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挿管患者の体位変換後における 気管チューブのカフ圧変化
Cuff Pressure of Endotracheal Tubes After Changes in Body Position in Critically Ill Patients Treated With Mechanical Ventilation Christelle Lizy, Walter Swinnen, Sonia Labeau, Jan Poelaert, Dirk Vogelaers, Koenraad Vandewoude, Joel Dulhunty and Stijn Blot Am J Crit Care 2014;23:e1-e8 doi: /ajcc 挿管患者の体位変換後における 気管チューブのカフ圧変化
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背景 カフ圧管理は、人工呼吸器管理の基本とも言える。 現在、ガイドラインでは、20〜30cmH2Oで管理することが推奨されている。
先行研究にて、カフ圧が30cmH2Oを超えると毛細血管の還流が障害されることにより気管粘膜にダメージが加わると言われており、さらに50cmH2Oを超えると気管の血流が閉塞すると言われている。 この研究では、様々な体位変換が及ぼすカフ圧への影響を 検討した。
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方法 対象患者は、人工呼吸器装着中で鎮静されている患者12名(18歳以上、経口挿管に限る)
妊婦、頸部の可動域が制限された人、頸部手術の既往がある人、肥満患者等、状態が不安定な人は除外 鎮静は、RASS=-5、BPS=3〜4で管理 挿管は麻酔医が行い、一般的な方法で行なわれた。 (気管チューブはテープ固定、カフの位置は、X線・両 肺呼吸音、喉頭鏡にて確認) 研究中、挿管チューブの位置は変えなかった。
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研究プロトコール 30°仰臥位にて開始 閉鎖式吸引ポートを除去 神経筋遮断薬を投与 気管チューブに バルーンを取り付け圧測定
体位変換時に圧が変わる影響を 考慮 30°仰臥位にて開始 閉鎖式吸引ポートを除去 神経筋遮断薬を投与 ファイティング 予防 気管チューブに バルーンを取り付け圧測定 全16通りの体位をとって検討 頸部前屈、頸部過伸展、頸部屈曲(左右それぞれ)、 頸部回線(左右それぞれ)、45°半仰臥位、10°仰臥位、フラット(0°)、 10°トレンデンブルグ体位、30°・45°・90°の左側臥位、30°・45°・90°の右側臥位
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結果 表1. 対象者の基本データ
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表2. スタート時(30°仰臥位)と、実験した体位でのカフ圧の比較
全ての体位において、スタート時点(30°仰臥位)と比べてカフ圧が変化していた。全体位数(192回)の41%が、カフ圧30cmH2Oを超えていた。
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図1. それぞれの体位で測定されたカフ圧 カフ圧が20cmH2Oを下回ることはなかった。
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図2. 患者毎の体位変換によるカフ圧変化 プロトコールでは、30°仰臥位→各検証体位にしているため、グラフの高低差=カフ圧の差ではない。
患者毎で色別に示されている。 全行程においてカフ圧がガイドライン内だったのはたった一人だった(濃い緑)。
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考察 体位変換により(回数や向きに限らず)、カフ圧は変化した。
カフ圧25cmH2Oをベースとして、カフ圧が20cmH2Oを下回ることはなかったが、約41%で30cmH2Oを超えることが分かった。 体位毎に、どのような患者でカフ圧が高くなるのか、といった患者の属性とカフ圧変化との関連は明らかに出来なかった。 →個人により気管軟骨の形が異なるため、それに起因する可 能性が高い。 本研究結果は、体位変換後のカフ圧測定の必要性と持続的に圧を測定することの必要性を示唆している。 リミテーションとしては、体位変換直後しかカフ圧を測っていない点(その後、カフ圧がどうなるかは不明)。
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結論 体位変換によって、カフ圧は変化した。 体位変換でカフ圧が上限値(本研究では30cmH2O)を超えた割合は、約41%だった。
カフ圧管理という点においては、体位変換をすることは単回あるいは複数回のどちらでも悪影響を及ぼしうる行為であり、厳重なモニタリングが必要である。
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私見 この研究は、あくまでも、高いカフ圧と気道組織の損傷との関連について研究した論文。カフ圧を調整することによる分泌物の垂れ込みについては触れられていない。 →体位変換によってカフ圧が変化するという点について は、挿管患者の体位変換時に考慮して行なう必要があ ると言える。 モニタリングを頻繁に行なう→頻繁なカフ圧調整→垂れ込みのリスク↑になる可能性も考えられる。 茨城県厚生連総合病院水戸協同病院 救急部・集中治療部 阿部智一 先生監修
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