh et al., APL 83, 2043 (2003). ] 0Vは電子濃度ゼロ(ノンドープ)に対応
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電子濃度依存性 ~ 自由粒子モデル計算との比較
Vg = V ne = 4 - 6×105 cm-1 (縮退1次元電子ガス) フェルミ端の吸収オンセットが再現 → クーロン増強効果は顕著に現れていない Vg = V ne = 2 - 3×105 cm-1 (非縮退1次元電子ガス) バンド端とフェルミ端のダブルピーク構造が再現 → 1次元状態密度の特異性を反映 Vg = V ne = 1 - 2×105 cm-1 励起子描像へのクロスオーバー
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バンド間遷移の描像 から励起子描像へ クロスオーバーする濃度
エネルギープロット バンド間遷移の描像 から励起子描像へ クロスオーバーする濃度 ne = 1-2×105 cm-1 クロスオーバーの途中(Vg=0.2V)で、単一ピークになる。 1次元系特有
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1次元状態密度の特異性の発現には、ドーピングが本質的に重要。
バンド端の特異性についての考察 ’03年 Akiyamaらの実験 ― ノンドープ多重量子細線の励起スペクトル(PLE)測定 クーロン相互作用による1次元状態密度の抑制効果 5K H. Akiyama et al., App. Phys. Lett. 82, 379 (2003). T. Ogawa et al., Phys. Rev. B 43, (1991). 1次元状態密度の特異性の発現には、ドーピングが本質的に重要。
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フェルミ端の特異性についての考察 ・サイズが大きい ・細線の太さの揺らぎが大きい ・タイプIIの構造(電子と正孔が離れている)
J. M. Calleja et al., Solid State Commun. 79, 911 (1991). F. J. Rodriguez et al., Phys. Rev. B 47, (1993). ・サイズが大きい ・細線の太さの揺らぎが大きい ・タイプIIの構造(電子と正孔が離れている) 本来の1次元電子系の特徴を反映したものではなく、 外因的な原因によって生じてしまったものと考えられる。 同様の主張: D. Y. Oberli et al., Physica E 11, 224 (2001).
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アウトライン 1、研究背景、研究目的 2、ゲート付きn型変調ドープ量子細線
・縮退/非縮退1次元電子系の光学スペクトル、1次元バンド端吸収 ・ハートリーフォック近似モデルとの比較、クーロン増強効果の影響 3、アクセプタ不純物を有するn型変調ドープ量子細線 ・フェルミ端の発光に対する正孔の局在の影響 4、n型変調ドープ量子井戸 ・Kennard-Stepanov関係式に基づいた電子温度絶対測定の妥当性 5、まとめ
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※ 計算プログラムは大阪大学のP. Huai博士が作製
ハートリーフォック近似モデル計算 ※ 計算プログラムは大阪大学のP. Huai博士が作製 ・ 静的プラズマ遮蔽効果(プラズモンポール近似) [1] ・ 量子細線の閉じ込めポテンシャルは長方形型で近似 [2] ・ 吸収スペクトルは、半導体ブロッホ方程式で計算 [3] ・ 発光スペクトルは、非平衡グリーン関数の手法で導かれた表式で計算 [4] [1] S. Benner and H. Haug, Euro. Lett. 16, 579 (1991). [2] P. Huai et al., Jpn. J. Appl. Phys. 46, L1071 (2007). [3] H. Haug and S. W. Koch, Quantum Theory of the Optical and Electronic Properties of Semiconductors (2004). [4] K. Hannewald et al., Phys. Rev. B 62, 4519 (2000).
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T~10 K、mh~1.5me、ne = 6.4×105cm-1という現在の条件下では、フェルミ端のクーロン増強効果は顕著に現れない。
高濃度のフェルミ端のクーロン増強効果 Kennard-Stepanov関係式 D. S. Sawicki et al., Phys. Rev. A 54, 4837 (1996). Kennard-Stepanov関係式を用いて温度を決定 ⇔ T = 10.7±0.3 K フィッティング ⇔ 電子濃度:6.4×105cm-1、 γ= 0.8 meV T~10 K、mh~1.5me、ne = 6.4×105cm-1という現在の条件下では、フェルミ端のクーロン増強効果は顕著に現れない。
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極低温(~1K)で、先鋭なクーロン増強効果の発現が期待できる。
※ 顕著な変化は吸収スペクトルのみ
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正孔の有効質量を大きくした場合の計算結果
正孔の有効質量が大きいと、顕著なクーロン増強効果が発現する。 ※ 吸収と発光スペクトル両方に現れる
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静的プラズマ遮蔽の妥当な電子濃度領域において、 実験の特徴とよく一致。
電子濃度依存性の実験結果との比較 高 電子濃度 低 静的プラズマ遮蔽の妥当な電子濃度領域において、 実験の特徴とよく一致。
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非縮退電子ガスの存在下で現れたバンド端の吸収ピークは、 1次元状態密度そのものではなく、クーロン増強効果も影響している。
バンド端のクーロン増強効果 非縮退電子ガスの存在下で現れたバンド端の吸収ピークは、 1次元状態密度そのものではなく、クーロン増強効果も影響している。
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高濃度の1次元電子正孔系におけるバンド端の特異性
’95年 Rossiらの計算 高密度光励起で生じる電子正孔系の利得スペクトル クーロン相互作用による1次元状態密度の抑制効果 ’07年 Huaiらの計算 P. Huai et al., Jpn. J. Appl. Phys. 46, L1071 (2007). 電子正孔系では状態密度の特異性が抑制される可能性が高い。
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ゲート付きn型変調ドープ量子細線に関するまとめ
1次元電子系の存在下におけるバンド間遷移の性質として、以下の3点の特徴が実験結果に現れていることが明らかになった。 ① 非縮退1次元電子ガスの存在下において、状態密度の特異性とクーロン増強効果に起因する、1次元系に特有の鋭い吸収ピークがバンド端に現れる。 ② 縮退1次元電子ガスの存在下ではフェルミ端吸収オンセットが現れるが、正孔の有効質量が小さいバンド間遷移においては、顕著なクーロン増強効果が現れにくい。 ③ バンド間遷移の描像から励起子描像へのクロスオーバーが 1-2×105 cm-1程度の電子濃度で起こり、その途中で1次元系特有の単一の吸収ピーク構造が現れる。 T. Ihara et al., Phys. Rev. Lett. 99, (2007). T. Ogawa et al. , to be published in Physica E.
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アウトライン 1、研究背景、研究目的 2、ゲート付きn型変調ドープ量子細線
・縮退/非縮退1次元電子系の光学スペクトル、1次元バンド端吸収 ・ハートリーフォック近似モデルとの比較、クーロン増強効果の影響 3、アクセプタ不純物を有するn型変調ドープ量子細線 ・フェルミ端の発光に対する正孔の局在の影響 4、n型変調ドープ量子井戸 ・Kennard-Stepanov関係式に基づいた電子温度絶対測定の妥当性 5、まとめ
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フェルミ端の発光に対する正孔の局在の影響
正孔の波数分布が広がる。 クーロン増強効果が顕著になる。 フェルミ端の発光が 顕著に現れる。 正孔の局在 2D H. P. van der Meulen et al., Phys. Status Solidi B 215, 257 (1999). 微量のアクセプタ不純物(Be) を有する変調ドープ量子井戸 における光学スペクトル測定 アクセプタ不純物を有する1次元電子系の光学測定を行った例はない
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アクセプタ不純物を有するn型変調ドープ量子細線
wireの不純物濃度は、 3×104 cm-1に相当。 電子ガス濃度の1/10程度
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低エネルギー側に現れた2つのピークがアクセプター発光
発光スペクトルの励起強度依存性 低エネルギー側に現れた2つのピークがアクセプター発光 wireとarm well 強励起で発光量が飽和
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アクセプタ不純物準位の束縛エネルギーの見積もり
※ Bulk carbon Eb = 26 meV D. J. Ashen et al., J. Phys. Chem. Solids 36, 1041 (1975). wire - 32 meV / arm well - 33 meV ※ 両者の値が近いのは、wireの閉じ込めがarm wellに近いため。
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arm wellにおけるスペクトルの電子濃度依存性
高 2次元電子濃度 低 2次元電子系のアクセプタ発光がフェルミ端に顕著に現れる、 Muelenらの実験結果を再現。
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wireにおけるスペクトルの電子濃度依存性
高 1次元電子濃度 低 1次元電子系のアクセプタ発光も、フェルミ端が顕著に現れている。 フェルミ端のクーロン増強効果の弱いバンド間遷移の実験結果は、 正孔の有効質量の小さい特徴を反映。 (より確証づけられた)
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アウトライン 1、研究背景、研究目的 2、ゲート付きn型変調ドープ量子細線
・縮退/非縮退1次元電子系の光学スペクトル、1次元バンド端吸収 ・ハートリーフォック近似モデルとの比較、クーロン増強効果の影響 3、アクセプタ不純物を有するn型変調ドープ量子細線 ・フェルミ端のクーロン増強効果に対する正孔の局在の影響 4、n型変調ドープ量子井戸 ・Kennard-Stepanov関係式に基づいた電子温度絶対測定の妥当性 5、まとめ
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Kennard-Stepanov関係式による電子温度測定の妥当性
熱平衡系の発光(I)と光吸収(A)の間に成立する一般的関係式 E. H. Kennard, Phys. Rev. 11, 29 (1918). B. I. Stepanov, Sov. Phys. -Doklady 2, 81 (1957). : 光子エネルギー kB : ボルツマン定数 Tenv : 環境温度 ※ Van Roosbroeck-Shockley relationとも呼ばれ、準熱平衡および反転分布系へ拡張した表式としてはEinstein’s relationまたはKubo-Martine-Schwinger relationとしても知られる。 測定した発光(PL)と吸収(PLE)スペクトルから温度を求める場合 T* : 求める温度 C : 定数 電子系と環境が熱平衡 電子系が準熱平衡 電子系が非平衡 → T* =Tenv → T* > Tenv → 関係式が成立しない Denise A. Sawicki and Robert S. Knox, Phys. Rev. A 54, 4837 (1996).
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ドープ量子井戸かつ共鳴励起ならばT*=Tenvとなるのでは?
これまでの実験例と、今回の実験 ノンドープGaAs量子構造のPLおよび吸収スペクトル測定(60K以下)において、 非共鳴励起の条件下で、T*>Tenvとなるか成立しなかった。 S. Chatterjee, et al. Phys. Rev. Lett. 92, (2004).; D.Y. Oberli et al. Phys. Status Solidi B 178, 211 (2000). ドープ量子井戸かつ共鳴励起ならばT*=Tenvとなるのでは? (実験的に確かめた例はない) ・試料:変調ドープ量子井戸(2DEG濃度:6x1010cm-2) ・環境温度(Tenv ) はSiダイオード温度計で測定。 精度は100K以下で±1 K、 100K以上で±1%
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共鳴励起の条件下の実験結果の典型例 環境温度 Tenv =33±1 K
■:ML揺らぎ ln(PL/w2 )-ln(PLE)が、光子エネルギーに対して線形に減衰 重み付き最小二乗法による線形フィッティング → T* = 33.4±0.1K 環境温度と良い一致
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5-200Kの温度依存性 (共鳴励起) 今回測定した5-200Kの温度範囲で、T*とTenvはほぼ一致.
5-200Kの温度依存性 (共鳴励起) T*(Tenv) ▲:励起エネルギー PLピークに共鳴 今回測定した5-200Kの温度範囲で、T*とTenvはほぼ一致. ※ 全体的な不確かさは3-10%. ドープ量子井戸の共鳴PLとPLEから環境温度を直接測定できる。
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高温: T*とTenvの差は±1K程度と小さい(拡散が大きく、平衡に達しやすい)
非共鳴励起の場合の典型例 ■:ML揺らぎ 高温: T*とTenvの差は±1K程度と小さい(拡散が大きく、平衡に達しやすい) 低温: 非共鳴励起において、異なるMLの間で非平衡分布を形成
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励起光の光子エネルギーとT*の関係 (50K以下)
温度のずれは ±0.5 K/meV以下。 単一のドープ量子構造に対する顕微分光測定で、共鳴励起近傍であれば、電子温度測定は妥当。(1次元電子系でも使える)
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アクセプタ不純物を有するn型変調ドープ量子細線のまとめ
1次元電子系のアクセプタ発光において、フェルミ端が強調され、バンド端が抑制されることを示唆する結果を得た。 通常のバンド間遷移の発光において、バンド端が顕著に現れ、フェルミ端のクーロン増強効果がほとんど現れなかった実験結果が、正孔の有効質量の小さいバンド間遷移の特徴を反映したものであることが、より確証付けられた。 n型変調ドープ量子井戸のまとめ 共鳴励起の近傍であれば、 PLとPLEからKennard-Stepanov関係式を用いて電子温度を決定でき、求まる温度の変化は励起エネルギーに対して±0.5 K/meV以下であることが明らかになった。 関係式がスペクトル形状に依らずに一般的に成立したことから、1次元電子系の電子温度を見積もる際に、この手法を用いたことの妥当性が確かめられた。
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まとめ 今後の課題 ゲート付きn型変調ドープ量子細線に対するPLE測定を行い、 理論計算との比較を通して、
1次元系に特有の鋭い吸収ピークがバンド端に現れることや、 フェルミ端のクーロン増強効果が発現しにくいこと、 そして電子濃度を変えたときのクロスオーバーの様子を明らかにした。 アクセプタ不純物を導入した試料に対する測定も行い、局在の効果を非局在の場合と対比して明らかにすることができた。 Kennard-Stepanov関係式を用いた電子温度測定の妥当性を検証し、環境温度を直接測定できることや、 1次元電子系の電子温度を決定できることを見出した。 今後の課題 試料の高品質化 ・ 極低温測定 ・ 高密度光励起 アクセプタ不純物を有する試料に対するPLE測定
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