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ジフルオロアルケンの分子内ラジカル環化による 含フッ素環状化合物の合成

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1 ジフルオロアルケンの分子内ラジカル環化による 含フッ素環状化合物の合成
ジフルオロアルケンの分子内ラジカル環化による 含フッ素環状化合物の合成  氏   名 千葉洋祐 指導教員 市川淳士

2 Introduction 含フッ素化合物は、農薬や医薬品などで幅広く利用されている重要な化合物群です。また、これらに含まれる含フッ素置換基は、ある特定の置換基と等価でより安定な機能を有するバイオイソスターの効果も持ち合わせています。例えば、ジフルオロメチル基がヒドロキシ基の、ジフルオロメチレン基がエーテル酸素のバイオイソスターになるとされています。

3 Introduction 実際に、エーテル酸素をジフルオロメチレン基で置き換えた化合物が、同程度の生理活性をもちかつより安定な誘導体であることから、医薬品開発において含フッ素置換基は重要なユニットとなっています。

4 Introduction しかし、従来のジフルオロメチル基やジフルオロメチレン基の導入には、強力なフッ素化剤を用いなければならないことや、他段階合成を要するなどの問題が挙げられます。したがって、より効率的かつ汎用性に富む優れた合成法の開発が望まれています。

5 Property of Difluoroalkene
一方当研究室では、反応設計の立場からフッ素原子の特異性に着目し、含フッ素化合物特有の合成反応の開発を行ってきました。その中の一つに、ジフルオロアルケンの求核置換反応があります。ジフルオロアルケンは、フッ素原子の強い電子求引性により電子不足なアルケンであり、またフッ素原子の非共有電子対とπ電子との反発により大きく分極しています。そのため、ジフルオロアルケンに対して求核剤を反応させると、α炭素を位置選択的に攻撃し、その後フッ化物イオンが脱離することで、フッ素原子の一つを求核剤で置換することができます。

6 Property of Difluoroalkene
当研究室では、これを分子内反応に応用することで、比較的求核性が低いヘテロ元素求核種も利用可能にしました。これにより、環炭素を一つフッ素化した環状化合物の合成を達成しています。ただしこの反応では、フッ化物イオンの脱離によりモノフルオロアルケンが生成しますので、ジフルオロアルケンから先ほどのジフルオロ置換基へ変換するには、付加反応を進行させる必要があります。

7 Concept そこで私は、ラジカル付加反応によるジフルオロメチル基やジフルオロメチレン基の導入を考えました。ラジカル環化ではジフルオロアルケンのa位、b位のいずれに付加するかで2つの環化モードが異なりますが、ジフルオロアルケンを前駆体に用いて5-exo-trig環化が進行すればジフルオロメチル基を、あるいは6-endo-trig環化が進行すればジフルオロメチレン基を環上に導入することが出来ます。

8 Radical Addition to Difluoroalkenes
しかし、これまでに報告されているジフルオロアルケンのラジカル環化はわずかしかありません。これらはいずれも、第1級炭素ラジカルによるラジカル環化であり、この場合フッ素を含まないアルケンでのラジカル環化の選択性と同様、5-exo-trig環化が進行するという報告のみにとどまっています。

9 Radical Addition to Difluoroalkenes
先ほどは5-exo-trig環化の例でしたが、一方当研究室では、求核的なイミドイルラジカルを用いることで、従来起こりにくい6-endo-trig環化を達成しています。ただしジフルオロアルケンの6-endo-trig環化はこの一例のみに留まっています。私はジフルオロアルケンの6-endo-trig環化をさらに拡張したいと考え、こちらの分子間反応に注目しました。すなわち、チイルラジカルとの反応では、フッ素のa位炭素上を選択的に攻撃することが報告されていることから、これを分子内反応に応用することで、従来起こりにくい6-endo-trig環化の進行が期待できると考えました。

10 This Work このような背景のもと、私はジフルオロアルケンのラジカル環化を用いた、含フッ素ヘテロ環の選択的合成を検討しました。まず新たにsp2炭素ラジカルとしてsp3炭素ラジカルより反応性が高いフェニルラジカルを用いることと、ラジカル中心とジフルオロアルケンとの連結部分を変更することで、5-exo-trig環化により位置選択的にジフルオロメチル基が導入された含フッ素ヘテロ5員環の構築を目指しました。次に、先ほど紹介したジフルオロアルケンとチイルラジカルの分子間反応を分子内反応に応用し、6-endo-trig環化によるヘテロ6員環の構築を目指し、検討を行ないました。

11 Cyclization by sp3-C Radical
まず目的の反応に先立ち、sp3炭素ラジカルによるラジカル環化を行ない、従来の報告例と同様の反応性を示すのか検討を行ないました。こちらのジフルオロアルケンをトリブチルスズヒドリドおよび触媒量のAIBNと作用させ、各種溶媒中で反応させたところ、ベンゼンでは反応が進行しないのに対し、ジクロロエタンやヘキサンを用いた場合に収率良く5-exo-trig環化が進行しました。 このように、sp3炭素ラジカルによる環化では、従来の環化反応の報告例と同様の選択性を示すことが分かりました。

12 Preparation of Difluoroalkenes
次に、フェニルラジカルおよびチイルラジカルを用いる環化前駆体としてこれらの化合物を設計し、合成を行ないました。 まずブロモベンゼン誘導体を出発原料に、上ではアリル基の導入からオゾン酸化およびwittig型の反応によって、また下ではトリフルオロプロペンへのSN2’反応から脱シリル化することで、ブロモフェニル部位をもつ環化前駆体を合成しました。一方、チオール部位をもつジフルオロアルケンは、当研究室で開発した手法を用いました。これは、安価なトリフルオロエチルトシラートをジフルオロビニルユニットとして、ヨウ化アリールとのクロスカップリングによるb,b-ジフルオロスチレン骨格の構築、さらにチオ酢酸ナトリウムとの反応によって、ワンポットでチオアセテートを合成しました。これを塩基で処理することにより収率よくチオールを合成しました。このように、環化前駆体は安価な試薬から短段階で合成することが出来ました。

13 Cyclization by sp2-C Radical
それではフェニルラジカルの結果に入ります。こちらのエーテル部位を有するジフルオロアルケンを用いてn-Bu3SnHおよび触媒量の種々のラジカル開始剤存在下でラジカル反応を検討しました。Entry1-4ではAIBNを、またEntry5、6では低温反応としてこちらの室温でラジカルが発生するV70やEt3Bをラジカル開始剤に用いて検討しました。その結果、Entry4に示すように、ヘキサン中AIBNを用いることで、収率85%で3位にジフルオロメチル基をもつジヒドロベンゾフランを合成することが出来ました。

14 Synthesis of Heterocycles Bearing CHF2 Group
このようにフェニルラジカルを用いて収率良く環化が進行しましたので、その他のヘテロ環合成を検討しました。スルフィド部位を有するジフルオロアルケンによる反応では、先ほどの最適条件で環化が円滑に進行し、収率88%で目的のジヒドロベンゾチオフェンが得られました。アニリン誘導体においても目的のインドリンが得られました。このように、本反応により3位にジフルオロメチル基をもつ各種縮合ヘテロ環の合成を達成しました。 以上のようにsp3およびsp2炭素ラジカルを用いることで、5-exo-trig環化が選択的に進行することが分かりました。続いてチイルラジカルを用いる分子内ラジカル環化の検討を行ないました。

15 Cyclization by Thiyl Radical
では結果に移ります。調製したチオールを用いてベンゼン中、n-Bu3SnHおよび触媒量のAIBNを作用させ、80 ℃で反応させたところ、低収率ながら化合物A,Bが80 : 20の割合で得られました。19F NMRにおいて、化合物Aは3JのHFカップリングを示す10Hz程度の結合定数が観測されたので、ジフルオロメチレン基の存在が確認されました。したがって、6-endo-trig選択的なラジカル環化により生成したイソチオクロマンであることが分かりました。また、化合物Bは2JのHFカップリングを示す60Hz近い結合定数が確認されたため、ジフルオロメチル基の存在より5-exo-trig環化体であることが分かりました。このことから、チイルラジカルを用いることで6-endo-trigラジカル環化が優先的に進行することが分かりました。

16 Cyclization by Thiyl Radical
そこで収率の向上を目指し、反応条件の検討を行なったところ、Entry3の示す条件で反応を行った際に収率57 %、生成比75:25で環化体が得られました。しかし、この手法では原料が完全に消費されていないため、より効率よくラジカルを発生させる方法が必要となると考えました。

17 Radical Cyclization via One-Electron Oxidation
 そこで私は、下に示す一電子酸化によるラジカルの発生をヒントに、一電子酸化によるチイルラジカル発生を考えました。すなわち、さきほどのチオールに一電子酸化剤を作用させてカチオンラジカルを発生させ、続く脱プロトンが進行すれば、チイルラジカルを生成できると期待しました。

18 Radical Cyclization via One-Electron Oxidation
 そこでチオールに対して一電子酸化剤であるピコリン酸マンガンを用いたところ、6-endo-trig環化のあとラジカルカップリングが進行していると見られる化合物が得られました。このように、本反応では6-endo-trig環化が極めて選択的に進行することが分かりましたので、今後改良を加えることで、目的のイソチオクロマンが得られると期待できます。

19 Summary 以上本研究をまとめますと、まずsp2炭素ラジカルによるジフルオロアルケンのラジカル環化では、5-exo-trig 環化が選択的に進行し、3位にジフルオロメチル基を有する各種縮合ヘテロ環が得られました。また、ヘテロ元素ラジカルによるジフルオロアルケンのラジカル環化では、通常起こりにくいとされる6-endo-trig環化が優先的に進行し、3位にジフルオロメチレン基をもつイソチオクロマンが生成することを見出しました。本反応では、入手容易な試薬から簡便に環化前駆体を合成でき、かつ穏和な条件での含フッ素ヘテロ環への変換が可能です。以上です。

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25 Screening of One-Electron Oxidation (1)

26 Screening of One-Electron Oxidation (2)

27 Proposed Mechanism

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29 Aminyl Radical

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