宇宙空間物理学の課題 長井 嗣信 東京工業大学 2005 年 3 月 25 日 教室発表会. 1. 2004 年は どのような年であったか.

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電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 7/11講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
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電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 8/11講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
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地球近傍における宇宙線陽子・反陽子空間分布シミュレーション
電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 7/16講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
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電磁気学Ⅱ Electromagnetics Ⅱ 7/10講義分 点電荷による電磁波の放射 山田 博仁.
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宇宙空間物理学の課題 長井 嗣信 東京工業大学 2005 年 3 月 25 日 教室発表会

1. 2004 年は どのような年であったか

2004年の自然災害被害額 2005年2月18日 日本経済新聞 新潟県中越地震(日本)280億ドル 台風23号(日本) 75 ハリケーン・ジーン(アメリカ) 70 ハリケーン・チャーリー(アメリカ) 68 台風18号(日本) 60 インド洋大津波(インドネシア) 44.5 ハリケーン・フランシス(アメリカ) 44 洪水(バングラデシュ) 22 台風13号(中国) 20 台風16号(日本) 20

1. 2004 年は どのような年であったか 地球惑星物理学部門の教員 (本蔵、長井、綱川、金嶋、藤本)の社会的責任は? 宇宙地球科学、地球惑星物理学序論、地惑内部物理学 等の講義で 地震、台風、津波 などのトピクスの内容を強化し、 物理過程を理解できるような教育に力を入れ、 今後も続ける。 「日本国民は皆、地震とはどんな現象であるかわかっていると思っている。そして、 なぜ地震が起こるのかという問いに対しては、プレートが押し寄せてきているからだと 明確な答えが返ってくる。しかし、これだけでは本学に学ぶ学生としては不十分である。」 本蔵義守 副学長 シラバスより

2. 2004 年の新企画?

KN-Project I (Kaneshima-Nagai) 「 BS アンテナで太陽電波を受ける」 現在 一年生の宇宙地球科学実験 波長 2.5 cm (12 GHz)

KN-Project II (Kaneshima-Nagai) 「電波で流星を探る」 太陽系物質の探査(COE?) 将来 学生実験への導入?

受信 送信 28, 55 MHz 普通は電離層を突き抜ける 流星が作る電離層のプラズマ擾乱による電波の反射

KN-Project II 屋上へのアンテナ敷設 ダイポールアンテナ 八木アンテナ (テレビ)

KN-Project II2004 受信機とデータ処理パソコン 時刻は GPS でミリ秒まで 受信機 28, 55MHz

KN-Project II 2004 流星のシグナル

3 . 2004 年の研究 1. 2. 3.磁気圏尾部で磁気リコネクションの 起きる条件と決める

3 . 2004 年の研究 1.人工衛星 Geotail 磁場データの処理 PI of MGF 2. 3.磁気圏尾部で磁気リコネクションの 起きる条件と決める

3 . 2004 年の研究 1.人工衛星 Geotail 磁場データの処理 PI of MGF

3 . 2004 年の研究 1.人工衛星 Geotail 磁場データの処理 PI of MGF 太陽 昼間側の磁気圏 JST

3 . 2004 年の研究 1.人工衛星 Geotail 磁場データの処理 PI of MGF 2.人工衛星 Akebono 放射線粒子データの処理 PI of RDM 3.磁気圏尾部で磁気リコネクションの 起きる条件と決める

3 . 2004 年の研究 1.人工衛星 Geotail 磁場データの処理 PI of MGF 2.人工衛星 Akebono 放射線粒子データの処理 PI of RDM

3 . 2004 年の研究 1.人工衛星 Geotail 磁場データの処理 PI of MGF 2.人工衛星 Akebono 放射線粒子データの処理 PI of RDM 3.磁気圏尾部で磁気リコネクションの 起きる条件と決める

3.磁気圏尾部で磁気リコネクションの 起きる条件と決める 「磁気リコネクションが 磁気圏尾部の地球から 20 - 30 倍の 地球半径ほど離れた位置で起きる」 ことは確立していた。 Nagai, T., M. Fujimoto, et al., J. Geophys. Res., 103, 4419, その後の他の人達の結果が検証。

3.磁気圏尾部で磁気リコネクションの 起きる条件と決める 「磁気リコネクションが 磁気圏尾部の地球から 20 - 30 倍の 地球半径ほど離れた位置で起きる」 ことは確立していた。 より地球に近いところで 磁気リコネクションが起きることがある。 何がコントロールするのか?

Large-Scale Structure of the Magnetosphere 磁気リコネクションの 起きる領域 Re 磁気圏尾部

Large-Scale Structure of the Magnetosphere 磁気リコネクションの 起きる領域 Re 磁気圏尾部

Geotail Solar Minimum Condition 低速太陽風、磁場弱 Solar Maximum Conditons 高速太陽風、磁場強 太陽風磁場 太陽風速度

Reconnection EventsTailward Flow Events with electron acceleration 低速太陽風、磁場弱の期間 高速太陽風、磁場強の期間 地球からの距離

the 3-min interval the 90-s interval Bz = -36 nT Bt = 36 nT tail lobe Bt = 24 nT 10 sec Event /02/18

strong acceleration of electrons strong acceleration of electrons thermal accelerated electron energy spectra Flux Energy

3.磁気圏尾部で磁気リコネクションの 起きる条件と決める 磁気リコネクションが起きる前の 太陽風の状態を調べる。 候補太陽風の速度と磁場 電磁場エネルギー入力量 太陽風の圧力(動圧) 直前の 4 時間から 20 分の平均量

Solar Wind Conditions for Reconnection Events Vx 太陽風の速度 Previous 4 hours to 20 min averages

Solar Wind Conditions for Reconnection Events BsSouthward Bz 太陽風の南向き磁場 Previous 4 hours to 20 min averages

Solar Wind Conditions for Reconnection Events Vx Bt when Bz < 0 電磁場エネルギー入力量 Previous 4 hours to 20 min averages 地球からの距離

Solar Wind Conditions for Reconnection Events Dynamic Pressure 太陽風の圧力 Previous 4 hours to 20 min averages

Geotail IMP-6 IMP-8 ISEE IRM Geotail Solar Activity Solar Wind Geomagnetic Activity

3.磁気圏尾部で磁気リコネクションの 起きる条件と決める 過去の衛星同士での矛盾する結果の説明 ほんとは問題は解決していない! 1.入力エネルギーがある限界値に なったら、起こりやすい場所で (より遠方)起きてしまって いいはず。

Solar Wind Conditions for Reconnection Events Vx Bt when Bz < 0 電磁場エネルギー入力量 Previous 4 hours to 20 min averages

3.磁気圏尾部で磁気リコネクションの 起きる条件と決める 過去の衛星同士での矛盾する結果の説明 ほんとは問題は解決していない! 2.磁気圏尾部の固有の時定数があり、 起きるまでにある程度時間が必要 時定数と何か?

3.磁気圏尾部で磁気リコネクションの 起きる条件と決める 過去の衛星同士での矛盾する結果の説明 ほんとは問題は解決していない! 3. Plasma Sheet を薄くする場所を 何かが決めている?

3.磁気圏尾部で磁気リコネクションの 起きる条件と決める 過去の衛星同士での矛盾する結果の説明 ほんとは問題は解決していない! しかし、解決の方向は 見えてきた。 来年度は ぜひ時間を取って研究を。

END