第 14 章 競争を生き抜く 生物多様性の創造における進化と絶 滅 ガラパゴス諸島の異なる島々から得られたフィ ンチ.ダーウィンによるオリジナルの挿絵.

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第 2 章 : DNA 研究法 2.2DNA クローニング クローニングベクター 大腸菌以外のベクター ゲノム分子生物学 年 5 月 7 日 担当 : 中東.
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第 14 章 競争を生き抜く 生物多様性の創造における進化と絶 滅 ガラパゴス諸島の異なる島々から得られたフィ ンチ.ダーウィンによるオリジナルの挿絵

生物多様性の分類 18 世紀の博物学者は,生物多様性を系統的に分類しようとし た 20 世紀, DNA 解析により真核生物,真正細菌,古細菌の 3 つの ドメインが確立した

イヌ科( family Canidae ) Dhole Cuon alpinus Cape hunting dog Lycaon pictus Arctic fox Alopex lagopus Maned wolf Chrysocyon jubatus Fennec fox Vulpes zerda 動物界 脊椎動物亜門 哺乳綱 ネコ目 ( 食肉目 ) イヌ亜目

イヌ属( genus Canis ) :7 種 Black-backed jackal Canis mesomelas Golden jackal Canis aureus Coyote Canis latrans Gray wolf Canis lupus イエイヌはこ の一亜種

化石群 化石群は特定の時代に生きていた生物の集合.層序の 相互比較を可能にする 化石群に基づいて地質時代の区分と名前が定められた オルドビス紀( 5 億〜 4 億 2,500 万年前)ペルム紀( 2 億 9,900 万 〜 2 億 5,100 万年前)

地質時代 肉眼で見える生 物,多細胞生物 哺乳類と鳥類 人類(ヒト属) 地質時代 #mediaviewer/File:Earth_Calendar.jpg

チャールズ・ロバート・ダー ウィン 1809 〜 1882 イギリスの地質学者・生物学者 1831 〜 1836 ビーグル号航海に参加 1859 「種の起源」刊行:自然選択による進化 種の起原(上・下),八杉龍一訳,岩波文庫 ビーグル号航海記(上・中・下),島地威雄訳,岩波文庫 / チャールズ・ダーウィン #mediaviewer/File:Charles_ Darwin_by_Julia_Margaret_ Cameron.jpg

生命の樹 (a) 生命の樹 (Pace, Science 276 [1997]:734–40) (b) ゲノム配列に基づく,生命の樹のもうひとつの表現.中心が生命の樹の根元 であり,生命の一般共通祖先に相当する.異なる陰の領域は,生命の 3 つの ドメインを表す.生命の遺伝的多様性のほとんどは,単細胞生物に存在する

DNA 革命 DNA は遺伝物質であり,種の 特異性を支配し,遺伝形質に メカニズムを与える 突然変異は, DNA 鎖の塩基配 列の変化として現れる DNA 配列の漸進的変化は避け られないので,進化は現実の 確率的過程である DNA に基づいて定量的に種を 同定し,生命の樹を構築でき る 共通祖先から遺伝的差異が生 じるのに要した時間を推定で きる

進化の半面としての絶滅 大量絶滅を除けば, バックグラウンドの絶 滅速度は 1 年あたり約 % ひとつの種の平均寿命 は 1,000 万年,半減期は 690 万年,すべての種の 99% が 4,600 万年で絶滅 する 現在の巨視的生物の絶 滅速度は, 1 年あたり約 0.1% – 人類は絶滅速度を 1 万 倍に加速した 海洋動物の属数の変化. Cm はカンブリア型動物, Pz は古生代型動物, Md は現代型動物.カンブリア 紀に特徴的な動物群は,ペルム紀 - 三畳紀境界(古 生代 - 中生代境界)で永久に絶滅した