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免疫薬理 血液・免疫系ユニット 分子薬理学 倉増敦朗
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講義内容 免疫抑制薬 抗アレルギー薬 ワクチン・抗血清 免疫増強薬
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免疫抑制薬 分類 適応 イムノフィリンリガンド 細胞毒性薬 糖質コルチコイド(ステロイド) モノクローナル抗体 臓器移植時の拒絶反応
自己免疫疾患
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イムノフィリンリガンド シクロスポリン タクロリムス シロリムス イムノフィリン
シクロフィリンやFKBPなど,免疫抑制薬の標的となる細胞内タンパク質
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T細胞活性化の細胞内シグナル経路 T細胞が活性化される時の細胞内シグナル経路の概略.
From Goodman & Gilman’s The Pharmacological Basis of Therapeutics 11th edition
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シクロスポリン(Cyclosporine)
シクロフィリン(Cyclophilin)に結合 複合体はカルシニューリン(NF-ATを脱リン酸化し活性化する)を阻害する IL-2を含む多くのサイトカイン遺伝子の転写が抑えられる NF-AT = nuclear factor of activated T cells
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タクロリムス(Tacrolimus)(FK506)
FK506結合蛋白質(FK506-binding protein)に結合 複合体はカルシニューリン(NF-ATを脱リン酸化し活性化する)を阻害する IL-2を含む多くのサイトカイン遺伝子の転写が抑えられる NF-AT = nuclear factor of activated T cells
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シロリムス(Sirolimus) FK506結合蛋白質(FK506-binding protein)に結合
複合体はmTOR (mammalian target of rapamycin)を阻害する G1期からS期への移行を遮断する
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イムノフィリンリガンドの副作用 シクロスポリン タクロリムス シロリムス 腎障害 高血圧 肝障害 神経症状(頭痛、振戦、不眠、疼痛)
消化器症状(下痢、悪心) シロリムス 高脂血症 好中球・血小板減少 The calcineurin inhibitor tacrolimus activates the renal sodium chloride cotransporter to cause hypertension. (Hoorn et al. Nature Med. 2011)
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細胞毒性薬 アザチオプリン シクロホスファミド ミコフェノール酸 レフルノミド プリン代謝拮抗薬のプロドラッグ DNAアルキル化薬
グアニンヌクレオチド合成阻害薬 レフルノミド ピリミジン合成阻害薬のプロドラッグ プリン塩基=AまたはG ピリミジン塩基=CまたはT、U
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細胞毒性薬の副作用 アザチオプリン シクロホスファミド ミコフェノール酸 レフルノミド 骨髄抑制、消化器障害 消化器障害、脱毛、出血性膀胱炎
肝障害、腎障害
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糖質コルチコイドの作用機序 副腎皮質束状層で作られる. 細胞質にある受容体はホルモンがないときはHsp90と複合体を作っている
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糖質コルチコイドの抗炎症・免疫抑制作用機序
1.細胞内受容体に結合、核内移行、GREを介して遺伝子発現調節 2.リソソーム安定化作用 3.アラキドン酸代謝に関与する酵素系の抑制作用 ・PLA2阻害蛋白質(リポコルチン)の誘導 ・COX-2の発現抑制 4.サイトカインを介する作用(リンパ球増殖分化抑制など) ・IL-1、IL-2、IL-3、IL-6、IL-8、INFg、GM-CSF、TNFaなどの 合成・分泌の抑制 ・IL-4、TGFb、IL-1RAの合成・分泌の増強 ・IkBaの生合成の亢進(NF-kBの核内移行を抑制) 5.血管内皮細胞に作用して多形核白血球の接着・浸潤抑制作用
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糖質コルチコイド全身投与の適応疾患(1) ・副腎機能障害(補充療法として絶対適応) 原発性副腎不全(アジソン病、結核) ・リウマチ性疾患
原発性副腎不全(アジソン病、結核) ・リウマチ性疾患 全身性エリテマトーシス、多発性筋炎、皮膚筋炎、リウマチ熱、慢性関節リウマチ ・腎疾患 原発性ネフローゼ症候群、原発性糸球体腎炎 ・アレルギー疾患 気管支喘息、薬剤アレルギー、アナフィラキシー ・神経疾患 脳浮腫、多発性神経炎、多発性硬化症
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糖質コルチコイド全身投与の適応疾患(2) ・皮膚疾患(原則的には外用) 天疱瘡、ホジキン病 ・消化器疾患 潰瘍性大腸炎、劇症肝炎、慢性肝炎
天疱瘡、ホジキン病 ・消化器疾患 潰瘍性大腸炎、劇症肝炎、慢性肝炎 ・血液疾患 溶血性貧血、特発性血小板減少性紫斑病、悪性リンパ腫、急性白血病、 再生不良性貧血 ・眼疾患(外用で用いる) ぶどう膜炎、虹彩毛様体炎 ・その他 サルコイドーシス、原発性肺繊維症、種々のガン、ショック、臓器移植後免疫抑制
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長期ステロイド投与の主な副作用 骨格筋萎縮 代謝に対する作用 高血糖 異化作用 中心性肥満 血糖上昇作用 骨粗しょう症 脂質代謝変化
異化作用 血糖上昇作用 脂質代謝変化 易感染性 創傷治癒遅延 消化性潰瘍 抗炎症・免疫抑制作用 一方,グルココルチコイドの慢性的過剰状態であるクッシング症候群では, 中心性肥満すなわち脂質蓄積が起こる( 同化作用). このメカニズムは複雑である.(The Lipid Vol. 23 No ) ステロイド自体に脂肪分解作用はないが,EpiやNEへの許容効果で脂肪を分解する.脂肪の沈着は,高血糖に反応して分泌されたインスリンの作用. 高血圧 浮腫 低カリウム血症 電解質コルチコイド作用 Na+再吸収 K+分泌
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Cushing症候群の主な所見 ステロイド長期投与で 同様の症状が見られる 内因性糖質コルチコイド過剰による症候群.
ステロイド長期投与で,同様の症状が見られる. ステロイド長期投与で 同様の症状が見られる
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抗体医薬品 マウス部分が多いほど免疫原性が高い 中和抗体ができて効かなくなる 一般名の語尾 -omab; マウス抗体
-ximab; マウス-ヒトキメラ抗体 -zumab; ヒト化抗体 -umab; ヒト抗体 -cept; Fc融合蛋白質 マウス部分が多いほど免疫原性が高い 中和抗体ができて効かなくなる ヒト マウス Fab Fc マウス抗体 キメラ抗体 ヒト化抗体 ヒト抗体 Fc融合蛋白
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抗CD3抗体 Muromonab-CD3=マウス抗ヒトCD3抗体 【適応】臓器移植後の拒絶反応 【作用】
CD3e鎖に結合する(Agonistic Ab) 最初はT細胞を活性化するが、その後TCRを内在化させ抗原認識を妨げる 末梢T細胞の消失 残存T細胞の機能抑制 【副作用】 サイトカイン遊離症候群
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サイトカイン遊離症候群 薬物によって活性化されたT細胞から多量のサイトカイン(TNF-a, IL-2, IL-6, INF-g)が放出されることによって生じる急性の重篤な全身反応 発熱、悪寒、嘔吐、血圧低下、呼吸困難、浮腫、多臓器不全
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抗IL-2受容体(CD25)抗体 Basiliximab Daclizumab 【適応】臓器移植後の拒絶反応 【作用】
IL-2Raサブユニットに結合 IL-2によるT細胞活性化を遮断 【副作用】 消化器症状 サイトカイン遊離症候群はない
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抗アレルギー薬 【分類】 Th2サイトカイン合成阻害薬 スプラタスト 抗IgE抗体 オマリズマブ (Omalizumab)
メディエータ合成阻害薬 TXA2合成酵素阻害薬 オザグレル 5-リポキシゲナーゼ阻害薬 ジレウトン メディエータ遊離抑制薬 クロモグリク酸 受容体拮抗薬 抗ヒスタミン薬 フェキソフェナジンなど ロイコトリエン受容体拮抗薬 ザフィルルカスト TXA2受容体拮抗薬 セラトロダスト 【適応】 気管支喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、 アトピー性皮膚炎など
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I型アレルギーの機序 メディエータ 作用 臨床症状 B細胞 TH2 IL-4,5 形質細胞 IgE マスト細胞 ヒスタミン プロテアーゼ
ヒスタミン プロテアーゼ セロトニン 好酸球遊走因子 ロイコトリエン 好中球遊走因子 プロスタグランジン 平滑筋収縮 補体活性化 血管拡張 血小板凝集 好酸球、好中球遊走 粘液分泌 血管透過性亢進 喘息 花粉症 皮膚発疹 局所アナフィラキシー 全身性アナフィラキシー
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抗アレルギー薬の作用点 Th2サイトカイン合成阻害薬 メディエータ合成阻害薬 メディエータ遊離阻害薬 抗IgE抗体 受容体拮抗薬 B細胞
IL-4,5 形質細胞 IgE マスト細胞 Th2サイトカイン合成阻害薬 メディエータ合成阻害薬 メディエータ遊離阻害薬 抗IgE抗体 受容体拮抗薬
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マスト細胞から放出される物質 顆粒に蓄えられている 刺激後に作られる
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抗IgE抗体 Omalizumab 【作用】IgEのFc部分に結合し、IgEとIgE受容体の結合を遮断
【適応】気管支喘息、鼻アレルギー、食物アレルギー 【副作用】注射部位反応 ゾレア® インタビューフォームより
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リピッドメディエーター 抗原による刺激のあとに合成・分泌される ロイコトリエン,プロスタグランジン 合成酵素阻害薬
TXA2合成酵素阻害薬 オザグレル 5-リポキシゲナーゼ阻害薬 ジレウトン 受容体拮抗薬 LTD4受容体拮抗薬 ザフィルルカスト TXA2受容体拮抗薬 セラトロダスト
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エイコサノイド/Eicosanoids アラキドン酸から合成される脂肪酸 Eicosa =炭素数20 Enoic =不飽和
ステロイドは、PLA2を阻害する。大元を阻害するのですべてのエイコサノイドができなくなる。 それに対して、NSAIDはCOXを阻害するので、プロスタノイドはできなくなるが、LTはできる。 アラキドン酸から合成される脂肪酸 Eicosa =炭素数20 Enoic =不飽和
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主なエイコサノイドの作用 PGE2,F2は子宮収縮作用が強い。陣痛促進に用いられる。
PGI2は通称プロスタサイクリン。血小板凝集に関して、トロンボキサンと逆の作用。 LTB4は白血球遊走能が強い。 LTC4、D4は気道収縮作用が強い。TXA2も.(リポキシゲナーゼ阻害薬,ロイコトリエン受容体拮抗薬,TXA2合成酵素阻害薬,TXA2受容体拮抗薬は気管支喘息に用いられる.)
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ヒスタミン マスト細胞の顆粒中に蓄えられている H1受容体を介するヒスタミンの作用 気管支収縮 血管拡張 血管透過性亢進 知覚神経刺激
覚醒維持(中枢神経)
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抗ヒスタミン薬=H1受容体拮抗薬 第一世代 第二世代 ジフェンヒドラミンなど 鎮静性(血液脳関門を通過する)
抗コリン作用、アルファ遮断作用がある 第二世代 フェキソフェナジンなど 非鎮静性(血液脳関門を通過しない) 抗コリン作用、アルファ遮断作用が少ない 口渇、便秘など 起立性低血圧
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ワクチン・抗血清 能動免疫(Active Immunization) 受動免疫(Passive Immunization)
抗原を投与することにより、その個体に液性免疫及び細胞性免疫を惹起する 例)予防接種 受動免疫(Passive Immunization) 既に免疫が確立した個体からその成分(抗体)を他の個体へ導入する 例)抗毒素
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日本で接種可能なワクチン 生ワクチン BCG 麻疹風疹混合(MR) 麻 疹(はしか) 風 疹 不活化ワクチン DPT/DT ポリオ
【定期接種】 生ワクチン BCG 麻疹風疹混合(MR) 麻 疹(はしか) 風 疹 不活化ワクチン DPT/DT ポリオ 日本脳炎 インフルエンザ(65歳以上、一部、60-64歳の対象者) 【任意接種】 生ワクチン 流行性耳下腺炎(おたふくかぜ) 水 痘 黄 熱 不活化ワクチン B型肝炎 インフルエンザ 破傷風トキソイド ジフテリアトキソイド A型肝炎 狂犬病 コレラ 肺炎球菌(23価多糖体) 肺炎球菌(7価結合型) ワイル病秋やみ b型インフルエンザ菌(Hib) HPV(ヒトパピローマウイルス) 【国家事業】 不活化ワクチン A型インフルエンザHAワクチン(H1N1株) 一般に生ワクチンは不活化ワクチンに比べて,免疫能力が高く持続期間も長いが副反応の頻度が多い. 生ワクチンは弱毒化した病原体.不活化ワクチンは化学処理した病原体. トキソイドは毒素を処理して毒性をなくし抗原性のみもたせたもの.病原体に対するワクチンではない. ポリオは2012年9月から不活化ワクチンが接種可能になった. DPTにポリオ不活化を加えた4種混合ワクチンもある.
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主な受動免疫製剤 適応 製剤 ゴケグモ刺咬傷 ゴケグモ毒抗毒素(ウマ) 毒蛇咬傷 ハブ毒抗毒素(ウマ) マムシ毒抗毒素(ウマ) 狂犬病
狂犬病免疫グロブリン サイトメガロウイルス CMV高力価ガンマグロブリン 水痘 水痘帯状疱疹免疫グロブリン RSウイルス 抗RSV免疫グロブリン Palivizumab B型肝炎 抗HBsヒト免疫グロブリン 破傷風 抗破傷風ヒト免疫グロブリン Rh同種免疫 抗Dヒト免疫グロブリン A型肝炎、麻疹 免疫グロブリン(筋注用) 自己免疫疾患 特発性血小板減少性紫斑病 川崎病 免疫グロブリン(静注用) 低又は無ガンマグロブリン血症 重症感染症 蜘蛛毒;αラトロトキシンは神経毒. ヘビ毒;出血毒
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免疫増強薬 サイトカイン 非特異的免疫賦活薬 インターフェロン IL-2 OK-432(ピシバニール);溶連菌抽出物
PSK(クレスチン);かわらたけ蛋白多糖体
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インターフェロン 【作用】 マクロファージや細胞傷害性T細胞を活性化 【適応】 インターフェロン-a 腎癌、多発性骨髄腫
インターフェロン-b 悪性黒色腫 インターフェロン-g 腎癌 【副作用】 感冒様症状
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インターロイキン-2 【作用】 Tリンパ球増殖、抗腫瘍Tリンパ球反応増強 【適応】 悪性黒色腫、腎癌 【副作用】 感冒様症状
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