YBCO線材の高磁界中における臨界電流特性

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1 YBCO線材の高磁界中における臨界電流特性
○井上昌睦1, 中村知也1, 藤原隆1, 三井大輔1, 木須隆暢1, 淡路智2, 渡辺和雄2, 衣斐顕3, 宮田成紀3, 山田穣3, 塩原融3 九州大学大学院システム情報科学研究院1 東北大学金属材料研究所2,　超電導工学研究所3

2 １．はじめに 研究背景 研究目的 YBCO線材 ・優れた磁界特性 ・大きな臨界電流 超伝導コイル等の線材として実用化が期待されている
　　・優れた磁界特性 　　・大きな臨界電流 超伝導コイル等の線材として実用化が期待されている 線材化技術・・・現在、精力的な開発研究が行われている ・高特性化 ・長尺化 ・低コスト化 ・高速作製 線材作製プロセスの改善により、 長さ212.6m、Ic=245A/cmの長尺線材を作製 研究目的 　長さ212.6m且つIc=245A/cm-width（77K、自己磁界）の特性を有するYBCO/IBAD線材から切り出した短尺試料の臨界電流特性を広い温度、磁界領域において詳細に調べるとともに、パーコレーションモデルに基づくピンニング特性解析及び電流輸送特性の推定を行う。

3 ２．実験 試料諸元 測定 測定試料：長さ1mm、幅70mmのブリッジ 直流四端子法によるI –V 測定 ・測定温度 : 4.2K~83K
YBCO層(PLD, 膜厚：2.25mm) Hastelloy IBAD-Gd2Zr2O7 PLD-CeO2 Ag 測定試料：長さ1mm、幅70mmのブリッジ　 測定 直流四端子法によるI –V 測定 　　・測定温度 : 4.2K~83K 　　・印加磁界 : 自己磁界~26 T 　　・角度設定 : -10～100 （膜面と成す角） B θ I

4 ３．パーコレーションモデル 臨界電流密度の統計分布 電流輸送特性の解析式 m : 分布の形を表わすパラメータ
1-e-1 　　　m :　分布の形を表わすパラメータ 　　　Jcm :　臨界電流密度の最小値 　　　J0 :　臨界電流密度の分布幅 　　　JK :　分布の代表値(＝Jcm +J0 )　 電流輸送特性の解析式 (b) B = BGL (a) (c) ● For B < BGL, Glass領域 (a) For B = BGL , 転移磁界上 (b) For B > BGL , Liquid領域 (c) ( rFF : 磁束flow抵抗率 )

5 ４．パーコレーションモデルによる解析 ４．１．臨界電流密度の統計分布及び巨視的ピン力密度の最大値のBGL依存性

6 ４．実験結果及び解析（続き） ４．２．転移磁界BGLの温度依存性

7 ５．解析結果 ５．１．１．E-J特性（θ=90°）

8 ５．解析結果（続き） ５．１．２．E-J特性（θ=0°）

9 ５．解析結果（続き） ５．２．Jc-B特性

10 ６．まとめ ・広範な温度、磁界に亘る臨界電流特性を実験により明らかとした。これらの実験結果は、現在開始されているYBCO線材を用いた応用機器の設計、開発に対して有用である。 ・測定結果からパーコレーションモデルに基づくピンニング特性解析を行ったところ、実験値と解析値は広い温度、磁界領域に亘り定量的に良い一致を示した。 謝辞 本研究は、超電導応用基盤技術研究開発の一環として、(財)国際超電導産業技術研究センター(ISTEC)を通じて、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)からの委託を受けて実施したものである。