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法を学ぶとは どういう作業をすることか? 名古屋大学大学院法学研究科教授 加賀山 茂.

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1 法を学ぶとは どういう作業をすることか? 名古屋大学大学院法学研究科教授 加賀山 茂

2 日本における法教育の現状は? 日本における従来の法教育 教育は理論の他動的教授によってのみ与えられると考える。
講義では,先生は,常にまず学理と原則とを教える。それを説明する手段として多少の実例が引照説明される。 先生は独断的に理論とその展開ないし応用を説ききかせるのみであって,学生の立場は徹頭徹尾受動的である。 末弘厳太郎 「法曹雑記」(1936年)『末広著作集Ⅳ・嘘の効用』日本評論社(1954年)229頁以下) 講義を聴いて黙々とノートをとる学生

3 知識の習得については優秀だが,自分の頭で考えることは苦手な学生
日本における法教育の問題点は何か? 日本における法教育の問題点 今までの教育方法は,知識を分量的に増加させることができる。しかし心と力とを養うことができない。 学生は,幾多の理論的知識を得ることができるが,具体的事件に直面した場合に自分の知っている知識のうちどれをあてはめると問題が解決されるのか,それを直観的に判断決定すべき力を全くもたない。 末弘厳太郎 「法曹雑記」(1936年) 知識の習得については優秀だが,自分の頭で考えることは苦手な学生

4 新しい法教育の教育目標は何か? 司法制度改革審議会『意見書-21世紀の日本を支える司法制度』(平成13年6月12日)
専門的な法知識を確実に習得させるとともに,それを批判的に検討し,また発展させていく創造的な思考力,あるいは 事実に即して具体的な法的問題を解決していくために必要な法的分析能力や法的議論の能力等を育成する。

5 法的知識を確実に,活きた知識として習得する方法は?

6 外部情報は,長期記憶への照合を経てふるい落とされる
使える知識(長期記憶への蓄積)がなければ,法律に関する情報を理解することができない。 「できる学生」は教えなくてもわかるが,「できない学生」は,教えてもわからない。 →教えても,教えなくても同じ?。→教育の無力? どうすれば,法律知識を長期記憶に蓄積できるか。

7 生きた知識は,短期記憶の限界によって制約される
使える知識とは,短期記憶で実働できる単純化・構造化された知識でなければならない。 魔法の数 … 7±2 独立項目は,5~9の範囲に制限し,構造化しないと生きた知識となりえない。 短期記憶で構造化された知識のみが長期記憶に送られ,かつ,短期記憶で推論のために利用できる。

8 長期記憶に蓄えるには,従来の知識との比較が必要
新しい法律知識は,すでに長期記憶にある知識(常識等)との比較を通じて,初めて理解される。 日常的な,身近な典型事例を提起する(経験を想起させる)。 常識的なルールに従った解決を試みる。 法律知識に従った場合との比較を通じて,法律知識の意味と適用方法を紹介する。 法的知識と常識とがなぜ異なるかの説明を試みる。

9 教師の役割 典型事例の提供 知識の構造化の参考例の導入 練習問題,応用問題の提供
日常事例等の身近な経験可能な事例を通じて,法的知識を導入する。 知識の構造化の参考例の導入 常識と比較しながら,法律知識の内容と適用の方法を紹介する。 練習問題,応用問題の提供 新しい知識によって容易に解決できる問題と,簡単には解けない問題とを提出し,解き方のヒントを与える。

10 学生の役割 講義を理解するための予備知識の導入。 応用問題を解けるようになるための知識の精緻化。 長期記憶の再編成
法律知識を典型事例に適用してみて,妥当な解決が得られるかどうかを予習によって吟味する。 応用問題を解けるようになるための知識の精緻化。 これまでの知識と新しい知識とを比較して,その違いを明らかにし,従来の知識を追加したり,修正したりする 長期記憶の再編成 習得した知識で,講義中に提起されるさまざまな問題が解けるかどうかを復習を通じて再確認し,さらに,知識の追加・修正を行う。

11 法学部における教育方法の改革 予習の重視 事実関係(ケース・メソッド)の重視 発見の重視 教師と学生間の対等なコミュニケーションの実現
教育の原点は教えることではなく,学習環境を整えて,自ら学ばせること 事実関係(ケース・メソッド)の重視 大陸法における体系重視の考え方と英米法の事実重視の考え方の融合←要件事実教育批判 発見の重視 批判的な考え方も,創造的な思考力も発見から始まる 主観的な発見と客観的な発見は,連続的に起こる 発見には,比較(時間的比較=法制史,場所的比較=比較法)が有効←比較表の活用

12 参考資料 創造性とは何か 比較表を使った創造的思考の開発 比較表の例 予習の効用 ケース・メソッドの効用 発見の重視

13 創造性とは,新しい観点の発見と新しい組み合わせ
創造性は,既存の要素(事実,概念,原理)の新たな組み合わせに過ぎない。 子も,両親の遺伝子の新たな組み合わせによって生まれてくる。 新たな組み合わせは,多様性を生じさせる 新しい組み合わせによる創造の多くは,環境に適合できずに消滅していく。 新たな組み合わせによる創造のうち,少数のものだけが,現在,および,将来の環境に適合して,生存しうる。 法分野において,新たな組み合わせが環境に適応した成功例 CISG:大陸法と英米法の法理の組み合わせ ファイナンス・リース契約:割賦販売と賃貸借の組み合わせ フランチャイズ契約:商標,ノウハウの組み合わせによる新しいビジネスモデルの提供

14 新しい観点・組合せの発見には,表による比較が有用
新しい観点の発見は,比較から生じることが多い 他人と自分とを比べてみてはじめて自分を知ることができる。 外国語を習得して初めて自国語の特色を発見する。 法律家にとって創造の源泉となっている法制史も比較法も,時間的,場所的比較である。 新しい組み合わせは,要素を表に表現することによって発見できることが多い。 問題点を表にすると,複雑な議論が単純となり,理解が深まる。 問題点を表にまとめて見ると,抜けている論点が明確になり,創造性が促進される。

15 表による比較を通じて創造性を高めるための例
空間的比較 時間的比較 自分を知る 他人を知る ?→祖先,遺伝子を知る 自国語を知る 外国語を習得する ?→古文,文語を学ぶ 法を知る 外国(州)法を学ぶ 法の歴史を学ぶ 発想を得る ?→

16 予習は創造的な思考力を育てる 創造的な思考方法を身につけるということは,従来にはない思考方法を発見することである。
そのためには,日々の学習の中に,相対的ではあっても,発見のプロセスを組み込む必要がある。 課題の答えを教えてもらう前に,それに対して自分の力で答えを発見するプロセスとしての予習は,なにも努力をせずに教えてもらった答えを知ってからその課題を解くプロセスとしての復習とは,根本的に異なる。 予習をして,課題の意味と困難さを知った学生と教師の間には,深い密度のコミュニケーションが成り立ちうるし,相互の信頼と尊敬の関係をも確立することができる。 そのような環境の下で行われる,ケース研究や演習を通じて,創造性が育っていくと思われる。

17 ケース・メソッドも,創造的な思考方法を育てる
ケース・メソッドは,予習を前提とした場合,具体的な事件を取り上げることで,従来の思考方法では限界があることを気づかせることになる点で,創造的な思考力を育成するために有用である。 末弘厳太郎 「法曹雑記」(1936年)に見るケース・メソッドの興味深い理解 ケース・メソッドは禅の修行に類似した教育方法である。 先生は教えないでただ公案を与える。公案を与えて考えさせる。 公案を与えつつ老師の与えるヒントによってみずから悟りに赴くようにさせるところに禅の修業の本旨がある。 ケース・メソッドは畢竟これと同じところをねらった教育方法である。

18 発見の重視 ルールに基づく事実の発見と事実に基づくルールの再発見


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