第9章 ゲーム理論 誕生:フォン・ノイマン(1928) ■ゲーム理論と経済学

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1 第9章 ゲーム理論 誕生:フォン・ノイマン(1928) ■ゲーム理論と経済学
John von Neumann, 1928, “Zur Theorie der Gessellshaftspiele”, Mathematische Annalen. 経済理論の一部であり一分野としての,根本的で定式化された形のゲーム理論は,ジョン・フォン・ ノイマン とオスカール・モルゲンシュテルン (Oskar Morgenstern) の 1944 年の古典『ゲームの理論と経済行動』 (Theory of Games and Economic Behavior, 1944) に始まる。この著書は二十世紀社会科学の記念碑的な存在となった。 John von Neumann ( ) Oskar Morgenstern ( ) ミクロ経済学(Ⅱ)

2 第9章 ゲーム理論 ■ゲーム理論と経済学 発展: John von Neumann (1928) 単純なゼロ和非協力ゲーム   Neumann and Morgenstern (1944) 標準形ゲーム,展開形ゲーム,純粋・混合戦略や提携形ゲームの概念を導入した。 ジョン・F・ナッシュ John F. Nash (1950) 「ナッシュ均衡」の概念を導出した注)。 John F. Nash, (1950) , “Equilibrium points in N-Person Games”, Proceedings of Proceedings of the National Academy of Sciences . 1994年に「非協力ゲームの理論における均衡の先駆的文政を讃えて」 J.C.ハーサニ,R. ゼルテンと共同でノーベル賞を,受賞した。  注) 但し,この概念は,実はクルノー Antoine Augustin Cournot (1838) にまで遡る。 John F. Nash ( 1928-) ミクロ経済学(Ⅱ)

3 第9章 ゲーム理論 ■ゲーム理論の考え方 ゲーム理論game theoryは経済主体(企業,消費者,政府など)間の相互依存的な行動関係に関わる問題を考えるのに有益な分析手法である。 現実の経済現象には,完全競争的な世界だけでは描写しきれない多くの問題がある。例えば寡占的な産業を分析する場合には,個々の企業の行動の相互依存関係が非常に重要である。このような相互依存関係にある経済主体の行動を考える場合に,ゲーム理論は強力なツールとしてよく使われるのである。 経済問題を考えるときに,ゲーム理論の主な目的は,経済主体たちが意志決定を,外生的な価格(動かない変数)への反応として行うのではなく,他の経済主体の行動(生きた変数)への戦略的な反応(strategic reaction)として意志決定を行う状況を考えることであった。 ミクロ経済学(Ⅱ)

4 第9章 ゲーム理論 ■ ゲーム論の基本用語 プレーヤー 意思決定の主体 (ゲームをする主体) 戦 略 プレーヤーの選択行動の予定表 利 得
*プレーヤーと戦略 プレーヤー 意思決定の主体 (ゲームをする主体) 戦 略 プレーヤーの選択行動の予定表 利 得 (ペイオフ) 各プレーヤーがそれぞれ特定の戦略を選択した結果として,プレーヤーが手にすることのできる利得 ミクロ経済学(Ⅱ)

5 第9章 ゲーム理論 ■ ゲーム論の基本用語 プレーヤーB 表 裏 プレーヤーA 1 , -1 -1 , 1
*ゼロ・サムのゲーム(例えば: コイン投げのゲーム) プレーヤー: 2名(プレーヤーAとプレーヤーB) 戦 略: 表,裏 利 得: 両者の戦略が同じであれば,プレーヤーAが勝ち 両者の戦略が異なれば,プレーヤーBが勝ち お互いのペイオフ(利得)の合計が常にゼロであるようなゲームをゼ ロ・サムのゲームと呼ばれる。 プレーヤーB プレーヤーA 1 , -1 -1 , 1 ミクロ経済学(Ⅱ)

6 第9章 ゲーム理論 * 囚人のディレンマ(prisoners’ dilemma)
囚人のディレンマはゲーム理論でもっともよく使われる有名な事例 である。(非協力ゲームの支配戦略型) 逮捕された共犯の容疑者2人(A者とB者)がいるとする。それぞれ独房に拘留され,2人間での相談をすることができない。2人は事実上真の共犯者であるが,検察側は彼らの自白による以外には,当該犯罪の立証を得ることができず,別の軽罪として軽い処罰を科することしかできない。検察は次のような刑を示すと想定しよう。 1.もし一方が自白し,他方が黙秘するとすれば,自白者は捜査への協力を認められ釈放されるが,黙秘者は10年の刑を科することになる。 2.もし両者ともに自白するとすれば,両者ともに7年の刑を科する。 3.もし両者ともに最後まで黙秘を通すとすれば,両者ともに1年の刑を科する。 ミクロ経済学(Ⅱ)

7 第9章 ゲーム理論 * 囚人のディレンマ(prisoners’ dilemma) 検察は次のような刑を示すと想定しよう。 1.もし一方が自白し,他方が黙秘するとすれば,自白者は捜査への協力を認められ釈放されるが,黙秘者は10年の刑を科することになる。 2.もし両者ともに自白するとすれば,両者ともに7年の刑を科する。 3.もし両者ともに最後まで黙秘を通すとすれば,両者ともに1年の刑を科する。 結局,このゲームでは,A容疑者もB容疑者も白状してしまう。その結果,5年の刑が科されることになり,2人の利得はそれぞれ-7になる。 B容疑者 白状 黙秘 A容疑者 A容疑者の立場に立って考えよう もしB者が白状したら → 白状(-7) もしB者が黙秘したら → 白状(  0) B容疑者の立場に立って考えよう  もしA者が白状したら → 白状(-7)  もしA者が黙秘したら → 白状(  0) -7 -10 -1 -7      0 -10    -1 ミクロ経済学(Ⅱ)

8 第9章 ゲーム理論 もし2人とも黙秘をつづければ,-1の利得が得られる。
*囚人のディレンマ(prisoners’ dilemma) もし2人とも黙秘をつづければ,-1の利得が得られる。 2人にとってより有利な結果が存在するにもかかわらず,なぜそれが選ばれないのであろうか。 2人で十分に話し合って,お互いに協力的な行動を取れば, 双 方とも黙秘をつづけるはずである。 しかし,2人が話し合うことができない状態で,それぞれ相手の手が与えられる場合に,相手への影響を考えずに利己的に行動し,結局,双方とも大きな利得の損失を被ることになる。 2人が非協力の状態にあるからである。(非協力ゲーム) B容疑者 白状 黙秘 A容疑者 -7 -10 -1 -7      0 -10    -1 ミクロ経済学(Ⅱ)

9 第9章 ゲーム理論 *囚人のディレンマ(prisoners’ dilemma) 神に対する願い事の例 プレーヤー:A,B
戦 略: ① 神が相手のプレーヤーに3000円与えることを願う ② 神から自分が1000円もらうことを願う 利 得: (1)両プレーヤーがともに戦略①を選択する場合に,両者 とも3000円を得る。 (2)両プレーヤーがともに戦略②を選択する場合に,両者とも1000円を得る。 (3)一方が戦略①,もう一方が戦略②を選択する場合に,戦略①を選択するほうが0円,戦略②を選択するほうが4000円を得る。 ミクロ経済学(Ⅱ)

10 第9章 ゲーム理論 *囚人のディレンマ(prisoners’ dilemma)
戦 略: ① 神が相手のプレーヤーに3000円与えることを願う ② 神から自分が1000円もらうことを願う 利 得: (1)両プレーヤーがともに戦略①を選択する場合に,両者 とも3000円を得る。 (2)両プレーヤーがともに戦略②を選択する場合に,両者とも1000円を得る。 (3)一方が戦略①,もう一方が戦略②を選択する場合に,戦略①を選択するほうが0円,戦略②を選択するほうが4000円を得る。 プレーヤーB 戦略① 相手に3000円 戦略② 自分に1000円 プレーヤーA 戦略① 3 , 3 0 , 4 戦略② 4 , 1 , 1 ミクロ経済学(Ⅱ)

11 第9章 ゲーム理論 プレーヤーAの考え: もしBが戦略①を選択したら,→ 戦略②(利得4を得る)
支配戦略:相手の戦略に関わりなく常 に最適となっている戦略。 プレーヤーAの支配戦略→ 戦略② プレーヤーBの支配戦略→ 戦略② 囚人のジレンマは非協力の支配戦 略型ゲームとも呼ばれる。 第9章 ゲーム理論 *囚人のディレンマ(prisoners’ dilemma) 戦 略: ① 神が相手のプレーヤーに3000円与えることを願う ② 神から自分が1000円もらうことを願う 利 得: (1)両プレーヤーがともに戦略①を選択する場合に,両者 とも3000円を得る。 (2)両プレーヤーがともに戦略②を選択する場合に,両者とも1000円を得る。 (3)一方が戦略①,もう一方が戦略②を選択する場合に,戦略①を選択するほうが0円,戦略②を選択するほうが4000円を得る。 プレーヤーAの考え: もしBが戦略①を選択したら,→ 戦略②(利得4を得る) もしBが戦略②を選択したら,→ 戦略②(利得1を得る) プレーヤーBの考え: もしAが戦略①を選択したら,→ 戦略②(利得4を得る) もしAが戦略②を選択したら,→ 戦略②(利得1を得る) プレーヤーB 戦略① 相手に3000円 戦略② 自分に1000円 プレーヤーA 戦略① 3 , 3 0 , 4 戦略② 4 , 1 , 1 ミクロ経済学(Ⅱ)

12 第9章 ゲーム理論 *支配される戦略 例題: 利得表
プレーヤーBにとって,戦略「右」は戦略「中」に支配されている。なぜ ならば,プレーヤーAが「上」「下」どちらを選択しても,プレーヤーBの利得 は「中」の方が「右」よりも大きいからである。 従って,プレーヤーBは 「右」を選択しないはずである。 プレーヤーB プレーヤーA 1 , 0 1 , 3 0 , 1 0 , 3 4 , 0 ミクロ経済学(Ⅱ)

13 第9章 ゲーム理論 *支配される戦略 例題: 利得表 プレーヤーBにとって,戦略「右」は戦略「中」に支配されている。
なぜならば,プレーヤーAが「上」「下」どちらを選択しても,プレーヤーBの利得は「中」の方が「右」よりも大きいからである。 従って,プレーヤーBは 「右」を選択しないはずである。 プレーヤーAは,プレーヤーBが 「右」を選択しないことを知っていれば,戦略「右」を排除してゲームを考えていいことになり,「下」を選択しない。 プレーヤーAは「上」を選択し,プレーヤーBは「中」を選択する。 プレーヤーAは「1」を手にし,プレーヤーBは「3」を手にする。 プレーヤーB プレーヤーA 1 , 0 1 , 3 0 , 1 0 , 3 4 , 0 ミクロ経済学(Ⅱ)

14 第9章 ゲーム理論 ■ ゲームの分類 (その状態でのプレーヤー間の相互依存関係を研究する)
協力ゲーム:プレーヤーの間で何らかの協力関係が成立している状態 (そこから得られる利得の分合い「ルール作り」の有り様を研究する) 非協力ゲーム:プレーヤーの間で協力関係が成立していない状態 (その状態でのプレーヤー間の相互依存関係を研究する) 非協力ゲームの行動順序による分類 標準型(戦略型)ゲーム:時間を明示的に考慮せず,行動と戦略は同一視できる 展開型ゲーム:各プレーヤーが取る行動の順序は,時間の継起を厳密に記述され,行動と戦略の区別が必要である。 戦略型ゲームの分類 純粋戦略:プレーヤーの戦略を確率的に選択することを前提としない 混合戦略:プレーヤーの戦略を確率的に選択することを想定している ミクロ経済学(Ⅱ)

15 プレーヤーAが戦略Ai,プレーヤーBが戦略Bjを選ぶとき,戦略の組を次のように書く。
第9章 ゲーム理論 数学的な表現 PA( A1, B2 )=7 PB( A1, B2 )=3 ■ ナッシュ均衡 ビール市場の複占 例.寡占的状態にある二つの企業のケース A企業の価格戦略: 戦略A1=150円,戦略A2=220円 B企業の価格戦略: 戦略B1=150円, 戦略B2=220円 利得行列 プレーヤーAが戦略Ai,プレーヤーBが戦略Bjを選ぶとき,戦略の組を次のように書く。 (Ai, Bj) 戦略の組が(A1, B2)のとき, もし,Aの利益=7億円,Bの利益=3億円, ならば,AとBの利益の組(7,3)として,それぞれの利得を表すことができる。 すべての利得組を表す表を利得行列とも呼ばれる。 Bの戦略 B1(150円) B2(220円) Aの戦略 (5, 5) (7, 3) (3, 7) (8, 8) A1 (150円) A2 (220円) ミクロ経済学(Ⅱ)

16 PA( Ai*, Bj*)≧PA( Ai, Bj*) PB( Ai*, Bj*)≧PB( Ai*, Bj)
第9章 ゲーム理論 ナッシュ均衡の成立条件 ナッシュ均衡となる戦略組( Ai*, Bj* )に ついて PA( Ai*, Bj*)≧PA( Ai, Bj*) PB( Ai*, Bj*)≧PB( Ai*, Bj) ■ ナッシュ均衡 ビール市場の複占 例.寡占的状態にある二つの企業のケース A企業の価格戦略: 戦略A1=150円,戦略A2=220円 B企業の価格戦略: 戦略B1=150円, 戦略B2=220円 AがAiを選ぶならBはBjを選び,BがBjを選ぶならAがAiを選ぶという戦略の組(Ai, Bj)はナッシュ均衡を呼ばれる。 つまり各経済主体の行動が他の経済主体に反応を引き起こし,それが最初と同じ一手をもたらすなら,「ナッシュ均衡(NE)」が実現される。 この例の場合,ナッシュ均衡解は (A1, B1) と (A2, B2) である。 利得行列 Bの戦略 B1(150円) B2(220円) Aの戦略 (5, 5) (7, 3) (3, 7) (8, 8) A1 (150円) A2 (220円) ミクロ経済学(Ⅱ)

17 第9章 ゲーム理論 ■ ナッシュ均衡 *ナッシュ均衡とは
プレーヤー同士のお互いに最適戦略である戦略組合せとしてゲームの解を求めて,その解はナッシュ均衡解である。 プレーヤーAの最適戦略: Bが「L」なら,「M」 Bが「C」なら,「T」 Bが「R」なら,「W」 プレーヤーBの最適戦略: Aが「T」なら,「L」 Aが「M」なら,「C」 Aが「W」なら,「R」 ナッシュ均衡解: 戦略組合せ(W , R),利得組合せ(7 , 6) プレーヤーB L C R プレーヤーA T 0 , 4 5 , 0 5 , 3 M 4 , 3 W 3 , 5 7 , 6 ミクロ経済学(Ⅱ)

18 第9章 ゲーム理論 ■ 純粋戦略と混合戦略 (-100, 100) (100, -100) (100, -100)
*ジャン・ケン・ゲーム(グーとパーしか出せない例) 違うものを出したらA勝ち,同じものを出したらB勝ちとし,敗者は勝者に100円を支払うこととする。 Bの戦略 B1(グー) B2(パー) Aの戦略 (-100, 100) (100, -100) (100, -100) pB 1-pB A1 (グー) pA A2 (パー) 1-pA このゲームは純粋戦略ゲームとして,ナッシュ均衡が存在しない。 このゲームを,プレーヤーが各戦略を確率的に取ること想定して,混合戦略ゲームとして考えよう。 ミクロ経済学(Ⅱ)

19 第9章 ゲーム理論 ■ 純粋戦略と混合戦略 (-100, 100) (100, -100) (100, -100)
*ジャン・ケン・ゲーム(グーとパーしか出せない例) このゲームを,プレーヤーが各戦略を確率的に取ること想定して,混合戦略ゲームとして考えよう。 Bの戦略 B1(グー) B2(パー) Aの戦略 (-100, 100) (100, -100) (100, -100) pB 1-pB A1 (グー) pA A2 (パー) 1-pA プレーヤーAの利得の期待値 EPA の計算 EPA=-100 pA・ pB+100 pA(1-pB)+ 100(1-pA)pB-100(1- pA)(1-pB) =200(1-2 pB)pA +200 pB-100

20 第9章 ゲーム理論 ■ 純粋戦略と混合戦略 *ジャン・ケン・ゲーム(グーとパーしか出せない例)
プレーヤーAの戦略:(pBが与えられた時に,pAといくつにすれば,EPAは最大になるかを考える) ① pB=1/2 なら, EPA=0 ので, pAは0~1のどの数値にしてもいい ② pB < 1/2 なら, 1-2 pB > 0 ので, pAを最大の1にするとEPAは最大になる ③ pB > 1/2 なら, 1-2 pB < 0 ので, pAを最小の0にするとEPAは最大になる プレーヤーBの戦略も同様である。 結局,(pA,pB)=(1/2,1/2) はナッシュ均衡となる。 プレーヤーAの利得の期待値 EPA の計算 EPA=200(1-2 pB)pA +200 pB-100 プレーヤーAの反応曲線 プレーヤーBの反応曲線 pB pA 1 1/2 1 1/2

21 第9章 ゲーム理論 ■ ゲームの木と展開型ゲーム
「囚人のジレンマ」の例は,相手の取る戦略が知らずに各プレー ヤーが同時に戦略を選びゲームである。このようなゲームは同時 ゲームとも呼ばれる。 動学的なゲームは,相手の戦略が分かった後で自分の戦略を順 次決めていくゲームである。展開型ゲームとも呼ばれ,ゲームの樹 で表すことができる。 例題: プレーヤーAが先に戦略を決定するよう な動学的なゲームの場合: プレーヤーB PH PL プレーヤーA (4 , 4) (0 , 6) (6 , 0) (3 , 3) (4 , 4) PH B PH PL (0 , 6) A PL PH (6 , 0) B PL (3 , 3) ゲームの解 ミクロ経済学(Ⅱ)

22 第9章 ゲーム理論 ■ ゲームの木と展開型ゲーム
動学的なゲームは,相手の戦略が分かった後で自分の戦略を順 次決めていくゲームである。展開型ゲームとも呼ばれ,ゲームの樹 で表すことができる。 ■部分ゲーム完全均衡 均衡解(3, 3)は ,プレーヤーAの選択を所与としたときのプレー ヤーBの最適反応を考慮した部分ゲームにおいても均衡解となって いる。このようなゲームの解を,部分ゲーム完全均衡と呼んでいる。 こうした動学的なゲームでは,後ろ向きに解いていくことでゲームの解を見つけることができる。 (4 , 4) PH B PH PL (0 , 6) A PL PH (6 , 0) B PL (3 , 3) ゲームの解 ミクロ経済学(Ⅱ)

23 第9章 ゲーム理論 ■ ゲームの木と展開型ゲーム
動学的なゲームは,相手の戦略が分かった後で自分の戦略を順 次決めていくゲームである。展開型ゲームとも呼ばれ,ゲームの樹 で表すことができる。 ■部分ゲーム完全均衡 均衡解(3, 3)は ,プレーヤーAの選択を所与としたときのプレー ヤーBの最適反応を考慮した部分ゲームにおいても均衡解となって いる。このようなゲームの解を,部分ゲーム完全均衡と呼んでいる。 こうした動学的なゲームでは,後ろ向きに解いていくことでゲームの解を見つけることができる。 R” (0 , 2) R’ A L” B R L’ (4 , 0) A L (1 , 1) (3 , 0) ゲームの解 ミクロ経済学(Ⅱ)

24 闘って一緒に破滅する行為は合理的ではないので,
第9章 ゲーム理論 ■部分ゲーム完全均衡 *スーパーマーケットの参入ゲーム ある町にスーパーAが1軒だけ存在し,独占利潤を享受している状態で,スー パーBが参入を計画している。もし,スーパーBが参入してきたら,スーパーA が競争あるいは共存で対応していくのかを戦略を練っている。 競争 (-1 , -1) A 参入する 共存 ( 2 , 2) ゲームの解 B 参入しない ( 5 , 0 ) Bの利得 Aの利得 *有効な威嚇と無効な威嚇 スーパーAの威嚇:「もし参入してきたら,こちらは徹底的に闘い,一緒に破滅するよ。」 闘って一緒に破滅する行為は合理的ではないので, カラ脅しは無効である。 ミクロ経済学(Ⅱ)

25 第10章 ゲームの理論 10.3 動学的なゲーム 動学的なゲームは,相手の戦略が分かった後で自分の戦略を順 次決めていくゲームである。展開型ゲームとも呼ばれ,ゲームの樹 で表すことができる。 ■部分ゲーム完全均衡 均衡解(2 , 1)は ,プレーヤーAの選択を所与としたときのプレー ヤーBの最適反応を考慮した部分ゲームにおいても均衡解となって いる。このようなゲームの解を,部分ゲーム完全均衡と呼んでいる。 こうした動学的なゲームでは,後ろ向きに解いていくことでゲームの解を見つけることができる。 R” (0 , 2) R’ A L” B R L’ (4 , 0) A L (1 , 1) (3 , 0) ゲームの解 ミクロ経済学(Ⅱ)

26 第9章 ゲーム理論 ■ 繰り返しゲーム 同じ同時ゲームを複数回繰り返し行われている場合に,繰り返さ れるそれぞれの段階でのゲームを,段階ゲームと呼ぶ。 囚人のディレンマのゲームについて,1回限りであれば,両プレー ヤーは「自分に1000円」の戦略を選択する。繰り返しゲームではどの ようなナッシュ均衡解が実現されるか。 *有限回の繰り返しゲーム プレーヤーB 相手に 3000円 自分に1000円 プレーヤーA 相手に3000円 3 , 3 0 , 4 4 , 0 1 , 1 後ろ向きに解いていくと, 「自分に1000円」が 解となる。 (3 , 3) 3000 A 3000 1000 (4 , 0) B 3000 1000 (0 , 4) 3000 A A 1000 1000 (1 , 1) B 段階ゲーム 協力は引き出せない。 ミクロ経済学(Ⅱ)

27 第9章 ゲーム理論 ■ 繰り返しゲーム 囚人のディレンマのゲームについて,1回限りであれば,両プレー ヤーは「自分に1000円」の戦略を選択する。繰り返しゲームではどの ようなナッシュ均衡解が実現されるか。 *無限回の繰り返しゲーム 最後のゲームが「自分ないので,後ろ向き解を解くことは適用できない。 トリガー(trigger)戦略(罰の戦略): ①前回相手が非協力でなければ, 今回自分は協力する。 ②前回相手が非協力であれば,今回 からし返して永遠に自分も非協力する。 プレーヤーB 相手に 3000円 自分に1000円 プレーヤーA 相手に3000円 3 , 3 0 , 4 4 , 0 1 , 1 ミクロ経済学(Ⅱ)

28 第9章 ゲーム理論 ■ 繰り返しゲーム *無限回の繰り返しゲーム トリガー(trigger)戦略(罰の戦略):
プレーヤーB 相手に 3000円 自分に1000円 プレーヤーA 相手に3000円 3 , 3 0 , 4 4 , 0 1 , 1 トリガー(trigger)戦略(罰の戦略): ①前回相手が非協力でなければ, 今回自分は協力する。 ②前回相手が非協力であれば,今回 からし返して永遠に自分も非協力する。 両プレーヤーがお互いにトリガー戦略をとる場合を考えよう。但し,初回 は協力する(つまり「相手に3000円」を選択する)。 協調による利益 協調(相手に3000円)の利得 3 3 3 3 3 ・・・ 裏切り(自分に1000円)の利得 4 4 1 1 1 ・・・ 裏切りによる利益 仕返しによる利得 ミクロ経済学(Ⅱ)

29 第9章 ゲーム理論 ■ 繰り返しゲーム *無限回の繰り返しゲーム トリガー(trigger)戦略(罰の戦略):
プレーヤーB 相手に 3000円 自分に1000円 プレーヤーA 相手に3000円 3 , 3 0 , 4 4 , 0 1 , 1 両プレーヤーが近視眼的でなければ, 双方がトリガー戦略をとり,協力関係を続 けることがナッシュ均衡となるから,囚人 のジレンマは解消される可能性がある。 トリガー(trigger)戦略(罰の戦略): ①前回相手が非協力でなければ, 今回自分は協力する。 ②前回相手が非協力であれば,今回 からし返して永遠に自分も非協力する。 両プレーヤーがお互いにトリガー戦略をとる場合を考えよう。但し,初回 は協力する(つまり「相手に3000円」を選択する)。 協調による利益 協調(相手に3000円)の利得 3 3 3 3 3 ・・・ 裏切り(自分に1000円)の利得 4 4 1 1 1 ・・・ 裏切りによる利益 仕返しによる利得 ミクロ経済学(Ⅱ)


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