Download presentation
Presentation is loading. Please wait.
1
微生物学1 細菌学各論
2
細菌の分類 グラム陽性菌 Firmicutes門 グラム陽性球菌 グラム陽性芽胞形成桿菌 グラム陽性芽胞非形成桿菌 芽胞非形成偏性嫌気性菌
グラム陽性球菌 グラム陽性芽胞形成桿菌 グラム陽性芽胞非形成桿菌 芽胞非形成偏性嫌気性菌 マイコプラズマ グラム陽性菌 Actinobacteria門 不規則型の芽胞非形成グラム陽性桿菌 マイコバクテリア(抗酸菌) 菌糸形成菌
3
細菌の分類 グラム陰性菌 Proteobacteria門 グラム陰性球菌,グラム陰性球桿菌 グラム陰性好気性桿菌
グラム陰性球菌,グラム陰性球桿菌 グラム陰性好気性桿菌 グラム陰性通性嫌気性桿菌(腸内細菌科) グラム陰性通性嫌気性桿菌(腸内細菌科以外) 短型らせん菌 ブルセラ属,バルトネラ属 リケッチア クラミジア Chlamydiae門 スピロヘータ Spirochaetes門 グラム陰性無芽胞嫌気性菌 Bacteroidetes門およびFusobacteria門
4
グラム陽性菌 Firmicutes門
5
グラム陽性球菌
6
ブドウ球菌属 黄色ブドウ球菌 Staphylococcus aureus 0.5~1.5 mm,球菌,無鞭毛
通性嫌気性,食塩耐性,マンニット分解 皮膚,鼻前庭部粘膜の常在菌 コアグラーゼ・・・血漿凝固作用 プロテインA・・・抗体作用抑制 化膿性炎症 ← 溶血毒 hemolysin 癤(おでき),癰(よう:皮下で連続した癤の集合体), 毛嚢炎,伝染性膿痂疹(とびひ) 表皮剥脱性皮膚炎 ← 表皮剥脱毒素 毒素性ショック症候群 ← TSST-1 スーパー抗原 → ショック症状 食中毒 ← 腸管毒素 enterotoxin 治療:β-ラクタマーゼ阻害薬 + ペニシリン系
7
メチシリン耐性黄色ブドウ球菌 MRSA(Methicillin-resistant Staphylococcus aureus)
mecA 遺伝子:β-ラクタム薬への結合親和性の低下した PBP2'(ペニシリン結合タンパク)をコード β-ラクタム,アミノ配糖体,マクロライド耐性(多剤耐性) 院内感染起因菌 易感染性患者(がん,免疫低下,術後患者など)に 重篤な感染症(敗血症,肺炎,腸炎,心内膜炎など) 治療:バンコマイシンまたはテイコプラニンの単独投与 アルベカシン+スルバクタム/アンピシリンの併用投与 予防:医療従事者の手洗い,マスク・ガウン着用の励行
8
ブドウ球菌属 表皮ブドウ球菌 Staphylococcus epidermidis 0.5~1.5 mm,球菌,無鞭毛 通性嫌気性,食塩耐性
通性嫌気性,食塩耐性 コアグラーゼ陰性,マンニット分解陰性,プロテインA陰性 皮膚の常在菌 心内膜炎,血管カテーテル感染症・・・病原性は弱い
9
レンサ球菌属 化膿レンサ球菌 Streptococcus pyogenes 0.5~1.0 mm,球菌,無鞭毛,通性嫌気性(耐気性嫌気性)
A群レンサ球菌 β溶血性(完全溶血) 溶血毒素 streptolysin O(SLO),streptolysin S 血清学的診断 ← 抗SLO抗体 発赤毒素 → 全身の発赤と発熱(猩紅熱) Mタンパク質・・・定着因子,抗食菌作用 咽頭炎,猩紅熱, 膿皮症(表皮の化膿),丹毒(真皮の化膿性炎症) 劇症型A群レンサ球菌感染症,レンサ球菌毒素性ショック症候群(STSS) 突発的ショック,多臓器不全,敗血症 続発性疾患(二次感染):急性糸球体腎炎,急性リウマチ熱 治療:ペニシリン系
10
レンサ球菌属 アガラクティエ菌(B群レンサ球菌) Streptococcus agalactiae 咽頭部,腸管,膣常在菌
咽頭部,腸管,膣常在菌 β溶血性(完全溶血) 新生児髄膜炎,新生児敗血症 ← 産道感染 口腔レンサ球菌 S. salivarius,S. sanguinis(sanguis),S. mutans(虫歯菌)など 口咽頭常在菌
11
レンサ球菌属 肺炎レンサ球菌(肺炎球菌) Streptococcus pneumoniae
0.5~1.0 mm,双球菌(ランセット形),無鞭毛 通性嫌気性(耐気性嫌気性) 莢膜多糖 → 多糖抗原(85以上の型) α溶血性(部分溶血) 市中肺炎の代表的起因菌 中耳炎,敗血症,髄膜炎 治療:ペニシリン系,マクロライド系,キノロン系 予防:成分ワクチン
12
腸球菌属 腸球菌 Enterococcus faecium,E. faecalisなど 双状,短連鎖状球菌,通性嫌気性 腸管,外陰部の常在菌
双状,短連鎖状球菌,通性嫌気性 腸管,外陰部の常在菌 バンコマイシン耐性腸球菌(VRE) Enterococcus faecium(VREF)など 多剤耐性菌 ペプチドグリカンのD-Ala-D-Ala → D-Ala-D-Lac,または D-Ala-D-Ala → D-Ala-D-Ser 易感染性宿主における腹膜炎,術創感染症,肺炎,敗血症 治療:リネゾリド,キヌプリスチン・ダルホプリスチン
13
グラム陽性芽胞形成桿菌
14
バシラス属 炭疽菌 Bacillus anthracis 大型桿菌,連鎖配列,無鞭毛,組織内で莢膜 菌体中央部に楕円形芽胞,通性嫌気性
大型桿菌,連鎖配列,無鞭毛,組織内で莢膜 菌体中央部に楕円形芽胞,通性嫌気性 哺乳動物や鳥類の感染症 → ヒトに感染 炭疽(脾脱疽) 高熱 → 敗血症 皮膚炭疽・・・傷から菌が侵入,皮膚の潰瘍 肺炭疽・・・菌を吸入,肺炎,呼吸困難 腸炭疽・・・菌を経口摂取,胃腸炎 治療:抗菌薬感受性だが,進行が速く,治療困難
15
バシラス属 セレウス菌 Bacillus cereus 桿菌,周毛性鞭毛,菌体中央部に芽胞 通性嫌気性 土壌菌,食品腐敗菌
桿菌,周毛性鞭毛,菌体中央部に芽胞 通性嫌気性 土壌菌,食品腐敗菌 毒素型食中毒 セレウリド → 嘔吐,下痢 感染型食中毒 下痢,腹痛 枯草菌 Bacillus subtilis 桿菌(1 x 3~4 mm),連鎖状または単在, 周毛性鞭毛,好気性 菌体中央部に楕円形芽胞 土壌,枯草,空気中に存在 非病原性,遺伝子工学に利用,納豆の製造
16
クロストリジウム属 破傷風菌 Clostridium tetani 0.5~1.1 x 2.4~5.0 mm 桿菌~太鼓のバチ状
桿菌~太鼓のバチ状 周毛性鞭毛,端在性の円形芽胞 偏性嫌気性,土壌菌 → 創傷から感染 破傷風毒素(テタノスパスミン) 抑制性シナプス遮断 → 強直性痙攣 治療:抗毒素(破傷風免疫ヒトグロブリン) 予防:破傷風トキソイド ← 4種(3種)混合ワクチン
17
破傷風 破傷風菌 Clostridium tetani(グラム陽性嫌気性桿菌) 2011年の日本における罹患者は118例
症状:潜伏期3~20日 開口障害(牙関緊急),舌の運動障害, 筋の痙攣や強直,弓そり緊張(後弓反張) → 全身痙攣,呼吸困難 致死率:20~30% 感染経路:創傷感染 治療:抗破傷風ヒト免疫グロブリン,対症療法 予防:トキソイドワクチン(DPTワクチン)
18
クロストリジウム属 ガス壊疽菌群 ガス壊疽:クロストリジウムによる筋炎 創傷感染 → 気泡を伴う急激な筋肉壊死
ガス壊疽:クロストリジウムによる筋炎 創傷感染 → 気泡を伴う急激な筋肉壊死 ウエルシュ菌 Clostridium perfringens 大型桿菌,無鞭毛,芽胞は楕円形で菌体中央~末端(亜端在性) 生体内で莢膜形成 偏性嫌気性,強い糖分解能,顕著なガス産生 土壌菌,腸内の常在菌 α毒素(ホスホリパーゼC)・・・溶血,壊死 ガス壊疽治療:高圧酸素療法,外科的治療,多価ウマ抗毒素,ペニシリン 感染型食中毒・・・β毒素(腸管毒)産生菌 ノビイ菌 C. novyi,セプチック菌 C. septicum
19
クロストリジウム属 ボツリヌス菌 Clostridium botulinum 大型桿菌,周毛性鞭毛,亜端在性の楕円形芽胞 偏性嫌気性,土壌菌
大型桿菌,周毛性鞭毛,亜端在性の楕円形芽胞 偏性嫌気性,土壌菌 ボツリヌス毒素 → ボツリスム(ボツリヌス毒素中毒) 神経筋接合部アセチルコリン放出抑制 → 弛緩性麻痺 毒素型食中毒・・・運動神経麻痺,呼吸困難 乳児ボツリヌス症・・・吸乳力,筋力低下,呼吸困難 致死率3%以下 蜂蜜等 → 腸管内で発芽,増殖 治療:抗毒素,呼吸管理 予防:1歳未満の乳児に蜂蜜を与えない ディフィシレ菌 Clostridium difficile 偏性嫌気性,腸内の常在菌 菌交代現象による偽膜性大腸炎 治療:バンコマイシン内服
20
グラム陽性芽胞非形成桿菌
21
乳酸桿菌属 乳酸桿菌 Lactobacillus 桿菌,大部分が無鞭毛 土壌,植物など自然界に広く分布,ヒト粘膜の常在菌
桿菌,大部分が無鞭毛 土壌,植物など自然界に広く分布,ヒト粘膜の常在菌 通性嫌気性,嫌気条件で増殖促進,耐酸性 ホモ乳酸発酵 グルコース(C6) → 2×乳酸(C3) L. acidophilus,L. bulgaricus(ヨーグルト製造), L. casei,L. plantarum(チーズ製造)など ヘテロ乳酸発酵 グルコース(C6) → 乳酸(C3) + エタノール(C2) + CO2 L. brevis,L. buchneri(チーズ製造),L. fermentumなど デーデルライン桿菌・・・膣粘膜上で乳酸産生 → 病原菌の増殖阻止 L. casei,L. acidophilus,L. fermentumなど
22
リステリア属 リステリア Listeria monocytogenesなど
0.4~0.5 x 0.5~2.0 mm,小型の短桿菌,周毛性鞭毛 通性嫌気性 通性細胞内寄生性 → マクロファージ内で増殖 β溶血性 ← 溶血毒 listeriolysin O 土壌,腸管内など自然界に広く分布 周産期リステリア症 経胎盤感染 → 死産,早産 新生児髄膜炎 日和見感染症 → 髄膜炎,敗血症 食品媒介人獣共通感染症 ← 牛乳,乳製品,冷蔵食品
23
芽胞非形成偏性嫌気性菌
24
ユウバクテリウム属 ベイヨネラ属 ユウバクテリウム Eubacterium 0.3~2.0 x 0.3~10 mm,多形性桿菌 偏性嫌気性
偏性嫌気性 ヒトの腸内常在菌 糖発酵 → 有機酸(酪酸,酢酸)産生 ベイヨネラ属 ベイヨネラ Veillonella 0.3~0.5 mm,グラム陰性球菌,無鞭毛 偏性嫌気性 グルコースは利用せず,乳酸を利用 口腔,消化管の常在菌
25
ペプトストレプトコッカス属 ペプトストレプトコッカス Peptostreptococcus 0.3~1.0 mm,連鎖状球菌 偏性嫌気性
偏性嫌気性 口腔,上気道,大腸の常在菌 副鼻腔炎,中耳炎,創傷部,敗血症 他の嫌気性菌と混合感染
26
マイコプラズマ
27
マイコプラズマ属 肺炎マイコプラズマ Mycoplasma pneumoniae 0.2~1.0 mm
細胞壁をもたない,多形性,無鞭毛 通性嫌気性,目玉焼き状コロニー 粘膜細胞に付着 ← 特殊構造(tip構造) マイコプラズマ肺炎 原発性異型肺炎の30~40% 血清診断: 受身凝集反応・・・抗原結合ゼラチン粒子 イムノカード法・・・酵素抗体法によるIgMの検出(定性) 治療:マクロライド,ミノサイクリン Mycoplasma hominis,Ureaplasma urealyticum 泌尿生殖器の常在菌 性感染 → 尿道炎
28
グラム陽性菌 Actinobacteria門
29
不規則型の芽胞非形成グラム陽性桿菌
30
コリネバクテリウム属 ジフテリア菌 Corynebacterium diphtheriae
0.3~0.8 x 1~8 mm,多形性(棍棒状)桿菌 無鞭毛,好気性 異染小体(顆粒) ← ナイセル染色(アニリン系青色素) 咽頭炎,扁桃炎 → 偽膜性炎症 二類感染症(感染症法) ジフテリア毒素 ADPリボシル化によるタンパク合成阻害 βファージのtox遺伝子 診断:亜テルル酸塩加血液寒天培地などによる分離培養,PCR 治療:エリスロマイシン 予防:トキソイドワクチン → 3種(4種)混合ワクチン Schickテスト・・・抗毒素抗体の確認 → 現在行われていない Moloneyテスト・・・トキソイドに対する遅延型アレルギー反応確認
31
プロピオニバクテリウム属 ビフィドバクテリウム属 アクネ菌 Propionibacterium acnes
0.5~0.8 x 1~5 mm,多形性桿菌,無鞭毛 偏性嫌気性 皮膚の常在菌 → 尋常性痤瘡 ビフィドバクテリウム属 乳児の腸管内最優性菌種 ビフィズス菌 Bifidobacterium bifidum 0.5~1.3 x 1.5~8 mm,多形性桿菌,無鞭毛 偏性嫌気性 グルコース → 乳酸 + 酢酸
32
マイコバクテリウム属 細胞壁脂質(ミコール酸など)20~40% → R型疎水性集落
染色されにくく,染色されると塩酸アルコールの脱色に抵抗 → 抗酸菌 多形性,好気性 結核菌 Mycobacterium tuberculosis 0.3~0.6 x 1~4 mm,桿菌,無鞭毛 好気性,通性細胞内寄生性 飛沫核感染(空気感染),飛沫感染 初期変化群:細気管支,肺胞に感染巣, 肺門リンパ節に病変 → 諸臓器に散布(肺結核など) 診断:ツベルクリン反応・・・遅延型過敏反応 QuantiFERON検査・・・インターフェロンγ ← 結核菌抗原 治療:リファンピシン,イソニアジドを含む多剤併用療法 予防:生ワクチン(BCG)
33
結核 結核菌 Mycobacterium tuberculosis(グラム陽性抗酸菌) 2011年の日本における罹患者は31,483例
2011年の日本における罹患者は31,483例 11年連続で減少していたが,増加に転じた 二類感染症(感染症法) 肺結核・・・肺の慢性炎症,肉芽,空洞化,線維化 症状:潜伏期不定(数か月~数年) 咳,喀痰,喀血,胸痛,呼吸困難などの呼吸器症状 発熱,発汗,食欲不振,倦怠感などの全身症状 感染経路:飛沫感染,飛沫核感染 治療:抗結核薬による多剤併用療法 イソニアジド,リファンピシン,ピラジナミド, エタンブトール(or ストレプトマイシン) 予防:BCGワクチン
34
マイコバクテリウム属 ウシ型結核菌 Mycobacterium bovis ウシなどの家畜が保菌 → 牛乳などから感染
ウシなどの家畜が保菌 → 牛乳などから感染 BCG:ウシ型結核菌弱毒株 非定型抗酸菌(非結核性抗酸菌) 結核菌群,らい菌以外の抗酸菌 大半がMAC(M. avium complex) 結核様肺疾患,頸部リンパ節炎,皮膚潰瘍など
35
マイコバクテリウム属 らい菌 Mycobacterium leprae 0.2~0.4 x 3~5 mm,桿菌,人工培養できない ハンセン病
ハンセン病 患者の排泄物,分泌物からの接触感染 潜伏期:3~6年 らい腫型(LL型) 皮膚症状:紅褐色斑,丘疹,結節 神経症状:神経の肥厚 類結核型(TT型) 皮膚症状:隆起性紅斑 神経症状:知覚障害,神経の肥厚 治療:リファンピシン,クロファジミンの多剤併用療法
36
菌糸形成菌
37
ノカルジア属 ノカルジア Nocardia asteroidesなど 菌糸状 → 分節 → 多形性桿菌 土壌菌,抗酸性,好気性 ノカルジア症
菌糸状 → 分節 → 多形性桿菌 土壌菌,抗酸性,好気性 ノカルジア症 汚染土壌 → 創傷感染 菌腫,膿瘍 吸入感染 肺炎,肺膿瘍,膿胸・・・致命率高い 治療:ST合剤と他の抗菌薬の併用
38
ストレプトマイセス属 アクチノマイセス属 ストレプトマイセス Streptomyces griseusなど 分枝した菌糸 → 分生子
分枝した菌糸 → 分生子 土壌菌,好気性 抗生物質生産菌が多い アクチノマイセス属 アクチノマイセス Actinomyces israeliiなど 分枝した菌糸 口腔内の常在菌,偏性嫌気性 アクチノマイセス症(放線菌症) 内因感染 → 皮膚の慢性化膿性炎症 治療:ペニシリンの長期投与
39
グラム陰性菌 Proteobacteria門
40
グラム陰性球菌およびグラム陰性球桿菌 Betaproteobacteria綱
41
ナイセリア属 淋菌 Neisseria gonorrhoeae 0.6~1.0 mm,双球菌,線毛をもつ 無鞭毛,好気性
無鞭毛,好気性 淋病・・・尿道炎,前立腺炎 性感染症(STD) 新生児淋菌性眼結膜炎(膿漏眼) 産道感染 診断:好中球の中に双球菌 治療:セフトリアキソン,スペクチノマイシン
42
ナイセリア属 髄膜炎菌 Neisseria meningitidis 形状は淋菌とほぼ同じ,莢膜をもつものが多い 上気道の常在菌
形状は淋菌とほぼ同じ,莢膜をもつものが多い 上気道の常在菌 気道から菌が侵入 → 上気道粘膜細胞への定着 菌血症・・・致死率15~25% WaterhouseーFriderichsen症候群(劇症型) 両側副腎に病変 播種性血管内凝固症候群(DIC)を伴うショック 髄膜炎(流行性脳脊髄膜炎) 発熱,頭痛,嘔吐,頸部硬直 治療:ペニシリン系,セフトリアキソン,セフォタキシム 予防:成分ワクチン
43
バークホルデリア属 鼻疽菌 Burkholderia mallei 0.5~1.0 x 1.5~3.0 mm,好気性桿菌,無鞭毛
ウマ科の感染症 → 経皮,経気道感染 皮膚病変,肺炎,敗血症 日本における発生報告はない 類鼻疽菌 Burkholderia pseudomallei 0.4~0.8 x 2~5 mm,好気性桿菌,叢毛性鞭毛 土壌,水 → ヒト,家畜に経皮,経気道感染 敗血症,化膿性臓器疾患 治療:カルバペネムなど Burkholderia cepacia 院内感染菌,消毒薬・抗菌薬抵抗性 0.02%クロルヘキシジン液中で生存・増殖 予防:消毒薬使用法の改善
44
ボルデテラ属 百日咳菌 Bordetella pertussis 0.2~0.5 x 0.5~1.0 mm,無鞭毛 好気性小型球桿菌
好気性小型球桿菌 毒力の強いものは莢膜,線毛をもつ 百日咳・・・幼児の急性呼吸器感染症 痙攣性咳嗽(がいそう:咳) 百日咳毒素 ADPリボシル化による気管繊毛上皮細胞の破壊 治療:マクロライド系 予防:成分ワクチン 3種(4種)混合ワクチン
45
百日咳 百日咳菌 Bordetella pertussis(グラム陰性球桿菌) 2011年の日本における定点あたりの罹患者は1.40例
成人の患者が増加している ← ワクチンの免疫効果は4~12年で減弱 百日咳毒素・・・ADPリボシル化による気管繊毛上皮細胞の破壊 症状:7~10日の潜伏期 普通のかぜ症状 → 咳の激化 → けいれん性の咳発作 感染経路:飛沫感染,接触感染 治療:マクロライド系抗生物質(クラリスロマイシン,エリスロマイシン) 予防:成分ワクチン(DPTワクチン)
46
アルカリゲネス属 スピリルム属 アルカリ糞便菌 Alcaligenes faecalis
0.5~1.0 x 0.5~2.6 mm,桿菌または球菌,周毛性鞭毛 好気性,土壌,水系,ヒト腸管の常在菌 日和見感染 → 尿路感染症,敗血症など スピリルム属 大型の微好気性らせん状菌,両極に叢毛性鞭毛をもつ 鼠咬症スピリルム Spirillum minus 分類学的にはスピリルム属ではない 0.2 x 3~5 mm,らせん菌(2~3回転),両極に鞭毛 通性嫌気性,ネズミが保菌 → 咬傷感染 鼠咬症,鼠毒・・・発熱,咬傷部の炎症,所属リンパ節の腫脹 治療:ペニシリン,テトラサイクリン系
47
Gammaproteobacteria綱
グラム陰性好気性桿菌 Gammaproteobacteria綱
48
シュードモナス属 緑膿菌 Pseudomonas aeruginosa
0.5~0.8 x 1.5~3.0 mm,桿菌,極毛性鞭毛,莢膜をもつ 好気性,土壌,水系,動物など自然界に広く分布 緑色色素(pyocyanin),蛍光色素(fluorescein)を産生 化膿性疾患,尿路感染症,気道感染症,敗血症 毒力は弱く,健常人への感染は少ない 多くの抗菌薬に耐性 ← 薬剤排出ポンプ 治療:ピペラシリン,抗緑膿菌セフェム,カルバペネム,キノロン 多剤耐性緑膿菌(MDRP)・・・カルバペネム,キノロン,アミノグリコシド耐性
49
モラクセラ属 モラクセラ Moraxella catarrhalisなど 0.6~1.0 mm,球菌,無鞭毛,線毛をもつ
好気性,鼻腔粘膜の常在菌 肺炎,中耳炎,副鼻腔炎 ペニシリナーゼ産生菌が多い 治療:キノロン,セフェム
50
アシネトバクター属 アシネトバクター Acinetobacter calcoaceticusなど
0.9~1.6 x 1.5~2.5 mm,桿菌 → 球菌(定常期) 好気性,土壌,水系に広く分布 日和見感染菌 → 院内感染 β-ラクタム抵抗性 多剤耐性アシネトバクター カルバペネム,アミノグリコシド,キノロン耐性
51
レジオネラ属 レジオネラ・ニューモフィラ Legionella pneumophila
0.3~0.9 x 2~20 mm,桿菌~フィラメント状 極毛性鞭毛,好気性 土壌菌,アメーバに寄生して増殖 通性細胞内寄生性 レジオネラ症 ポンティアック熱・・・インフルエンザ様症状 レジオネラ肺炎(在郷軍人病) 重症化しやすい 治療:マクロライド,キノロン(β-ラクタムは無効)
52
フランシセラ属 野兎病菌 Francisella tularensis 0.2 x 0.2~0.7 mm,小型球桿菌,多形性,無鞭毛
偏性嫌気性,野生動物が保菌 野兎病・・・人獣共通感染症 接触感染,経気道感染,経口感染 ベクター(昆虫・ダニ)媒介感染 発熱,リンパ腫脹,皮膚潰瘍,肺炎 治療:ストレプトマイシン,ミノサイクリン
53
コクシエラ属 Q熱コクシエラ Coxiella burnetii 0.2~0.4 x 0.4~1.0 mm,小桿菌,大型菌体 → 内生胞子
偏性細胞内寄生性 Q熱 人獣共通感染症・・・家畜,野生動物に不顕性感染 経気道感染,経口感染,ダニ媒介感染 急性Q熱・・・インフルエンザ様症状 慢性Q熱・・・心内膜炎 治療:テトラサイクリン系
54
ステノトロホモナス属 ステノトロホモナス・マルトフィリア
Stenotrophomonas (Xanthomonas) maltophilia 0.5 x 1.5 mm,桿菌,叢毛性鞭毛 好気性,土壌,水系,植物など自然界に広く分布 日和見感染菌 → 院内感染 肺炎,菌血症 抗菌薬・消毒薬抵抗性
55
Gammaproteobacteria綱
グラム陰性通性嫌気性桿菌 Gammaproteobacteria綱 腸内細菌科
56
大腸菌属 大腸菌 Escherichia coli 1.1~1.5 x 2~6 mm,桿菌,周毛性鞭毛 通性嫌気性,腸管内の常在菌
通性嫌気性,腸管内の常在菌 IMViC(++--),乳糖分解(+) 血清型 外膜多糖(O)抗原,莢膜(K)抗原,鞭毛(H)抗原 飲料水の適否の指標 異所感染性・・・尿路感染症,消化器感染症 治療:キノロン系,セフェム系
57
病原性大腸菌 下痢性大腸菌・・・消化管感染 → 下痢症状 腸管病原性大腸菌・・・小腸粘膜に付着
下痢性大腸菌・・・消化管感染 → 下痢症状 腸管病原性大腸菌・・・小腸粘膜に付着 腸管毒素原性大腸菌・・・易熱性/耐熱性エンテロトキシン 腸管細胞侵入性大腸菌・・・大腸上皮細胞に侵入・破壊 腸管出血性大腸菌 O157:H7,O111:H-,O104:H4 など 三類感染症(感染症法) Vero毒素 → 腹痛,血便,下痢,溶血性尿毒症症候群(HUS) 腸管凝集付着性大腸菌・・・腸管細胞に凝集・付着 尿路病原性大腸菌・・・線毛などの定着因子 → 膀胱炎,腎盂炎など K1大腸菌・・・莢膜(K1)抗原 → 新生児髄膜炎
58
腸管出血性大腸菌感染症 Escherichia coli O157:H7,O111:H-,O104:H4 など
2012年の日本における感染者は1,371例 三類感染症(感染症法) Vero毒素(VT1,VT2)を分泌 タンパク合成阻害による腸管上皮細胞・腎毛細血管細胞破壊 感染経路:飲食物からの経口感染,十~数十個の菌の感染で発症 症状:激しい痙攣性の腹痛,血便,下痢,溶血性尿毒症症候群(HUS) 治療薬:キノロン,ホスホマイシンなど
59
赤痢菌属 赤痢菌 Shigella (Shigella spp.) 0.4~0.6 x 1~3 mm,桿菌,無鞭毛
通性嫌気性,主要宿主はヒト IMViC(±+--),乳糖分解(-) 4菌種 ← 血清学的性状 細菌性赤痢 三類感染症(感染症法) 発熱,腹痛,粘血便,しぶり腹(tenesmus) 志賀毒素(VT1),細胞侵入性 治療:キノロン,ホスホマイシン
60
細菌性赤痢 赤痢菌 Shigella(グラム陰性桿菌) 2011年の日本における罹患者は300例 三類感染症(感染症法)
2011年の日本における罹患者は300例 三類感染症(感染症法) 志賀毒素(ベロ毒素のVT1と同じ)を産生 症状:潜伏期は3日以内 発熱,腹痛,水様性下痢,粘血便,しぶり腹 感染経路:汚染された食物や水を介して経口感染 治療:キノロン,ホスホマイシン,輸液,生菌整腸薬
61
サルモネラ属 サルモネラ Salmonella enterica 0.7~1.5 x 2~5 mm,桿菌,周毛性鞭毛
IMViC(-+-+),乳糖分解(-) H2S産生,グルコースから酸とガス産生 通性嫌気性 ヒトや家畜 S. enterica subsp. enterica(8血清型) チフス菌(S. typhi) S. enterica (subsp. enterica) serovar Typhi ガス産生(-),H2S産生(±),クエン酸利用性(-) パラチフス菌(S. paratyphi) S. enterica serovar Paratyphi H2S産生(-),クエン酸利用性(-) ネズミチフス菌(S. typhimurium) S. enterica serovar Typhimurium 腸炎菌(S. enteritidis) S. enterica serovar Enteritidis
62
サルモネラ感染症 腸チフス型 腸チフス菌およびパラチフス菌 三類感染症(感染症法) 通性細胞内寄生性
腸チフス菌およびパラチフス菌 三類感染症(感染症法) 通性細胞内寄生性 経口感染 → 腸管リンパ節で増殖 → 菌血症,高熱,脾腫,バラ疹,腸出血 菌血症型 ブタコレラ菌(S. Choleraesuis)など 経口感染 → 菌血症 高熱,胃腸症状なし 胃腸炎型(サルモネラ食中毒) 腸炎菌,ネズミチフス菌など 経口感染 → 腸管粘膜侵襲 発熱,下痢,腹痛 診断:Widal反応 チフス,パラチフスの抗体検査(現在では使用されていない) 治療:キノロン
63
シトロバクター属 エンテロバクター属 シトロバクター Citrobacter 1 x 2~6 mm,桿菌,周毛性鞭毛
通性嫌気性,自然界,ヒト腸管の常在菌 IMViC(-+-+),グルコースから酸とガス産生 日和見感染,二次感染 エンテロバクター属 エンテロバクター Enterobacter 0.6~1.0 x 1.2~3.0 mm,桿菌,周毛性鞭毛 通性嫌気性,土壌,水系,動物の腸管内に分布 IMViC(--++),グルコースから酸とガス産生 日和見感染,菌交代症,院内感染 尿路感染,敗血症
64
クレブシエラ属 セラチア属 肺炎桿菌 Klebsiella pneumoniae
0.3~1.0 x 0.6~6.0 mm,桿菌,無鞭毛,厚い莢膜をもつ IMViC(--++),グルコースから酸とガス産生 通性嫌気性,動物の気道,腸管,植物など自然界に広く分布 肺炎,腹膜炎,尿路感染,菌血症,敗血症 治療:セフェム セラチア属 セラチア Serratia marcescens(霊菌)など 0.5~0.8 x 0.9~2.0 mm,桿菌,周毛性鞭毛 IMViC(--+-),赤色色素prodigiosin 通性嫌気性,土壌,水系など自然界に広く分布 院内感染,日和見感染 肺炎,腹膜炎,敗血症
65
プロテウス属 プロテウス Proteus mirabilis,Proteus vulgarisなど
0.4~0.8 x 1~3 mm,桿菌,周毛性鞭毛 通性嫌気性,土壌,水系,ヒトの腸管の常在菌 IMViC(±+-±),乳糖分解(-),H2S産生 インドール陰性:P. mirabilis,インドール陽性:P. vulgaris ウレアーゼ産生,フェニルピルビン酸産生 Swarming(遊走)・・・寒天培地上 日和見感染,院内感染 尿路感染症,化膿性病変
66
エルシニア属 ペスト菌 Yersinia pestis 0.5~1.0 x 1~2 mm,卵形桿菌,無鞭毛
通性嫌気性,齧歯類の感染菌 → ノミ媒介感染 IMViC(-+--),グルコースから酸とガス産生 腺ペスト:リンパ節炎 → まれに敗血症 肺ペスト:出血性肺炎 一類感染症(感染症法) 治療:キノロン,テトラサイクリン系 予防:ネズミとノミの駆除 偽結核菌 Yersinia pseudotuberculosis ノネズミ,鳥類,家畜が保菌 腸間膜リンパ節炎 腸炎エルシニア Yersinia enterocolitica 哺乳類,鳥類に感染 感染型食中毒 ← 耐熱性エンテロトキシン(ST)
67
エドワードシエラ属 プレシオモナス属 エドワードシエラ Edwardsiella tardaなど 1 x 2~3 mm,桿菌,周毛性鞭毛
通性嫌気性,各種動物に広く分布 日和見感染 → 創傷感染,下痢 プレシオモナス属 プレシオモナス・シゲロイデス Plesiomonas shigelloides 0.8~1.0 x 3.0 mm,桿菌,叢毛性鞭毛 淡水系に生息 → 汚染水,汚染食品による経口感染 食中毒・・・腸炎
68
その他の腸内細菌 プロビデンシア Providencia alcalifaciensなど 0.6~0.8 x 1.5~2.5 mm,桿菌
プロテウスに類似するが,遊走(-),H2S産生(-) 腸内常在菌 院内感染 → 尿路感染症など モルガネラ Morganella morganii など 0.6~1.0 x 1~3 mm,桿菌 プロビデンシアとは糖の利用性などが異なる 哺乳動物の腸管内常在菌 日和見感染 → 尿路感染症など
69
Gammaproteobacteria綱
グラム陰性通性嫌気性桿菌 Gammaproteobacteria綱 腸内細菌科以外
70
ビブリオ属 コレラ菌 Vibrio cholerae 0.4~1.0 x 1~5 mm,やや湾曲した桿菌,極毛性鞭毛
通性嫌気性,水系(淡水,海水)に生息 生物型:エルトール型(現在流行),アジア型(古典型) 血清型:O1型,非O1型 ← O抗原 三類感染症(感染症法)・・・汚染食品から経口感染 水様性下痢,脱水症状,発熱なし コレラ毒素・・・ADPリボシル化による 腸管上皮細胞透過性昂進 治療:水分と電解質の補給,キノロン,テトラサイクリン系
71
ビブリオ属 腸炎ビブリオ Vibrio parahaemolyticus 0.4~0.7 x 1.4~2.2 mm,直状桿菌,極毛性鞭毛
海水中に生息(好塩菌) 感染型食中毒・・・汚染された魚介類から経口感染 嘔吐,腹痛,下痢 神奈川現象陽性(溶血性) ← 耐熱性溶血毒 Vibrio fluvialis 好塩菌,魚介類による食中毒,海外旅行者の下痢 Vibrio mimicus 非好塩性菌,魚介類による食中毒,下痢
72
エロモナス属 パスツレラ属 エロモナス Aeromonas hydrophila,Aeromonas sobria
0.3~1.0 x 1.0~3.5 mm,桿菌,極毛性鞭毛 淡水中に生息,食中毒起因菌 パスツレラ属 パスツレラ Pasteurella multocidaなど 0.3~1.0 x 1~2 mm,卵円形桿菌,無鞭毛 通性嫌気性,動物の気道の常在菌 皮膚化膿症,リンパ節炎 ← 保菌動物から創傷感染 治療:ペニシリン,セフェム
73
ヘモフィルス属 インフルエンザ菌 Haemophilus influenzae
0.3~0.5 x 0.5~3.0 mm,小桿菌,無鞭毛,多糖体莢膜 通性嫌気性,上気道の常在菌,粘膜偏性寄生菌 X因子(ヘミン),V因子(NAD or NADP)要求性 飛沫感染 肺炎,中耳炎,乳幼児髄膜炎(インフルエンザ菌b型) 治療:β-ラクタマーゼ阻害薬+ペニシリン系,セフェム,キノロン 予防:成分ワクチン(Hib) 軟性下疳菌 Haemophilus ducreyi 0.5 x 1.5~2.0 mm,桿菌,無鞭毛,莢膜なし X因子要求性 軟性下疳 下疳:性病性の潰瘍
74
アクチノバシラス属 鼠咬熱菌 Actinobacillus muris(Streptobacillus moniliformis)
0.1~0.7 x 1~5 mm,多形性の長桿菌,無鞭毛 通性嫌気性,ネズミの口腔・鼻腔内に生息 鼠咬熱 ← 咬傷感染 発熱,悪寒,関節炎 治療:ペニシリン系,テトラサイクリン系
75
Epsilonproteobacteria綱
短型らせん菌 Epsilonproteobacteria綱
76
カンピロバクター属 カンピロバクター Campylobacter jejuni,Campylobacter coli
0.2~0.5 x 0.5~5.0 mm,小型らせん状桿菌,極毛性または双毛性鞭毛 微好気性,動物の腸管に常在 食中毒の代表的起因菌・・・細菌性食中毒事例数1位 腸炎 ← 経口感染(鶏肉が多い) 治療:対症療法,キノロン,マクロライド
77
ヘリコバクター属 ピロリ菌 Helicobacter pylori 0.5~0.9 x 3 mm,らせん状菌,叢毛性鞭毛
微好気性,動物の胃粘膜に生息 保菌率:50歳以上成人で50%,若年成人の20% ウレアーゼ産生・・・アンモニアを生成して胃酸を中和 胃炎,消化性潰瘍 → 胃がん 治療:アモキシシリン + クラリスロマイシン(メトロニダゾール) + プロトンポンプ阻害薬
78
Alphaproteobacteria綱
ブルセラ属とバルトネラ属 Alphaproteobacteria綱
79
ブルセラ属 ブルセラ Brucella melitensisなど 0.5~0.7 x 0.6~1.5 mm,短桿菌,無鞭毛
好気性,通性細胞内寄生性,家畜やイヌが自然宿主 妊娠動物を流産 ブルセラ症 ← 飛沫感染,経口感染(乳製品) 人獣共通感染症 インフルエンザ様症状,波状熱 治療:ストレプトマイシン,テトラサイクリン系
80
バルトネラ属 バルトネラ Bartonella henselaeなど 0.25~0.5 x 1~3 mm,多形性短桿菌,極毛性鞭毛
好気性,通性細胞内寄生性 ネコひっかき病 Bartonella henselae 局所リンパ節腫脹,発熱 ← ネコによる創傷感染 塹壕熱 Bartonella quintana 5日目ごとに発熱,発疹 ← 感染ヒトからコロモジラミにより媒介感染 オロヤ熱 Bartonella bacilliformis 発熱,溶血性貧血 ← サシチョウバエによる刺咬感染
81
Alphaproteobacteria綱
リケッチア Alphaproteobacteria綱
82
リケッチア目 多形性短桿菌 0.3~0.5 x 0.5~2.0 mm 偏性細胞内寄生性 リケッチア科 細胞質中で増殖
リケッチア科 細胞質中で増殖 リケッチア属 ペプチドグリカンを有する オリエンチア属 ペプチドグリカンを持たない ワイル・フェリックス反応 プロテウス菌の特定の株と共通抗原 → 患者血清による凝集反応 アナプラズマ科 食胞中で増殖
83
リケッチア属 発疹チフスリケッチア Rickettsia prowazekii 自然宿主はヒト,リス,ネズミ,シラミによる媒介感染
自然宿主はヒト,リス,ネズミ,シラミによる媒介感染 発疹チフス・・・発熱,頭痛,発疹 発疹熱リケッチア Rickettsia typhi ネズミが自然宿主,ノミによる媒介感染 発疹熱・・・発熱,頭痛,発疹(発疹チフスより軽度) 日本紅斑熱リケッチア Rickettsia japonica ネズミ,ウサギ,イヌが自然宿主,マダニによる媒介感染 日本紅斑熱・・・発熱,頭痛,紅斑 治療:テトラサイクリン系(β-ラクタムは無効)
84
オリエンチア属 恙虫(ツツガムシ)病病原体 Orientia tsutsugamushi 偏性細胞内寄生性 ツツガムシが保菌 → 刺咬感染
偏性細胞内寄生性 ツツガムシが保菌 → 刺咬感染 恙虫病 発熱,発疹,刺し口に痂皮形成 → 重症化:播種性血管内凝固(DIC) 無処置の場合,致死率40% 治療:テトラサイクリン系
85
アナプラズマ科 0.2~2.0 mm,球菌~短桿菌,偏性細胞内寄生性 食細胞中で増殖 → 封入体(モルラ)
食細胞中で増殖 → 封入体(モルラ) Ehrlichia chaffeensis シカが自然宿主,マダニによる媒介感染 ヒト単球エーリキア症・・・インフルエンザ様症状 → 腎不全,髄膜脳炎 Anaplasma phagocytophilum ネズミが自然宿主,マダニによる媒介感染 ヒト顆粒球アナプラズマ症・・・インフルエンザ様症状 ← 日和見感染 Neorickettsia sennetsu 魚介類の寄生虫(吸虫)が媒介 腺熱(鏡熱,日向熱)・・・発熱,リンパ節の腫脹
86
クラミジア Chlamydiae門
87
クラミジア科 クラミジア門,クラミジア綱,クラミジア目,クラミジア科 偏性細胞内寄生性,エネルギー産生系を持たず宿主に依存
偏性細胞内寄生性,エネルギー産生系を持たず宿主に依存 細胞質膜,細胞壁(タンパク性,ペプチドグリカンなし),外膜(LPSあり) 感染性小体(基本小体)・・・0.3 mm,球形,強靱な細胞壁 ↓ 食作用 網様(構造)体・・・0.5~1.0 mm,球形,多形性 ↓ 分裂増殖・・・封入体 中間体(移行型) ↓ 細胞破裂 感染性小体 クラミジア属 クラミドフィラ属
88
クラミジア属 トラコーマクラミジア Chlamydia trachomatis ヒトが自然宿主 → 性感染,接触感染,産道感染
ヒトが自然宿主 → 性感染,接触感染,産道感染 トラコーマ(封入体結膜炎) 急性濾胞性結膜炎 → 慢性角膜炎 尿路・性器感染症・・・STDの30~40% 尿道炎,子宮頸管炎,卵管炎 → 卵管性不妊 鼠径リンパ肉芽腫症・・・鼠径リンパ節の腫脹・化膿 治療:ミノサイクリン,マクロライド,キノロン
89
クラミドフィラ属 肺炎クラミジア Chlamydophila pneumoniae ヒトが自然宿主,飛沫感染
ヒトが自然宿主,飛沫感染 呼吸器感染症・・・市中肺炎の約10% 診断は難しい 治療:ミノサイクリン,マクロライド,キノロン オウム病クラミジア Chlamydophila psittaci 鳥類が自然宿主,糞便からの飛沫感染 肺炎(オウム病)・・・市中肺炎の2~3%
90
スピロヘータ Spirochaetes門
91
トレポネーマ属 梅毒トレポネーマ Treponema pallidum subsp. pallidum
0.1~0.2 x 6~20 mm,らせん状,ペリプラズム鞭毛により運動 偏性嫌気性または微好気性,ヒトが保菌 → 性感染 人工培地では培養できない 梅毒 硬性下疳 → 扁平コンジローマ → ゴム腫 → 進行性麻痺 経胎盤感染 → 流産,死産,先天梅毒 診断:トレポネーマ感作赤血球凝集反応(TPHA)試験 梅毒トレポネーマ蛍光抗体(FTAーABS)試験 治療:ペニシリン系
92
梅毒 梅毒トレポネーマ Treponema pallidum subsp. pallidum 2012年の日本における感染は875例
2012年の日本における感染は875例 症状:潜伏期約3週間 第1期:硬性下疳(局所の発赤,硬結,潰瘍) 第2期:扁平コンジローマ,バラ疹(全身に赤い発疹) 第3期:ゴム腫(顎,頭,骨,鼻,筋肉などにコブ) 第4期:神経症状(身体の麻痺,精神錯乱) 感染経路:性交などによる接触感染,垂直感染 治療:ペニシリン系抗菌薬
93
ボレリア属 回帰熱ボレリア 0.2~0.5 x 3~20 mm,らせん状,両端付近に鞭毛,微好気性 Borrelia recurrentis
回帰熱ボレリア 0.2~0.5 x 3~20 mm,らせん状,両端付近に鞭毛,微好気性 Borrelia recurrentis ヒトが保菌,シラミ媒介性感染 B. duttoniiなど 齧歯類が保菌,ダニ媒介性感染 回帰熱・・・3~6日間の発熱後,無熱期(数日),再度発熱期 抗原変異による免疫回避 治療:テトラサイクリン系 ライム病ボレリア B. burgdorferiなど 齧歯類,鳥類が保菌,マダニによる媒介感染 ライム病・・・感染性の関節炎,慢性遊走性紅斑熱 治療:テトラサイクリン系,ペニシリン系
94
レプトスピラ属 ワイル病レプトスピラ Leptospira interrogans
0.1 x 6~12 mm,ラセン状,両端部に鞭毛(1本) 両端はフック状に湾曲,微好気性,哺乳動物の腎臓中に生息 感染動物の尿で汚染された水や土壌から経皮・経口感染 人獣共通感染症 ワイル病(黄疸出血性レプトスピラ症) 発熱,結膜の充血,タンパク尿 → 黄疸,出血 秋疫(あきやみ,秋季レプトスピラ症)・・・感冒様症状 治療:ストレプトマイシン 予防:不活化ワクチン
95
グラム陰性無芽胞嫌気性菌 Bacteroidetes門 Fusobacteria門
96
バクテロイデス属 バクテロイデス Bacteroides fragilisなど
0.8~1.3 x 1.6~8.0 mm,多形性桿菌,周毛性鞭毛または無鞭毛 偏性嫌気性,ヒト腸内常在菌(最優勢菌群) 炭水化物 → 酢酸,プロピオン酸,コハク酸 → 悪臭 日和見感染症 → 膿瘍,菌血症 病原因子:莢膜多糖・・・組織細胞に付着 治療:β-ラクタマーゼ阻害剤+βーラクタム配合薬
97
ポルフィロモナス属 ポルフィロモナス Porphyromonas gingivalisなど
0.5~0.8 x 1~3 mm,桿菌,無鞭毛,莢膜あり 偏性嫌気性,口腔内の常在菌 歯周病原因菌 成人性歯周病患者の歯周ポケットから高頻度に分離
98
フゾバクテリウム属 フゾバクテリウム Fusobacterium nucleatumなど
0.4~0.7 x 3~10 mm,紡錘形桿菌,無鞭毛 偏性嫌気性,口腔内の常在菌 急性壊死性潰瘍性歯肉炎の原因菌
Similar presentations
© 2024 slidesplayer.net Inc.
All rights reserved.