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Published byสุวิทย์ เคนเนะดิ Modified 約 5 年前
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気球搭載硬X線偏光検出器PoGOLiteの地上キャリブレーション試験 (Ⅱ) 吉田広明、○水野恒史、梅木勇大、田中琢也、高橋弘充、深沢泰司 (広島大)、釜江常好、田島宏康 (SLAC)、栗田康平、金井義和、有元誠、植野優、片岡淳、河合誠之 (東工大)、高橋忠幸、勝田隼一郎 (ISAS/JAXA)、郡司修一 (山形大)、Mark Pearce、Mozsi Kiss (Royal Institute of Technology)、他PoGOLiteチーム 概要 X線領域での偏光観測はシンクロトロン放射やコンプトン散乱などが関連する天体において、これまで未知であった磁場や降着円盤の構造を解明する新しいプローブとなる。これまでは1970年代に10 keV以下で「かに星雲」の偏光が観測されたのみであったが、2008年にINTEGRAL衛星により、100 keV以上で初めて偏光検出が報告された。我々は気球による天体硬X線偏光検出器PoGOLiteの開発を進めている。これは25-80 keVに感度を持ち、デザインに井戸型フォスウィッチを採用し大面積と低バックグラウンドを両立することで、6時間のフライトで「かにパルサー」程度の明るさの天体からの10%の偏光を有為に検出できる等、かつてない感度を誇る。2010年にはEngineering flightを行い、機器の動作実証に加え、「かに星雲」や「CygX-1」からの偏光の検出を目指している。INTEGRAL衛星と軟X線領域の間の帯域を高精度で測定可能なため、これ自体が極めて重要なミッションである。PoGOLiteでは217本のPDCと呼ばれるユニットを蜂の巣状に並べ、コンプトン散乱の異方性を利用して偏光を測定する。2008年2月に19ユニット(三層の蜂の巣構造)から成るプロトタイプのビーム試験をKEKにて行った。このビーム試験はフライトデザインの検出器、読み出し装置を用いており、実機と同等の構成での試験となった。結果、その性能を~5%の精度で再現することができた。 1. 気球搭載硬X線偏光検出器PoGOLite 2. 検出器の応答 研究の背景 地上試験の解析には検出器の応答を含んだシミュレーションが用いられる。 PDCとして組み上げられたfastプラスチックシンチレータの特性試験として、 「光量の非線形性」・「集光率の位置依存性」を求めた。 硬X線偏光観測でしか理解出来ない天体の物理が多く存在 ブラックホール連星近傍の幾何学的情報 パルサーの放射機構 光量の非線型性 Energy[keV] クエンチング効果による光量の非線型性 しかし、これまでの硬X線偏光観測はたったの2例のみ 太陽観測衛星OSO-8によるかに星雲(約30年前) :10keV以下 ガンマ線衛星INTEGRALによるかに星雲(2008) :100keV以上 有機シンチレータにはクエンチング効果が見られる →入射X線のエネルギーに対する光量の非線型性 8~75keVのKEKビームにより光量を実測した。 その結果をBirk’sの経験式によって再現 PoGOLiteの概要 217本のプラスチックシンチレータを蜂の巣状に並べ、散乱の異方性から偏光を計る。 すざく衛星のHXDで用いられた井戸型フォスウィッチのデザインを採用することで大面積・低バックグラウンド化を実現。 検出エネルギー帯域:25‐80 keV → 未開拓な帯域を高感度で観測を行う。 衛星機器・統一通信規格SpaceWireを実証試験として搭載 → 信号を波形データとしての取得 → 217本のPDCからの信号のペアリングを取ることが可能 集光率の位置依存性 bottom top 集光率の位置依存性 ~13% position[cm] Cd 22keVにより 測定 fastプラスチックは20cmと長い → 先端部と根元で集光率が異なる。 実測により、この位置依存性を調べた。 先端と根元で~13%の光量の違いが見られた。 2010年:Engineering Flight(61ユニット) → かに星雲・Cyg X-1等 PoGOLite(217ユニット) → かにパルサー等 Slow plastic scintillator PDCs 偏光ベクトル SAS τ~230ns Fast plastic scintillator これらの結果を地上試験の解析に用いるシミュレーションに組み込む 散乱光子の分布 τ ~2ns Bottom BGO PMTs τ~300ns 4. 2ヒットイベント解析 3. 本試験の概要・セットアップ 入射ビームが中心ユニットでコンプトン散乱、周りのユニットで光電吸収したイベント Inner Ring Outer Ring1 Outer Ring2 ビーム これまで7ユニット → 今回19ユニット フライトデザインの検出器・読み出し装置を用いる シンチレータの応答の詳細を事前に取得 KEK PFBL14-A 実機と同等の構成 での実証試験 1.ビームが中心ユニットに入射 2.中心ユニットでコンプトン散乱 3.周りのユニットで光電吸収 各ユニットのスペクトルを見て、欲しいイベント(中心でコンプトン散乱、周りで光電吸収)に対応するエネルギー帯域のイベントのみ選び、モジュレーションファクター(MF)、検出光率を求める。 セットアップ 50keV ビーム (中心ユニット に入射) Slow プラスチック Fast プラスチック BGO PMT Flash ADC Board プリアンプ+ADC Space Cube PC MFのシミュレーション(Geant4)との比較 inner outer1 outer2 KEK data シミュレーション(89.7% pol) Modulation Factor[%] normalized counts Rotation angle [deg] モジュレーションカーブ(実測) 時定数の違いを利用した波形弁別を用いてfastプラスチックの信号だけを選ぶ。 短い遅延 長い遅延 Slow波高値 Fast波高値 fastプラスチック 成分 BGO/ slowプラスチック成分 Slow波高 Fast 波高 14keV以上で弁別が可能 検出効率の比較 KEK data シミュレーション MF(inner ring)= % MF(outer ring1)= % MF(outer ring2)= % 元の波形 長い遅延をかけた波形 短い遅延をかけた波形 長い遅延との差分 短い遅延との差分 MFのシミュレーションとの比較 Inner ring ~6% Outer ring 1 ~5% Outer ring 2 <1% Detection Efficiency[%] inner outer1 outer2 MF・検出効率共に~5%以下の精度で再現できる。 5. 3ヒットイベント解析 outer1 outer2 KEK data シミュレーション Detection Efficiency[%] 検出効率 シミュレーションとの比較 normalized counts Rotation angle [deg] モジュレーションカーブ(実測) outer1 outer2 下図のような3ヒットイベントを扱うことで統計を増やすことができ、 感度を上げることが可能となるため、この評価も非常に重要である。 KEK data シミュレーション(89.7%) Modulation Factor[%] 50keVビーム outer ring 1 outer ring 2 1.ビームが 中心ユニットに入射 2.中心ユニットで 1次コンプトン散乱 3.内層ユニットで 2次コンプトン散乱 4.外層ユニットで 光電吸収 Outer ring 1 MF= % Outer ring 2 MF= % 2ヒットイベント時と同様に、モジュレーションファクター・検出効率を求め、 シミュレーションと比較を行った。 2ヒットイベント同様、MF・検出効率を~5%の精度で再現することができた。 MFシミュレーションとの比較 Outer ring 1 ~5% Outer ring 2 ~7% 6. まとめと今後 2ヒット、3ヒットにイベントを分けてて解析を行い、性能評価を行った。 その結果、5%程度の精度(天体観測に十分な精度)で再現することができた 検出器の応答としてfastプラスチックシンチレータの特性を調べた。 KEKにてPoGOLiteの地上キャリブレーション試験を実施。(2008/2/25-29) Engineering Flight(61ユニット)へ向けて 現在、検出器ユニットの製作が順調に行われている。 2010年Engineering Flight(61ユニット)へ→かに星雲などの観測を目指す。 PDC 19ユニット フライトデザインの検出器・読み出し装置 実機と同等の構成での試験
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