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紛争予防・解決のための 労務管理の基礎知識Ⅱ

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Presentation on theme: "紛争予防・解決のための 労務管理の基礎知識Ⅱ"— Presentation transcript:

1 紛争予防・解決のための 労務管理の基礎知識Ⅱ
(労働時間管理・年次有給休暇・        残業代請求対応について) 弁護士 浅倉 稔雅

2 目次 第1 労働法の基礎知識 第2 労働時間管理の基礎知識 第3 年次有給休暇の基礎知識 第4 残業代請求対応の基礎知識

3 第1 労働法の基礎知識

4 1 労働法とは何か? 一般に、労働者と使用者の間の 労働をめぐる関係を取り扱う法のこと 例)労働基準法、労働契約法、
1 労働法とは何か? 一般に、労働者と使用者の間の   労働をめぐる関係を取り扱う法のこと 例)労働基準法、労働契約法、    最低賃金法、男女雇用機会均等法等・・・

5 労働者の保護 2 労働法の目的とは? 労働条件の決定段階においても、業務遂行の局面に おいても、使用者(企業側)が圧倒的に優位にあり、
2 労働法の目的とは? 労働者の保護 労働条件の決定段階においても、業務遂行の局面に おいても、使用者(企業側)が圧倒的に優位にあり、 労働者保護を図らないと労働条件の低下による労働者の 貧困や非人間的扱いが生じるおそれがあるため。

6 3 労働法の性質とは? 労働法は、「契約自由の原則」を制限する。 「契約自由の原則」 社会生活において、個人は自己の意思に
3 労働法の性質とは? 「契約自由の原則」   社会生活において、個人は自己の意思に   基づいて自由に契約を結ぶことができる。 労働法は、「契約自由の原則」を制限する。

7 労働者が1日12時間、月曜日から金曜日まで毎日仕事をする労働契約を締結した。
1週間の労働時間は合計60時間(12時間×5日間)となってしまう。 この労働契約の効力はどうなるか? Answer 労基法32条1項、2項は、労働時間を1日8時間、週40時間に制限しています。そのため、この労働契約は労働時間を定める部分が無効になり、1日8時間、週40時間の労働時間を定めたものと読み替えられることになります(労基法13条)。

8 労働契約の内容を決めるもの 労働基準法1条 労働基準法13条
 労働契約の内容を決めるもの 強行法規(労基法等)>労働協約(労組法16条)> 就業規則(労基法93条、労契法12条)>労働契約 労働基準法1条 「この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない。」 労働基準法13条 「この法律で定める基準に達しない労働条件を定める労働契約は、その部分については無効とする。この場合において、無効となった部分は、この法律で定める基準による。」

9 4 労働基準法違反の罰則等 ⇒ 労働時間の規制に違反すると 労基法違反に対する罰則の定め(労基法117条以下)
4 労働基準法違反の罰則等 労基法違反に対する罰則の定め(労基法117条以下) 労基法上の規制を守らせ、実効性を確保するため (例)労基法119条 「次の各号の一に該当する者は、これを六箇月以下の   懲役又は三十万円以下の罰金に処する。  一 ・・・第32条・・の規定に違反した者 ⇒ 労働時間の規制に違反すると             刑事罰を受けるおそれがある。

10 ・ 行政の監督制度として、   労働基準監督署が設置されている。  労基法違反の罪等について、臨検(現場に臨んでの検査)、尋問等を行う権限を持つ(労基法101条、102条)。 労働者から労働基準監督官への申告がなされ、 違反が発覚することもある(労基法104条)。

11 第2 労働時間管理の基礎知識

12 1 労働時間の基礎知識 (1) 労働時間とは ・所定労働時間 ・法定労働時間 各企業において就業規則等で定める当該企業の始業時刻から
1 労働時間の基礎知識 (1) 労働時間とは ・所定労働時間 各企業において就業規則等で定める当該企業の始業時刻から 終業時刻までの労働時間(休憩時間を除く)のこと 就業規則において、始業時刻・終業時刻を 定めることが義務付けされている (労基法89条1項1号) ・法定労働時間 原則として1週40時間(特例事業は44時間)、 1日8時間の実労働時間のこと (労基法32条1項、2項)

13 (2)労基法上の実労働時間の判断 「労働者が使用者の指揮命令下におかれている時間を いい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の
 いい、右の労働時間に該当するか否かは、労働者の    行為が使用者の指揮命令下に置かれたものと評価す  ることができるか否かにより客観的に定まるもので   あって、労働契約、就業規則、労働協約等の定めの   いかんにより決定されるべきものではない」 (最判平成12.3.9・労判778号)

14 (3) 労基法32条に違反した場合の不利益 ・労基法119条1号による刑事罰のおそれ ・労基法37条による割増賃金の発生
(3) 労基法32条に違反した場合の不利益 ・労基法119条1号による刑事罰のおそれ ・労基法37条による割増賃金の発生   時間外労働について割増率は25%以上 ※ 休日労働の割増率は35%

15 ⇒ 厚生労働省はこの基準に立って行政指導を強化。 ⇒ 企業側の安全配慮義務違反(労契法5条)も 問われるおそれがある。
・過労死の問題 「 脳・心臓疾患の労災認定基準」 (平成13・12・12、基発1063号) ・1か月当たりおおむね45時間を超えて時間外労働が長くなるほど、業務と発症との関連性が徐々に強まると評価できること。 ・発症前1か月におおむね100時間を超える時間外労働が認められる場合、または発症前2~6か月にわたって1か月当たりおおむね80時間を超える時間外労働が認められる場合には業務と脳・心臓疾患の発症との関連性が強いと判断されること。 ⇒ 厚生労働省はこの基準に立って行政指導を強化。 ⇒ 企業側の安全配慮義務違反(労契法5条)も   問われるおそれがある。

16 (4) 労使協定による免罰効 法定時間外の残業が全く認められないとするのは 実態に見合わない。 労基法36条
(4) 労使協定による免罰効 法定時間外の残業が全く認められないとするのは                実態に見合わない。 労基法36条   「使用者は・・労働者の過半数で組織する労働組合、・・労働   者の過半数で組織する労働組合が無い場合においては労働者   の過半数を代表する者との書面による協定をし、これを行政   官庁に届け出た場合においては、第32条・・の労働時間・・   に関する規定にかかわらず、その協定で定めるところによって   労働時間を延長」することができる。 ⇒ 「時間外労働を行わせることがある」という協    定を定めれば、罰則が適用されないことになる。 ※ あくまで罰則の不適用なだけなので、法定時間外の残業を   命じるためには、就業規則などの契約上の根拠が必要。

17 労基法には、労働時間把握の具体的方法の規定は無い。
(5) 労働時間把握についての通達    労基法には、労働時間把握の具体的方法の規定は無い。 ・「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」 (平成13.4.6 基発339号)   ア 労働日ごとの「始業・終業時刻」を把握すべきこと   イ 始業・終業時刻の確認方法    ⅰ 使用者が自ら確認し、記録すること    ⅱ タイムカード、ICカード等の客観的な記録で確認すること   ウ 自己申告制によらざるをえない場合には    ⅰ 労働者に実態を正しく記録し、適正に申告することを説明すること    ⅱ 自己申告の労働時間が実態に合致しているかを実態調査をすること    ⅲ 適正な申告を阻害する目的で時間外労働の上限枠を設定するなどの      措置をしないこと。また、時間外労働時間の削減のための社内通達      などの措置が適正な自己申告を阻害する要因になっていないかを      確認して、阻害要因となっている場合には改善すること

18 (6) 休憩時間とは 労働者が権利として労働から離れることを 保障されている時間。 労基法34条
(6) 休憩時間とは  労働者が権利として労働から離れることを  保障されている時間。 労働者を労働時間の途中で、使用者の指揮監督から 完全に解放させることにより、精神的・肉体的疲労を 回復させることが目的。 労基法34条 「使用者は、労働時間が6時間を超える場合においては  少なくとも45分、8時間を超える場合においては  少なくとも1時間の休憩時間を労働時間の途中に与え  なければならない。」

19 (7) その他の労働時間制度 ・事業場外みなし労働時間制 (労基法38条の2) ・フレックスタイム制 (労基法32条の3)
(7) その他の労働時間制度 ・事業場外みなし労働時間制 (労基法38条の2) ・フレックスタイム制 (労基法32条の3) ・専門・企画業務型裁量労働制 (労基法38条の3、4)                            等々

20 (1)休憩時間について 私の会社では、お昼休みの1時間、電話当番を交代制で担当してもらうことにしています。
電話がかかってこない日でも、電話当番を担当した者にお昼休み以外の休憩時間を与えなくてはならないのでしょうか。 Answer Answer 休憩時間は、労働者が労働から離れることが保障されている時間のことです。電話当番は、お昼休みの間、職場内にいることを義務付けられ、電話があった場合には即時にこれに対応することが義務付けられています。そこで、電話当番の間は労働から離れることが保障されておらず、休憩時間とは言えないため、別途休憩時間が与えられるべきと考えられます。

21 (2)労働時間について-1 当社はビルの管理業務を行っているのですが、従業員が配属先のビルに泊まり、火災などの発生に備えて宿直業務をすることがあります。仮眠も許しているのですが、仮眠時間などは労働時間にあたるのでしょうか。 Answer Answer 外出が禁止され、電話の応対や警報などに対応する義務があるのであれば、仮眠時間であっても労働時間と認められます。ただし、仮眠時間中に他の交替要員が対応することになっているのであれば、労働時間性が否定されることもあります。

22 朝の清掃・朝礼・ミーティング・体操の時間帯は、労働時間にあたるのでしょうか。
(3)労働時間について-2 朝の清掃・朝礼・ミーティング・体操の時間帯は、労働時間にあたるのでしょうか。 Answer Answer 参加が義務付けられているかどうかが問題になります。 参加が自由であり、不参加に何らのペナルティーも 無い場合には、労働時間には当たらないと言えます。 ただし、不参加が人事考課に影響する場合などには、 労働時間に当たるとみられます。

23 (4)労働時間について-3 職場のAさんは、よく持ち帰り残業をしています。熱心だなと思って上司も許容しているのですが、
最近、持ち帰り残業で働いた時間も労働時間ではないかと別の社員から言われました。 持ち帰り残業をしている時間も労働時間になるのでしょうか。 Answer Answer 持ち帰り残業をしなければ処理しきれない量の仕事を与えており、上司も持ち帰り残業の禁止をせずに黙認している場合には、労働時間と扱われることになると思われます。※黙示の指揮監督

24 第3 年次有給休暇の基礎知識

25 1 年次有給休暇の基礎知識 (1) 年次有給休暇とは (2) 発生要件(労基法39条) 休日の他に毎年一定日数の休暇を有給で保証する制度
1 年次有給休暇の基礎知識 (1) 年次有給休暇とは 休日の他に毎年一定日数の休暇を有給で保証する制度 ⇒ 労働者の疲労回復のみならず、    人間らしい生活の確保を図るもの (2) 発生要件(労基法39条) ① 労働者が雇い入れられた日から起算して6か月以上                  継続勤務したこと ② 最初は前6か月、その後は前1年間において、          全労働日の8割以上を出勤したこと

26 (3) 法定付与日数 【年次有給休暇の日数・通常の場合】 ※ 1週間の所定労働日数が4日以下の者などは、
(3) 法定付与日数 【年次有給休暇の日数・通常の場合】 勤続年数 6ヵ月 1年 6ヵ月 2年 6ヵ月 3年 6ヵ月 4年 6ヵ月 5年 6ヵ月 6年 6ヵ月 付与日数 10日 11日 12日 14日 16日 18日 20日 ※ 1週間の所定労働日数が4日以下の者などは、   これより付与日数が少なく、所定労働日数に   応じた比例付与となっている。

27 年休の権利は、一定の要件が満たされることに よって法律上当然に労働者に与えられる権利
(4) 労働者による時季の指定 年休の権利は、一定の要件が満たされることに   よって法律上当然に労働者に与えられる権利    会社の承認は不要であり、      労働者による時季の指定だけで足りる。

28 (5) 会社による時季変更権 請求された時季に有給休暇を与えることが 「事業の正常な運営を妨げる場合」においては、
(5) 会社による時季変更権 請求された時季に有給休暇を与えることが 「事業の正常な運営を妨げる場合」においては、 他の時季にこれを与えることができる。 (労基法39条5項但書・時季変更権) ※ 行政解釈では「事業の正常な運営を妨げる場合とは、    個別的、具体的に客観的に判断されるべきものである   と共に、事由消滅後可能な限り速やかに休暇を与えな   ければならない」とされている。 (昭  基収2622)

29 2 年次有給休暇の注意点 (1) 利用目的による取得制限は? (2) 利用目的を聴くことは可能? 例外 ⇒ 原則として存在しない。
2 年次有給休暇の注意点 (1) 利用目的による取得制限は? ⇒ 原則として存在しない。 (2) 利用目的を聴くことは可能? ⇒ 目的の開示を強制することは原則として許されない。 例外 ① 同一職場において複数の者が同じ日の取得を申し出た場合に、    時季変更権行使の順序を決める目的で利用目的を問う場合 ② 指定された日の年休取得が「事業の正常な運営を妨げる」ものの、   事情次第では時季変更権の行使を差し控えるために問う場合 ※ あくまで時季変更権行使に係る行為のため

30 (3) 年休の買い上げ 年休の事前買い上げは違法。 ただし、次のような場合に年休残日数について 金銭給付を行うことは可能。
(3) 年休の買い上げ 年休の事前買い上げは違法。 (昭  基収4718) ただし、次のような場合に年休残日数について             金銭給付を行うことは可能。 ① 退職により権利が消滅する年休の残日数 ② 労働者が権利行使しなかったことによって   時効消滅した年休の残日数 ⇒ 年休取得の抑制効果を持たないため

31 ① 職場で常に人員が不足していて 代替要員の確保が困難な場合。 ② 勤務割による勤務体制をとっているが、 勤務割の変更を試みたものの、
従業員から年休取得の申請がされました。 会社は時季変更権を行使して良いでしょうか? ① 職場で常に人員が不足していて   代替要員の確保が困難な場合。 ② 勤務割による勤務体制をとっているが、   勤務割の変更を試みたものの、   代替要員の確保ができない場合。

32 ②は、勤務割の変更で客観的に対応できないと認められる場合には、事業の正常な運営を妨げると言えそうです。
Answer Answer 裁判例では、「事業の正常な運営を妨げる場合とは、年休請求権者の職場における配置、その担当する業務の内容・性質、作業の繁閑、代行者の配置の難易、時期を同じくして年休を請求する者の人数等、諸般の事情を考慮して制度の趣旨に反しないように合理的に決すべき」(大阪地裁昭 )とされています。 ①は、このような理由を認めると、そもそも年休取得ができなくなってしまうおそれがあるので、事業の正常な運営を妨げる場合とは言えないと思われます。 ②は、勤務割の変更で客観的に対応できないと認められる場合には、事業の正常な運営を妨げると言えそうです。 ※ なお、5日間連続等、長期休暇とみられる場合には、    事業運営への支障は一般的に大きく、時季変更権の   使用者の裁量は広く認められる傾向があります。

33 第4 残業代請求対応の基礎知識

34 特に、退職した労働者からの請求が多い。 1 残業代請求がなされた場合のリスク ・法定時間外労働の場合、割増賃金分の支払い義務あり。
1 残業代請求がなされた場合のリスク    特に、退職した労働者からの請求が多い。  ・法定時間外労働の場合、割増賃金分の支払い義務あり。 --- 特に訴訟の場合 ・遅延損害金の増加   通常は商事法定利率の年6%(商法514条)。   しかし、退職労働者の賃金に係る遅延損害金は年14.6%。 (賃金の支払確保等に関する法律6条1項、同法律施行令1条) ・付加金リスク   法定時間外労働の場合、訴訟において、法定の未払額と     同額の付加金の支払いを命じられることがある。 (労基法114条、37条)

35 2 訴訟における争点の例 一般的な管理職であっても管理監督者に ・正確な労働時間はどうなっているか
2 訴訟における争点の例 ・正確な労働時間はどうなっているか   自己申告の時間が信用できない場合や残業を命じていない場合等。 ・消滅時効   権利行使可能時から2年間(労基法115条)。 ・管理監督者   労基法41条2号は「監督若しくは管理の地位にある者」(管理     監督者)について、労働時間、休憩及び休日に関する規定の適用を    除外している。 労基法上時間外労働が生じないことになる。   一般的な管理職であっても管理監督者に        当たるわけではないことに注意。

36 A部長は、 部下の給与査定は行っていますが、 採用権限は持っていません。 また、他の従業員と同様に、出社を午前9時 、退社を午後6時(休憩時間は1時間)と決 められています。 なお、部長手当3万円をもらっています。 A部長は管理監督者でしょうか。

37 管理監督者とは、一般に、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者とされています。
Answer Answer 管理監督者とは、一般に、労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的立場にある者とされています。 そして、 ① 経営者と一体的立場にあるといえるほど重要な   権限と責任のある職務に従事していたか、 ② 出退勤について厳格な規制を受けず、自己の   勤務時間について自由裁量権を有するか否か、 ③ 使用者と一体的立場にあるといえるほどの地位に   ふさわしい処遇を受けていたか  等の要素で判断されると言われています。 ⇒⇒⇒

38 採用権限を持っていないことからすると、経営者と 一体的立場とまでは言い難いと思われます。
Answer ⇒⇒⇒ 本件では、まず、①について、 採用権限を持っていないことからすると、経営者と 一体的立場とまでは言い難いと思われます。 また、②についても、 出退勤時間が一応決められているので、自由裁量権を有しているとは認めづらいです。 そして、③についても、 部長手当が3万円ということで、多いとは言い難いので、 使用者と一体的立場にあるといえる程の処遇は受けて いないと言えそうです。 管理監督者とは認められない     可能性が高い そこで、 と思われます。

39 ご清聴ありがとうございました。


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