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気象庁 気候情報課 伊藤 晋悟、比良 咲絵、萱場 亙起、中三川 浩
東北地方の夏期2週目の気温確率の検証 気象庁 気候情報課 伊藤 晋悟、比良 咲絵、萱場 亙起、中三川 浩 東北地方の夏期2週目の気温確率の検証という題名で発表いたします。 気象庁の伊藤です。 平成28年3月11-12日 ヤマセ研究会
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目次 はじめに 2011~2015年の東北地方の夏の天候と2週目予測の精度 事例分析 2015年7月から8月前半の高温とそれ以降の低温
2015年7月から8月前半の高温とそれ以降の低温 まとめ 本日発表する内容です。 まず本日発表する内容について、簡単に説明いたします。 その後、2011~2015年の東北地方の夏の天候を振り返りまして、その2週先の予測精度についてご紹介いたします。 最後に、昨年の夏の高温と低温の事例について紹介して終わりとします。
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目次 ・はじめに ・ 2011~2015年の東北地方の夏の天候と2週目予測の精度 ・事例分析 ・まとめ
2015年7月から8月前半の高温とそれ以降の低温 ・まとめ それでは、よろしくお願い足します。
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はじめに 気象庁では、東北農業研究センターと岩手県立大学が取り組む「Google Map による気象予測データを利用した農作物警戒情報」との共同研究で平成23年から平成27年(2011~2015年)の夏季(6月~9月)まで、 2週目の予測データの提供と異常天候早期警戒情報等のコメントを提供した。 本発表では、対象期間における気温の実況推移と2週目の気温予測の結果について確認する。なお、本資料の一部には農作物警戒情報で提供している内容が含まれます。 はじめに 読むだけ Google Map による気象予測データを利用した農作物警戒情報
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目次 ・はじめに ・ 2011~2015年の東北地方の夏の天候と2週目予測の精度 ・事例分析 ・まとめ
2015年7月から8月前半の高温とそれ以降の低温 ・まとめ 次に、共同研究期間の2011年~2015年の東北地方の夏の天候と2週目の予測精度について、紹介します。
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東北地方の夏の気温の経年変化 2011年から2015年の夏期は、各年で平年より高く、過去に比べても高い 2010 気温平年差 平年並
2003 1993 2011年から2015年の夏期の気温の経年変化を示します。 横軸が1946年から2015年、縦軸が気温平年差を示します。 ここで、平年は1981~2010年までの30年平均値です。 青線が各年の気温、赤線が5年移動平均値です。 最近5年間が赤枠で囲った領域になりますが、平年より高い年が継続していることがわかります。 平成28年東北地方暖候期予報
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2011~2015年の北日本地方の気温の推移 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 平年値を上回った期間が多い。
台風の影響も受けて気温は変動している。 東北地方の天候情報 ( )内は発表日 2011年 東北北部の少雨(8/1) 2012年 少雨 (8/20) 少雨と長期間の高温 (8/24,9/7,9/14) 2013年 長雨と日照不足(7/19) 2014年 なし 2015年 東北北部の少雨(6/22) 少雨と長期間の高温(7/31) 日照不足(8/28) 平年の梅雨期間(南部) 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 12 15 6 梅雨(南部)期間 4 10 12 14 16 17 3 17 18 次に、各年の夏の気温経過を見てみます。 こちらは2011年から2015年の6月から9月の北日本の気温の経過を示したものです。 気温は平年からの差を示しており、赤色が平年より高く、青色が平年より低いことを示します。 また、この薄青色で梅雨の期間を示しており、緑の枠が平年です。 こちらでも確認できるように、平年値を上回っている期間が多いことがわかります。 また、こちらが台風の接近したことを示していて、白抜きが本土、色を塗ったものが東北地方に接近したことを意味します。 台風接近の後に気温が下がるなど、台風の影響を受けていることが示唆されます。 こちらが、この期間に発表された東北地方の天候情報を示したものです。 2011年は東北北部の少雨、 2012年は8月20日に少雨、8月24日から9月上旬にかけて少雨と高温、 2013年は梅雨期間が長いことからわかるように、長雨と日照不足が発表されました。 2014年は発表がなく、 昨年2015年は6月から7月にかけて少雨や高温となり、8月下旬は曇りが多く、日照不足となりました。 この期間について、異常天候早期警戒情報の発表状況を確認します。 東北地方への接近数 台風の中心が青森県、岩手県、秋田県、宮城県、山形県、福島県のいずれかの気象官署等から300km以内に入った場合を「東北地方に接近した台風」としています。 7 8 11 11 12 1 5 1 7 1 6 1 8 本土、東北地方 に接近した台風 北日本地域平均気温平年差の5日移動平均時系列図
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東北地方の異常天候早期警戒情報の発表状況と成績
6/1から9/30 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 合計 発表機会(週に2回) 35 34 174 高温早警発表回数 5 13 9 2 6 高温早警適中回数 4 8 3 24 1階級外し回数 1 10 2階級外し回数 3階級外し回数 見逃し回数 11 27 かなりの高温捕捉率 4/15 9/15 8/12 0/1 3/8 24/51 低温早警発表回数 低温早警適中回数 かなりの低温捕捉率 1/5 0/0 0/2 0/3 1/10 2015年8月下旬 結果がこちらです。 異常天候早期警戒情報について、念のため簡単に説明いたしますと、 気象庁では気温を5階級にわけています。 このうち、「かなり高い」、「かなり低い」気温となる確率が平年の3倍となった場合に、おおよそ2週間程度前に発表する情報です。 この表に2011年~2015年の情報の発表状況を示しています。 発表機会とは、発表を検討することができた機械のことで、週に2回検討・発表しますので、週に2回となります。 こちらが高温早警発表回数を示しており、 こちらが発表した時に、実際にあたった回数、 こちらが1階級外し、すなわち「高い」気温となった回数、 2階級外しの「平年並」になった回数、 3階級外しの「低い」になった回数を示しており、 こちらが実際に「かなり高い」気温になりましたが、発表できなかった回数を示しています。 これによると、高温の早警を発表した時、適中が24回、「高い」気温になった回数が10回ということです。 35回発表したうち、34回は「高い」気温となったということとなります。 つまり、早警を発表した際には、かなり高い気温になる確率が高く、「かなり高い」にまでいかずとも、「高い」気温となる頻度はとても高いということがわかります。 低温の早警につきましては、この5年間が気温が高い状況が続いていたこともあり、発表回数が少ないですが、 6回発表したうち、5回が「低い」気温となっていることがわかります。 一方、高温、低温ともに見逃しがあり、今後の課題として、検討がなされています。 高温早警を35回発表したうち、24回が的中し、34回は「高い」気温となった。 (早警が発表されれば、高温となる可能性は高い)
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目次 ・はじめに ・ 2011~2015年の東北地方の夏の天候と2週目予測の精度 ・事例分析 ・まとめ
2015年7月から8月前半の高温とそれ以降の低温 ・まとめ 最後に、2015年7月~8月前半の高温とそれ以降の低温の事例について、紹介します。
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2015年の気温の推移 2015年7月から8月はじめの高温とそれ以降の低温 2015年
2015年7月から8月はじめの高温とそれ以降の低温 11 12 1 5 6 7 8 調査期間 2015年 もう一度、2015年の気温の時系列を示します。 調査期間はこの赤枠です。 前半は気温が高く、後半は気温が低くなっていることがわかります。 この事例は、前半の高温は予測できたのですが、後半の低温を予測することが出来ませんでした。 では、どのような気象場であったのか、確認します。 ※高温を予想できたもののその後の低温を予想できなかった
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2015年8月上旬の高温 偏西風 チベット高気圧 太平洋高気圧 2015年8月上旬の高温については、
チベット高気圧や太平洋高気圧が日本域を覆っており、良く晴れて高温となりました。 また、日本の南海上を通過した台風からの上昇気流が、ここで下降して気温を高めたことが一因であるとみられています。
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2015年8月中旬以降の低温 平成27年9月18日報道発表資料「平成27年(2015年)8月中旬以降の不順な天候」より
次に、8月中旬以降の低温についてです。 こちらは、エルニーニョの影響で偏西風が南に偏って流れ、上空の気圧の谷が日本の西にできたため、 湿った気流が入り込みやすく、不純な天候となりました。 また、オホーツク海高気圧が出来、こちらからの東寄りの風が吹いたことが低温となる要因となりました。 平成27年9月18日報道発表資料「平成27年(2015年)8月中旬以降の不順な天候」より
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仙台における気温の推移と予測 季節数値予報モデルの予測 ・7月~8月はじめの顕著な高温の傾向:予測できた
実況が20℃を下回った。 7月~8月はじめの顕著な高温は傾向として予想できていた。27℃を上回った。 低温確率は小さい。 (8月後半の低温は予想できなかった。) それでは、仙台を例に、このときのの気温の推移と予測について、確認します。 緑線が気温の実況で、オレンジが平均的な予測値です。 また、点線が平年値、この赤色が27度以上となる確率を示しています。 この図によりますと、 この7月下旬からの高温について、平均的な予測では足りないものの、 高温となる確率は予測していました。 とくにピーク付近では、30%を超え、高温シグナルを出していたことがわかります。 一方、低温については、20℃を下回っていますが、確率は表現されていないことがわかります。 季節数値予報モデルの予測 ・7月~8月はじめの顕著な高温の傾向:予測できた ・8月後半の低温の傾向:予測できなかった
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【500hPa高度】2週目の予想と実況の比較 予想(2週目) 7/27発表 8/17発表 実況 8/4-8/10 8/25-31
予想(2週目) 7/27発表 8/17発表 太平洋高気圧の強まりを予想 実況 8/4-8/10 /25-31 では、それがどのような場であったのか、確認します。 こちらは500hPa高度の予想と実況で、上が予想、下が実況です。 コンターが高度、陰影が平年からの差を示します。 8月上旬の事例では、実況で太平洋高気圧の強まりが表現されていますが、 予想においても表現されており、高温を持続する予想が良くできていました。 一方、8月下旬は、北側の高気圧偏差は予想されているなど、オホーツク海高気圧の傾向は表現されていたのですが、 この青色、これは台風起源の低気圧を表現しているのですが、 予想では東海上に抜けていったのに対し、実況では北上と台風進路の予想が異なったため、 寒気の引き込みと持続が予想できず、低温を示すことが出来なかったと考えられます。 このように、台風は気候場に大変大きなインパクトを与えるのですが、 台風の進路予想は難しく、誤差が出てしまういというのが課題の一つです。 コンター:高度 陰影:平年差 季節数値予報モデルは、太平洋高気圧に覆われて、高温が持続する予想はよくできていたものの台風のコースの予想(日本の南海上をゆっくり東進)と実況(日本の東海上を北上)が大きく異なったため、北からの寒気の引き込みと持続が予想できず、低温を示すことができなかった 14
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まとめ 2011年から2015年夏季は高温となる期間が多かった。
2週目の予測は、高温事例をよく予測することができており、早期警戒情報発表時においては、高温傾向はよく予測できていた。 2015年の事例では、太平洋高気圧の強まりを予測できていたものの、気温の低くなるタイミングについては、台風等の影響で予測が難しかった。
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ありがとうございました。
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