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受診者のメンタルヘルスケア ~メンタルヘルス不全傾向の抽出~通常問診票から
受診者のメンタルヘルスケア ~メンタルヘルス不全傾向の抽出~通常問診票から 医療法人社団 新虎の門会 新浦安虎の門クリニック ○金子 仁美 大前 利道 大前由美 沼本 美由紀 堀内 純 宜しくお願いします。
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目的 うつ病は生活習慣病と同様、早期発見・早期治療が望まれており、予防医学の観点からもメンタルヘルスは重要である。人間ドックを契機にメンタルヘルス不全を早期に発見することが望まれる。 しかし、実際にメンタルチェックを行うことに対し、抵抗や不安を感じる受診者も多いのではないだろうか。 そこで、受診者への負担を軽減すべく、通常の健康診断用の問診票の中からメンタルヘルス不全、今回は特に抑うつ傾向と不眠の関係について抽出することが可能かどうか検討するため、探索的調査を行ったので報告する。 目的 近年、わが国でもうつ病をはじめ、メンタルヘルスへの関心が高くなっている。 うつ病は生活習慣病と同様に、早期発見、早期治療が望まれています。 予防医学の観点からも、メンタルヘルスは重要だと考えられ、 人間ドックを契機に、受診者のメンタルヘルス不全の早期発見ができればと考えています。 しかし、実際にメンタルチェックを行うことに対して、抵抗や不安を感じる受診者も多いのではないでしょうか。 (その中には所属組織への結果開示に対する不安も含まれると推測されます。) そこで、受診者への負担を軽減すべく、通常の健康診断用問診票の中からメンタルヘルス不全、 今回は、特に抑うつ傾向と不眠の関係について抽出することが可能かどうか検討するため、 探索的調査を行ったので報告します。
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対象 期間 2006年4月~2007年3月 上記期間中に当院で受診した7016名 男性 3974名 女性 3042名
期間 2006年4月~2007年3月 上記期間中に当院で受診した7016名 男性 3974名 女性 3042名 平均年齢 44.3歳(20~65歳) 対象 期間:2006年 4月~2007年3月 上記期間に当院で人間ドック・健康診断を受診した9893名の内、記入漏れの削除と勤労年齢を考慮した年齢の統制を行い、 改めて対象は7016名としました。 平均年齢は44,3歳でした。 (問診票では、あらかじめ本人の同意を得られない場合は、記入しないで良いことになっています。) ※抄録と人数の違いが生じましたので、この場を借りて訂正させていただきます。
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方法 材 料:自己記入式 問診票 (株式会社 ハーディー) 参考資料:東海大式うつ病スクリーニングテスト 抽出項目: ・生活習慣 ・服薬歴
材 料:自己記入式 問診票 (株式会社 ハーディー) 参考資料:東海大式うつ病スクリーニングテスト 抽出項目: ・生活習慣 ・服薬歴 ・自覚症状 ・属性 ・既往歴 方法 材料:自己記入式 お伺い票(株式会社 ハーディー) 参考資料 東海大式うつ病スクリーニングテスト 受診前に記入してもらった問診票から自覚症状、生活習慣、既往歴、服薬歴、を抽出し分析しました。
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平均睡眠時間 半数以上が 6時間以下の睡眠! 5時間以下:543名 5-6時間:3049名 6-7時間:2525名 7-8時間:811名
図 1.平均睡眠時間 半数以上が 6時間以下の睡眠! 5時間以下:543名 5-6時間:3049名 6-7時間:2525名 7-8時間:811名 8時間以上:8名 睡眠時間の棒グラフを図1に示しました。 平均睡眠時間は、 スライドにある通りです。 (5時間未満が543名、 5~6時間が3049名、 6~7時間が2525名、 7~8時間が811名、 8時間以上が8名でした。) 全体の半数以上が6時間以下の睡眠しかとっていないことが分かりました。
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不眠の自覚と平均睡眠時間 ⇒C群 ⇒D群 不眠自覚群A 不眠自覚なし群B 表1 r≠-0.008119 睡眠時間 人数 割合 409名
表1 r≠-0.008119 睡眠時間 人数 割合 不眠自覚群A 409名 5未満 75名 ▲ 16.9% 5~6 203名 47.7% 6~7 112名 ▽ 26.0% 7~8 34名 ▽ 7.3% 8以上 6名 1.2% 不眠自覚なし群B 6607名 480名 ▽ 7.2% 2906名 43.2% 2479名▲ 36.6% 811名 ▲ 11.8% 94名 1.3% ⇒C群 ⇒D群 不眠の自覚と受診者の平均睡眠時間を スライドの表1に示しました。 (受診者の平均睡眠時間と不眠の自覚の相関関係数は- であり、負の相関を示しました。) Χ2検定を行った結果: 5時間未満と6-7時間、 7-8時間において有意差が見られました。 残差分析はスライドの通りです。 不眠を自覚する群(以下不眠自覚群A)と不眠自覚していない群(以下不眠自覚なし群B)に分け、 更に、平均睡眠時間が5時間以下という同じ条件下で、 自覚群Cと自覚なし群Dに分けました。 ※χ2(4)=76.195 φ=0.102 p<.05
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参考 問診票メンタルヘルス項目とうつ病スクリーニングテスト
参考 問診票メンタルヘルス項目とうつ病スクリーニングテスト メンタルヘルスに関する項目 体がだるく、疲れやすい 夜、なかなか眠れない 就寝中、夢をみることが多い 朝、気持ちよく起きることができない ささいなことで怒ったり、イライラしやすい 気が重く、沈みこむことが多い 人に会うことが面倒で、気疲れしやすい 仕事がおっくうで、能率も上がらない 最近、仕事上の変化が多かった 家庭の中にいろいろな問題がある これといった趣味がなく、時間を持て余し気味である 医者の診察を受けて、気のせいだと言われたことがある 東海大式うつ病スクリーニングテスト 気分が滅入り、ゆううつですか 理由もなく、イライラする事がありますか 人に会うのが億劫になりますか 仕事や趣味に興味が無くなりましたか いっそ死んでしまいたいと思う事がありますか(考え、体の状態等) 睡眠に関して困った事がありますか 食欲が減退したと感じていますか やせてきたと感じていますか 体がだるくて疲れやすいですか 頭が重かったり、頭痛がしますか 肩がこりますか 性欲(精力)の減退を感じますか いつも・・3点 ときどき・・2点 いいえ・・1点 問診票にあるメンタルヘルスに関する12項目の中から、 東海大学式うつ病スクリーニングテスト(資料必要※資料1)を参考に、 うつ病傾向を示唆する項目として6項目を抽出しました。 (別項目の身体症状では自覚症状のチェック項目に3項目あったが、今回は該当項目として挙げていない。)
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不眠自覚群Aと不眠自覚なし群Bの 抑うつ傾向の比較
倦怠感では30%、 イライラ感では17%、 憂うつ感では18%、 億劫感では15%、 不眠群Aの方が回答率が高い結果でした。 ?(Χ2検定を行った結果 全有意に差が見られました。これから計算)
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不眠自覚群Cと不眠自覚なし群Dの 抑うつ傾向の比較
倦怠感では21%、 イライラ感では13%、 憂うつ感では15%、 億劫感では3%、 5↓自覚群Cの方が回答率が高い結果でした。 ?(Χ2検定を行った結果 有意に差が見られました。これから計算)
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抑うつ傾向該当者 強く抑うつ傾向を示した受診者 ・・・52名/7016名 □ 抑うつ傾向を示した 受診者 ・・・236名/7016名 内訳
・・・52名/7016名 □ 抑うつ傾向を示した 受診者 ・・・236名/7016名 内訳 男性:30名 女性:22名 年齢:24~56歳 平均(37.1歳) うつ病既往有:8名 うつ病治療中:8名 抗うつ剤服用:12名 精神安定剤:9名 睡 眠 薬:5名 抑うつ傾向の該当者はスライドにある通りです。 強く抑うつ傾向を示唆する項目に6項目該当したのは52名で、 治療歴では、うつ病の既往あり、または治療中が16名、 服用歴では、抗うつ剤が12名、 精神安定剤が9名、 睡眠薬が5名でした。 平均年齢は37.1歳で(24~56歳)全体の平均年齢より7歳若く、 職業では、IT関係:9名、金融、証券系:8名、 サービス業:12名、主婦:3名、 他:11名でした。
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まとめ 不眠の自覚がある場合、抑うつ傾向が強い 十分に休養できる睡眠をとることが重要 不眠をうつ病の早期発見に手がかりとする
不眠の自覚がある場合、抑うつ傾向が強い 十分に休養できる睡眠をとることが重要 不眠をうつ病の早期発見に手がかりとする 食欲、ストレス、抑うつ気分の確認も合わせて必要 専門医への紹介 今回は残念ながら 通常の問診票からうつ病を抽出することはできませんでした。 しかし当院の受診者において、不眠の自覚がある場合は、抑うつ傾向が強かったことを示すことができたと思います。 まずは睡眠で十分な休養をとることが必要であり、 不眠の自覚がある受診者に対しては、うつ病を疑い、抑うつ気分、精神運動性抑制、身体症状について注意深く問診を行うこと、 合わせて、食欲の減退やストレスの確認や専門医への紹介先の考慮も必要かと思われました。 (問題点)として メンタルチェックを全受診者に対して行うには、手続き上の問題があることと、 通常問診票への抑うつ尺度は入っているが、躁状態(双極性うつ病)を疑う項目がなかったことが考えられました。 QOLの向上を促すには、睡眠時間には個人差があるため、不眠の自覚について伺うことが重要であると考えられました。 メンタルチェックを全受診者に対して行うことや、 その後の対処も困難であると思われますが、 今後も調査を行い、受診者の負担が少なく、メンタルヘルスに役立つ問診表の充実に繋げたいと思います。
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