全天X線監視装置(MAXI)搭載ガススリットカメラ用コリメータの特性測定

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1 全天X線監視装置(MAXI)搭載ガススリットカメラ用コリメータの特性測定
磯部 直樹（ISAS/JAXA; 冨田 洋、松岡 勝 (ISAS/JAXA)、高橋 大樹、吉田 篤正、土屋 雄一郎、山岡 和貴 (青山学院大学)、他MAXI開発チーム 　 4. GSC用コリメータの応答測定 1.　全天Ｘ線監視装置( Monitor of All Sly X-ray Image : MAXI) GSC用コリメータのエンジニアリングモデル(EM)が完成したので、2003年秋にJAXAつくば 宇宙センターのMAXI実験室にあるMAXI 17m X線ビームラインで応答測定を行った。 国際宇宙ステーション(ISS) 日本実験モジュール(JEM) の船外プラットホームに 　　　　搭載されることが決まっている。 2008年にH-IIA ロケットで打ち上げ予定、 ２年の観測期間を想定している。 2種類の観測装置 を搭載している。 Gas Slit Camera (GSC,ガス比例計数管) Solid- State Slit Camera (SSC,X線CCDカメラ) ISAS/JAXA, 理研, 東工大, 青学大, 大阪大, 日大などで、共同開発を行っている。 ISSの軌道に沿って、90分ごどに全天をスキャンし、変動Ｘ線天体の速報を行う。 検出感度 : 10 mCrab/1軌道、1mCrab/1週間 　　 系内天体だけでなく、系外天体（活動銀河核）の変動も日々監視できる。 4.1 セットアップ : コリメータと比例計数管をくみ上げて、コリメータの応答を測定 MAXI Beam Line (17 m) Ｚステージ Mo, Cu, Tiの 特性X線 コリメータ q方向に回転(自動) f方向に回転(手動) Xステージ Xステージ(自動) 実際の写真 上から見た図 横から見た図 q (0.05度刻み), f (5度刻み) を変えて、X線ビームをX方向(コリメータに垂直) にスキャンして、比例計数管で検出されたＸ線の強度を測定する。 MAXIの概念図 ISS の完成予想図 4.2 測定結果 1 : 全体での特性 スキャンプロファイルの例 全体での応答 : 三角レスポンス　とよぶ ISS カウントレート -1.2 -0.7 -0 0.7 1.2 q (度) スキャン時間 (102 msec) : 位置に対応 10 sec = 2 mm 開口部 コリメータの影 f = 5 (度)の場合 JEM 1 ○ : Mo □ : Cu × : Ti 設計値からの予測 Solid-state Slit Camera (SSC) 開口率 Gas Slit Camera (GSC) “でこぼこ” している 2. MAXIによるＸ線天体の検出、位置決定の原理 天頂 スキャン （q方向） X線天体 MAXI 天頂方向 の視野 広がっている f方向 進行方向 の視野 -1.5 1.5 コリメータ q(度) スリット コリメータ全体での応答は、ほぼ設計どおりと考えてよい しかし、三角レスポンスの頂点付近に“でこぼこ”が見られる。 原因は？ ISSの 進行方向 4.2 測定結果 1 : コリメータの板ごとの特性 1次元位置検出器 (比例計数管 or Ｘ線CCD) コリメータ板１枚ごとに三角レスポンスを作る コリメータの影の幅 : “逆三角レスポンス” 地球 特に“個性的”な例 f = 5 (度), Mo の場合 MAXIの2つの検出器はともに、1次元位置検出型の検出器とスリット、コリメータの組み合わせ で出来ている。スリットとコリメータによる細長い視野で全天を監視する。放射線帯などにより 観測できない時間を補うため、進行方向と天頂方向の２方向に視野を持つ。 33番, 34番の板による三角レスポンス 33番 34番 1 最も悪い例 開口率 ｜: Mo 影の幅 設計値からの予測 20番 23番 良い例 3 Gas Slit Camera (GSC)とコリメータ 広がっている GSCの1ユニットの概念図（全6ユニット） 設計値 : 0.1 mm あっている -1 1 スキャン -1.5 1.5 q(度) q(度) スリット 33番 : 見かけの厚さが大きい (～ 0.3 mm) 34番 : 向きがずれている ( ～0.15 度 ) 各コリメータの板について 向き 　　　　　　: ±　0.044 度 見かけの厚さ : ± mm 間隔 : mm 許容範囲内ではあるが、フライトモデルの 製作に向けて明らかに改善の余地がある。 比例計数管側から見たコリメータの写真 材質 : りん青銅 厚さ : 0.1 mm 間隔 : 3.1 mm 枚数 : 128 枚 （比例計数管あたり 64枚） 5. シミュレーションによる考察 : Geant 4 を用いる １次元位置検出型 比例計数管 4.2 でわかった板ごとの特徴をもとに、シミュレーションを行って、三角レスポンスを再現する。 ジオメトリ 33番 34番 32番 0.1 度 0.05 度 0.17 度 0.3 mm 測定結果とシミュレーションの比較 スリット 33番, 34番の三角レスポンス 32番, 33番の三角レスポンス GSCの観測パラメタ ガス : Xe ( +CO2 1% )1.4 気圧 芯線 : 10 mm炭素 入射窓 : 100 mm Be 膜 観測帯域 : 2 ～ 30 keV エネルギー分解能　 : 18 % ( Mo Ka 17.48keV) 全有効面積 : 5350 cm2 位置分解能 : 1 mm 全視野 : 1.5 度 x 160 度 開口率 測定結果 シミュレーション 測定結果 シミュレーション -1.5 1.5 -1.5 1.5 q(度) q(度) コリメータによって決まる視野 比例計数管の写真 測定結果を非常によく再現することが出来た。 このシミュレーションをGSCの応答関数の構築用に改良する。