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IT演習B ストラテジ系2 知的財産権、関連法規と標準化
令和元年6月7日
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本日の学習内容と目的 <学習内容> <目的> 知的財産権 セキュリティ関連法規 労働関連法規 取引関連法規 その他の法律 標準化
知的財産権を始めとする、企業活動に関わる法規のポイントを理解 する。
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1.知的財産権 次の二つの権利からなる。 著作権:文化的な創造物を保護する権利 産業財産権:産業の発展を保護する権利
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1-1.著作権 創作者により創作的に表現されたものを保護する権利
文芸、学術、美術又は音楽などにおいて創作的に表現された もの(著作物)を、その作者(著作者)が独占的・排他的に 使用する権利を保護することが目的。 著作物を創作した時点で権利が発生する。→申請・登録等は 必要ない。 著作者人格権と著作財産権の2種類ある。
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著作者人格権 著作者の気持ちや感情、良心を保護するための著者固有の権利。 譲渡や相続の対象にはならない。 保護期間は著作者の生存期間。 種類
内容 公表権 公表の可否、時期や方法を決定する権利 氏名表示権 著作物への氏名表示の有無、表示する場合に本名かペンネームのいずれを表示するかを決める権利 同一性保持権 著作物を勝手に改変されない権利 森のくまさん パーマ大佐の加詩が問題に 2007年 おふくろさん事件 替え歌など ひこにゃん事件
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著作財産権 著作物に関する財産的なものを保護する権利
文芸、学術、美術又は音楽などの分野における著作物を、著作が独占 的に利用できるようにすることが目的。 保護期間:著作者の死後50年間、著作者が法人の場合、発表後50年間 ※ 映画の場合、公表後70年間 一部又は全部を譲渡あるいは相続することができる。 種類 内容 複製権 コピーや写真、録音・録画などにより複製する権利 翻訳権 著作物を翻訳、編曲などをする権利 貸与権 著作物(映画を除く)の複製を提供する権利 公衆送信権 著作物の放送や、サーバによる自動送信などを行う権利 上映権 映画を上映する権利 口述権 著作物を朗読などの方法で伝える権利 JARAC著作権法22条に定められた「演奏権」による音楽教室での著作権料徴収が問題に
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著作権の対象 文芸・芸術作品、学術論文、楽曲などの創作物。 コンピュータプログラムや、取扱説明書(操作マニュアル)、 Webページ。
基礎課題6-1~基礎課題6-3 文芸・芸術作品、学術論文、楽曲などの創作物。 コンピュータプログラムや、取扱説明書(操作マニュアル)、 Webページ。 <対象にならないもの> プログラミング言語、アルゴリズム、規約(憲法や法令など を含む)、アイデア
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著作権の帰属 基礎課題6-4 原則として,著作権は著作した個人に帰属する。
法人等の発意で従業員が業務上作成した著作物については,従業員で はなく法人に著作権が帰属する。 ※ 新聞連載小説の場合、著者が新聞社に雇用されていない。また新聞社が内容まで 指示したとはいえないので、著作権は著者に帰属する。 派遣労働者が作成した著作物の著作権は派遣先に帰属する。 A社が,B社にシステム開発などを請負委託した場合は,B社が作成 したプログラムや文書などの著作物の著作権はB社に帰属する。 <映画の著作権> 原作者だけでなく、制作者、監督、演出者などにも帰属する。
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補足 パブリシティ権 DRM(Digital Rights Management)-ディジタル著作権管理
著名人の肖像や氏名を利用することで商品の販売が促進されるなどの経済 的効果が生み出されるような場合に、著名人が第三者に対して自己の肖 像・氏名の使用を許諾・禁止することによって、その経済的利益・価値を 独占的に支配する権利。 (コトバンク) 日本では、成文法とはなっていないが、明確に保護されている。おニャン 子クラブ事件(1991年)など判例あり。 DRM(Digital Rights Management)-ディジタル著作権管理 音楽や電子書籍、映画などのディジタルコンテンツの著作権を管理・保護 するために、違法なコピーの流通・使用に制限を加える技術。 ※「ソフトウェアとライセンス」については、テキストpp.300~301参照
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1-2.産業財産権 基礎課題6-5~基礎課題6-12 工業製品のアイデアや発見、デザイン、ロゴマークなどを独占的に使 用できるようにするための権利。 種類 保護対象 関連法 保護期間 特許権 産業上利用できる新規の発明やアイデア ※ITを活用した新しいビジネスモデルも特許として認定→ビジネスモデル特許 ※特許を有する2社の間で互いの特許実施権を認め合う→クロスライセンス 特許法 出願から20年 実用新案権 物品の形状や構造又は組合せに関するアイデアや工夫(高度さは求められない) 実用新案法 出願から10年 意匠権 美術・工芸・工業製品などのデザインや装飾 意匠法 登録から20年 商標権 商品の目印になるマークや商品名など 商標法 登録から10年(延長可能) 実用新案 例)お風呂で曇らないめがね Forゆ、シャチハタなど 特許庁への出願・審査・登録が必要
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1-3.不正競争防止法 基礎課題6-13~基礎課題6-15
事業活動に有用な技術又は営業上の秘密として管理されている情報を保 護し、不正な競争を防止するために制定された法律 以下のような行為が対象(差止請求や損害賠償ができる) 他人の商品の模倣 他人の商品や営業活動と誤認混同されるような使用 競争相手にとって不利な風評を流す 営業秘密やアイデアの盗用 <営業秘密の要件> 秘密として管理されていること 有用な営業上又は技術上の情報であること 公然と知られていないこと 2011年 「白い恋人」vs. 「面白い恋人」事件 和解へ 東芝データ漏えい事件 有罪 2014年
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2.セキュリティ関連法規 <不正アクセス禁止法> <サイバーセキュリティ基本法> 基礎課題6-16~基礎課題6-19
2.セキュリティ関連法規 <不正アクセス禁止法> 基礎課題6-16~基礎課題6-19 以下のような行為を禁止し、違反者に対しての罰則規定を定めている。 他人のIDやパスワードなどを無断で使用する行為(なりすまし) 他人のIDやパスワードなどを無断で第三者に提供する行為 セキュリティホール(ソフトウェアのセキュリティ上の弱点)を攻 撃してコンピュータに侵入する行為 など <サイバーセキュリティ基本法> 2015年1月9日施行 <内容> 我が国のサイバーセキュリティに関する施策に関する基本理念を定め、 国及び地方公共団体の責務等を明らかにしたもの。 サイバーセキュリティ戦略の策定その他サイバーセキュリティに関す る施策の基本となる事項を定めている。
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3.労働関連法規 労働基準法 基礎課題6-20 <裁量労働制>
最低賃金、残業賃金、労働時間、休息、休暇などの労働条件において最低限守らなけ ればならないことを定めた法律 目的:使用者(事業者)に対して社会的・経済的に弱い立場にある労働者を保護する こと。 適用範囲:親族以外の他人を1人でも労働者として使用する場合は、あらゆる業者に 適用される。 労使協定:使用者が1日8時間、週40時間を超えて労働させる場合は、労使協定を書 面で締結して労働基準署へ届け出なければならない。→ 36協定 <裁量労働制> 実際の勤務時間と関係なく、あらかじめ決めた時間を働いたとみなす制度。業務の遂 行方法や勤務時間を労働者の裁量に委ねることになる。 専門業務型と企画業務型がある。
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派遣 基礎課題6-21 派遣元企業から派遣されて、派遣先企業の指揮命令を受けて仕事を行 う労働形態。派遣元企業との雇用関係は維持したまま→ 下図参照 このように、雇用関係と指揮命令関係が切り離されている点が特徴。 派遣元企業 派遣先企業 労働者 労働者派遣契約 雇用関係 指揮命令関係 (契約に定めがない限り)派遣された労働者が派遣先企業の指示の下に開発したプログラムの著作権は派遣先企業に帰属する。 労働者派遣法:派遣事業者が守らなければならないことを定めた法律
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労働者派遣法 <ポイントとなる事項> 基礎課題6-22 改正労働者派遣法が2015年9月30日施行
同一の組織単位への同一人物の派遣は原則3年を上限とする。 派遣先は派遣労働者を選ぶことができない(事前面接の禁止)。 元の勤務先への離職後1年以内の派遣は禁止されている。 派遣された労働者を別会社へ再派遣することはできない。 建設、警備、医療関係などの派遣禁止の業種がある。
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請負 基礎課題6-23 請負企業が発注企業から業務を請け負う形態。
請負企業には、請け負った業務を完成させる完成責任、請け負った仕 事の欠陥に対し、期間を限って責任を負う瑕疵担保責任がある。 請負業者がさらに下請人を使用して仕事を行うことができる。 下請法で下請人の利益を保護 発注企業 請負企業 労働者 請負契約 雇用関係・指揮命令関係 福島原発除染作業で問題露呈 福島原発作業で、日当10万円が、6次の下請け作業員には6千五百円しか渡らなかった。 (契約に定めがない限り)開発されたプログラムの著作権は請負企業に帰属する。
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補足)下請法 下請け取引の公正化・下請け事業者の利益保護のためのルールを定め たもの。 <親事業者の義務>
委託の内容,受領期日,成果物を検査する場合は検査完了日,代金ま たは代金の算定方法,支払期日などを書面にし,下請け業者に交付す る。 検査の有無に関わらず,成果物等を受領した日から60日以内に下請け 代金を支払う。
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4.取引関連法規 特定商取引法 金融商品取引法 基礎課題6-24
訪問販売、通信販売、電話勧誘販売およびオンラインショッピングな ど店舗以外での販売形態をとる取引に関して規定した法律。 店舗での対面販売に比べてトラブルが生じやすいため、消費者保護の 観点から事業者が守るべきルールを定めている。 業者名の表示義務、契約締結時の書面交付義務、不当な勧誘の禁止、 誇大広告の規制、通信販売などの広告メールの規制等が含まれる。 金融商品取引法 有価証券や金融商品の発行や売買に関し,投資者保護や公正な取引を 実現する為のルールを定めた法律。
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PL(Product Liability)法 製造物責任法
基礎課題6-25、基礎課題6-26 製造物の欠陥により、人の生命、身体などに係る被害が生じた場合、製造 業者等が損害賠償責任を負うことを定めた法律。→消費者保護の観点から 制定 製造業者の過失が無くても、製品の欠陥が原因と証明されれば賠償責任を 負う。 欠陥には、設計上の欠陥や製造上の欠陥に加えて、指示・警告上の欠陥 (取扱説明書の記述に不備がある場合など)も含まれる。 こんにゃく入りゼリー死亡事件(1998年)など アメリカでは、雨にぬれたペットの犬を乾かしてやろ うとオーブンに入れた結果、犬が焼け死んでしまったケースでの訴訟例も 不当な書込等の削除がしやすくなった。 プロバイダ責任制限法 インターネット上で、誹謗中傷や個人の権利が侵害された場合、プロバイダの責任の範囲や、削除請求・発信者情報開示請求ができる権利を定めた法律。 開示請求されたプロバイダは,発信者に開示するかどうか確認しなければならない。→開示拒否の場合は,裁判所に開示請求する事ができる。
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5.その他の法律 5-1.個人情報保護法 5-2.刑法(コンピュータ犯罪関係) 5-3.公益通報者保護法
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5-1.個人情報保護法 基礎課題6-27~基礎課題6-30
個人の権利利益が損なわれることのないように、個人情報取扱業者の守る べき義務を定めた法律。 <個人情報> (生存する)特定の個人を識別できる情報。氏名、住所、生年月日に加え、電話 の音声や防犯カメラの映像も本人特定が可能な場合は個人情報となる。 <法の規定内容> ★利用目的を本人に明確に示すこと ★本人の同意を得て収集すること ★正確な個人情報を保つこと ★個人情報の流出や盗難、紛失を防止すること ★本人に開示可能であること ★本人の申し出により訂正を加えること ★他社に個人情報利用を委託する場合は委託先を監督すること ★第三者へ提供する場合は本人の同意を得ること(人の生命財産に危害が及び恐れがある 場合や、犯罪の予防のためであるときは、本人の同意は不要) バラバラでは意味不明でも、組み合わせによって個人を特定できる場合、個人情報となる
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5-2.刑法(コンピュータ犯罪関係) 電子計算機使用詐欺罪 電磁的記録不正作出罪 不正指令電磁的記録作成・提供罪 電子計算機損壊等業務妨害罪
コンピュータに不正なデータを入力して不法な利益を得る罪。オンラインシステムを操作して銀行口座へ不正入金を行うなど。 電磁的記録不正作出罪 他人の事務処理を誤らせる目的で、それに使う電磁的記録を不正に作成する罪。キャッシュカード偽造など。 不正指令電磁的記録作成・提供罪 コンピュータ使用時に意図しない不正な指令を与える電磁的記録(ウィルスやスパイウェアなど)を作成、提供、取得、保管する罪 電子計算機損壊等業務妨害罪 業務に使うコンピュータやデータ保存ディスクを壊したり、不正アクセスして業務妨害する罪 基礎課題6-31
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5-3.公益通報者保護法 企業の法令違反について内部告発を行った労働者を保護する法律。
通報した労働者に対して、解雇や降格、減給など不利益な行為を行う ことを禁止している。 法律で定められた通報先は以下の3つ。 事業者内部 監督官庁や警察・検察等の取締り当局 その他外部(マスコミ・消費者団体等) 違反業者に対する刑罰や行政処分はない。 内部告発者へ報復も 内部告発者に賠償請求(2015)埼玉・鹿児島の障害者施設 ※ 通報先によって保護要件が異なる。→テキストp.307参照 基礎課題6-32
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6.標準化 関係する人々の間で利益又は利便が公正に得られるように、統一し、 単純化を図る目的で、もの(生産活動の産出物)及びもの以外(組織、 責任権限、システム、方法など)について定めた取決め。(JIS Z 8002:2006) 代表的な標準化団体 ITにおける標準化の例
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代表的な標準化団体 ISO(International Organization for Standardization:国際標 準化機構)
基礎課題6-33、基礎課題6-34 代表的な標準化団体 ISO(International Organization for Standardization:国際標 準化機構) 電気分野を除く、工業及び芸術に関する国際規格の策定と国家間の調整を行ってい る。 ISO9000シリーズ:品質マネジメントに関する国際規格。ISO14000シリーズ:環 境マネジメントに関する国際規格。 IEEE(The Institute of Electrical and Electronics Engineers:米国電気電子技術者協会) LANの標準規格であるIEEE802.3(有線)やIEEE802.11(無線)などを策定 ANSI(American National Standards Institute:米国規格協会) 米国内の工業分野の規格を策定する民間の標準化団体 JISC(Japanese Industrial Standards Committee:日本工業基準調 査会) 日本国内の工業標準化全般に関する審議会。JISの制定や改正の審議を行っている。 JIS Q9001(品質マネジメント)、JIS Q14001(環境マジメント) ISOS(平等:ギシリシア語)が語源 ISO 27001:情報セキュリティマネジメント
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ITにおける標準化の例 基礎課題6-35、基礎課題6-36 JAN(Japanese Article Number)コード QRコード
バーコードのJIS規格 横方向にだけ読み取れる1次元コード メーカコード:(財)流通システム開発センターが一元的に付番管理している。 商品アイテムコード:自社で重複のないように設定する。 QRコード 縦横の2方向に情報を持つことで記録できる情報量を増加させたJIS規格 2次元コードシンボルとも呼ばれる。
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今後の予定 6月14日 ストラテジ系3 データ整理技法(問題解決手法)、QC七つ道具 6月21日 第2回理解度確認テスト(45分(予定))
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