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SDQ-S以外の 方向感覚質問紙について (株)原子力安全システム研究所 松井 裕子
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話題提供の内容 1.SDQ-S以外の方向感覚質問紙 2.方向感覚質問紙の作成(松井,1997)
3.ビデオによる経路学習事態での課題成績と方向感覚質問紙との関連 結果1~3 総合得点との関連 結果4 各尺度得点との関連 4.おわりに
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1.SDQ-S以外の方向感覚質問紙 谷(1980,87)方向音痴質問票暫定改訂版 「とっさ音痴」「お出かけ音痴」「東西南北音痴」 「道尋き音痴」 高城(1985)方向感覚に関する質問紙 方向感覚の高低、探索活動、方向の伝達能力 加藤(1988)方向感覚能自己評価質問紙 「方向感覚能因子」 増井(1997)方向音痴意識尺度 浅村(1997)方向感覚質問紙 「迷いやすさ」「記憶のあいまいさ」 「空間の地図的把握」「目的地への自力到達性」 「目印の記憶」
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その他の方向感覚と関連が指摘される要因 Kozlowski&Bryant(1977) 意図的な努力
増井(1996) 環境情報認識質問紙(倉本,1991) サーヴェイ的な情報への注意 本多・仁平・Pazzaglia(準備中) 空間情報処理方略に関する質問紙;Questionnaire on Spatial Representation(Pazzaglia et al., 2000)の翻訳版 Lawton(1994) 経路発見方略尺度(定位方略・ルート方略)、空間不安尺度、屋内経路発見方略尺度(屋内定位・屋内ルート・建物の配列) 本多・仁平・Pazzaglia(準備中) 「方向感覚因子」「方角判断因子」「ランドマーク因子」「サーヴェイ因子」「記述符号化因子」 どこまで「方向感覚」に含まれるべきなのか。
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2.質問紙の作成 作成当時の問題意識 「方向感覚がよい/悪い」という自己評価はどの ようなことに基づいているのか。
「方向音痴」にも、いくつかタイプがあるのではないか。 SDQ-Sに含まれない項目についても、大規模空間での行動との関連を検討したい。
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方法 竹内(1990)の方向感覚質問紙(51項目)を基本に、内容の重複しない谷(1980)、加藤(1988)の質問項目などを加えた80項目の質問紙調査。 調査対象 大学生を中心に171名 男性78,女性92 平均年齢23.9歳(18-30歳) 有効資料154について、自己評定項目との相関の高い項目について因子分析(主因子法、バリマックス回転)を行い、4因子を得た。
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赤字:SDQ-Sの「方位と回転」、青字:「記憶と弁別」
第1因子:方位の感覚・利用 電車(列車)の進行方向を東西南北で理解することが困難。 知らない土地へ行くと、途端に東西南北が分からなくなる。 道順を教えてもらうとき、「左・右」で指示してもらうと分かるが、「東西南北」で指示されると分からない。 東西南北の感覚がとっさにわからない。 太陽が出ていれば、それだけで方向の推測ができる。 メートルやキロメートルで言われた距離を感覚的に把握できない。 東西南北がすぐにわからなくなる。 移動しながら東西南北の方角を考えない (α=.9067) 第2因子:道順や目印の記憶 所々の目印を記憶する力がない。 景色の違いを区別して覚えることができない。 道を曲がるところでも目印を確認したりしない。 何度も行ったことのあるところでも、目印になるものをよく覚えていない。 道順を覚えようとしない。 初めての土地でも、目印になるものさえあれば迷わず目的地へ行ける。 その土地の地名などをかいた看板や立て札などによく注意を払う。 目印になるような建物や情景を良く覚えている。 (α=.8789)
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赤字:SDQ-Sの「方位と回転」、青字:「記憶と弁別」
第3因子:均質環境での定位 住宅地で同じような家がならんでいると、目的の家がわからなくなる。 劇場などで、入るときと異なるドアから出ると、どちらに行けばよいかわからない。 地下駅や地下街から行きたい方向の地上出口を見つけられる。 曲がり角が続くと、どの方向を向いて進んでいるのか分からなくなる。 地下から地上に出るとき踊り場や曲がり角がたくさんあっても、地上での方向の見当をつけることができる。 反対向きの電車(列車)に乗りそうになる。 地下街では方向が分からなくなる。 デパートの中を歩き回ると迷子になりそうだ。 (α=.8371) 第4因子:他者への依存性 道がどうしてもわからなかったり急いでいるときは、人に聞くと早いと思ってしまう。 初めての場所を歩くとき、よく人に道を尋ねる。 道がわからなくなったときも、すぐ人に尋ねず自分で考えようとする。 (α=.7535) 第3因子は進行方向の維持のようにも思えるなり。 累積寄与率53.2%
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各質問紙の因子の対応 本研究 方位の感覚・利用 目印や道順の記憶 均質環境での定位 サーヴェイ的な表象/方略 ルートやランドマークの記憶
他者への依存性 その他 SDQ-S (竹内,1992) 方位と回転 記憶と弁別 ― 谷(1980,87) 東西南北音痴 ・道尋き音痴 ・お出かけ音痴 とっさ音痴 浅村(1997) 空間の地図的把握 ・目印の記憶 ・記憶のあいまいさ 目的地への自力到達性 迷いやすさ 本研究 方位の感覚・利用 目印や道順の記憶 均質環境での定位 ここまでで一区切り。SDQ-Sに含まれない因子の存在の指摘。
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3.実験:ビデオによる経路学習と質問紙得点との関連
方法 被験者 学生29名(男性18、女性11) 上位群12名(97.3(8.05)) 下位群15名(57.7(12.23)) 課題 ビデオによる経路学習後、 ・経路の自由再生 ・地図上への経路再生 ・地図上での対象再認、手がかり報告 刺激 小工業地域を通る右折5回、左折11回を含む経路を20km/hで移動する映像(約6分)
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結果:自由再生課題 対象の再生 対象の再生数に差なし 上位群(6.3個)=下位群(6.7個)
対象の再生数に差なし 上位群(6.3個)=下位群(6.7個) 正しい位置に再生された対象の比率 上位群(68.4%)≧下位群(46.1%) (p<.1) 経路の再生 正しく再生された曲がり角の比率 上位群(87.1%)>下位群(62.1%) 連続して再生された交差点数の最大値 上位群(8.9個)>下位群(4.5個)
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結果2:地図上の対象再認課題 再認された対象数 ・上位群(6.6個) ≧下位群(4.3個) (p<.1)
再認された対象のタイプ ・曲がり角にある対象 上位群>下位群 ・方向感覚と手がかり利用 の交互作用に有意傾向 とりあえず方向感覚に関する結果だけ。 手がかり利用×位置の交互作用 手がかりとしての利用×位置(曲がり角かどうか)×方向感覚の分散分析 方向感覚×手がかり利用の交互作用(p<.1) 方向感覚×位置の交互作用 曲がり角にある対象の再認数 上位群>下位群
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結果3:地図上の経路再生課題 再生された連続経路の最長 ・上位群(13.5ブロック) >下位群(7.5ブロック)
再生された連続経路の最長 ・上位群(13.5ブロック) >下位群(7.5ブロック) 再生経路の長さの変化 ・前半>中間、後半 ・上位群>下位群 区間×方向感覚の分散分析 区間および方向感覚の 主効果が有意 - 前半>中間、後半 - 上位群>下位群
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各尺度得点と 結果4:地図上の再認課題成績との関係
各尺度得点と 結果4:地図上の再認課題成績との関係 再認項目数 手がかり 非手がかり 全体 方位の感覚 * n.s. 道順や目印の記憶 *** + ** 均質環境での定位 他者への依存性 総合得点 ・自由再生課題・対象再認課題ではあまり関連が認められなかった。 ・最初は取り立てて難しくないので差が出ない。だんだん長くなって単純に記憶するのが難しくなってきた頃にサーベイマップを形成するような方略を取っていた場合、あるいはそういう能力が高い場合とそうでない場合の楽さが違ってくる。後半になってくると、サーベイマップを志向する方略を取っていただけではちゃんと再生することが難しくなってくるのか。 重回帰分析だと、中間ブロック数と第一因子、後半と第3因子、トータルと第2因子という組合せになる。第4因子は絡んでこない。項目数が少ないので分散が小さくなっているからかも。 項目再生については、手がかりとした曲がり角にあるものと第2因子、全体と第2因子の相関が認められる。 ※順位相関係数、+ p<.1, * p,<.05, ** p<.01, *** p<.005
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各尺度得点と 結果4: 地図上の再生課題成績との関係
各尺度得点と 結果4: 地図上の再生課題成績との関係 再生ブロック数 前半 中間 後半 全体 方位の感覚 n.s. * + 道順や目印の記憶 均質環境での定位 ** 他者への依存性 総合得点 ・自由再生課題・対象再認課題ではあまり関連が認められなかった。 ・最初は取り立てて難しくないので差が出ない。だんだん長くなって単純に記憶するのが難しくなってきた頃にサーベイマップを形成するような方略を取っていた場合、あるいはそういう能力が高い場合とそうでない場合の楽さが違ってくる。後半になってくると、サーベイマップを志向する方略を取っていただけではちゃんと再生することが難しくなってくるのか。他者への依存性は課題遂行に対する根性か。 重回帰分析だと、中間ブロック数と第一因子、後半と第3因子、トータルと第2因子という組合せになる。第4因子は絡んでこない。項目数が少ないので分散が小さくなっているからかも。 項目再生については、手がかりとした曲がり角にあるものと第2因子、全体と第2因子の相関が認められる。 ※順位相関係数、+ p<.1, * p,<.05, ** p<.01, *** p<.005
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結果のまとめと考察 対象の再生/再認 ①上位群は下位群より対象の位置を正しく記憶した
②上位群は曲がり角にある対象を手がかりとして多く利用した。 ③「方位の利用」「道順や目印の記憶」が高い被験者は、より多くの曲がり角の対象を手がかりとして再生した。 ④「他者への依存性」の低い被験者は、手がかりとしなかった対象についてもより多く再生した。 →曲がり角の対象の記憶が認知地図の高度化に関連している?課題要件? →環境情報の獲得に対する態度の反映? 曲がり角のものを記憶する+地図上で同定する のだから当たり前か。
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②経路が長くなると再生される経路が断続的になるのは、上位群・下位群も同じ。
経路の記憶 ①上位群の方が連続して経路を再生した。 ②経路が長くなると再生される経路が断続的になるのは、上位群・下位群も同じ。 ③ただ、前半では質問紙得点との相関は低いが、中間では「方位の利用」、後半では「道順・目印の記憶」「均質環境での定位」「他者への依存性」との相関が高かった。 →上位群は、経路が長くなるにつれて、それぞれの尺度と 対応する方略などを適用しながら、記憶の負荷を低減し ているのかも? 今回の課題は「記憶」に偏っているかも・・。
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4.おわりに SDQ-Sとは対応しない尺度でも、空間移動に関する課題との関連が認められた研究を紹介しました。
「方向感覚質問紙」にどのような項目を含めるか -「方向感覚」をどのようにとらえるか ・実際に空間移動がうまくいくかどうか ・日常的に空間移動がうまくいっているかどうか ・空間移動に苦手意識があるかどうか -「自称 方向音痴」や自覚のない方向音痴 ・空間移動/情報の獲得に対する態度や不安 ・方略の柔軟性 「他者への依存性」も外的情報資源の利用という方略と見なせる場合もある 増井(1993)、新垣・野島(1998) それぞれの研究の志向するところで違うような気がする。 方向音痴だと思っていなくて、堂々と間違った道をまい進する人。 方向音痴の人をサポートしたい→まあまあ行けるけど、不安を感じる人の扱い。 「ちゃんと行けるために何が必要か」を調べたい。 「ちゃんと行けるためにはどうしたらいいか」を調べたい。の場合には、方向感覚という言葉にこだわらなくてもいいのでは。
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おわり
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