機関リポジトリの概要 JAIRO Cloud 講習会 平成 26 年 9 月 11 日 京都橘大学 和田 崇 (奈良県立医科大学附属図書館)
機関リポジトリとは Institutional Repository (IR) 研究機関で生産された電子的な知的生産物 を捕捉し、保存し、原則的に無償で発信す るためのインターネット上の保存書庫 (国立大学図書館協議会( 2003 )「電子図書館の新たな潮流」 )
機関リポジトリとは 大学がその構成員に提供する、大学やその 構成員により作成されたデジタル資料を管 理し発信するための一連のサービス Clifford A. Lynch ( Lynch (2003) “Institutional Repositories : Essential Infrastructure for Scholarship in the Digital Age.” ARL, 226.) リンチの日本語訳は次の URL から入手できる。
学術雑誌価格の高騰 市場の寡占化と価格高騰 機関や読者の購読中止の増加 売り上げ部数減少のため更に値上げ 購読中止の増加………という悪循環
学術雑誌価格の高騰 Library Journal Periodical Survey 1誌あたりの平均価格
オープンアクセスの定義 学術論文を、経済的・法的・技術的障壁な く、インターネットを介して誰もが自由に 利用できること。 (Budapest Open Access Initiative (BOAI) (参考) ブダペスト・オープンアクセス・イニシアティヴから10年:デフォル ト値を「オープン」に(日本語訳) translations/japanese-translation-1
オープンアクセスの実現方法 1. オープンアクセスジャーナル (Gold OA) – 予約購読型以外のビジネスモデルの雑誌 著者負担モデル、予約購読型とのハイブリッド、 公的資金など 品質・掲載論文数は様々 オープンアクセスメガジャーナルの台頭 (PLoS ONE) 予約購読型の多くは、著者負担によるオープンア クセス化が選択可能(ハイブリッド OA ) ( Elsevier Open Access Options, Springer Open Choice など)
オープンアクセスの実現方法 2. セルフアーカイビング (Green OA) – 著者が自身の著作を OA リポジトリに保存す ること ( Suber (2012) “Open Access”) – 著者のウェブサイト – 機関リポジトリ – プレプリントサーバ (arXiv.org) – 政府主導分野別アーカイブ (PubMed Central)
機関リポジトリのコンテンツ 学術雑誌掲載論文 紀要等による学内発表物掲載論文 学位論文 国際会議等での口頭発表資料 教材, etc.
国立情報学研究所. IRDB コンテンツ分析
機関リポジトリの概要 出典:尾城孝一「ネットワーク環境下における大学図書館機能の再構築」
機関リポジトリのメリット (研究者にとって) 研究成果の可視性の向上 – Google などの検索対象に 新たな情報発信のルート獲得 機関による一元管理と長期的な保存 – 「機関」であることの意味
機関リポジトリのメリット (大学にとって) 大学で産出された知的生産物の長期保存 大学の研究成果を社会に還元 「大学からの情報発信力の強化や、大学の社会に対する 説明責任の履行の観点からも機関リポジトリは有効な手 段である。」 (「学術情報基盤の今後の在り方について(報告)」文部科学省 平成 18 年 )
機関リポジトリのメリット (学生にとって) 教員の著作が簡単に読めるようになった。 授業の履修選択、予習復習に便利 (受験関係者にとって) 大学の教育研究活動の一端が見える。英 語であれば海外のアクセスも 大学の研究のショーケース
機関リポジトリのメリット (一般の人にとって) 専門的論文が簡単に読めるようになった アメリカの高校生が OA 論文を利用して、 すい臓がんの検査方法を発明 “Open Access Empowers 16-year-old Jack Andraka to Create Breakthrough Cancer Diagnostic”. Right to Research Coalition old-to-create-breakth.shtml, (accessed ).
機関リポジトリ現状 全世界で 2 、 729 機関、日本は世界 4 位 ( 現在、 OpenDOAR による ) 日本では 468 機関 ( 現在、機関リポジトリ統計による ) – 2005 年の千葉大学が最初
日本の機関リポジトリ 国立情報学研究所. 機関リポジトリ統計
既存の業務とリポジトリ業務 既存業務リポジトリ 業務フロー 固定(最終型)不安定(途中) 協力相手 出版社,代理店,書店研究者,学内他部署 資料・コンテンツ の入手方法 購入依頼・交渉・説得 やること 入手・貸出入手・発信 サービスの受益 者 大学構成員構成員 + 社会全体
科学技術・学術審議会 学術分科会 研究環境基盤部会 学術情報基盤作業部会 (2010).
デジタルリポジトリ連合( DRF ) 155 機関が参加している日本の機関リポジ トリ構築機関の広域コミュニティ組織 ( 2014 年 4 月現在) メーリングリストや月刊 DRF 、 DRF Wiki で の情報共有 図書館総合展でのワークショップ DRF Wiki