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電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 7/2講義分 共振器と導波路 山田 博仁
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完全導体による電磁波の反射 完全導体(σ = ∞)表面における電磁波の境界条件は、 完全導体 E = 0 En = 0 とは限らない
表面に高さ無限小の微小円柱を考え、Gaussの法則を適用すると分かる 完全導体(σ = ∞)表面における電磁波の境界条件は、 完全導体 E = 0 En = 0 とは限らない 導体表面に 電荷が現れる場合がある 電場の法線成分 En は必ずしもゼロではない より、 電場 E 何故なら、 ie = σEより、E = 0でないと無限大の電流が流れることになる 完全導体 界面での電場の 接線成分 Et はゼロ σ =∞ E = 0 より、 完全導体 Ht = 0 とは限らない 導体表面に 電流が流れる場合がある 磁場の接線成分 Ht は必ずしもゼロではない 静磁場に対しては必ずしもゼロでない 界面に高さ無限小の長方形を考え、Ampere-Maxwellの法則を適用すると分かる 完全導体 Bn = 0 変動磁場の法線成分 Bn はゼロ 変動磁場 静磁場 Bω = 0 B0 = 0 とは限らない 変動磁場 静磁場 完全導体内では E = 0、従って rot E = 0 Bω = 0 B0 = 0 とは限らない より 従って、電磁波は完全導体内には進入できず、全反射される
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完全導体による電磁波の反射 z < 0 の領域を固有インピーダンス Z の媒質が占め、x-y (z = 0) 平面を境にしてz > 0 の領域の完全導体と接しているとする。そこに、 x 方向に電場ベクトルを有する角周波数 ωの正弦電磁波が、媒質中 (z < 0) から導体界面に対して垂直入射する場合を考える。媒質内には入射波と反射波が存在し、定在波が生じている。従って、電場と磁場を入射波と反射波の和として表せば、 z 完全導体 (σ = ∞) 媒質: Z Erx 入射波 反射波 x Hiy Eix Hry 反射波の磁界は −y方向を向いている は電磁波の波数 完全導体中への透過波は存在しないため、導体表面即ち z = 0において、Ex = 0 であるから、 (界面での電場の接線成分は連続) 従って、媒質中の電磁場は、 となる。
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出展: http://www8.plala.or.jp/ap2/chishiki/teizaiha.html
完全導体による電磁波の反射 電場 反射端(導体表面) λ 定在波の腹の位置 定在波の節の位置 入射波 z 反射波 定在波 z = 0 出展: より、界面では入射波と反射波の電界振幅は符号が逆で同じ値 電場の節は、kz = nπ (n は整数)の関係から求められ、 一方、電場の腹は (n は整数)の関係から求められ、 電場の節 電場の腹 (n = 0, 1, 2 ‥) (n = 0, 1, 2 ‥)
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出展: http://www8.plala.or.jp/ap2/chishiki/teizaiha.html
完全導体による電磁波の反射 磁場 反射端(導体表面) λ 定在波の節の位置 定在波の腹の位置 入射波 z 反射波 定在波 z = 0 出展: より、界面では入射波と反射波の磁界振幅は同符号で同じ値 磁場の節は、 (n は整数)の関係から求められ、 一方、磁場の腹は kz = nπ (n は整数)の関係から求められ、 磁場の節 磁場の腹 (n = 0, 1, 2 ‥) (n = 0, 1, 2 ‥)
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参考) 伝送線路の場合との比較 受電端を短絡した場合に対応 送電端 Vs x Z0 xs Vx Ix Is V0= 0 I0 x = 0
無損失線路(α = 0) 全反射 定在波 xs x=0 短絡 βx = 0 電圧 電流
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波の反射と定在波 反射端 +x方向に進行する波 反射波 定在波=進行波+反射波 λ ωt = 0 x p
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電磁波の共振器 ? 平行平板共振器 (Fabry-Perot共振器) n = 3 n = 2 n = 1 完全導体 z = 0 z = L
完全導体による平行平面で挟まれた空間に存在する電磁波はどのように表される? ? 簡単のため、電磁波は x 方向の電場ベクトルを有する正弦波とし、z = 0, L に位置する完全導体面に対して、垂直に入射しているものとする。 電界 Ex は、いつの瞬間においても完全導体表面でゼロとなるから、 において、z = 0, L において Ex = 0 となるためには、 (n = 1, 2, 3 ‥) よって、 であるから、 (n = 1, 2, 3 ‥)
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電磁波の導波路 平行平板による導波路 (Slab導波路)
完全導体による平行平面で挟まれた空間に斜めに入射した電磁波は、図のように反射を繰り返しながら伝搬していく。従って、電磁波の導波路として機能する。 完全導体 完全導体
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電磁波の導波路 平行平板による導波路 (Slab導波路)
完全導体による平行平面で挟まれた間隙に入射角度 θ で斜めに入射した電磁波は、図のように導体表面で全反射を繰り返しながら伝搬していく。 このとき、導波路を伝搬している電磁波の自由空間における波数を k0 とすると、電磁波の伝搬方向での波数 kg は、 kg = k0 cosθ となる。また、伝搬方向と垂直方向での波数を kt とすると、 kt = k0 sinθ となる。 従って、 完全導体 θ θ kt d k0 kg 完全導体 kt = k0 sinθ kg = k0 cosθ d: 導体間の間隙の距離
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電磁波の導波路 それぞれの波長との関係は、k = 2π /λ より、 λ0は自由空間での波長
λg は導波路内での波の伝搬方向の波長で、管内波長と言う 導波路を伝搬することが許されるのは、伝搬方向と垂直方向に対して定在波条件つまり、kt 2d = 2qπ (q は自然数)の関係が成立するときのみ。 即ち、 (q = 1, 2, 3, ‥‥であり、モード番号という) q = 1 の時が、伝搬することが許される最低次のモードで、λt = 2d となる。 この最低次のモードでは、波長 λ0 が長くなるにつれて、入射角度 θ が大きくなる。 完全導体 d θ q = 3 kt 2qπ q = 2 q = 1 λ0 λt λg kt = k0 sinθ より、 q = 1 の時の入射角 θ と λ0 との関係は、
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電磁波の導波路 そして、θ = π /2 となった時、電磁波の伝搬方向への波数 kg は kg = 0 つまりλg = ∞となり、もはや電磁波は伝搬しなくなる。 従って、伝搬することが許される最も長い自由空間中での波長 λ0 を遮断(Cutoff)波長 λc と言い、 となる。 遮断波長においては、 の関係が成り立つ。 完全導体 θ θ = π /2 kt 2π d q = 1 完全導体
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導波管 電磁波(特にマイクロ波、ミリ波)の伝送には、図のような中空の金属導波管が用いられることがある。
このような導波管内での電磁波の伝搬を以下で扱う。 (教科書p.223 12.8) 導波管の中の電磁場が角周波数 ω で正弦波的に時間変化をする場合を考える。 また、導波管内を z 方向に伝搬定数 γ で伝搬すると仮定する。 つまり、 = α + jβ (α: 減衰定数, β: 位相定数) 波動方程式 より、 E の z 成分 Ez は、 c は自由空間での光速度 x y z 従って、 ここで、α = 0 (無損失)とし、 と置くと、 が得られる。 方形導波管
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導波管 同様に、磁波の波動方程式 より H の z 成分 Hz は、
Ez と Hz は全く同形で別々の微分方程式に従うことから、Ez = 0 で Hz ≠ 0 の解と、 Ez ≠ 0 で Hz = 0 の解が独立に存在し、一般解はこれらの解の重ね合わせとして表せる。 波の進行方向のベクトル成分を持たないこと Ez = 0 で Hz ≠ 0 の波を、電場成分が進行方向に垂直なことから(Transverse Electric) TE波、Ez ≠ 0 で Hz = 0 の波を磁場成分が進行方向に垂直なことから(Transverse Magnetic) TM波と呼ぶ。 x y z ところで、k = 0 の場合には となり、 z 方向に光速で伝搬する電磁波が期待される。 この場合、 Ez = Hz = 0 であり、(Transverse Electric Magnetic) TEM波と呼ぶ。 方形導波管 自由空間を伝搬する平面波もTEM波である。 これは同軸ケーブルやレッヘル線の場合で、導波管ではTEM波での伝搬形態はない。
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導波管 導波管の断面を x-y 面にとり、内部の辺長を a, b とする。
電磁場に対する境界条件は、導波管壁で E・t = 0 および H・n = 0 だから、 Hz = 0 の電磁波、 即ちTM波について考えると、Ez に対する微分方程式の解は、 (Aは定数) x y z b a で与えられ、この場合の境界条件は、導体壁(x = 0, a; y = 0, b)で Ez = 0 となるから、 (m と n は整数) 従って、 方形導波管 (mn ≠ 0)
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導波管 前式で、整数 m と n がいろいろな値をとれば、それに対応する電磁波のモードが導波管の中に存在する。
一般に、TE波に対応するモードをTEmn、 TM波に対応するモードをTMmn で表す。 電磁波が導波管の中を z 方向に伝搬するためには、伝搬定数 g は純虚数である必要がある。つまり、 = jβ g が純虚数でない、即ち とすると、 a がゼロでなければ、これは z 方向に伝搬するにつれて減衰する波となる。 従って、z 方向に伝搬する電磁波が存在するためには、 方形導波管の例 でなければならない。
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導波管 従って、β = 0 のときには電磁波は伝搬できなく(Cutoff)なり、この時の ω の値 ωc は、 となる。
となる。 従って、遮断(Cutoff)波長は、 fc は、遮断(Cutoff)周波数と呼ばれている となり、 (mn ≠ 0) lc よりも波長の短い電磁波しか伝搬できない。 最長の遮断波長は、条件 mn ≠ 0のもとで k を最小にする TM11 モードの場合であり、この時の遮断波長は、 電界 磁界 TM11モードの電磁界分布 となる。 一方、TE波の場合のカットオフ波長は、 となる。 (例題12.6) (ただし、a < b) ところで、右の式で与えられる vp を、位相速度(phase velocity)と呼ぶ
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モードの分散関係 方形導波管において、TM11モードの分散関係(ω と β との関係)を図示すると より、下図のようになる
・ 遮断周波数ωcにおいては、 群速度 はゼロとなり、 エネルギーや情報としての電磁波は伝わらない。 ところが、 ω 位相速度 は∞となる。 位相速度は、常に光速度cを超えている ωc この傾きは光速度 c ・ 周波数が高くなると、群速度および位相速度共に光速度cに漸近する。 β つまり、自由空間での伝搬形態に近くなる
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電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 光導波路と光共振器 山田 博仁
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光共振器 q = 3 q = 1 q = 2 完全導体による平行平板間に存在することができる電磁波の波長は離散的になり、 完全導体
z = 0 z = L (q = 1, 2, 3 ‥) で与えられた。このように、完全導体の平行平板によるFabry-Perot共振器によって 電磁場は量子化され、このような電磁場の形態をモードと呼ぶ。(q はモード番号) 光の場合は、完全導体の代わりに、2枚の平行平面鏡によりFabry-Perot共振器を構成し、レーザーの光共振器などに広く用いられている。 光ビーム 平行平面鏡 レーザーの光共振器の概略
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Fabry-Perot (FP)共振器の共振モード
共振器長 L のFP共振器内に立つ定在波の数(モード番号 q )と共振器内での光の波長 λ との間には、 の関係がある モード番号が十分大きい(q >>1)場合に、隣り合うモード間での共振波長の差 Δλ は、 鏡 L 鏡 Δλ Δλ 半導体レーザー λ q+2 q+1 q q-1 q-2 FP共振器の共振モード 発振波長 l 発振スペクトル q: モード番号 1,2 ‥‥ neff: 半導体の屈折率 FP共振器型半導体レーザーの構造 出展:
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光導波路 コア クラッド n2 n1> n2 n1 光ファイバー 屈折率分布 n1> n2 n2 n1 屈折率分布 コア
スラブ導波路 屈折率分布 n1 n2 n1> n2 コア クラッド
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光導波路が光を導くメカニズム n2 n1 φ1 j2 入射波 屈折波 反射波 n1< n2の場合 n2 n1 n1> n2の場合
φ2 入射波 屈折波 反射波 全反射 臨界角 qc Snellの法則 全反射 n1 n2 n1> n2 放射モード qc 2θmax 光が伝搬可能な入射角度の範囲 開口数: NA= sin(θmax)
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全反射角 コアとクラッド界面での全反射角θcは、前スライドの臨界角より で与えられるが、 ここで、 と置いたが、Δは比屈折率差と呼ばれている
ここで、 と置いたが、Δは比屈折率差と呼ばれている 従って、n1と n2との差が小さい時、全反射角 θcは以下の式で与えられる さらに、導波路が受け入れることのできる受光角(2θmax)は、 また特に、 を開口数 (Numerical Aperture)という
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導波路内での光伝搬 屈折率 n の媒質中 ・光の速度: 1/n ・光の波長: 1/n ・波数: n 倍
クラッドへの光の浸み出し ϕ: Goos-Haenchen Shift n2 ϕ ϕ a k0n1 n1 k0n1sinθ コア θ -a k0n1cosθ n2 n1> n2 ϕ 自由空間中での波数: k0=2π/λ (λ: 波長)、媒質中では k0n1 光の伝搬方向の伝搬定数成分 β は、 β = k0n1cosθ 光が伝搬方向に伝わる速度は、 であり、vgを群速度(Group Velocity)という (c は光速度) 光の伝搬方向と垂直方向の伝搬定数成分 (k0n1sinθ)に対して、以下の式が成り立つ時、光伝搬と垂直方向に定在波ができる N: モード番号 (0, 1, 2 ‥‥)
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導波モードと定在波 E N = 0 Δϕ = 0 E N = 1 2π E N = 2 4π
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入射角度 光伝搬と垂直方向での定在波条件の式より、モード番号Nに対する入射角度θNは、 で与えられる。
ここで、 Goos-Haenchen Shiftの値 ϕN は一般的には入射角度 θN の関数になるが、 θN が全反射角 θc よりも十分に小さい場合には、 と近似できる。 従って、モード番号 N に対する入射角度 θN は、 で与えられ、大きなモード番号 N に対しては入射角度 θN は大きくなる。 モード番号がある値よりも大きくなると、全反射条件が満たされなくなり、伝搬できなくなる。つまり、伝搬可能なモードは、以下の条件を満たさなければならない。 従って、導波路内を伝搬可能なモード番号の最大値 Nmaxが存在し、以下の条件を満たす。
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モードの数 導波路内を伝搬可能なモード番号の最大値 Nmaxは以下の式で与えられる。
ここで V は、Vパラメータ或いは規格化周波数と呼ばれている Nmaxよりも大きなモード番号のモードは伝搬できないので、カットオフにあると言う 注) 式(1)は光線近似によるもので、厳密な波動方程式から導くと、 N = 0の基本モードに対してカットオフは存在しない 導波モードの分散関係 β ω/c (k0) 1/n1 1/n2 N=0 N=1 N=2 N=3 カットオフ領域 (放射モード) 群速度 曲線の傾きはvg /cで 、群速度に対応 モードによって群速度の値は異なる 単一モード条件: V < π /2 n1=1 ライトラインよりも上の領域では、光の速度を超えることになるので、伝搬できない ライトライン
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