パーソンセンタードケアの構成要 素 ① アルツハイマー病の人々の Personhood 人 格は、失われるのではなく、次第に隠さ れていく ② すべての場面で、アルツハイマー病の 人々の Personhood 人格を認める ③ ケアと環境を、個人に合わせる ④Shared decision making を実践する 共有された意思決定(自己決定の支 援) ⑤ 周囲(社会)との関係性(交流)を重視 する
Shared decision making 共有された意思決定 パーソンセンタードケアの具体的実践 * 選択(自己決定)する機会を与え、それを 尊重すること * 病気のために失われた能力 ( =その人がで きないこと)にではなく、その人ができ ること、或は、その人のもつ良い面に焦 点を当てること * その人の潜在能力を最大限引き出すこと
論点( 2 ) 施設入所についての 説明は適切か? インフォームドコンセント
医療における自己決定の保障 倫理原則 自律(自己決定)尊重原則 Autonomy 自己決定には「意思能力( Competence) 」が必要 インフォームドコンセントの法理 判例の積み重ね 本人の医療行為の同意⇒違法性阻却事由 医療の同意⇒法律行為ではない 一身専属的法益への侵害に対する承認 家族等による同意⇒本人の同意権の代行にすぎず、 第三者に同意権を付与しているものではない。
インフォームドコンセント 自分の受ける医療について「知る権利」と 「選択する権利」である。多くの判例の積み 重ねから 確立した。 インフォームドコンセントの構成要素 ① 情報の公開 ② 理解 ③ 自発性 ④ 意思能力 ⑤ 同意 ★ D さんは、インフォームドコンセントで きるのだろうか?
論点( 3 ) 【本人の願望:自宅に居たい】 ⇔【家族の都合】 どちらに価値を置くべきか? 倫理的価値の対立 QOL と QOLs
対立する価値<倫理的ジレンマ > 「施設でよい ケアを受けて、 安心して暮ら してほしい」 家族の願望・都合 「多忙なので施設に 預けたい」 本人の願望 「自宅に居た い」
生命倫理(バイオエシックス) の 4 原則 ① 自律尊重原則 Autonomy 自律・自己決定の尊重 ② 善行原則 Beneficence 患者の目標に照らし、善をもた らせ ③ 無危害原則 Non-maleficence 少なくとも、害を為すな、害を 避けよ ④ 公正・正義原則 Justice すべての人を公平に扱え
対立する価値<倫理的ジレンマ> 自律尊重原則と善行原則の対立 「施設でよい ケアを受けて、 安心して暮ら してほしい」 善行原則 家族の願望・都合 「多忙なので施設に 預けたい」 本人の願望 「自宅に居た い」 自律尊重原則
倫理原則 ⇒倫理 4 原則の優先順位は ケースごと異なる ⇒倫理 4 原則同士が対立す る ☆それぞれのケースごと、 熟慮すること が大切
QOL と QOLs 『自分たちは世話ができないか ら・・』 QOL ; Quality of Life (=認知症本人の QOL) QOLs ; Quality if Lives (=関係者全員の QOLs) 認知症ケアにおける QOL は、互いに関わり助け合 いながら生きている周囲の人々の QOLs を考え、そ れらのバランスをとることが、倫理的に適切であ る。 家族の都合⇒その理由が、皆が納得いくものであ る必要がある。
論点( 4 ) 入所時や介護をするときに、 嘘やごまかしをしてよいのか? 義務論と功利主義(結果尊重主義) パーソンセンタードケア
<倫理理論> 義務論と功利主義(結果尊重主 義) 義務論 Deontology 他の個人に対する我々の基本的義務「・・すべき」「・・であるべ き」 「嘘をついてはならない」「ごまかしてはならない」 ★認知症ケアマッピング PD :人としての価値をおとしめる行為 功利主義(結果尊重主義) Utilitarianism 行為の結果に基づいて、行為を論理的に正当化する 「嘘やごまかしによって、よりよい結果が得られるので、嘘は正当化 される」 ★何が “ よい結果 ” なのか?