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6年間の学びを保障する授業設計支援 システムの開発と評価方法の研究開発 ~活動ユニットを活用した総合的な学習の時間の構想~
第11回上月情報教育賞第2次審査会 2003/8/10 6年間の学びを保障する授業設計支援 システムの開発と評価方法の研究開発 ~活動ユニットを活用した総合的な学習の時間の構想~ みなさんこんにちは氷上情報教育研究会の芦田繁昭といいます。よろしくお願いします。 6年間の学びを保障する授業設計支援システムの開発と評価方法の研究開発について発表を行います。 氷上情報教育研究会 芦田 繁昭
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研究の目的 6年間を見通した学びが意識できない ・ 学びを保障する授業設計支援システムの開発
担任が1年で変わる 6年間を見通した学びが意識できない ねらいを共有できない ・ 学びを保障する授業設計支援システムの開発 ・ 子ども用ルブリック(評価指標)を活用した評価方法の開発 小学校の場合、1学年1学年の学びを保障し、卒業する段階で6年間の学びを保障しな ければなりません。そのためには、教職員が「ねらい」や「学習目標」を共有し、子ども の学びを保障していく必要があります。 しかし、現実は、学級担任が1年で替わることや交代時の学びの引き継ぎが行われてい ないのが現実です。これは、6年間の学びをそれぞれが分担しているという意識よりも 「自分の学級」という意識が強いためだと考えます。そのため、各教科はもちろん総合的 な学習にはおいては、「ねらい」や「評価規準」を共有し、6年間を連続した学びとして 捉えるという意識がとても希薄だと感じています。 そこで、この課題を少しでも解消し、6年間を見通した「子どもの育ち」を 保障していくために、 ○学びを保障する授業設計支援システムの開発 ○子ども用ルブリック(評価指標)を活用した評価方法の開発 の2点を柱に研究を行いました。
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学びを保障する 授業設計支援システムの開発 学習目標をうまく埋め込んだ授業設計 学習目標や評価規準の共有化
授業設計支援システムの開発 学習目標をうまく埋め込んだ授業設計 学習目標や評価規準の共有化 まず、一つ目は 学びを保障する授業設計支援システムの開発です。 6年間の学びを保障するためには、学年ごとにねらいを確実に身につけさせる必要があります。そのためには、少なくても、学習目標をうまく埋め込んだ授業設計が行われることが重要になります。 また、日頃の指導に当たっては、担当学年だけを指導するという意識ではなく、子どもたちの学びを6年間と捉え、ねらいや評価規準を共有しながら指導することが我々教員には不可欠です。そのためには、教職員の間で、学習目標や評価規準を共通理解し、共有化されなければなりません。 本研究会では、「子どもの学びを保障する」教職員の組織ワークを作ることが、今述べた2点を大切にした6年間の学びを保障することに直結すると考えました。 子どもの学びを保障する組織ワークの実現
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子ども用ルブリック(評価指標) を活用した評価方法の開発 教師と子どもが目標共有することを可能に 子どもの振り返りを確実に 教師用ルブリック
を活用した評価方法の開発 教師と子どもが目標共有することを可能に 子どもの振り返りを確実に 教師用ルブリック 関連付け 二つ目は、子ども用ルブリック(評価指標)を活用した評価方法の開発です。 指導と評価の一体化といわれるように、本研究では評価の視点を外すことはできません。今回は、ルブリックという評価指標を取り入れ、研究を進めることにしました。特徴的なのは、教師用ルブリックだけでなく、子ども用ルブリックの開発を重視したことです。その理由は、子ども用ルブリックを活用することで、教師と子どもがお互いに情報共有することを可能にしたり、子どもの学習の振り返りを確実に行うことができると考えたからです。実際の活用に当たっては、後でも述べますが、自己評価ワークシートに組み込むようにしました。 自己評価ワークシート 子ども用ルブリック
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授業設計支援システムの開発(研究経過) (1)学習目標および活動ユニットの明確化 学校の実態によって カスタマイズ可能
それでは、研究経過について説明します。 最初に、授業設計支援システムの開発について述べます。 まず行ったことは、学習目標及び活動ユニットを明確にすることです。この作業は、本研究の基礎になりますから何度も改訂作業を繰り返し作成しました。これは中学年の一部ですが、「大目標」「中目標」「活動ユニット」の3つに分類し、整理しました。汎用性を持たせるために、活動ユニット(行動目標)については、学校の実態に応じて自由にカスタマイズできるようにしました。 学校の実態によって カスタマイズ可能
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授業設計支援システムの開発(研究経過) (2)システムの概要 学 習 歴 授業設計 評 価
次に、今回開発した学習支援システムの概要についてです。これがシステム全体の構成です。 大きく分けて3つの機能があります。 まず、授業設計にかかわる部分です。 学習目標を設定したり、学習目標を埋め込んだ指導の流れを作成する機能です。 次に、評価にかかわる部分です。 ルブリックを活用したワークシートの出力や到達度を入力する機能です。 そして、学習歴にかかわる部分です。 子どもの実態等を教職員が共有する機能です。 活用方法については、後で詳しく述べます。 評 価
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学びを保障する評価方法の開発(研究経過)
(1)評価規準表の作成と子ども用ルブリック の開発 評価規準表 ①学習目標・活動ユニットの活用 ②汎用性のある表現 ③具体的な到達度の明記 次に、学びを保障する評価方法の開発について経過を説明します。 もとになる評価規準表の作成については次のことに留意しました。 ①情報教育で洗い出した学習目標及び活動ユニットを基にし、評価規準表を作成する。 ②汎用性のある表現にする。 ③評価方法については、具体的な到達度を明記し、教師が活用しやすいものを開発する。 この開発した評価規準表をベースに、子どもたちが活用できる子ども用ルブリックの開発を行いました。子どもの自己評価能力を高めるためには、子ども自身が学習を振り返り、「できたものは何か」「できていないものは何か」を意識することが重要であると考えたからです。 子ども用ルブリックの開発
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子ども用ルブリック(LEVEL2:中学年の一部)
これが、出来上がった子ども用ルブリックの一部です。 子ども用ルブリック(LEVEL2:中学年の一部)
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学びを保障する評価方法の開発(研究経過)
(2)自己評価ワークシートの開発 ①できたことと、できないことが明確に ②つまずきの原因を明確に ③次の課題を明確に 自己評価ワークシート作成に当たっても次のことに留意しました。 ①教師の設定した評価規準を児童も共有するために児童にも分かりやすい言葉にする。 ②活動を終えた児童にできたこととできないことがはっきり分かるようにする。 ③児童が何でつまずいているのかが教師にも児童にも分かるようにする。 ④次の活動では、どのようなことをすれば課題解決に向かうのか児童自身が気づいたり 教師が支援できるようにする。 ということです。
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導入に際しての教職員の理解(運用事例) 学校の目標とシステムの目標の整合性 整合性を検討する研修会の実施と共通理解
コンピュータを活用した情報共有への不安 整合性を検討する研修会の実施と共通理解 を繰り返し、学校独自の表現に 各教職員のコンピュータスキル、情報共有への 不安について研修会を実施 それでは、実際の運用について紹介させていただきます。運用については、氷上郡にあるO小学校とN小学校に協力を頂きました。 これらの小学校は、どちらも単学級でO小学校は職員数14名、N小学校も14名の学校です。 協力いただいたというものの、導入時にはいろいろと問題が発生しました。これはO小学校の事例ですが、それは大きく分けて2点あります。 まず1点目は、既にある学校の目標とシステムの目標の整合性です。その学校ではすでに情報教育や総合的な学習の目標が整備されていましたので、システムに書かれた目標とのすりあわせが大きな議論になりました。O小学校では、この問題解決に当たるために、整合性を検討する研修会を何度も繰り返し、目標のすり合わせや、目標の読みかえの作業を行いました。その結果0小学校の目標系列が出来上がり、行動目標は学校独自の表現へと書き換えて取り組むことになりました。 2点目は、コンピュータを活用した情報共有への不安です。 各教職員のコンピュータスキルはもちろんあったのですが、それにもまして各自の実践成果を共有することへの不安でした。この不安を取り除くために、この件についても何度も職員研修が開催されました。 いずれの問題についても、職員研修を何度も繰り返し行少しずつ職員の共通理解を深めていき、本システムを導入し、運用することとなりました。
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実践された単元一覧(運用事例) O小学校 N小学校
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授業設計手順(運用事例) まず、学習目標の設定を行います。→Web画面へ
身につけさせたい学習目標を学習目標設定の画面から選択します。チェックの入っているところが選択したところになります。 →学習設計フロー画面へ 学習目標を選択すると、自動的に大目標、中目標、活動ユニットが一体となった、教師用学習設計フローの出力を行います。 この学習設計フローはこのままでは使えません。あくまでも授業設計の骨格にすぎません。この骨格をもとに肉付けし、単元指 導計画を作成することになります。→パワーポイントの画面に切り替える
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単元指導計画の作成(運用事例) 選んだ学習目標の埋め込み
これが実際にフローを元に作成された単元指導計画です。赤枠で囲んだところがフローで表示されたとこを取り入れたものです。 →Web画面の子ども用授業設計フローへ また、教師用学習設計フローができるのと同時に、イラストを伴った子ども用学習設計フローが出力します。これは、単元の流れを 児童にも理解できるようにしました。 今回初めて「子ども用学習設計フロー」の活用を試みましたが、子どもたちからは「次に何をするのか分かりやすい。」という声が 多く、自己評価もしやすかったようです。 また、同時に、子ども用ルブリックを伴ったワークシートも、システム側で自動的に出力されます。 本実践では、少し手直しをして活用しました。→パワーポイント画面へ
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自己評価ワークシート例(運用事例) システムから自動出力されたワークシート 手を加えたワークシート→
これがそのワークシートです。このような手順で授業作りの準備を進めました。 そして単元終了時に、子どもたちの達成評価も含めて単元登録を行います。 →Web画面へ これが実際に登録された単元です。目標達成したものはオレンジ色で表示されます。 今回、この授業設計システムを活用したN小学校からは、 ・ねらいと評価を明確にした授業設計を行ったことで、子どもの姿がよく見えたこと。 ・学習歴を残すことで子どもの達成度が把握でき、タイミングよく支援すること ができた。 という報告がされました。 システムから自動出力されたワークシート 手を加えたワークシート→
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教職員の意識変化 (1) 子どもの成長やねらいを共有しようとする 組織ワークの意識化
(1) 子どもの成長やねらいを共有しようとする 組織ワークの意識化 (2)学年間のつながりを意識した教職員相互の 交流や研修 (3) 育てたい力を計画的に埋め込んだ単元構想 本システムを実際に2校に導入し、実証を行ったのですが、2校に同じような教職員の意識変化が起こりました。 ①子どもの成長やねらいを引き継いでいこうとする組織ワークへの意識化ができるようになったこと。 ②学年間のつながりを意識した教職員相互の交流や研修ができるようになったこと。 ③育てたい力を明確にしてから、単元構想ができるようになったこと。 の3点です。自分の学級さえ、とか、自分の学年さえよければ、とか、まず指導計画といって子どもの育ちを明確にしない授業設計から、少しずつですが変化が見えるようになってきました。
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研究の成果と課題 研究の成果 ①子どもの実態に応じた柔軟な指導計画 ②教師の的確な評価と支援 ③自己評価能力を育てるための授業計画の工夫
研究の課題 ①行動目標と子ども実態との関連づけ ②子どもの見取り,授業の力量 ③学習目標の差し替えとルブリックの作成 (目標リスト公開サイト: 最後に研究の成果と課題について報告させていただきます。 研究の成果については、先ほども述べましたように、ご覧のような成果が得られました。 今回の取り組みで、今後継続したい課題がいくつか明確になりました。 1つは、課題の①②に書いていますが、教師の専門性に関するスキルアップです。子どもの見取りを始め、授業技術、的確な子どもの把握など、今以上に高める必要があると感じました。 一番の課題は、③の学習目標の差し替えです。 学習目標の作成にあたっては、研究当初一般化されたものがなく、独自開発を余儀なくされました。しかし現在は、情報教育の目標リストが整理され、数多くの学校で活用されています。そこで継続研究として、公開されている学習目標に差し替えるとともに、それぞれに応じたルブリックの開発を行い、より汎用性のあるものへと改良を進めていきたいと考え、現在準備を始めています。またその成果については、今回のも含め、Web上に公開し、広く意見を求めていきたいと思います。 これで発表を終わらせていただきます。ありがとうございました。
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システムを活用した授業実践(運用事例) (1)実施学年 4年生 (2)実施時期 2002年10月~11月
(1)実施学年 4年生 (2)実施時期 2002年10月~11月 (3)単元名 「葛野の水は未来に流れる」 ~困難を乗り越えた先人の素晴らしさを伝えよう~ (4)単元目標 西地区の発展に尽くした先人の具体的な事例を調 べ、人々が力を合わせ、自分たちの知恵と協力で 困難を乗り越えていった素晴らしさに気づかせる。 2) 地域から情報を集め、課題解決に必要なものを選び、 自分なりにまとめたことを伝える。 それでは、授業設計システムを活用した授業実践の報告をさせて頂きます。 授業実践については、N小学校の事例を紹介させていただきます。 実施学年は4年生・実施時期・単元名・単元目標はごらんの通りです。
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