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オルソポジトロニウムの寿命測定による束縛系QEDの実験的検証

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Presentation on theme: "オルソポジトロニウムの寿命測定による束縛系QEDの実験的検証"— Presentation transcript:

1 オルソポジトロニウムの寿命測定による束縛系QEDの実験的検証
日本物理学会 秋季大会 大阪市立大学杉本キャンパス オルソポジトロニウムの寿命測定による束縛系QEDの実験的検証 東大素粒子センター(ICEPP) 片岡洋介 浅井祥仁、小林富雄

2 イントロダクション 束縛系 高次輻射補正の扱いが難しく、未だ一般的な計算手法が確立せず 実験的な検証が必要 オルソポジトロニウムの寿命測定
寿命が長く(約142ns)、直接測定が可能 ハドロンのような強い力に伴う不定性がない O(α2)の計算が実際に行われている 本実験の目的 O(α2)の検証 term correction(ppm) tree level 0.0 A (α/π) B α2ln(1/α) -87.3 C (α/π)2 240.2

3 現在の状況 東大、ミシガン大等により精密測定が行われている 90年代にオルソポジトロニウムの寿命問題が解決 現在の実験精度は約200ppm
  (o-Psの熱化過程に伴うsystematicなエラー) 現在の実験精度は約200ppm O(α)の補正(約2%)は十分に検証された O(α2)の補正(約240ppm)を検証するさらに精密な測定が必要 (α2)

4 Tokyo groupのアプローチ 物質との相互作用による対消滅(pick-off)の正確な取り扱いがカギ
3γ崩壊 (λ3γ) Pick-off (λ(t)) 観測される崩壊率 1. Ge検出器を用いてγ線のエネルギースペクトラムを測定し、 2. 3γの連続分布と511keVのピーク(pick-off)の比からλpick(t)/λ3γを測定  熱化過程を考慮した正確な測定が可能 (詳細は後述) この実験手法に基づく、さらに高精度な測定を行っている e+線源 ターゲット (ガス、シリカ) o-Ps生成 γ Δt o-Ps 物質(ターゲット) γ

5 今回の実験のセットアップ 前回のセットアップの限界~統計誤差170ppm 統計を増やすため抜本的な改善が必要(詳細は後述)
線源を変更 トリガーシステムを変更 シンチレータを変更 統計10倍化を達成 真空容器  線源  トリガー用プラシン  シリカエアロジェル YAPシンチレータ 3台 Ge検出器(同軸型) 3台

6 線源周り β+線源 トリガー シリカエアロジェル アンチトリガーを導入 68Ge (Eβmax1.9MeV) 0.4μCi
β+線源  68Ge (Eβmax1.9MeV)  0.4μCi 前回(22Na)はプラシン中で大部分が対消滅 トリガー プラシン(200μm厚) アルミナイズドマイラーのコーンで光収集 シリカエアロジェル 0.03g/cm3 前回はシリカパウダー アンチトリガーを導入 円筒形プラシン(1mm厚) e+がシリカを抜けるイベント(約半数)を suppressし、DAQレートを有効に使う ½インチPMT 1インチPMT ライトガイド プラシン (200μm) プラシン (1mm) 68Ge 105mm e+ シリカエアロジェル 65mm

7 YAPシンチレータ 高統計な測定に適したYAP(YAlO3)シンチレータを導入
減衰時間約30nsのシャープな波形 (前回:NaI~230ns)  pile up が大幅に減少 優れた時間分解能(~400ps) 安定な物性 潮解性がなく、非常に硬い結晶 その他 光量 40% (NaI比) Z=39 今回使用したYAPの結晶 50mm×50mm×33mm

8 データ収集の状況 8月末よりデータ収集開始 約半年のランで100ppm以下 次に、ここ2週間のデータをみる(解析の詳細)
3kHzでデータ収集 現在2週間で4×109イベント(β+) 統計エラーにして約300ppm   今回のセットアップの統計10倍化を確認 約半年のランで100ppm以下 次に、ここ2週間のデータをみる(解析の詳細)

9 time walkの補正 YAPの補正 速い立ち上がり γ線のエネルギーで補正  約400psのtime resolution Geの補正
遅い立ち上がり(~200ns) 立ち上がりの時間で補正  約3~5nsのtime resolution Walk エネルギー Walk 立ち上がり時間

10 3γspectrumのnormalization
Energy spectrum Ge time spectrum prompt 2γ(511keV) data decay curve simulation accidental simulation(Geant4)による3γスペクトラムを   dataの3γ連続分布でnormalize     pick offの割合を求める (n2γ/n3γ) 崩壊時間毎にslice  pick-offの割合の時間依存性が分かる

11 pick-off rate 測定されたpick-off rate pick-off rateをlife time
o-Psの熱化を反映した   カーブが観測される 数百nsで収束、約2% pick-off rateをlife time fittingに取り込むことで 正確に崩壊率が求まる

12 time spectrum fitting YAP time spectrum Fitting 関数 prompt
3γ decay curve Free parameter: λ3γ,N0,C accidental

13 o-Ps life time λ3γ=7.0393±0.0020(stat)μs-1 前回(2001)の測定
統計エラー280ppm 前回(2001)の測定 SiO2 powderを使用 約一年間のデータ収集   λ3γ=7.0396±0.0012(stat)    ±0.0011(sys)μs-1 束縛系QEDの計算値(α2)   λ3γ=7.0399μs-1  とコンシステントな結果を得た 束縛系QED (α2)

14 まとめ オルソポジトロニウムの寿命測定のセットアップを構築 2週間で統計エラーにして280ppmのデータを収集
高統計、高精度な測定が可能になった 2週間で統計エラーにして280ppmのデータを収集 前回(2001)の測定とコンシステントな結果が得られた 今後、約半年のランで統計エラーを100ppm以下に抑える systematicエラーのstudyを始める


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